活動報告


● 第100回セミナー実施報告
<第11回Windowsコンソーシアム総会特別セミナー>

日 時:平成11年11月29日(月) 15時00分〜17時00分
会 場:ホテルニューオータニ東京・梅
出席者:106名
テーマ:「我が社のWindows 戦略 〜2000年に向けて〜」
構 成:
 第1部 『MicrosoftのWindows 2000戦略』
      マイクロソフト株式会社
      取締役 ビジネスソリューションズ事業部長
      東 貴彦 様
 第2部 『NECのWindows戦略』
      日本電気株式会社
      パーソナルソフトウェア事業部長
      田岸 啓司 様
 第3部 『日本アイ・ビー・エムのWindows戦略』
      日本アイ・ビー・エム株式会社
      PCソリューション事業
      事業推進部長兼 NTソリューション・モール担当
      臼田 孝平 様
 第4部 『富士通の Windows戦略 〜2000年にむけて〜』
      富士通株式会社
      ソフトウェア事業本部 第一ソフトウェア事業部 第一開発部
      プロジェクト課長 辻 新一 様
 第5部 『VAIO Worldの拡大に向けて』
      ソニー株式会社 パーソナルITネットワークカンパニー
      インフォメーションテクノロジーカンパニー
      事業戦略部 企画1課 統括課長 住本 潔 様

 恒例となりました通常総会時特別セミナーは、今回で丁度100回目の開催となりマイクロソフトおよびPCメーカー4社のキーマンの方々からそれぞれのWindows戦略についてご講演いただきました。各部間のマシン交換や設定時には司会の下川副会長による軽妙な関連トークがあり楽しめました。

セミナー会場

司会の下川副会長

 第1部では、マイクロソフト株式会社 東 貴彦 様から『MicrosoftのWindows 2000戦略』として、まず客観的な2つの話、「パソコンが安くて高性能になった」と「インターネット市場は日本ではまだまだ大きくなる余地を残している」があり、続いて来年2月18日に発表されるWindows 2000プラットフォームについて、製品構成、特長、アプリケーション構築のためのWindows DNA、Windows 2000 Readiness Kitのお話がありました。


□デスクトップPCの性能向上
 9年前だと30万円していたパソコンが今では6万円で提供されるようになった。1999年のパソコンの出荷台数はワールドワイドで1億台を超えており、日本ではその1割位である。性能的にも非常に高くなっており、1989年のクレイのスーパーコンピュータと同じ能力を持つ最近のハイエンドのワークステーション用パソコンと比べてみると、重さは100分の1、値段は1000分の1くらいになっている。ちなみに費用/重量の計算では、Kgあたりスーパーコンピュータは68万円位、現在のハイエンドのワークステーションでは6万6千円位の計算となる。一般に使われているパソコンではデスクトップ型ではKgあたり2万円位、ノートタイプでは高くて10万円くらいで、かなりのコストパフォーマンスが劇的に変化して発展してきたことが分る。

□インターネットの時代
 このようなパソコンの高性能化、低価格化と同時に進行しているのがインターネットの普及である。あるものの普及を例える場合、アメリカの人口2億数千万人の内5千万人が使うようになるにはどの位時間がかかったかというような指標でよく説明する。5千万ユーザーになるまでラジオは38年位、TVは13年、インターネットはたった4年である。5千万ユーザーというのには大体1世帯に1ユーザーということで、アメリカで5千万人のインターネットユーザーということは、恐らく1世帯で1人のインターネットユーザーが今既にいると思われる。日本では、インターネットユーザーは1千3百万人位といわれており、3〜4世帯に1インターネットユーザーであり、日本の市場は、まだまだ大きくなる余地を残しているといえる。
 インターネットの話題でもう一つよく議論されるのが、BtoB、BtoCのマーケットの可能性についてである。通産省とアンダーセンコンサルティングの共同調査研究のデータによると、2003年までにBtoBのマーケットは68兆円以上、BtoCのマーケットは3兆円以上の巨大なマーケットになり、現時点での分析ではBtoBの方がBtoCの20倍以上のマーケットになると予想されている。しかしこの2つの市場は、それぞれ独立して発展・存在するのではなく、何らか融合されたもの、恐らくBtoBtoCといわれるようなマーケットが日本では今後最も発展するのではないかと考えられている。

□Windows 2000プラットフォーム
 Windows 2000製品としては4つ、Windows 2000 Professional、Server、Advanced Server、 Datacenter Serverとなる。このWindows2000のメッセージを一言で言うと、"スケーラビリティ"である。また、もう一つWindows 2000 Developerという製品があり、Windows 2000 ProfessionalとServerを合わせたパッケージ プラスMSDNプロフェッショナルの購読期間1年間分という内容が加えられている。デベロッパーの方は是非このデベロッパーバージョンをお求めいただきたい。
 Windows 2000には大きく分けて3つの特長、(1)拡張性、(2)高可用性、(3)柔軟性がある。

(1) 1つ目の特長はスケーラビリティ(拡張性)である。最近使っているスケーラビリティという言葉には、「スケールアップ」、「スケールダウン」そして「スケールアウト」があり、この3方向の言葉をよく使っている。
 「スケールアップ」はDatacenter Serverを出し、クラスタリングの機能やダイナミックロードバランス、バックアップといった大きな企業のデータセンターに使われるようなサーバーを目ざします、という意味である。
 「スケールダウン」の方は、NetPC、Windows Terminal、Handheld PCその他端末機器のようなところまで同じWindowsアーキテクチャが適用できますよ、ということである。

