最新Windowsソフトウェア事情(第59回)

Windowsコンソーシアム顧問 高橋 三雄
mtaka@fsinet.or.jp


20周年を迎えたCOMDEX

 松倉会長の見聞記が2部にわたって掲載されたいま、本欄で再度COMDEXを話題にすることはためらわれた。しかし、事務局の小泉さんからのたっての注文もあり、今回の導入部はCOMDEXから始めることにしたい。会長のレポートにも掲載されていたように、ミレニアムに沸く20世紀末、COMDEXは20周年という記念すべき時を迎えた。このCOMDEXの歴史の流れは今回、会場入り口などに立てられた大型看板やweb上にTimelineとして表示された。
会長の見聞記に会場周辺の看板が写真で掲載されていたので、私はまず、web上のTimelineを紹介しておこう。

図1

 図 1は20年の歴史を時間軸上にあらわしたTimelineである。それによれば第一回のCOMDEXは1979年に開催された。それから20年、1999年の現在にいたったという次第である。PCの驚異的な発展を考えると、この20年というのは実に長い時間であったといってよいだろう。私も80年中ごろから毎年のように視察してきたので、たとえば86年の欄に見えるIBM PCのチャップリンのコマーシャルなどはよく覚えている。時間軸の上でそれぞれの年においてどのような情報技術が話題になったか、そしてどのような情報技術が主であったかなどの情報がリンクされている。それらを一つ一つ丹念に読んでいくとまさに、COMDEXはパソコンの歴史そのものであったことを実感できる。たとえば、1979年の情報を表示させてみると図 2のようになった。このときは出展企業数160社、参加者4000人であった。また、業界のトレンドとしては、イーサーネットの導入、表計算ソフトの起源であるVisiCalcそしてワープロソフト、WordProが大きく取り上げられている。CPUはIntel8080とMotorola68000が主役であり、NECのプリンタの名前も見える。なお、画面下段にはTimelineに加えて、特定の年を選んで直接、そのときのCOMDEXの欄へ移ることができるようになっている。

図2                    図3

 20年前を振り返ったのであるから、つづいては最近年つまり1999年を参照しておいたほうがよいだろう。図 3のように、99年は双眼鏡をのぞいて21世紀を見渡そうとしている。20年前に比べて格段に変化の激しい現在、どのような双眼鏡を使っても1年先といえ、業界の動向を正確に把握することは不可能であろう。なお、図をよく見ると、94年には「I-way」つまりインターネット(Information Highway?)がキーワードになろうとしていることがわかる。また、93年にはIBMが50億ドルの赤字を出したことも歴史的なできごととして示されている。
かつてCOMDEXの主役であったIBMもAppleもCompaqも、そしてその他数多くの主要な企業もCOMDEXから姿を消した。新たな世紀のスタートにあたってCOMDEXはどのように発展(変わって)していくのだろうか。魔法の双眼鏡で見てみたいものである。

 新たな1000年を迎えるミレニアムにあたってCOMDEX Fall’99には図 4に見るように、画面右側で華々しい花火が打ち上げられた。21世紀における科学技術や経済活動などにおいて、依然として情報技術が中心的な役割を果たすものと思われるが、この分野に直接かかわっている企業の多くは、彼らのビジネスが夜空にいつまでも消えない花火であってほしいと願っていることだろう。念のため、2000年の欄にリンクされた解説を図 5に示しておこう。そこでは「世界はさらに、webification(こんな単語は見たことがなかったが)が進み、世界中がネットワークに接続されることになる。また無線ネットワークもBluetoothプロトコルなどによる製品によって飛躍的に進む。さらに、Windows 2000, Linux(そしてOpen Sourceグループ)、電子商取引、B2B(Business to Business)などが注目されるだろう」と解説されている。
 
図4                    図5

 さて、今回のCOMDEXは野村ツーリスト主催のツアーにコーディネータとして参加した。野村グループは私もかつて野村総合研究所に一年だけ勤めたことがあり、その後は直接の関係はないものの、私にとって野村というのは親しみやすい名前である。10数年前に同じく野村ツーリストが主催した米国ビジネススクール視察団に参加したり、ニューヨークで開催されるPC Expoツアーのコーディネータを勤めたり、これまで野村ツーリストのツアーに何度か参加する機会があった。今回のCOMDEXは昨年につづいての参加であった。
最近はCOMDEX参加者にとってパソコンをはじめとする情報機器が必需品となった。私も毎回、パソコンやプロジェクタそしてデジタルカメラやデジタルビデオカメラを携帯して、ツアー期間中、毎晩のようにツアー参加者を集めた勉強会を行った。今回はPLUS社から発売されているA4サイズ、2.6kgの超軽量タイプのプロジェクタを携帯した。かつて6kg前後の機械をふうふういって運んだことを思い出すと夢のような時代である。なお、今日(12月14日)の新聞にはプロジェクタのトップメーカーEpsonから2.6kgの軽量タイプの広告が掲載されていた。この分野の競争はますます激しくなりそうである。
今回はさらに、CD-Rドライブももっていった。COMDEXで撮影するデジタル写真や関連するインターネットのホームページを保存し、帰国時には参加者にCD-Rでお渡ししようというねらいである。CD-Rドライブといってもわずか170gの超軽量、超小型タイプ(ソニー製)であり、これまた数年前のことを思うと驚きとともに、大変にありがたく感じている。図 6は今回、帰国間際に参加者に配布したCD-Rの画面例である。見てわかるように当然のことながら、HTML書式で作成してある(WORDで作成し、Webページとして保存したもの)。図の上で参加者リストや参加者スナップには現地で撮影した写真がリンクしてあり、マウスのクリックで写真の一覧が表示される。その具体例はあとで会場風景の説明の中で見ることにしよう。

