最新Windowsソフトウェア事情(第62回)

Windowsコンソーシアム顧問 高橋 三雄
mtaka@fsinet.or.jp


DVD-ROMドライブを手に入れて

 DVD-ROMドライブがかなり安くなってきた。最新機種が3万円前後で買える。セミナーでマルチメディアの話をするときに、これまではデジカメ、CD(音楽や英語教材)そしてVIDEO-CDを話題にしてきた。VIDEO-CDのデモは、ランドコンピュータ社にいらした原浩一さん(現リンク社)にいただいたNHKソフトウェア発行の「シルクロード」を、プロジェクタに接続されたパソコン上で再生して行うのが常だった。VIDEO-CDはMPEG1圧縮で制作されたビデオ素材であり、1枚のCDに70分前後のビデオが収録できる。画質はVHSの3倍モード程度といわれるが、何しろテープではなく、CD(ディスク)なので、操作はしやすいし、任意のチャプタやトラックを選択、再生できるので大変に便利である。日本ではほとんど普及していないが、専用のVIDEO-CDプレーヤもあり、東南アジア各国で広く使われている。もちろん、VIDEO-CDをパソコン上で再生するには圧縮を戻して再生するためのデコーダソフトが必要である。これまではランドコンピュータ社の「SoftPEG Player」を使ってきた。この話についてはすでに本欄の第23回で紹介している。

 最近、パイオニア社からDVD-RWにMPEG2で録画する方式の機種が発売された。OEMでシャープからも同機種が発売になった。また、NECからも似たような機種が出ている。さらに、パソコンのハードディスクに録画する方式のパソコンビデオも各社から販売されるようになった。この種のパソコンは私もすでに、VAIOの初期の機種でためしてきた(本欄第32回)。当時はMPEG1だけであったが、最新機種ではDVやMPEG2対応になっている。最新のVAIOが欲しいが手が出ないので、やむを得ず、ノートブックパソコンにDVキャプチャー用PCカードをつけてDVビデオのキャプチャーと編集に挑戦している(第60回で話題にした)。

 ビデオ装置についてはさらにデジタルTV放送の開始を視野に入れてVHSと同様のサイズのテープにデジタルで録画する方式D-VHSが日立やビクターから発売されている。これなら最長24時間のビデオ番組がMPEG2で録画でき、ビデオコレクターには見逃せない新製品のジャンルである。残念ながらまだ購入するにはいたっていないが、いずれ我が家のオーディオラックに加わることだろう。現在利用しているソニーのダブルデッキは標準サイズのDVテープ一本で6時間40分の録画時間である。平日録画しておいた数本のテープを週末、小淵沢で楽しむというのが最近の生活パターンとなった。

 さて、最近購入したDVD-ROMドライブはI-Oデータ機器の製品である。どういうわけか、最近購入する周辺機器の多くはI-Oデータ機器の製品になっている。とくに便宜を図ってもらっているわけではないが。それはともかく、DVD-ROMドライブにはいずれの機種もDVDソフトを再生するためのソフトがバンドルされてくる。今回購入した機種にもPowerDVD(CyberLink社)がバンドルされていた。しかし、私のパソコンには原浩一さんの新しい会社(リンク社)の再生ソフト「MediaWizard」がすでにインストールされていた。DVD-ROMドライブにDVDソフトを挿入しただけで、パソコン画面上では図1のように映画「エグゼクティブデシジョン」の再生が始まった。

図1

 画面中央には横長(ワイドスクリーン)で映画がじつにスムーズに再生され、十分に実用的なDVD映画を楽しむことができる。私のパソコン(現在はDynabook SS 3380V)のCPUはPentiumII 400Mhzであるが、最近のパソコンはさらに高速のCPUを搭載しているのでより快適な再生環境になるだろう(再生にあたってDVD-ROMドライブの速度やCPUなどの何がポイントになるのか、よく分からないが)。もちろん、新製品を見逃せない私はDVDプレーヤが発売になった当初から製品を購入したので、12万円もしたソニーのVP-S7000がラック上に鎮座している。また、どこでもDVDが楽しめるようにと購入したPanasonicのポータブルプレーヤ(DVD-P10)もある。したがって個人的に楽しむさいにはこうした機種を使うことになる。ただ、ごく最近Panasonicからは世界最小、最軽量をうたう新機種が発売になった。こうしたときは「しまった早く買いすぎた」という後悔の念にかられるのである。毎回のことなので、さして気にはならないが。

 DVDといえば、話題のプレイステーション2が発売後2週間たった3月18日にようやく届いた(図2)。インターネットで予約したが、発売当日の出荷分には間に合わなかった。 発売当日、新宿のヨドバシカメラに行ったら、当日発売の製品がまだ残っていた。しかしすでに予約済みだったので、2週間待たされることになった。それはともかく、プレイステーション2もまた、DVDプレーヤの側面をもっている。DVD映画の再生にあたってその都度、メモリカードからソフトをインストールしなければならないが、通常のTVにつないで楽しむことができる。もちろん、私の場合はDVD映画を楽しむだけならプレイステーション2は必要ない(一般のユーザーはゲームソフトを買わずにDVDプレーヤとして楽しんでいる人も多いといわれるが)。さっそくゲームソフトを購入しようとビックカメラにいったが、売れ筋のソフトはすべて売り切れで購入できない。1週間ほどしてようやく「ファンタビジョン」を手に入れて花火打ち上げゲームに挑戦することとなった。実際には、おもちゃ会社に勤める娘の手によってゲームのステージが次々に進行していく様を眺めるだけになってしまったが。

