田中事務局長のミニ・インタビュー(第1回)
玉井節朗理事(株式会社IDGジャパン代表取締役社長)を訪ねて



 「田中事務局長のミニ・インタビュー」第1回は、第11期のWindowsコンソーシアム理事に就任いただきましたIDGジャパンの玉井社長を新社屋にお訪ねしてお礼を兼ねたインタビューを行いました。特に理事ということでさまざまなお願いをして、ミニ・インタビューのはずが話が大いに弾んでしまいました。。

玉井社長

− この度は理事に就任いただきありがとうございます。よろしくお願いします。
玉井
 こちらこそよろしくお願いします。何かできることがありましたら遠慮なくお申しつけください。

― それでは、まず新しい御社の事業展開をご紹介いただけませんか。
玉井
 今までIDGは分散経営が主体でしたが、今年になって、このインターネット革命時代において分散経営ではコーポレートイメージを上手く発揮できないということで、全世界のIDGが経営の統合化を進めるようになっています。この傾向は日本が一番早く、アメリカでもこの5月頃から変わってきています。
変化に対応できる柔軟な新組織で、より緻密な情報を集約し、それも解り易くより多くの皆さまにお伝えしていこうということで、例えば日本ではアメリカのITに係る情報を日経産業新聞さんに提供したり、この秋からはCNNのニュース番組に30分のテクノロジー番組を米IDGが制作、提供しています。このように今までにないアライアンスを組み、他チャンネルメディアを通じて皆さんに情報をお伝えしていこうとしています。
我々は今回、展示会、出版、書籍の部門が合併したこともあり、新しいメディアとして変化に対応した形でお見せしようと考えています。特にオンラインに関しては大幅刷新したものを、皆さんに見て、使っていただけるようにと今年2月のMACWORLD Expo/Tokyoに合わせてプロモーション準備をしています。その例として展示会事業ではバーチャルエキスポをWeb上で展開、出版の内容を加味したオリジナリティーものを皆さんにお見せする予定です。
また、我々が一番メディアとして大切にしなければならないことは、IT情報を各企業の方々に最新の情報をもってタイムリーに、しかも正確にお伝えすることであると思っています。
 現在の情報配信というのはどこの会社のニュースもほとんど同じような配信記事が出てきますので、読んでいてもあまり特色がなく内容的に十分で且つ正確性がつかめない場合があります。その点IDGは、世界55カ国に250のWebサイトを持ち、ここからの情報発信を瞬時に見て確認頂くことがことができます。
 特に最近皆さんが一番興味を持っているのは、ベンチャー企業の最新情報技術であったり、その株だったりしますので、我々もそういったところの情報をいち早く皆さんにお伝えできる方法を考えていきたいと思います。 例えばアメリカのインターネット関連ビジネスの新しいアイディアが出てきた場合、必ず日本にもその情報が入ってきて面白い展開がされることが多い。我々はそのようなものをピックアップしてIT業界のみならず、金融業界での証券、銀行の方々やキャピタリストで興味を持ってきている人達に、もう少し細かく、分りやすい言葉でご提供していこうと思っています。いわゆる情報をそのニーズに合った人に合った内容で提供できるそれが多分IDGの一番の強みではないかと思います。
現在IDGは、全世界で約290の雑誌、新聞媒体を約9000万人にお届けし、書籍は80カ国で4000タイトル、展示会では、35か国で168の展示会、セミナーを主催運営しています。 またグループ企業のひとつである業界内の調査会社IDCが、42カ国、49拠点に約500以上の業界市場リサーチや分析調査資料を持っています。とまだまだ日本に紹介されていないものもがかなり多くあります。特に我々はグローバルな視点を重要視しない企業の生き残りは考えられないと思っていますし、すでに日本だけの情報で満足している企業は少なくなっていると感じています。