(2) もう一つのスケーラビリティである「スケールアウト」は、Windows 2000の二番目のメッセージである高可用性(Availability)という言い方をする。信頼性と高可用性の機能がWindows 2000で改めて強化された。信頼性については今ベータテストの期間で私どもマイクロソフトの従業員はワールドワイドで4万台以上のWindows 2000を現在稼動させており、私自身も日常使っている。信頼性の方はそういう面で今後実証されていくと思うが、スケールアウトの機能については多少補足させていただく。Windows 2000のAvailabilityの機能、信頼性の機能は大きく2つのメッセージを持っている。一つはネットワークロードバランシングの機能、もう一つはコンポーネントロードバランシングの機能である。ネットワーク上での負荷分散に対応し、またアプリケーション面でコンポーネント単位のロードバランシングが実現すると、この機能に対応しているアプリケーション製品を利用いただくと処理のダイナミックな負荷分散が実現して、結果的に高い信頼性が生まれることになる。非常にハイエンドのサーバー製品でなくてもこのロードバランシング、負荷分散機能を利用することによってサーバーとしての高可用性が実現できる。

(3) 3番目の特長は、柔軟性(Flexibility)である。ここで言っているFlexibilityとは、ActiveDirectoryの採用によるシステム構成、アプリケーション構成のFlexibility、システム管理のFlexibility、結果としてのTCOの削減、である。企業にはさまざまな目的で、さまざまなプラットフォームのいろいろな種類のアプリケーションが導入されている。Windowsだけでなく、いろいろなものが混在した環境になると、全体としてのシステムの稼動管理が非常に難しくなる。ユーザーにとってもアプリケーションに対する操作性、パスワードやハンドルネームの管理が異なって、結構大変なことになる。この管理の仕組みを簡単にしようとすると、セキュリティが非常に怪しくなってくる。管理とセキュリティといつも裏腹でどっかでバランスを取ってやらなければならないことになる。
 そこでマイクロソフトが提供したソリューションがActiveDirectoryによるアプリケーション分散環境、コンポーネントレベルの分散環境である。これによってDirectoryアクセスの方法やセキュリティの設定にシステム全体の一貫性が実現でき、結果として、管理が簡単になり、ユーザーも使いやすくなり、TCOが下がることになる。
 ActiveDirectoryによって管理者が管理・保守すべきマスターはActiveDirectory一つで済むということが実現される。そして、柔軟性については、スキーマを拡張定義することによってユーザー独自の属性をそれぞれ定義することができるとか、BackOfficeのロゴでお馴染みになったSingleLogOnが完全なものとして実現するとか、あるいはアプリケーションシステムを開発する過程で開発の方法とかセキュリティの実現とか、アプリケーションが生まれてから死ぬまでアプリケーションライフサイクルに関するコストを画期的に削減することができる。
 このようにネットワーク上の全資源を柔軟に管理できることが特長になっている。

 Windows 2000の日本語版の品揃え、発表時期は4つの製品プラスDeveloper版を来年の2月18日に発売することが決まった。今回特長的なのはワイルドワイドな英語版の発売開始が、1日前の2月17日で、ほとんど世界同時出荷がやっと実現した。そういうことでマイクロソフトは、"Windows 2000に社運を賭けております"、ということを重ねて強調したい。

□Windows DNA 2000
 Windows 2000上で企業システムを実現していく上でなくてはならないものがシステムアーキテクチャである。これについてはDevelopers DayやTechEdなどの開発者向けの特殊な席上でしかお話する機会がないので、この機会にWindows 2000と並んでWindows DNA 2000 の話をしておきたい。これがとりも直さずマイクロソフトが企業システムに対して考えている戦略を語っていることになる。
ここでいう企業システムとはいろいろな意味があり、いわゆる企業のメインフレームのようなもの、データセンターとそのクライアントのような環境、Webアプリケーションサーバーとクライアントのプラットフォームであるブラウザ環境、或いはeコマースの環境、このようなものを実現する上でのマイクロソフトが提案しているアーキテクチャがWindows DNA 2000 である。このWindows DNA 2000 は4つの部分によって構成されている。


(1)Visual Studioのようなツール群、(2)SQLサーバー、Exchangeのようなデータストレージに関して何かする部分(来年には恐らくPlatinumというコードネームの後継製品が出ると思う)、(3) 今後のマイクロソフトの企業戦略を大きく統括する部分であるApplication Servicesに必要なテクノロジーや製品、(4)アプリケーション間やシステム間の統合・連携(Interoperability & Integration)に必要なテクノロジーや製品である。
 「道具があって、データがあって、アプリケーションサービスがあって、統合・連携がある」と、これがマイクロソフトの企業システム戦略の大雑把な粗筋といえる。
 各論でいくと、例えばデータストレージの代表選手であるSQLサーバーは、実はSQLサーバー単独でストレージ機能を実現するわけではなくて、COM+とかOSプラットフォームそのものWindows 2000も複合した機能としてさまざまなメリットを出している。ここで実例としてあげているのは40000tpmCスケールアップの実現を8CPUモデルで行ったことである。40000tpmCというのは1日あたりにすると大体1億2千万トランザクションになる。1億2千万トランザクションは具体的にどんなものかというと、例えばVisa、Citicorpとかその他の流通業のいろいろなモデルであると大体1日当りのトランザクションが1千万〜4千万トランザクション位であり、1億を越えるようなトランザクションは例えばAT&Tが国際回線を含めて1日に処理する電話の件数が2億件と言われている。それに匹敵する位のオーダーのトランザクションをこなせる機能は、この3つの製品(Windows 2000、COM+、SQL7.0)の組合せによって実現するようになった、といえる。

