活動報告


● 第93回セミナー実施報告 <Windows DNAコンソーシアム主催>

日 時:平成11年6月16日(水) 14時00分〜16時20分
会 場:東京工科専門学校ICA/テラハウス・テラホール(東中野)
参加人員:17名
テーマ:『デジタル経営時代のマイクロソフトのナレッジマネジメントソリューション戦略』
構 成:
 第1部 「Outlook 2000とExchange Serverで実現するナレッジマネジメント」
     マイクロソフト株式会社 ソリューションデベロッパー事業部
     Exchange Server製品グループ 課長 本田 拓英 様
 第2部:「デジタル経営で勝ち抜く大競争時代」
     〜Message PlazaによるExchangeを活用したビジネスソリューションのご紹介〜
     Message Plaza・シーアイエス株式会社 取締役  井手畑 隆政 様
     Message Plaza・シーアイエス株式会社 システムソリューション本部 片山 弘一 様

セミナー会場

 今回のセミナーは、デジタル経営時代に求められる情報システム基盤とそのソリューションのためのコンセプトとしてマイクロソフトが提唱する「デジタルナーバスシステム(DNS)」とは何か、また昨今のキーワードである「ナレッジマネジメント」の観点から「Outlook 2000」、「Exchange Server 5.5」などマイクロソフトの最新製品やパートナー製品に基づいたソリューションを示しながら、デジタルナーバスシステムの具体的な形での実現についての解説と紹介がマイクロソフトの本田講師とMessage Plaza(シーアイエス)の井手畑講師・片山講師により行われました。

 第1部では本田講師から、デジタルナーバスシステムによるナレッジマネジメントのコンセプトの解説と、それに基づくExchange Server とOutlook 2000の最新機能を理解していただくために、製品紹介デモを交えて実際にどのようなシステムソリューションを形作ることができるかのお話がありました。


 ビル・ゲイツ会長の著書『思考スピードの経営』を引き合いに出しながら、デジタルナーバスシステムは思考スピードの経営を目指すものであり、その中で特にナレッジマネジメントは人材を実動的な組織に作り上げるものであって、従業員が持つ情報資産をどのように活用することができるかが重要となってくる。情報には多様な伝達の仕方や種類(暗黙、明示的、潜在的)があり、これらの情報の内容、それらを通じて行われる分析・協調作業、抽出・検索作業、蓄積・トラッキング作業といったものが情報システムでいかに実現できるか、またそれらを遮るものをどのように除いていくのかを考えるのがナレッジマネジメントを実現していくための重要なキーとなる。ナレッジマネジメントに関与する人達、即ちナッレジワーカーの取組みは無限の可能性を持つもので、それを実現するための一つ一つの障害を取り除いていくことがマイクロソフトのビジョンでありマイクロソフトの発表する製品がその位置付けを担っている。実際にナレッジマネジメントの分野でマイクロソフトの取組みの大きな方針として次の4つのビジョンを掲げている。
 @ 適切な情報を適切な時に適切な人に伝達する。これを実現するための実際の製品としてExchange Server やOutlook 2000が非常に重要なポジションを持ってくる。
 A あらゆる種類の情報・知識に対して、アプリケーションが適切に扱って適切な共有、伝達にあたることができる。
 B いつでもどこでも情報へのアクセスを実現する。携帯電話やモバイル機器などのワイヤレスデバイスの発達によりだんだん実現されてきているが、更にサポートしていく。
 C 人々がコンピュータを使う方法の進化。まさにコンピュータが話す、人の言葉を聞いて理解して動作するといった方向を目指していくポイントである。