多分ここが我々の強みになってくるのではないかと考えていますので、グローバルでセグメント化された情報を、限られた方にタイムリーにお伝えするやり方を我々は考えていかなければいけないと、考えています。

田中事務局長、玉井社長

田中 この度、理事会社になっていただきましたので会員会社に特別の情報発信などは考えられますか。
 我々はコンピュータの詳細な情報を持っているのですが、実はあまり一般にも発信していないのです。というのはあまりにもニッチ過ぎるため、一般の方は読まないだろうと思っていたからです。しかし、そういった記事やニュースも、今後はお客さんのニーズに合わせた形で提供していかなければならない。Windowsコンソーシアムの方々に対してはもっとテクニカルで詳細な部分が必要だと思うのですが、そういった情報を提供できる仕組みをこれから作っていこうと思っています。

田中 Windowsコンソーシアムのホームページから会員限定で見ることができて、コンソーシアムに入っていて良かったなとなるといいですが。
 我々で一番苦労するのは、世界のIDGからくる情報は英語のままなので、これを日本語に翻訳するプロセスに費用がかかってしまうということです。英語のままの内容だけを網羅するというのであれば、本当にタイムリーに十分な内容で皆さんに提供できると思います。多分技術者の方々は読める人がかなりいらっしゃると思うので、逆に変に訳すと分けの分らないものになってしまうこともあります。我々にはほんの1時間くらいのタイムラグで世界中の情報がどんどん入ってきますから、英語のままで選別した情報を流すことは難しいことではありません。ここのオフィスにもニュース特派員として外国人がおり、雑誌媒体の記者とは別に世界の拠点拠点に特派員をおいてその国の情報を発信しており、そのデータが毎日毎日入ってきます。
例えば先ほど言いました日経産業新聞の中にIDGニュースサービスが載っていますが、それが各国の特派員が書いた記事です。ニュースサービスは、デイリーのニュースを世界各国からピックアップして皆さんにお伝えするというサービスなのですが、実は我々はこれを基にして媒体を作ったりしています。ですからこれを皆さんにある程度オープンにし見てもらうことができれば、非常に満足のいくサービスになるのではないかと思っています。まさにWindowsコンソーシアムさんのメンバーくらいでないと読んでも分らない
内容かもしれません。

田中 それはWindowsコンソーシアムにとっていい特色になります。入って良かったという特色を出したいのです。
 展示会に関しては、既存の大規模な展示会がありますが、最近は本当にニッチなマーケットのちょっとしたフォーラムが皆さんに受け始めてきています。大きな展示会に行きますと一般的なことは分りますが、来場者の中にはもっと細かいことをもっと知りたいというニーズがあります。特にコンソーシアムのメンバーの方はやはりそこですよね、実際は。今はいろいろ新しい企業、技術のことが出てきていますが、例えばASPとかXMLといったものをどこでどういうふうにしてまとめていくのか、多分コンソーシアムのメンバーの方が非常に興味を持っている話題であると思います。

田中 最近の展示会では、今までのいくつかのものが一緒に開催する傾向にありますが、関連する情報を集中化して見せているのでしょうか。
 一つは、小さい展示会を1箇所に集めて大きくするというのも一つの戦略なのでしょうけれど、逆にいうとそれはちょっとフォーカスがぼけてしまうことになります。今まではある程度よかったのですけれど、逆にいうと東京都内で例えば100人規模のセミナーで詳細まで突っ込んだものをピッチリやる、こういったものが受けています。そうでないと会社としては金を払わない。誰が聞いてもいいというレベルですと、非常にビギナー向けの話が多くて、ある程度知っている人は聞いてもつまらない、「どこかで聞いた話だな」、「どこかのコピーだったな」ということになってしまうのです。本当に先程言ったニッチな情報をもっと細かくお伝えするようなものがないとだめだと思います。例え参加者の人数が50人でも、その50人の質的価値が非常に高いといったら「何万円払ってもいいよ」ということになるかもしれません。一方、中途半端だったら「1万円払っても馬鹿らしいよ」と、1万円払ったけれど話は「どこかで聞いたことがあるよ」で終わってしまうのではないでしょうか。そういった意味でニーズは随分変わってきているなと思います。
今でも展示会はまず「何人来た」という数からの評価する傾向があります。「そうではない」と我々も言い続けているのですが、まだどうしてもそこにいってしまう傾向があります。
これからは、やはりこれだけお客様のニーズが多種多様化していますので、その中で詳細な部分をセグメントしていかないとお客さん自身が満足しなくなってきています。本当に20人、30人でもいいから、より緻密で鮮明なメッセージを伝えられるようなセミナー、セッションであればお客さんは来てくれると思っています。