□Web Serverのパフォーマンス
 単にデータベースのトランザクションということだけではなくて、いま世の中はWebアプリケーションの方に動いているので、Web Serverとしてのトランザクション、パフォーマンスが求められている。例として、縦軸にページ/Sec、横軸に同時ユーザー数をとったグラフがあるが、現在よく使われているUNIXベースのプラットフォームとパソコンサーバーベースのマイクロソフトプラットフォームを比べた場合、パソコンサーバーベースではユーザー数が増えても3000ページ位のところが維持でき、また単位当りのコストについても3分の1位で実現することがいえる。ユーザー数の増加というのはWebアプリケーションを運用する上で避けて通れない、流行るサイトというのはどうしてもユーザー数が増えるわけであるからそれに対応できなければならないが、ユーザー数が増えてもパフォーマンスが安定しているということがコストパフォーマンスの件もあり、スケーラビリティが十分確保されたシステムであるとも言える。実際に非常に大きな商用サイトの例として、Amazon.comとeBay.com或いはマイクロソフトがやっているHotmailなどのサイトのプラットフォームはWindows NTとIISの組合せによって複数のサーバーをクラスタで管理して運営を行っている。

□Microsoft AppCenter Server
 マイクロソフトが考えているアプリケーションサービスに関するご紹介をする。来年中に出荷が予想される製品としてAppCenter Serverがある。この製品の機能、ポイントは「スケールアウト」ということになる。Windowsプラットフォームによる高性能さとか、コストの安さなどいろいろな面で皆さんに受け入れられているわけであるが、一方ではまだまだこういう点が足りないという厳しい指摘を沢山受けている。その代表的なものがネットワークのロードバランスができない、ダイナミックなアプリケーションレベルのロードバランスができない、増加分だけを効果的にスケールアウトするような機能がない(Incremental Scaling)、或いは何台かあるうちの1台にトラブルがあっても残りの2台で何事もなかったかのようにフェイルオーバーするとか(カスケーディングフェイルオーバー)、一つが壊れたらみんな壊れた(シングルポイントフェイラー)とか、こういうような課題がまだまだいろいろあり、これを解決するべく投入されるのがAppCenter Serverである。
 このAppCenter Serverは、ISP或いはアプリケーションサービスプロバイダーの方々にとっての現在までの課題であった点も解決されるといわれている。一つはホームファクターの簡素化とか、ビジネスでサイトを運用している方々から見るとハードウェアプラットフォームに関する、或いはメンテナンスやオペレーションに関する要求性能、要求仕様をできるだけ低く抑えたいというご希望があり、そういう要求に的確に応えることができると考えている。

□Interoperability & Integration
 Interoperability & Integrationは、日本語でいうと相互運用性と統合性という。これも現在の企業システムの中では非常に重要な課題となってきている。企業の中にはいろいろなマルチベンダー混在型のプラットフォームもあり、それぞれの部門特化型のアプリケーションもある。従来であればそれぞれの了見に従って作られたものであるから、その通りできていれば100点が与えられたわけであるが、インターネットの時代になって企業内にもWebサーバーが置かれてサービスが生まれる、その上で複数の異なるアプリケーションが相互に運用される、そしてその結果が企業外に対して取引先に対して、或いはお客さまに対してサービスされるBtoB、BtoCのモデルへと企業システムが延長されなければいけないという段階になると、どうしても経理部門のシステム、営業部門のシステム、設計部門のシステム、製造部門のシステムとそれぞれ独立した島のような状態で運用されるというようなことはもはや許されない状況になってきている。それぞれのシステムは背景を持って開発されているから、いきなり「これらをつなぎなさい」と言われても難しい面がある。それらを無理なく連携されるようなソリューションはないのかと、こういう課題に対するマイクロソフトのDNA2000における提案が"Interoperability & Integration"である。いくつかの製品とテクノロジーが複合されて提案され、一つはExchangeの次世代製品で提供されるストレージ機能である。次世代のExchangeであるPlatinumではOLEDBをサポートしているので、一般のデータベースアクセスと同じような感じでExchangeをプラットフォームにしてアプリケーション開発や、システム構築ができる。また、ExchangeのストレージそのものがWebサーバーになり得ることになり、このような機能を"Webストア機能"と呼んでいる。また、SNAサーバーも来年中に新しい製品が提案される予定であり、現在のところコードネームBabylonと呼んでいる。従来はSNAサーバーと呼ばれてSNAの環境に対するゲートウエイを提供するコミュニケーションサーバーであるという言い方をしていたが、次世代の製品についてはSNAに限定しない、社内にあるあらゆるホスト環境とのインテグレーションを目ざす。あらゆるホスト環境の中には、SNA も入るし、UNIXも入るということがいえる。現在、具体的に製品名をどうしようということでかなり議論になっており、ホストインテグレーションサーバーにするかXXXインテグレーションサーバーにするかいろいろ難しいところであると聞いている。
 そして、システム統合機能のいろいろな提案の中で最もマイクロソフトが力を入れて開発しているのが、BizTalkサーバーという製品、或いはBizTalkフレームワークというコンセプトである。これはXMLのテクノロジーを使って、データとかアプリケーションの定義をするスキーマをXMLベースで記述する。そのことによって複数の異なるアプリケーション間の連携を非常に簡単にしてあげましょうと、いうことである。従ってマイクロソフトがBizTalkサーバーを出荷すれば解決するというものでもないし、現在バリューチェインイニシアチブという業界イニシアチブという中で進めているXMLのスキーマ定義の活動であるが、こういった業界ごとのスキーマ定義の活動があってその実行環境としてのBizTalkサーバーが提供されて始めてシステム間連携の環境が実現すると考えている。企業内のアプリケーション間がバイナリーインターフェイスで接続し易いものはそれでやった方が能率的であろうし、そうでもないものが結構あるだろうからその場合はBizTalkを用いたメッセージベース、テキストベースのインターフェイスで総合接続することが実現するだろう。さらには社外のシステムになるとバイナリーインターフェイスで相互接続するのは先ず不可能に近いからこの辺はBizTalkフレームワークを利用してBizTalkドキュメントでもってシステム間連携をするというのが将来の姿ではないかと考えている。BizTalkのフレームワークでマイクロソフトは決してバイナリーインターフェイスを否定しているわけではなくて、適材適所でお使いください、ということを言っている。
 マイクロソフトは、このBizTalkを実際に実現するための業界活動を進めている。具体的にはスキーマ作り、その辺の成果物というのはワールドワイドで一つのポイントに集められており、www.BizTalk.OrgのWebサイトに掲載されており、現在産業別に約130以上のスキーマのサンプルが提案されているので是非ご覧いただきたい。このBiaTalkフレームワーク活動については、既にベンダー様、コマースサイトのいろいろな方々が支持の表明をされている。

