Windows XPの最大の魅力は、そのカーネルにWindows 2000が採用されていること。Windows 2000カーネルは、システムリソースの消費を気にしないで、マルチタスクを安定して処理できる。そのため、ネットワークや複数のアプリケーションを交互に利用するような仕事に最適。例えば、インターネットに接続しながらホームページを閲覧したり電子メールをやり取りしたり、動画や音声を再生する、といった用途ではマルチタスクを多用する。
Windows XPの新鮮さは、そのユーザーインターフェースにある。開発コードでルナと呼ばれていた新しいユーザーインターフェースは、マウスを近づけるとボタンの色が変わったり、同じ種類のアプリケーションを数多く起動すると一つのボタンに集約されたり、スタートメニューにすべての項目を入れてしまうなどの改善点が施されている。また、デスクトップにアイコンを長期間置いておくと、整理するかどうか問い合わせてきたり、従来からあるアイコンも削除するなど、親切になっている。
Windows XPには、新しいウェブブラウザとなるInternet Explore 6が標準で搭載されている。新しいInternet Explorer 6では、画像にマウスを重ねるとツールバーが表示されたり、クッキーなどの個人情報漏出に対する警告などが強化されている。また、セキュリティ面も全体的に強化されている。
★新しいフォルダの表示
新しくなったフォルダの表示では、ウィンドウの左側にタスクパネルという情報やメニューが表示されるようになった。これで、ウィンドウのメニューは、従来からのメニューとツールバー、マウスの右クリックによるショートカットメニューに加えて、四つ目のメニューが用意された。マイクロソフトでは新しいメニューを積極的に使ってもらうことを推奨している。従来、ツールバーにあった機能の一部も、左側に移動したのでWindows XPに触れるユーザーには、説明が丁寧でわかりやすいものとなっている。
★マイピクチャフォルダ
マイピクチャフォルダは、主にデジカメの画像などを保存するためのフォルダ。このフォルダに画像ファイルをコピーすると、簡易なプレビューやパソコンの画面を使ったスライドショーが楽しめる。また、Windows XPに付属のウィザードを使うと、ファイル名を変更して自動連番によるコピーを行ってくれる。デジカメで撮影した画像をどうやったらパソコンに移せるのかわからないユーザーには、親切な機能だ。
★メディアプレイヤー
メディアプレイヤーは、Windows用のストリーミング再生ソフト。Windows XPには、最新のバージョン8が搭載されている。最新版では、DVD動画の再生やスキンの種類が増えている。マイクロソフトのサイトに登録されている最新版が7.1なので、Windows XPの方が新しいバージョンとなる。また、Windows XPでは、マイミュージックというフォルダも用意している。このフォルダ内にミュージックファイルのリストを表示して、ミュージックファイルの検索、追加、並べ替え、削除などの基本的な管理タスクを行うことができる。
★メッセンジャー
Windowsメッセンジャーは、オンラインで目的の相手の在籍状況を確認したり、チャットや音声会話などが楽しめるコミュニケーションツール。機能の魅力の一つは、インターネットを利用した電話機能。国内でもメッセンジャーを使ったインターネット電話が可能になっている。Windows XPには最新のバージョン4が搭載される。これも、旧Windowsではバージョン3.6までしか利用できない。バージョン4と3.6には、それほど大きな違いはない。メッセンジャーの目玉といえるインターネット電話機能は、現行のウィンドウでも利用できるバージョン3.6でもサポートされているので、他のWindowsユーザとの通話も可能だ。
★msnエクスプローラ