田中 コンソーシアムのセミナーでも少人数しか集まらないことがあるのですが、そういう時に参加された方はかなりレベルが高い人が多いように見受けられますが。
 我々はそこをもっともっと皆さんに訴えていかなければならないのですが、その辺の技がないというかエリアがないというか、ですからさっき言ったバーチャルエキスポ、バーチャルコンファレンスというのが今後出てくるのではないかと思っています。やはり忙しい人が多いのに、幕張メッセやビッグサイトに行くと一日つぶれてしまいます。それならば、会社にいて自分のパソコンからある程度情報を引き出して、それでも分らなければどこに聞けばよいのかと、それがIDGのWebサイトに行けばもっと細かく分るというのがあれば、ある程度お客さまは満足すると思います。
これから我々がコンソーシアムの方々に対してどういういうメッセージを提供できるかというと、本当に10人でも、5人でも興味を持つ人がいればそういうものをお見せしてあげることではないでしょうか。今はすでに100人を100人満足させることができないのですから。

田中 60人セミナーに来ていただいたとしてもあまり一般的なことがよく分らないという人もいますし、専門的すぎて分らないと、結構幅広いですからね。
 そうですね。我々もこれからやるセミナーでもそうですが、毎回毎回やろうとするのですが、参加者のレベルが違いすぎるのです。

田中 まちまちですから。
 アンケートなどを取ると、面白くなかったという人もいるし、これはかなり為になったという人もいますし、主催者としてはどちらを選んでいいのか分らなくなってしまいます。しかし、これからは我々も本当にセミナーを聞く側の立場に立って、これはこの位のレベルのこれ以上の方でないと分りませんよとか、もっと親切丁寧に考えてあげるべきでしょうが、それが結構難しい課題です。

田中 ちょっと、測りようがないですよね。セミナーでも講師の方にどれ位のレベルの方がいいのですかと聞いて、中級とか上級とか表示するのですがよく合いません。
 だからある程度その辺を納得して出ていただいて、あとはテキストを貰って自分で勉強するくらいでしょうかね。新しいテクノロジーだと最初、皆さんすぐに飛びついて頂けるのですが。例えば「Linuxって何ですか」というのが去年だったのですが、今年はもう「Linuxを使って何ができるのか」、そうすると次の年は「Linuxを使ってこのようなことができました」という部分がないとだめでしょう。ただ、といっても3年後になっても、「Linuxって何ですか」という人もいますし、この辺は非常に難しいですね。多分コンソーシアムのメンバーの方でも本当に始めて出られて、じゃそれは何なのかと勉強される方と、もうガンガンやっておられる方とではレベルに相当違いがあると思いますので、それを何かまとめるというか、でもやはり難しいですよね。

田中 比較のレベル付けというのは難しいですね。意外とセミナーに出ている人はいろいろなセミナーに出ており、これは聞いたからという人もあり、そうでない人もいますから。
 いろいろなセミナーに頻繁に出席されている人は非常に詳しくご存知ですし、またスピーカーをやってもらってもいい位の人が聞いていることもあります。そういう意味では我々は海外の情報をもう少し広くお伝えすることが我々の他社との差別化につながっていくのかなという気もしますが。