□Evolution To Web Services
 インターネットの発展、Webサービスの発展に対してマイクロソフトがどういうコミットをしているか、今後どう発展させていくかを説明したい。
 インターネットの世界は第1段階がTCP/IPプロトコルから始まり、その上で実現したのがコネクティビティ(相互接続性)であり、そのときよく出てきたキーワードはFTP、E-mail、Gopherというエントリーレベルの接続性を実際体験するようなサービスがあった。
 それが本格的に一家に一台というようなレベルに普及するようになったのは、第2段階のHTMLによるものであり、それによってインターネットはプレゼンテーション(表現力)を持つようになった。Webサーバーとブラウザの組合せで世界中のいろいろなものが見えるという環境が実現し、それによって爆発的にインターネットが広がった。
 今後はどうなるかというと、第3段階は恐らくプログラマビリティ(開発性)というところがポイントになるのではないかと思う。そのキーテクノロジーはXMLであって、そこで実現されるのは"プログラムされたWebサービス"ということになる。このコンセプトは先日米国で行われたCOMDEXでも説明されており、この一連の方向性をマイクロソフトなりの言葉で「The Business Internet」という言葉で説明している。従来私どもはいろいろなキーワードを出してきたが、最近のものでは「Digital Nervous System」という言い方をよくしていた。これはまだ生きており、企業のシステムを人間の神経系のように有機的に結合したもので表現するというものであるが、それを更にインターネット上に展開した時に一歩踏み込んだメッセージが必要になったということで、この「The Business Internet」というメッセージをお話するようになった。

□Windows 2000 Readiness Kit
 来年マイクロソフトが展開するさまざまなテクノロジーと製品の世界になるべく早く慣れていただくために、そしてWindows 2000のテクノロジーにいち早く習熟していただくために提供しているものにWindows 2000 Readiness Kitがある。これは値段を付けて売っている製品ではなくて、Visual Studio 6.0ファミリーユーザー(Professional以上)には無償で提供している。中味はVisual Studio Installerのプログラム、ホワイトペーパー、ガイド、アプリケーション仕様などの必要とする情報がすべてここにある。Visual Studio Installerの機能は、11月に東京、大阪で開催したMicrosoft Developer Day'99でデモを交えて説明を行い、消滅したコンポーネントが自動的に修復されるなどのデモをご覧になった方が多くいらっしゃると思う。企業の中にあるアプリケーションが展開するときに、いかに上手く展開できるかと、今そこが非常に課題になっているところを解決する道具であると説明している。

□Windows 2000 Application Compatibility Lab.
 皆さま方の中にはWindows 2000の上でアプリケーション、システムの開発ビジネスに携わっておられる方が沢山いらっしゃると思うので、私からのお願いは「Windows 2000 Application Compatibility Lab.」が運営されているので是非このサービスをご利用いただきたい。これは、いわゆるISVというパッケージソフトを作って販売することを目的とした方々だけでなく、企業内のアプリケーションを開発される方にも是非ご利用いただきたい。Windows 2000になってかなり機能が複雑になっており、また、機能が相互に連携して大きなシステムの一部として動くようになっている。従って一部の問題が全体に及ぼすリスクが同様に非常に大きくなっている。凡そWindows 2000の開発に携わる方は是非この「Windows 2000 Application Compatibility Lab.」でアプリケーションの動作検証、上手く動かない場合の指導などをお試しいただきたい。
問合せ先は、E-mail:win2000lab@ex.ant.co.jp

□結論
 来年2月18日に日本ではWindows 2000が出荷開始される。そこで皆様方のアプリケーションがWindows 2000上でうまく動作するかどうか、既にベータも配られているので、是非ご確認いただきたい。問題がなければ私どものWeb上で"Windows 2000に対応している"という表明をしていただいて、ビジネスにつないでいただきたい。また、問題がある場合、或いは対応する予定がない場合は、是非対応をご検討いただき、対応する時期を表明していただければと思う。そこで追加の何かの技術支援、リソースなどが必要な場合は先ずは、「Windows 2000 Developer's Readiness Kit」をご検討いただき、そこでも解決しない場合は、「Windows 2000 Compatibility Lab.」のご利用の検討をお願いしたい。