msnエクスプローラは、マイクロソフトのmsnn専用のウェブブラウザ。ホームページの閲覧から、電子メールにメッセンジャーやチャットなどを一つの画面で切り替えて利用できる。msnエクスプローラを利用すると、msnが提供している各種のサービスを手軽に利用できる。もちろん、msnエクスプローラがなくても、通常のウェブブラウザでmsnのサイトを表示すれば、同様のサービスはすべて利用できる。しかし、あえてmsnエクスプローラを用意している理由は、.NET戦略の一環と考えられる。特に、msnで用意されているカレンダーやフォトアルバムなどのサービスは、個人の情報をサーバー側で管理して、その情報を元にサービスを提供しようとするものだ。実際のところmsnエクスプローラに用意されているサービスがあれば、日常的なインターネットの利用には困らない。アプリケーションなども不要だと思うくらいだ。
★リモートデスクトップ
リモートデスクトップは、二台のWindows XPパソコンを使って実現できる遠隔操作機能。一方のパソコンにリモートデスクトップのサーバーとしての機能をセットアップしておき、もう一方のパソコンでリモートデスクトップ接続を行う。すると、接続した側のパソコンの画面に、サーバーとして機能しているパソコンのデスクトップが表示される。この機能を利用すると、会社や自宅にあるWindows XPパソコンを、離れた場所からインターネットなどの通信回線を使って遠隔操作できる。もちろん、サーバー側にあるファイルなどをクライアントにコピーできる。こうしたリモートデスクトップ機能は、市販のユーティリティでも可能だが、Windows XPは標準で搭載している。
★マルチログイン
Windows XPでは、一台のパソコンを複数の人たちが使い分けることを想定して、マルチログインという機能を提供している。これは、あらかじめ起動した画面に登録されているユーザー名を表示して、その名前をクリックし、パスワードを入力することによって、その人専用のデスクトップを表示する機能だ。昔、日本語化されなかったマイクロソフトのBOBというユーティリティがあった。それは、Windowsと組み合わせて使うソフトで、BOBを利用すると同様のマルチログイン画面が表示された。BOBは、7,8年前に米国で販売されて、あまり日の目を見ることなく消えてしまったが、その基本的な設計思想がWindows XPのマルチログインには受け継がれている。
★ムービーメーカー
Windows Meに標準装備されていたムービーメーカーが、Windows XPでも利用できる。ムービーメーカーはデジタル動画を編集するソフト。編集した結果は、電子メールで送信できる小さなファイルにもできる。Windows XPに搭載されるムービーメーカーのバージョンは1.1なので、Windows Meに一年以上前から搭載されているムービーメーカーと、ほとんど同一のもの。唯一の相違点は、Windows 2000系のカーネルで動くようになった点。ムービーメーカーは、デジタル動画の編集がどういうものか知りたい人には、手ごろなソフト。
★コントロールパネル
Windows XPのコントロールパネルは、デザインが新しくなっただけではなく、初心者にもわかりやすいようにとの配慮から、いままでのようなアイコンを並べただけのものではなく、目的別にカテゴリが表示されるようになった。初心者の多くは、あまりコントロールパネルの世話にはなりたくないため、このような親切な表示で、少しでも抵抗を和らげようとしている。反面、以前からのユーザーには、どのカテゴリがどの機能なのか、直感的に理解することは難しい。そうした場合には、クラシック表示に切り替えて、昔のようにアイコンで選べる。
★リモートヘルプ
リモートデスクトップを応用した機能として、リモートヘルプというオンラインでのサポート機能が装備された。これは、自分のデスクトップの状態をメールを送った相手に見てもらって、チャットによるサポートを受けるもの。リモートヘルプを利用するためには、インターネットに接続していることと、マイクロソフトのパスポートというユーザー認証用のIDを取っていること、それに電子メールを送受信できなければいけない。これらの条件を整えWindows XPを使っている相手に電子メールを送る。すると、そのユーザーがリモートに自分のデスクトップを参照して、問題解決のためのアドバイスをチャットで教えてくれる。リモートヘルプは、マイクロソフトのサポートセンターにも接続できるので、ユーザーサポートの解決効率が上がる。
(著者:田中亘 wataru@yunto.co.jp)