図6

 COMDEXはインターネット利用環境の日米格差を実感させられる機会でもある。今回は東芝のDynabookを携帯していったが(これまた1.3kg。ハードディスクは8.GB。PentiumII 400Mhz。ただし、数日前にいま現在、原稿を書くために使っているNEC LaVieNXにかえた。このパソコンは1.5kg、12GBのHDそしてPentiumIII 400Mhzである)、現地では当然のことながらホテルにつくとすぐにインターネットへ接続する。市内電話は75セントだが、固定料金なので一日中つなぎっぱなしでも、請求書には見事に75セントだけの記載しかない(ルームサービスなどは頼んだことがない)。プロバイダは日本では当然、FSI Networkを使っているのであるが、現地ではローミングサービスのことを考慮して、11月の1ヶ月間だけ、ATTのプロバイダを利用することにした。日本でオンライン入会し(入会金2000円、固定月間料金2000円)、現地で長時間利用したが、もちろん、800番のフリーダイヤルを通じて、使い放題である。ということで、日本にいるのと変わりなく、メールを読み、原稿を送るという生活を続けることができた(それほどありがたいとは思わないが)。

 ところで、現地でインターネットが自由にアクセスできることになると当然、日本のホームページも見たくなる。そうした中にはパソコン各社のプレスによるCOMDEXの現地レポートもある。ラスベガスから日本のホームページを参照して、「こんな展示があるから見に行こう」と翌日の視察計画を練るなどという、安易な視察になってしまうのである。たとえば図 7は日本で毎日見ているPC Watch(インプレス社)のCOMDEX前夜のレポートである。こうした日本語によるレポートを現地で収集し、夜毎の勉強会で話題にするとともに、それらをCD-Rに保存し、情報の一部として参加者に配布したのである。もちろん、PC Weekをはじめ現地の英語によるCOMDEXレポートも大いに参考にしたことはいうまでもない。図 8はPC Week誌のCOMDEXレポートの画面例である。図に見るように日曜日に行われたMicrosoft社ビルゲーツ会長の講演について「PCはまだまだ生き続ける」といった見出しで内容を紹介している。また、無線ネットワークの新しいプロトコル、Bluetoothが大きな話題になっていることも読むことができる。

図7                    図8

 COMDEXは例年、基調講演が多くの聴衆を集める。中でもCOMDEX前日に行われるビルゲーツ会長の講演は2時間前から聴衆の長い列ができるほどの人気である。今年は新装なったベネチアンホテル(以前サンズホテルがあった場所に今年オープンしたベニス風のホテル)の会議場を会場として講演が行われた。私は残念ながら直接、聞くことはできなかったが、さっそく図 9のように、日本のWeb上で講演の概要を知り、さらに、図 10のようにMicrosoft社からプレス向けに配布される記事によって講演の詳細を読むことにした。なお、プレス向けには講演のビデオも配布され、記事を執筆するときに大変に役立っている。

図9                    図10

 インターネットの時代、基調講演はWeb上でライブ中継され、また、事後的にWebCastに収録された講演をビデオで見ることができる。これは図 11のようにPC Week誌のWebに収録されており(COMDEXホームページ上にも図 12のように、Webcastへのリンクが張られている)、曜日と講師名を選択すると図の右下のようなビデオ画面の上で講演を見ることができる。画面コピーツールの関係で直接のビデオ画面を撮ることができないので、別途デジカメで撮影したビルゲーツ会長の講演風景を図 13に示しておこう。同様にして月曜日には日本人の間で大きな話題になったソニーの出井社長の講演が行われた。図 14はWeb上の講演に関する情報とビデオ画面そして図 15は実際に出井社長の顔をうかがうことができるビデオ画面である。なお、これらのビデオの再生にはRealPlayer7.0が必要であり、簡単にダウンロードできるようになっている。

