Windowsの歴史を紐解く過去の記事 【1992年9月】
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田中亘 |
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■Windows Expo.
1992年7月の7から9日まで三日間、幕張メッセでWindows Expoが開催された。日本のパソコンメーカー各社をはじめとして、Windows関連のソフトハウスに、周辺機器メーカーから、パソコンショップに至るまで、Windowsとその関連ビジネスに積極的な企業が一堂に集まった。
Windows Expoは、日本で開催されるWindows関連初の本格的なショーでめ、業界関係者をはじめ日本のパソコンユーザーの熱い注目を浴びる三日間となった。
多数出展した企業の中でも、特に注目を集めていたのはマイクロソフト社の展示コーナーだ。Windowsの中心となるメーカーだけに、来場者の多くは、マイクロソフト社の現在と未来に、興味と期待を抱いていた。その証拠に、中央ステージを取り巻く円形のブースに並べられたアプリケーションや米国最新版のWindowsなどを、熱心に見る人垣が絶えなかった。
また、中央ステージでは、電子楽器による演奏をバックに、プロのピアニストが惹いた電子ピアノのスコアを、Windows上のミュージックソフトがリアルタイムで譜面に展開するオープニングが、観客の驚きを誘っていた。派手なイントロダクションに続いて、Windowsのコンセプトが披露され、これからのマルチメディア時代を予告するビル・ゲーツのスピーチを、秒間15コマで動くWindows上の動画処理としてプレゼンテーションしていた。
富士通や日本電気に日本IBMといったハードメーカー各社も、みな一様にマルチメディア関連製品を強くアピールしていた。
もちろん、展示会場だけではなく、セミナーやカンファレンスも大好評で、マイクロソフト社主催のWork Shopセミナーは、全ての教室に対して、定員の三倍以上の申込みが殺到した。
さらに、会場で展示即売されたマイクロソフト社のロゴ入りマグカップやポロシャツも、Expo特別価格ということもあって飛ぶように売れていた。単なる製品売上とは別に、これらノベルティ商品の人気も、OSやアプリケーションの潜在需要を推し量る貴重な材料となる。即売会場の熱気から、日本でもWindowsフリークと呼べる人達が、確実に育ってきていることを感じた。
パソコンユーザーがWindowsとそのアプリケーションに寄せる興味と期待は、コンピュータ業界内部の予測をはるかに越えたものとなっている。多くのパソコンユーザーは、Windowsこそが、いよいよ本格的に到来するGUI時代の切札だと認識しているのだ。
ほんの少し前まで、日本語対応のアプリケーションが少なく、実務に弱いと思われていたWindows環境だが、WordやExcelといった基幹ソフトの他にも、データベースやグラフィック、数式処理やCADなど、魅力あるアプリケーションが、続々と登場していた。あらゆる面で、1992年のWindows Expoは、日本のWindows環境を促進する材料の多さを再認識させる展示会だった。
(著者:田中亘 wataru@yunto.co.jp)
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