 第2部では、日本電気株式会社 パーソナルソフトウェア事業部長 田岸 啓司 様から『NECのWindows戦略』をテーマに、「NECのPCの歩みとWindowsの関係」、「1999年の取り組み」、「2000年に向けた取り組み」ではWindows 2000と独自商品強化について、ISV/IHVとの連携、最後に、Windowsを中心にパソコンが生き抜いていくためには使うお客さまの立場にたった改善が必要である、という大変貴重なお話をいただきました。


 NECは80年代からWindowsに取り組んできて、97年にはPC-98NXを、98年には省スペース機、本年10月には家庭にマッチするデザインでPCの家電化を目ざすsimplemの投入をした。simplemは、お客さまにとって家庭にフイットし、使い易いパソコンは何であるかを追求し、環境にも考慮した製品である。NECは、常に最新ハードウェアとOSを市場に提供してきており、新しい業界のデスクトップの世界を築いている。

□Windows 2000への取り組み
 2月18日の出荷に対応してWindows 2000プリインストールマシンをノートブック、デスクトップ用に出すほかに、マイクロソフト社との強力な連携、DRPLABでの評価環境の提供、Windows 2000への無償アップグレードキャンペーン、Joint Development Programへの参加、およびアプリケーション情報(Windows 2000特集)の公開を行う。また、NEC独自の商品強化として、Windowsを快適に使っていくために3つの商品、データ放送関連、音声認識ソフト、およびインターネットを楽しむアプリケーションを提供する。
 データ放送関連商品では、SKYPerfectTVとかPCでデータや映像が見えるということに加え、大いにプロモーションしているのがMegaWaveというNTTサテライトコミュニケーションズがサービスしている衛星インターネットである。これは上りは普通の電話回線でやるが、下りは衛星を使って情報を送らせるもので、ISDNの10倍位の性能が出るということで、是非サードパーティの皆様方にとって情報のやり取りをするのにこれを活用されると非常にいいのではないかと思っている。
 パソコン用音声認識技術への取り組みとして、認識率のみならずパソコンにフイットした、パソコンをより使いやすいものとしてインプリメントしていきたいと考えても進めている。
 インターネットを楽しむアプリケーションでは、大きい会社にしては軽いノリで作ったのが「いま、いくら?」(インターネットの料金の目安をリアルタイムに知らせるもので)と、「親子でね!っと」(子供が見てはいけないようなところをガードする)の2つがあり、こういうことをやることによってWindowsの世界がより皆様方お客さまに身近になってくるのではないかと思っている。

□ISV/IHVとの連携
 DRLABという評価環境を提供し、予約制、無料でお使いいただくことができ、PC98-NXによるソフト/ハードの動作検証を行える。また、音声関係でパソコンにフイットした、パソコンをより使いやすいものとしてインプリメントするために「SmartVoiceFamily」という音声認識ソフトSmartVoiceに対応したアプリケーションと共同プロモーションを展開している。

□これからのNEC PC


 今パソコンで「Windowsが本当に使い易いのでしょうか」というところが常に問われている。WindowsというOS、Windows上のアプリケーションから出てくるメッセージが本来ならば主体であるお客さまを中心にしたメッセージでなければならないが、何か問題が起こったときに出るメッセージがどちらかというと、OSなりアプリケーションを主体としたメッセージではないかと思う。メッセージを見て、何かすごく怒られたような気持ちになり、何で私はこんな気分にさせられなければいけないのだと悲しくなる。インターネットの世界がすごい勢いで伸び、いろいろなことがインターネットで分るようになり、見えるようになってきたその世界において、我々ソフトウェアをやっている人間が考えなければいけない大切な問題ではないかと思う。
 先般、アメリカのCOMDEXに行き、Eメールを日本につなごうとしていろいろとやったのですが上手くいったり、いかなかったりして、その時メッセージは出るが、それはあくまでも「サーバーに受け付けられませんでした」というような現象面のメッセージであって、現象面のメッセージを見ただけでは自分が何をすればいいかということが分らない。それの原因が何であろうと「あなたはこういう間違いをしているのではないですか」、「あなたはこういうことを次に試みたらいいのではないのですか」、というお客さまを中心にしたイメージをお客さまに抱かせるメッセージでないと現象面のメッセージだけ出てきても、なかなかそれにピンとくるためにはかなりの実力がいるのではないかと思う。
 従って我々はそういう意味では本当に使うお客さまの立場に立った物作りをどんどん推し進めていかないと、インターネットを皆が使われる世の中になった、といっても家電の皆さま方が作られている機械のように優しくはならない。それをやはり追求していかなければいけないと思っている。
 昨今売られている冷蔵庫の冷凍室は下のほうにあり、小、中学校で習ったときは、温度というのは常に熱が上に上がっていくから、上を一番冷やすようにするのがよいということで、冷凍室は冷蔵庫の上にあった。今、冷凍室は下のほうにあり、モーターがいくつか付くなどの技術的な革新があったとは思うが、やはり一番お客さまが出し入れをするところが何処かを考えて冷蔵庫を設計されたと思う。そういう意味では完全に価値観、使う人のマインドをすごく取り入れた冷蔵庫が今市場に出てきているわけである。ですから使い勝手、使う人の立場を考えた発想の転換が行われているわけであり、やはり我々パソコンに携わる人間にとって発想の転換をして、やっていかなければ本当の意味でのパソコンが世間の皆様方に受け入れられるようにはなっていかないのではないかと思う。
 我々NECではそういうところに注力して取り組み、アプリケーション層も含め改善していきたい。パソコンが身近で使いやすいものになり、インターネットの世界が益々大きくなる中で、Windowsを中心にパソコンが生き抜いていくためにはそういう改善が是非とも必要である。