図2

 さて、もう一度、図1を見ていただきたい。画面下段にはDVD映画の操作ボタンが表示されている。通常のプレーヤのリモコン同様、豊富な機能が数多くのボタンに割り当てられている(ちなみに図3はソニーのDVDプレーヤのリモコンである)。ボタンの操作はボタンのアイコンを見れば直感的にわかる。中央には再生中のソフトの種類(CD,VIDEO-CD,DVD)、トラックやチャプター、日本語、英語、音量調整などがあり、右側には再生、停止、一時停止、早送り、巻戻しなどのボタンが見える。さらに、右端にはトラック選択用のボタンがある。また、パソコンソフトならではの機能として、左側にはスナップショット(再生中の画面の静止画を作成する)などの機能も用意されている。本物のリモコンでないので、マウスを操作しなければならないのが残念であるが。

図3

 再生ボタンの左下に見えるトンカチのアイコンは環境設定ボタンである。それによってきめ細かな設定が可能となる。図4は左側に詳細設定画面が表示されており、そこでは再生にあたっての画面が設定できる。また、右側の環境設定画面では静止画の保存に関する設定などを行うことができる。さらに別のボタンを使うことによって図5のように、DVD環境設定を行うことができる。スピーカーやドルビーサランドの設定など、通常のDVDプレーヤと変わらない詳細な設定が可能である。

図4

図5

 今回DVD-ROMドライブを購入することにしたのは、DVDソフトが3枚たまっていたからである。わずか3枚というなかれ。各社からせっかく送っていただいたソフトなのに、我がパソコン上で一度も再生(起動)されないまま、フォルダにしまい込まれたままなのは申し訳ない。DVD-ROMドライブ購入のタイミングを見計らっていたのである。それらのソフトとは、「DVD版世界大百科事典」(日立デジタル平凡社。4月からは日立システムアンドサービス社)、「DVD版ProAtlas2000」(アルプス社)、「Rocky Hopper DVD」(東芝)である。最初の二つはCD-ROM版もあり、それぞれCD-ROM3枚から5枚にわたる内容が1枚のDVDに収録されている。また、「Rocky Hopper」はCMで人気となった岩跳びペンギンをキャラクタとしたビデオとソフトがDVDに収録されたものである。以下ではこれらのDVDソフトを簡単に紹介しておこう(CD-ROM数枚分のコンテンツが収録されているので、本来はそれぞれ数回にわけて紹介しなければならないが)。
   図6は「DVD版世界大百科事典」上で検索メニューを表示させ、さまざまな検索機能の中から「ビジュアル検索を実行しているところである。これは画面中央に表示されているように、さまざまなテーマがリストされており、特定のテーマを選択するとそのテーマに関連する項目が見やすく表示され、それらにさらに含まれているリンクをたどって関連した項目を参照できる。なにしろ、この大百科事典は30巻近くにもなる書籍版と同一の内容が収録されているとともに、さらに電子百科事典ならではの追加的な情報も収められているので、その効果的な活用には検索機能が必要となる。図ではヒマラヤに関する情報を参照しているところである。

図6

 この百科事典にはさらに百科便覧と題する各種統計データも含まれており、たとえば私学冬の時代を迎えようとしている現在、大学や学生数のデータを参照してみた(図7)。95年までのデータなのでそれほど危機感は感じられないが、最新データを見たら落ち着いてはいられなくなるだろう。さらに、地図関連も世界や日本地図が含まれており、とくに世界地図はさまざまな縮尺で世界各地の地図が参照できる。図8は中国周辺の地図を表示させたところである。

図7

図8

 次に「DVD版ProAtlas2000」は全国をカバーする詳細な地図(首都圏は5千分の1)に加えて、主要な施設や観光スポットの写真なども収録されている。図9は秋葉原の詳細地図を見ながら、下段では314枚の写真の中から「東京ビックサイト」を選択しようとしている。その結果、画面には図10のようなカラフルな写真が表示された。もちろん、写真を検索したり、上段のスライドショウボタンによって自動的に写真を再生したり、また、右側の地図上でその写真の位置を確認するといったことができる。

図9

図10

 図11は検索機能を利用して全国の「銀座」を調べてみたところである。下段に見えるように、全国に銀座という地名は50数箇所あり、上段の地図はその一つ「長野県飯田市銀座5丁目」を表示させたところである。同様にして丸の内や新宿あるいは渋谷といった地名を探索してみると面白い。もちろん、DVD(あるいはCD-ROM)に収録された内容は時間とともに古くなっていく。とくにグルメやショッピングなどのスポットは日々、新しい情報が追加される必要があるだろう。そうしたときはインターネットが最新情報を追加してくれる。図12の左側にはそうしたインターネットへのリンクが豊富に張られており、それらの中には当然、アルプス社自身のホームページも含まれている。また、検索にあたってはたとえば図のように銀座4丁目周辺500m範囲でおいしいレストランを探すといった検索も可能である。

図11

図12

 「Rocky Hopper」は完全な趣味の世界である。図13のメインメニューのように、一つは岩跳びペンギンが登場するDVDビデオ(CMのビデオ)を再生して楽しむこと、これはDVDビデオそのものである。このビデオ動画に加えて、ミュージックダンスや下段の各種機能がソフトとしてついている(ソフトをインストールすることで利用できるようになる)。カレンダー、時計、スケジュール、アラームなど、岩跳びペンギンのキャラクタとともに、楽しく時計やカレンダーなどが利用できるようになる。図14はカレンダーを表示させたところである。もちろん、時計はカチカチと時を刻んでくれる。

図13
図14

 当初の予定では今回はCDやDVDのラベル印刷ソフト「CDラベルプロダクション2」(コーパス社)も紹介するつもりであったが、時間の関係で次回に回すことにしたい。

(麗澤大学 国際経済学部 国際産業情報学科 教授
http://www.reitaku-u.ac.jp/



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