The Musium of Windows Consortium
Windows Consortium
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古川会長インタビュー(短) 【1990年】
敗れさった窓たち 【1990年】
Windowsコンソーシアムの誕生 【1990年】
Windows 3.0 前夜 【1990年】 
Windows 3.0の魅力 【1991年】 
Windows 3.0のインストール 【1991年】 
Windows 3.0の日本語処理 【1991年】
Windows Expo. '92 【1992年】
Windows Ready To Run【1993年】
Windows 3.1のインストール 【1993年】
Windows 3.1の日本語処理環境 【1993年】
Windows 95前夜 【1994年】
どう活用するWindows 95 【1995年】
Windows NTの開発環境 【1995年】
Windows NTの動向 【1995年】
インターネット・エクスプローラ 3.0 【1996年】
Windows Expo. '97 【1997年】
Windows98でパソコンは進化する 【1998年】
Windows 2000の概要 【1999年】
Windows Meへの感慨 【2000年】
Windows XPの概要 【2001年】
Windows XPの魅力 【2001年】
古川会長インタビュー(長) 【1990年】



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Windowsの歴史を紐解く過去の記事 【2000年10月】

田中亘


■Windows Meへの感慨



成熟期でありながら、
短命だったWindows Me

Windows Meは、ある意味で究極のWindowsとなった。2000年というミレニアムを記念するかのように登場したWindows Meは、Windows 95から築いてきたインテル系CPUによるWindowsの最後のバージョンとなった。そこには、現在のWindows XPにつながる様々な新機能やアイディアが盛り込まれ、フィナーレを飾るにふさわしいWindowsといえた。
 

★コンシューマを意識した新機能

Windows Meで新しく追加された機能の中で、注目すべきものがWindows Movie Makerやパソコンに画像転送を行うウィザードだ。これらの新機能は、家庭におけるデジタルメディアの中継基地としてのパソコンの役割を狙ったもので、Windowsが目指す方向性の一端を示すものだった。
すでに、市場で圧倒的なシェアを持ち。他の追従を許さないまでになったWindowsにとって、新しいフロンティアはパソコンではなくデジタル家電というコンシューマ市場になっている。こうした戦略的な背景からか、その名前も"Consumer Windows in 2000"という予定から、英語圏のユーザーにとっては明快なMe (Millennium Edition )となった。
もっもと、他の記事でも触れているように、本来であればWindows 9xシリーズは98で終了するはずだった。Windows 2000が現在のXPのような役割になるはずだったのだが、現実はMeを経由してXPへとバージョンアップしてきた。そのせいか、国内ではWindows Meに対する意識や浸透度は低い。もはや、コンシューマという市場そのものが、Windowsそのものを意識しなくなっているかのようだ。
 

★短命だった最後のWindows


Windows XPにも受け継がれている
Windows ムービーメーカー

Windows Meは、実質一年しか市場で販売されなかった。翌年には、Windows XP Home Editionが登場しプリインストールも早々に切り替わってしまった。しかし、すでに1999年から2000年にかけてのコンシューマ市場では、自分が使っているWindowsがどんなバージョンでどんな機能があるのかを強く意識しているユーザーの比率は減ってしまった。ユーザー数そのものは増えているものの、国内全体の市場規模からすると、OSとしてのWindowsに注目してパソコンを選ぶコンシューマは減少した。むしろ、インターネットやワープロ機能などの「できること」に注力してパソコンを選ぶ消費者が台頭してきた。
筆者にとっても、著作としては最後のWindowsとなった「できるWindows Me」も、その寿命を象徴するかのように駆け足で販売の収束した一冊となってしまった。Windows 95からの5年間で、OSは限りなく透過な存在となり、それが結果として日本のパソコン市場を活性化させたことになる。
もちろん、わずか一年の寿命だったからといって、マイクロソフトがWindows Meの開発を怠ったわけではない。その機能に関しては、現在のXPにつながる有用なツールやソフトを揃えている。

・ホーム ムービーの編集、カタログ作成、および電子メール送信 
・コンピュータ上での画像の保存、操作、構成 
・お気に入りの音楽のオンライン再生およびオンライン ラジオ 
・2 つの簡単な手順によるコンピュータへの画像転送 
・ダイナミック 3D およびサラウンド サウンドの活用 
・パソコンにつなぐだけでデジタル画像が取り込める WIA (Windows Image Acquisition )
・コンピュータを以前の設定に復元 
・オペレーティング システムのすべての情報をすばやく表示 
・重要なファイルを常に保護 
・最新のハードウェアの簡単なインストール 
・すべてのメニューに関する必要事項をすばやく検索 
・新しいハードウェアでのドライバの動作の保証 
・最新のシステム アップグレードのデスクトップへの定期配信 
・コンピュータを誰にでもやさしく簡単にするユーザー補助機能 
・ホーム ネットワークの構築 
・1 つのインターネット接続の共有 
・複数のネットワーキング技術の使用 
・ホーム ネットワークによるコンピューティング リソースの共有 
・ユニバーサル プラグ アンド プレイ (UPnP) デバイスの増設 
・インターネットへの安全な接続 
・インターネットをすばやく簡単にブラウズする
・Web に統合された電子メール、メッセージ、ニュースによる通信 
・インスタント メッセージの送信 
・オンライン ビデオ会議の実施 
・インターネットでのゲーム 

その機能を並べるだけでも、Windows 98から比べて大きく使い勝手や機能が強化されているとわかる。しかし、こうした強化とは反対にユーザーの用途が狭くなりつつあるのも事実だ。ホームページの閲覧と身の回りの文書作成ができれば、それで充分と考えるユーザーも増えてきた。デジカメをポケットカメラ代わりに使う人たちも多くなってきたが、街中の写真屋感覚でパソコンのデジタル画像を処理できるようになるには、まだまだ時間がかかるかもしれない。また、Windows Meが目指したもう一つの方向が、「ホームネットワーク」だった。家庭内にデジタルメディアを保管したりキャッシュするホームサーバーが存在し、そこにブロードバンドを経由して集められたデータが蓄積され、家庭内のLANでアクセスする。そういうスタイルをマイクロソフトでは抱いていたのかもしれない。
もちろん、少しでも人々に使いやすくて役に立つOSを開発し続けることは、マイクロソフトのようなソフトハウスにとってのテーマでもある。コンピュータは常に、私たちの生活や仕事の課題を解決することによって、市場に浸透し収益を生み出してきた。付け焼刃的な構想や提案では、市場の指示を得ることはできずに、多くの新製品が消えていったことも事実だ。初代バージョンから数えれば、すでに20年を超えようとしているWindowsは、Meが一つの大きな区切りであったと同時に、新しい挑戦のはじまりだったのかもしれない。




(著者:田中亘 wataru@yunto.co.jp)





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