 第3部では、日本アイ・ビー・エム株式会社 臼田 孝平 様から、『日本アイ・ビー・エムのWindows戦略』として、コマーシャルユースにターゲットに絞り、「Windows 2000市場でのIBMの目標」、「IBMのWindows 2000ベータ・プログラム」、「Windows 2000スキルの向上」、および「Windowsサポート」、についてお話いただきました。


□Windows 2000市場でのIBMの目標
 2つある。『Windows NTから Windows 2000への移行促進』と、『Windows 2000市場展開で業界No.1を目指す』であり、このメッセージがグローバルに流れている。また、『マイクロソフトに次いで、Windows 2000に最も強い技術集団になる』という宣言をグローバルにしており、これはシステムインテグレーションの仕事も含めてもっともっと私どものお客さまからWindows 2000ベースのお仕事をいただいていこうという意図の現れである。日本IBMだけに限らず、IBM全体でeビジネスというスローガンをいろいろとやっているが、eビジネスのコア・コンポーネントもWindows 2000抜きでは図れないということがはっきりしている。
 Windows 2000の評価・導入において、IBMが戦略的パートナーになるにいくつかの施策がり、1つ目は、IBM主催イベントへのマイクロソフト社の参加要請であり、また逆にマイクロソフト社主催のイベント(3月のデベロッパーコンファレンス、7月のTecEdなど)には必ずIBMはオフィシャルスポンサーとして参加させていただいている。2つ目には特定のお客さまには、8月からベータ・プログラムの提供をはじめてWindows 2000向けのテストをさせていただいている。それからNo.1の技術者集団を目指すために、社内SE向けのトレーニングに拍車がかかっている。

□IBMのWindows 2000ベータ・プログラム
 ワールドワイドで実施されており、3つのプログラムがある。
 (1)『特定のお客さま向けのベータ・プログラム』は、ワールドワイドでは20社、日本では1社スタートしている。1社平均数千万円のお金をかけて、テスト用のPC、PCサーバー環境、コンサルティングサービスなど全て無償で提供し、専用のヘルプデスクも設け、また、パイロットシステムを稼動させて5月中にはカットオーバーするなどのプログラムを展開している。
 (2)CPPプログラムとしてワールドワイドでは500社、日本では50社に導入ガイドの提供、専用ヘルプデスク、お客さま向けセミナーを実施している。IBMのCPPプログラムは、青山のNTソリューションモールにWindows 2000のテスト環境を用意して、ISV/IHVの皆さんにテスト環境を提供している。
 (3)通常サポートとして、ワールドワイドでは数千社、日本では500社にWebをベースにした技術情報(BIOS、デバイスドライバ、既知の制限など)を提供している。

□Windows 2000スキルの向上
 "マイクロソフトに次いで、Windows 2000に最も強い技術集団になる"を目標に、認定資格の取得援助(1999年3Qで認定資格者MCP1155名、MCSE237名)、社内SE向けのWindows 2000ハンズオンコースの実施(1月までには大体250名位が終了予定)、Windows 2000タスクチーム(SEを中心に月1回技術情報の交換)活動を行っている。

□Windowsサポート


 約3年前にスタートした『PC NTソリューションモール』では、NTソリューション・プロモーション、TCO/NTソリューション・サービスセンター、クラスタリング・サポート・センターの組織があり、ミッションクリティカルなお客さまの支援を行っている。また、ワールドワイドのWindowsサポートとしてMicrosoft社と同じシアトル市内にCMT(Center for Microsoft Technologies)というIBMの研究所を作り、そこが私どものバックエンドになっている。CMTを上手く使ってWindows 2000へのスムースな移行と力強い立ち上がりをやっている。IBMの研究所の名前にMicrosoftという名前が付いたのは非常に画期的ではないかと思っている。


 第4部では、富士通株式会社 ソフトウェア事業本部 第一ソフトウェア事業部 第一開発部プロジェクト課長 辻 新一 様から、『富士通の Windows戦略 〜2000年にむけて〜』として、「富士通のPCビジネス状況」、「Windows 2000に向けて」、「新モデルの紹介」、「ソリューション展開」、および富士通からの「ご案内」についてお話いただきました。辻講師の担当が企業部門であり、なおかつWindows 2000の切り口から見ても企業でのお話に限定するとのおことわりがありました。


□富士通のPCビジネス状況
 PC業界全体同様に富士通もかなり好調であり、特にサーバー系は今年度の目標が達成された。お客さまの状況ではクライアントのOSとしては、コンシューマ市場では当然Windows 98がメインの選択肢になり順調に市場が伸びていることにつきるが、企業ユーザー系ではかなりWindows NTが認知されてきている。特に98年からはプレインストールマシンをかなり広範囲のモデルにわたって展開したことによってWindows NTの出荷が急激に伸びた。今年度も順調にWindows NTを企業系のユーザーにご活用いただいており、システム全体としても基幹系業務へのWindows NTの展開が本格化していることが実際の商談から見えてきている。さらにこのようなユーザーは、今後どんどん増えていくと思われる。実際に来年度Windows 2000が出たところから更に一段とこのような傾向が強まっていくのではないかと見ている。

