活動報告


● 第102回セミナー実施報告(セミナー企画委員会主催)
日 時:平成12年1月26日(水)13:30〜16:45
会 場:日本ユニシス株式会社 501講習室(東京都江東区豊洲)
参加人数:12名
テーマ:『Windows NTプラットフォームによる異種開発ツールの連携による開発環境構築製品及び運用支援製品のご紹介』

第102回セミナー会場

 第1部:「XMIによるツール連動を実現した開発環境 〜IntegratePlus〜」
     日本ユニシス株式会社
     eNTビジネス推進部 担当部長 松倉 司 様

松倉講師

 これからのアプリケーション開発は、開発工程に対応して、オープン市場にある多くの開発ツールの中から最適のツールを選択・組合わせて実施することが、開発コストの削減、作業効率の向上を左右する重要なファクターになってくる。そして、異なるベンダーから提供されているツール間の情報連携が上手くいくか否かが、重要な意味を持ってくる。その方法として、XMIを用いて行う方法が最も有効と考えられ、日本ユニシスは「IntegratePlus」でその実現方法を提案している。本セションでは、松倉講師から開発ツール協業の可能性について「IntegratePlusによる異種開発ツール連携による統合開発基盤構築」と題するお話がありました。
 まず、商品提供の背景と方針についての説明がありました。優良企業では競合化強化・差別化のためにシステム開発が益々多くなり、情報システム担当部門では、迅速な新システムの開発、素早いシステムの更新、現行システムとの連動が課題となっている。そこで日本ユニシスでは、開発作業の主要3要素として、(1)作業工程に最適の開発ツール(ベースラインプロダクトセット)、(2)統一的な開発作業基盤(統合開発基盤:IntegratePlus)、(3)開発生産性と品質向上をもたらす開発技法(アプリケーション構築方法:LUCINA)を提案している。LUCINAは、画期的なコンポーネント指向開発方法であり商品化を予定している。
 IntegratePlusの提供する機能は、@コンポーネント開発機能、コンポーネント組合せによるアプリケーション生成機能、Aトレーサビリティ(開発全行程の作業情報を把握し変更等の作業漏れを防止)による開発工程間成果物の一元管理、B市場に提供されている開発ツールの連携機能(異種ツール間情報の授受、スムースなツール間の呼び出し)、C大規模プロジェクト支援(C/S形態、メンバー役割に応じて利用可能工程及びツールの制限)である。これらの機能の前提となる各項目(モデルベース開発、コンポーネントベース開発、進展プロセス・遷移境界・開発プロセス・進展の段階・技術領域などIntegratePlus設計思想、IntegratePlusの構造、ツールアダプタ構造、XMI連携、トレーサビリティ実現、IntegratePlus 実現製品形態)についての説明があり、各インターフェイス画面、処理画面、IntegratePlus COBOL SETが示されました。IntegratePlusの実現効果は、情報資産(モデル、コンポーネント)の開発・管理基盤を提供するだけでなく、開発資産を体系的に再利用可能にする基盤を提供するもので、大きな開発向け(同時5人以上)に適しているとのことです。

 第2部:「運用支援製品:Opalis RobotおよびMultiport Faxの紹介」
     住商データコム株式会社
     技術グループ 主任 田中 雅人 様
     ネットワーク営業第一グループ 奈良部 朝康 様

 住商データコムは、今年から"Converging to The IP Network:全てをIP Networkに収斂しよう"をメッセージに、IPネットワークがらみの市場が今後増えていくことを予測してSDC Total Solutionという新しいポリシーをかかげてやっている。今回は「ユーザーアプリケーションのシステム管理」というテーマで取り扱う製品のうちシステムマネージメントおよびCTIのカテゴリーに入る2製品「OpalisRobot」と「Multiport FAXU Pro.」の紹介が行われました。