図11                    図12

図13                    図14

図15

 さて、COMDEXツアーの参加者にお土産として配ったCD-Rの話に戻そう。レポートの後半にはCOMDEX会場で見かけた製品の写真がふんだんにリンクされている。ところで、COMDEXでは毎年、そのときどきの情報技術の話題にもとづいてPavilionとかShowcaseという名前で関連した企業の展示ブースを一箇所に集めている。今回も図 16のように、Microsoft Partners, Digital Home Networking, Internet Service, Information Appliance, Kaplan Comdex, BiometrixそしてBluetoothやUSBなど、さまざまな特設ブースが設けられた。また、最近注目を集めているLinuxについて、Linux Business Expoという名称でヒルトンホテルを会場とした特設会場を開いた。
昨年はサンズコンベンションセンターでマニア中心のこじんまりしたブースであったが、今回は30数社を集めてそれぞれビジネスを強く意識した展示内容となっていた。これは今年のCOMDEXの大きな特徴であったといってよい。しかし、LINUX専門の展示会と比較すると規模も小さく、人の集まりももう一つといってよい。インターネットやLINUXあるいは電子商取引など、専門の展示会が各地で行われるようになったいま、総合情報技術展示会というCOMDEXの性格の問題点が問われているといってよいだろう。もちろん、COMDEXの本来の目的はComputers Dealers Expoつまりコンピュータ業者の商談の場であったのであるから、この面ではCOMDEXの役割は依然として大きいことはいうまでもない。
図16

 図に戻って、展示会風景の下にある項目にはそれぞれ数多くのデジタル写真がリンクされている。たとえばMicrosoft Partnersをクリックすると図 17のような写真の一覧(サムネール)が表示された。会場で見かけた製品やデモの写真がいっぱい見える。もちろん、写真は小さいので特定の写真を拡大表示したい場合はその写真をさらにクリックすればよい。それによってたとえば図 18のように見やすい大きさで表示される。これはWindows CEパソコンの応用例(大規模データベースにアクセスする情報端末としての利用)を示した写真である。
今回は渡米直前に購入したFinePix 1700Z(富士フィルムの3倍ズームつきデジタルカメラ)を使って600枚以上の写真を撮影した。また、ソニーのデジタルビデオカメラ(100万画素の静止画も撮影できる。基調講演の中で出井社長がさかんにPRしたメモリースティック対応である)ももっていったが会場ではデジカメの方が邪魔されずに撮影できた。

図17                    図18

 撮影したPavilionやShowcaseあるいは一般の会場風景などに分類して整理し、それらを上の図のようにHTMLで保存してレポートの該当個所にリンクする必要がある。こうした作業をすばやく行うことは、ホームページ作成などのテクニックを身に付けていない私には無理な仕事である。そうしたときに、WORDはほとんど意識せずに情報のリンクやHTML書式での保存が可能である。さらに写真を処理するグラフィックソフトの多くは一連の写真を自動的にHTML形式で保存する機能を含んでいる。そうしたグラフィックソフトの中で今回は「デジカメde同時プリント」(エーアイソフト社)を使った。これは名前からわかるようにデジカメで撮影した写真を自由自在にプリントすることができるソフトであり、さらに、写真の修整やHTML出力など初心者にとってじつに操作しやすい手軽なソフトとなっている。
図19

 図 19は家内が趣味として製作しているステンドグラスの作品写真を撮影し、編集画面上に取り込んだところである。図の左側にはプリント用の各種ボタンが用意されており、同時プリントやインデックス、それに焼き増しやポストカード、シールなど多彩なプリント機能がリストされている。さらに、上段のフィルムメニューは通常カメラのフィルム感覚で写真のフォルダを管理でき、特定のフィルムを選択するとそのフィルムに入っている写真の一覧(サムネール)が図のように表示される。特定の写真を選択して自動修整したり(露出不足で暗かった写真も十分に見れる明るさに自動修正してくれる。今回もずいぶんと役立った)、選択した一連の写真をスライドショウとして再生したり、そして図で行おうとしているように、選択した写真をHTML出力することもできる。さっそく実行してみると図 20のような写真集が完成した。もちろん、写真集への入り口にあたるindexファイルの自動的に作成され、それをWORDの文書の適当な個所へリンクさせ、WORD文書をweb文書として保存すればよい。それによってブラウザソフトから簡単に図のような写真集を楽しむことができる。
図20

 このように今回のCOMDEXは情報収集とその記録のすべてが最新の情報技術(ハードとソフト)を使って行われ、帰国時にはツアー参加者全員がすべての情報が収録されたCD-Rを手にして帰宅することができたのであった。しかし、COMDEXそのものの内容についてまったくふれることができなかったのは残念である。それについては松倉会長のレポートを参照いただきたい。

(麗澤大学 国際経済学部 国際産業情報学科 教授
http://www.reitaku-u.ac.jp/



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