□Windows 2000に向けて
 Windows 2000への期待としては、@アーキテクチャの改善による堅牢性、スケーラビリティの向上により基幹系システム/大規模システムへのWindows 2000サーバーの一層の浸透と、AWindows NTの信頼性とWindows 95/98の使いやすさを両立させているため、システム系クライアントOSのWindows 2000 Professionalへの統一が期待される。システム系クライアントではWindows 95/98を使いいただいているユーザーが多いが、特にOS、アプリケーションを開発している部隊からWindows 2000 Professionalを是非展開していってもらいたいという期待がある。
 富士通のWindows 2000への対応は、OS提供と同期してプレインストールモデルをFMVシリーズ、FM BIBLOシリーズ、 GP5000シリーズに対してタイムリーに対応、また、主要ソフトウェア製品(SystemWalkerファミリー、SymfoWAREファミリー、INTERSTAGEファミリー、TeamWAREファミリー、ホスト連携、開発環境、OASYSなど)にも順次対応する。
 Windows 2000は、従来以上に大規模システム、ミッションクリティカル業務でのWindows活用が拡大されるため、高信頼性、高性能、スケーラビリティによる大規模システムの構築・展開、また容易な運用管理の実現と顧客要望の従来以上の高度化というWindows 2000で実現されている機能にも期待しながら、尚かつそこにいろいろなものをプラスアルファで提供するべくハード、ソフト、SE、サポートの部門が協調して対応を高度化していきたいと考えている。

□富士通の新モデルの紹介
 10月下旬から11月にかけてかなり新しいモデルを発表した。企業向けにハイエンドのサーバー専用機としてGRANPOWER5000シリーズ、ワークステーションとしてFMV-Proシリーズ、デスクトップとしてFMVシリーズ、ノートとしてFMV-BIBLO KIFBOOKシリーズを提供した。GRANPOWER5000シリーズは、企業のヘビーユースに対応するもので高性能・信頼性・拡張性の追求と運用性の向上によりソリューションを実現する強固な専用サーバーであり、10月に提供したモデルは、ハイエンドサーバー、ミッドレンジサーバー、エントリーサーバーのモデルまで充実したラインナップで提供している。Windows2000の出荷でさらにこのようなモデルが基幹系の中により以上に浸透していくのではないかと期待している。
 GRANPOWER5000は、高可用性を実現するためにツール群として、導入フェーズでは簡易セットアップツールServerWizardを、運用フェーズではシステム環境チェックツールFM Advisor、軽量級サーバー監視ツールServervisor、サーバー監視ツールIntel LANDesk Server Manager、障害調査用情報採取ツールPROBEPROを提供する。このようなツール類をサーバーに添付して出荷することによって、サーバーが沢山出て、その上でのアプリケーションが売れるというようなことで、よりサーバー専用機に対する敷居を低くすることにより皆さんに導入いただくためにこのようなツール類を提供している。


 例えばServerWizardは、OSをインストールする際のパラメータ類の設定をアシストする、デバイスドライバについてもお客さまがなるべく意識しないでインストールができるようにする、再インストールのケースやOSだけ後から別に買われるユーザーもあるのでそういったユーザーに対するサポートということで導入フェーズのツールを提供している。運用フェーズではシステム環境チェックツールFMAdvisorがあるが、導入ドライバーを含めて、アプリケーションが修正モジュールにより最新になっていているかといったような辺りをチェックするようなツールである。極力お客さまが使い始めてからトラブルが起きないようなそういうような対応を実施している。
 デスクトップのWindows 2000 ReadyPCsでは、マイクロソフトのWebによると先頭を切って我々のマシンがWindows 2000 ReadyPCsに登録されており、頑張った甲斐があったと思っている。ノート系については、検証をほぼ終わっており、最終的な登録に向けてReadyPCsの方に対応しているので、間もなく公開される予定である。

□ソリューション展開
 SolutionVisioという概念のもとにいろいろなソリューションを提供するということで骨組みを作って積み上げており、順次Windows 2000に対応していきたい。

□ご案内
 ISV/IHV宛てに提供している3つのサービスについて説明がありました。
 (1)バリデーションセンタは、ISV/IHV各社の製品を富士通製プラットフォーム上での動作確認をしていただくための環境を提供する。確認結果の広報は、ホームページFMWORLDサイトで公開している。最近は月間800万アクセスあるので、プロモーションとしてお使いいただけると思う。
 センタ所在地は、蒲田の情報処理システムラボラトリ内にあり、予約制になっている。
 (2)アプリケーションカタログをCD-ROMで1回あたり15000枚発行して、営業、ディーラーがお客さまに配布している。ディーラーや社内に関してはWebで公開している。
 (3)ISV/IHVへは、FMVシリーズカタログ、FMVシリーズシステム構成図などのカタログ類を年4、5回発行して情報提供している。登録方法は、アプリケーションカタログへのご登録、担当者窓口のご登録によるので、是非ご利用いただきたい。

 引き続きコンソーシアムのメンバーの皆さまと是非ご協力してパソコンの市場拡大ということで頑張っていきたい。


 第5部では、ソニー株式会社 住本 潔 様から『VAIO Worldの拡大に向けて』をテーマに、「VAIO World Concept」、「VAIO Desktop PC」、「VAIO Notebook PC」、「さらなるVAIO World拡大のために」ということで「VAIO GEAR」についてお話がありました。ちなみに、VAIOとは、Video Audio Integrated Operationの頭文字をとったものであるとのことです。


 VAIO Worldのコンセプトは、"革新が進むITの世界とソニーのコアコンピダンスであるAVの世界を融合し、新しい楽しみを提供していく"である。
 基本的にVAIOで何をしようとしているかという一番最初の部分が、VAIO商品開発、商品企画の軸足になっている。非常に変化が激しく技術革新が進んでいくIT・PCの世界では、私どもの力の部分、私どものコアコンピダンスの部分であるAVを組み合わせて新しい楽しみを提案していきたい、というのがVAIOの基本的な商品コンセプトである。
こういうところに軸足があるので、企業でお使いいただく方にはあまり関係がなく、非常にコンシューマに沿った妙なものばかり出してくることになるかと思う。そのVAIO Worldのコンセプトは次のCreativity、Entertainment、Communicationが交差した3つの輪であり、軸足となる商品がある。