 最初に田中講師から、Windows NT上で動作するイベントドリブン型ジョブスケジューラ「OpalisRobot」について説明がありました。

田中講師

 「OpalisRobot」はBackOfficeに対応したGUIでのジョブ監視またはバッチ処理ができるソフトである。システム管理ツールはアプリケーションのエラーとか状態監視に使うケースが非常に多いが、アプリケーションを開発している時にも当然使うことが可能な製品である。24時間ランニングテストや夜間にバッチ処理を行うケースでは誰かが張り付いて障害が発生した時に適切な情報を収集するわけであるが、ここが一番難しい所である。こういうものをある程度プログラムで自動的に収集するようにしておけば、別に人間がいなくてもコンピュータが自動的にやってくれるので、皆さんのストレスそしてデバッキングの正確さが実現できることになる。
 「OpalisRobot」はイベントドリブン型で、何か事象が起きたら処理を行うものであり、一番大きな特長はGUIを使うことである。バッチジョブ、スケジューラの機能とサーバー監視の機能の他にSDKがあるので標準機能で持っていないものをカスタマイズして作りこむことも可能である。「OpalisRobot」は機能を本当に簡単な部分に絞ってターゲットとしているので、使う方は小規模系に向いている。開発者にとってはアプリケーションを開発が本業であり監視や運用の機能を主としてやることではないので、困っていることをいかに片手間にできるかということが重要である。「OpalisRobot」は、ルーチンワークの自動化を実現することによって管理者の負荷を軽減する。時刻によるスケジューリング、ファイルの変更、サービスの不具合、ディスクの空き容量の変化などあらゆるイベントをきっかけにジョブを起動できるのでバッチ処理のスケジューリングだけでなくサーバー監視の用途にも幅広く利用できる。説明は「OpalisRobot」の特長、構成、各機能について行われ、デモンストレーションとしてさまざまな事例(サーバー監視、他プログラムとの連携、ファイル配信、日時締処理)について行われました。

 続いて奈良部講師から、Windows NT上でFAXの自動化を実現する多回線FAXサーバーソフト「Multiport FAXU Pro.」の紹介がありました。

奈良部講師

 説明は、Multiport FAXU Pro.の特長、導入メリット、連携事例、Multiport FAXU AutoSendの紹介、Multiport FAXUとExchangeの連携について行われました。 Multiport FAXU Pro.の特長は、FAX送受信機能をアプリケーションから利用して自動FAX送受信システムを開発できる「業務向けFAXサーバー」である。FAX送受信ニーズがある業務ならどこにでも適用でき、大量のFAX送受信を効率化するもので、注文書や納期回答書などの伝票、新製品情報などをお客さまに自動FAXできる。また、日常のOA業務で活用でき、FAX業務でスタンダードなFAX送受信APIを公開しているのでVC++、VBで利用でき、アプリケーションから自動FAX送信、結果確認まで一元化できる。導入メリットとしては、既存業務システムとの連携でFAX送受信の自動化、現状の業務システムの機能アップが可能であり、自動送信によりペーパーコスト、作業の軽減ができる。連携事例では、販売管理、ERP、インターネットショップ、コールセンターなどの例が示されました。 Multiport FAXU AutoSendは自動FAX送信システム構築を目的としたツールで、任意のフォルダーに送信用イメージファイルと宛先情報ファイルを出力する仕組を作るだけである。導入メリットは、現在利用しているアプリケーションにFAX機能を付加するだけで単純なFAX送信業務を自動化でき、プログラム開発工数の大幅削減ができる。
 Multiport FAXUとExchangeの連携では、ExchangeServerオプション導入によりメールとFAX文書の統合管理が可能で、クライアントとしてはメールの送信感覚でFAX送信、受信FAXは添付ファイルとしてメールで受信、パブリックフォルダー等に受信FAXを自動配信できる。一つの画面(メールソフト)でメールとFAXが管理できるので、FAXを電子データとして扱え、ちょっとした連絡もメール本文でそのままFAX送信できるメリットがある。

 ここで、参加の皆さまからアンケートによるご意見をご紹介します。
 第1部では、「開発プロセスおよびその管理のインフラ確立の上、もしくはそのツールとして使用導入できるだろう。ベースラインの充実が望まれる」、「実際にIntegratePlusを利用した開発をイメージすることができなかった」、「いまさらCOBOLを事例にとられてもピンとこない。 また、単なる資料説明に終わってしまった気がする」、「IntegratePlusから各ツールの制御にやや不安がある」です。
 第2部では、「確かに小回りの効くツールという感じ、ターゲット/コンセプトが絞られていて好感が持てた」、「運用管理ツールを今まで使っていたが、OpalisRobotのように機能を限定したものは興味深かった」、「OpalisRobotは面白いプロダクトである」、「顧客との情報伝達手段としてFAXはまだ重要なものであり、その利用方法を考える上で参考になった」、「OpalisRobotのシステム構成がわかり難い」です。
 今後の希望セミナーとしては、「ベンダー側の講演もよいが、ターゲットを絞ったユーザーに事例もしくは抱える問題を紹介しいていただくのもよい。例えばSOHO、中小企業のシステム他ユーザーの方からの声を直接聞いてみるという感じ」、「FC全般に関するもの」、「Windows 2000を前提とした開発手法」、「JavaでWebアプリケーションの開発、運用について」、「XMLを使用したシステム構築」、「NT環境下でのVB、ADO、IISそしてORACLEの連携技法」、「アプリケーションサーバーについて」です。 ありがとうございました。