田中 どうしても今のところ、アメリカが一番ですかね。アメリカの情報をなるべく早くというのでしょうかね。
 ちょっとした動きが、例えばASPやXMLもそうですが、アメリカの方で何かチラチラと出てきたと思うと火がついたようにポッポッポと燃えてくるというのが最近の傾向です。

田中 コンソーシアムも今年Java委員会からXML委員会に変わりました。
 当社もJavaワールドというマガジンを持っているのですが、やはり内容的にはXMLとかなんとかの特集になってきています。技術者の方々向けの雑誌となってくると、案外Javaも最初はよかったのですが、実際過渡期になると皆さんもう使っているのですが、それを使ってじゃ更に何ができるのかという新しいテクノロジーの情報を入れていかなければいけないということでやっています。

田中 この間テレビを見ていたら、孫社長が「3ヶ月というのは、この世界では1年単位である」とおっしゃっていましたが、1年経ったらもう4年経ったという感覚で見ているらしいですね。
 最近は早いところはすごく早いので我々もどこのレベルに合わせていいのか迷うくらいです。確か10年前くらいはある程度お客さんのレベルが一緒だったので一つのセッション、メッセージを出してもある程度皆さん分っていただけたのですが、今はもうバラバラになっているし、来場者を500人集めるというのはかなり大変です。一般的なことでは500人はもう集まらないし、じゃ業界から集めようなんてことになってしまいます。 そういう意味ではこれからWindowsコンソーシアムのメンバーの方々がどういう情報をどういう風にして料理していくかといういうことが難しいでしょうね。
話が変わりますが、2月17日にアメリカでWindows 2000コンファレンス&エキスポというのを米IDGの主催でやりますが、今それを準備しているところです。

田中 そのパンフレットをいただければ今度のWindowsキットにいれて会員会社に発送できます。あと新刊書籍のご案内なども入れられますのでご利用いただけたらと思います。
 それはありがとうございます。

田中 以前はWindowsのビギナー向けの雑誌が3誌あったのですが、今は御社のPCワールド1誌だけですが。
 今は、媒体そのものも非常に厳しくなってきています。特にビギナー向けの本というのは、IT業界の出版社のみならず、一般雑誌の出版社まで例えば学研さんだとか、いろいろなところがビギナーの本をどんどん出してきて、そちらの方に宣伝広告が行ってしまい分散されてしまっています。今まで例えばIT業界誌で宣伝広告を100億円受注していたのが、今ではもう50億円以上は一般誌のIT情報媒体の方に行ってしまって、我々IT業界誌に投下される宣伝広告費が大分減ってしまいました。大手さんの宣伝広告予算が大幅に減少したということもありますが。そういったことで我々の生き残り策というのは、やはりさっき申し上げたように本当にニッチな部分をやっていかなければならないのです。いずれにしてもプロモーションや販売流通関係などでは一般雑誌の方が強い媒体を持っていますから。 そういったところで我々としては、まさにWindowsコンソーシアムのメンバーのような方々をターゲットにして推し進めて行かないと、とてもコスト的にも人的にもあいません。

田中 これからWindowsコンソーシアムの会員を広く増やしていきたいと思いますので、御社のいろいろな展示会で入会案内のパンフレットを置かせていただきたいのですが。
 判りました。協力いたします。明日からのInternet World Japan '99で受付のところにおくことができます。案外インターネットワールドに出ている出展社の人たちは新しい人が多く、ベンチャーでやっている人とか、今回ビットバレーの人も25社来ていますから、そのような人達に配ることもできます。

田中 最後ですが、今後イベントなどでの便宜を図っていただければと思います。
 もう一度、この辺を担当者と社内でレビューして、更に何かできることがあるかどうか確認しておきます。

田中 ありがとうございます。それでは長いことありがとうございました。

IDGジャパン新社屋(本郷)



Contents         Windows Consortium ホームページ