・Creativity:バイオで自分の作品を作る、自己表現を行う(バイオRとバイオノートXR)
・Entertainment:バイオでAVを楽しむ、コンテンツを楽しむ(バイオMXとバイオノート)
・Communication:バイオでもっと手軽に、楽しくコミュニケートする(バイオL、バイオノート505、バイオC1)

 このような分野で、商品展開をしながら商品そのもののコンセプトを大切に育てていきたいと思っている。

□VAIO Desktop PC
・バイオR:ハイエンドのCPUと最先端の技術をどんどん投入していって、特にカムコーダーを使って編集していただく方に合わせたところに商品ターゲットを絞っている。最近アットマークバイオによりハイエンドユーザー向けの商品を提供している。
・バイオL:LCDを使った小型のデスクトプパソコンで、この秋のモデルで15インチQVAを投入したが、更にDVDの搭載やドラゴンスピーチによる音声認識のところを強化してより使い形にし、また、オーディオの性能の向上を図る。
・バイオMX:来年2月の頭に発売を計画。パソコンの筐体の中にオーディオのMD、FM文字多重チューナー、DVD、オーディオアンプを内蔵して、これ1つでAV、PC、インターネット、MDを楽しめるし、CDからMDにコピーすることができるという新世代のAVPCを提供したい。

□VAIO Notebook PC(A4系)
・バイオノートXR:比較的ハイエンドのモデルであり、CD-RWが標準搭載されており、iリンクが付いているので、カムコーダーとつないで簡単な編集ができるというコンセプトになっている。このまま旅行先に持っていって、そのまま編集してCD-Rまで焼いて持って帰ることができる。
・バイオノート:A4型の内部ではFシリーズと呼んでいるが、DVD搭載によりDVDが楽しめ、BPモデルではOfficeがプリインストールされており、PC入門者向けである。

□VAIO Notebook PC(B5系)
・バイオノート505:機能、性能を向上して、今までのサブノートとしてのフォアユーザーの方々に対するアピールと、CD-ROMやOfficeをプリインストールしたモデルを提案して1台目として小型のバイオノート505を安心して購入できるような位置付けである。
・バイオC1:最初のC1からこの秋に新しいより薄型のより軽くなったC1XEを発売して、この中で自分のアプリケーションや音声認識に遊び的な要素を持たせてTiny AIVOというソフトを内臓しておりこの中でAIVOと遊ぶアプリケーションやカメラのアプリケーションが入っている。
・バイオC2GPS:C1の同じコンファクターを利用してこの秋に発売した。反射型の液晶とGPSの小型アンテナを付属しており、戸外の炎天下でも非常に見易うのでパソコンと一緒に遊びに行きましょうというモデルも展開している。

 こういったところで、バイオ本体の展開をさらに来年にかけてもっと強化していきたいと思っている。

□さらなるVAIO Worldの拡大のために
 一方でPC本体だけではなかなか世界が広がっていかないので、バイオとつなげてもっともっと面白いことをやってみようということで、今回「バイオギア」といった商品群を発表した。具体的にはPDAみたいなもの、MP3のウオークマンみたいなもの、カメラみたいなもの、くるくる回るみたいなものがあると、とりあえず4つの商品群ということで展開を始めた。バイオギアのコンセプトは、「バイオと連携して更に面白いことをする」、「いろいろなコンテンツを取り込む」、「コンテンツを操る」、「コンテンツを楽しむ」など、"もっともっと楽しいことをしていきましょう"ということである。

 「撮る」というところでは、バイオカメラPCGA-VC1というモデルがある。バイオとUSBで接続して手軽な映像の取り込みを実現したり、取り込んだ映像を電子メールに添付するなどのビジュアルコミュニケーションが楽しめる。
 C1で提案したビジュアルコミュニケーションというコンセプトをC1以外のバイオ、デスクトップのバイオでも使っていただけるUSBの単体カメラである。USBで簡単につながるので電源もいらないし、C1に入っていたスマートキャプチャなどのアプリケーションが同梱されているので、インストールすれば直ぐ使える。これにより、新しい世界が広がっていくものと信じている。
 「見る」というところでは、バイオインフォキャリーVNW-V10がある。バイオから電子メールやテキストファイル、住所録、スケジュール、Web、地図などの情報を転送し、持ち込んで手軽に閲覧できるビュワーである。これだけ触る分には、ほとんどパソコンの知識がなくても使えるということでいろいろなユーザーのところで使っていただけると思っている。
 「聴く」というところでは、バイオミュージッククリップMC-P10がある。バイオからMC-P10へ音楽コンテンツを転送し、持ち運んで音楽を楽しむことを可能にした超小型音楽プレーヤーである。
 「編集する」というところでは、USBジョグコントローラPCDA-J1がある。ジョグ/シャトルダイヤルを装備し、再生やコマ送りなどをビデオ機器と同様に軽快に操作できる。趣味としてパソコンでビデオ編集されている方々により使いやすく、より分りやすくビデオ編集を楽しんでいただければと思う。

 こういうような形で今回バイオギアの商品群として4モデルを発表させていただき、一番遅いものでは1月の発売となるが、更にバイオギアを充実して、バイオワールド全体をもっともっと楽しいものにしていきたいと思っている。