 このような考え方を基にデジタルナーバスシステムの考え方、そしてナレッジマネジメントを実現していくことがマイクロソフトの掲げるビジョンである。
 それを実現していくための具体的な事柄の第一歩として、「電子メールを血となり肉となる形で企業文化に組み込んで活用いただくというところから先ず始まって、あらゆるペーパーフォームを電子化していく、即ちあらゆる企業の“記憶”をオンライン化していく」道程が第一ステップとなる。さらに発展形として、「ワイヤレス機器、さらに音声・ビデオなどのマルチメディアをハンドリングできる仕組みを作っていくことにより、物理的な制限に縛られている会議体や、その他の情報のやり取りを今までの制限を越えて実現することができることになる。これの実現する一つの形としてDigital Dashboard(Outlook2000の中に必要な情報を一元化する)というコンセプトがある」ということで、“Digital Dashboard”のデモがありました。
 続いてナレッジマネジメントアーキテクチャの解説と、デジタルナーバスシステムの活用事例として、日石三菱、イタリアンカフェレストランチェーン、三重県建築センターでの建築CALSへの対応の紹介がありました。日石三菱の採用理由は、Officeとの親和性、TCO削減、堅牢・拡張性の3つであって、トータル5500台のクライアントがExchangeサーバーに統合されて運用されている、とのことです。
 なお、Exchange Server、SQL Server、Windows NT Serverの活用によるデジタルナーバスシステムの展開活用事例は、http://www.asia.microsoft.com/japan/ad/dns/にあり、またマイクロソフトのビジネスソリューションは、http://www.asia.microsoft.com/japan/dns/にあるので参照して欲しい、とのことです。
 パートの後半として「Outlook 2000」、「Exchange Server 5.5」のお話がありました。Outlook2000の機能拡張として、大きな特長を2つ持つ。一つは、「ユーザビリティ・管理性のいっそうの向上(電子メール機能の拡張、予定表の改良、連絡先管理の拡張、セットアップおよび保守、リモート接続機能の向上、コラボレーションアプリケーション開発環境の改良)」であり、もう一つは「インターネット対応のいっそうの向上(インターネット標準のサポート、Webブラウザとの統合、グループスケジューリング機能の拡張、チームフォルダウィザード)」である。デモとして、Outlookからのブラウジング、HTML変換したOutlook予定表、チームフォルダウィザードが示されました。
 メッセージング&コラボレーション・ザーバーとしてのExchange Server 5.5の特長は、「世界でNo.1の堅牢・高性能な全社メッセージング基盤」、「優れたTCO低減」、「標準クライアント『Outlook2000』Microsoft Officeとの高い親和性」、「メッセージング基盤の上で豊富なソリューションを実現している」である。続いて、Exchange Serverユーザーは全世界で約2,900万人に、全米トップ50社の中でもシェアNo.1、米国での大規模採用例、国内での大規模採用例、優れたTCO、高いスケーラビリティ、実証されている高い信頼性・可用性、相互運用性のリーダーシップ、混在するメッセージング環境、Lotus Notes/Dominoとの共存、Lotus Notes/Dominoとの共存・移行、Exchange製品ロードマップ(97/11 Exchange 5.5、99/1 Exchange 5.5 Service Pack2、Windows 2000 出荷後はPlatinum)、豊富なExchange対応ソリューション(文書管理、ワークフロー、ERP、SFA、SPA、ISO9000、その他沢山)がある、とのお話がありました。メッセージプラザは、Exchange Serverを中心としたビジネスソリューションを求めるためエンドユーザーとビジネスパートナーのためにこの4月に開設された、と第2部に引き継がれました。

 第2部では井手畑講師から、スピーディで変化に強く、情報技術を活用して新たなビジネスモデルを創出するために、マイクロソフトとパートナーによる新しい取り組みとしてこの4月から発足した「Message Plaza」についての紹介が行われました。


 Message Plazaは、デジタル経営のモデルハウスであり、メッセージングをベースに“ビジネスソリューション”の発信基地として情報系ビジネスソリューション研究のコンソーシアムにしたい。3つのキーワードは、@Speedy(デジタル経営のすすめ)、AKnowledge(企業IQの向上)、BOpen(各社ソリューションによる組み合せシステムの提案)である。Message Plazaの実施内容は、セミナー(経営トップ向け、パートナー・エンジニア向け)、ソリューション展示・体験コーナー、Virtual Message Plaza on the Web、である。また、デモンストレーションメニューとして、Exchange Serverを中心に6種類の近未来型オフィス(全社共通オフィス、経営オフィス、営業・企画オフィス、総務・人事オフィス、経理オフィス、情報システムオフィス)が紹介されました。これまでマイクロソフトのスタンスでは、製品そのものを一生懸命良い製品だからと紹介していたが、なかなかその製品自体をどういうところでどう使っていったらよいか分かり難かったが、こういう形を取ることにより具体的にどう使ったらよいのかを体験していただけるというところに重点を置いている。このようなことを一緒に研究していただける方に集まっていただいて、今後コンソーシアムに発展させていきたい。今後さまざまな形でデモンストレーション拡張が予定され、Office2000系の拡張、ワークフロー業務、基幹システムとの連携強化、Webアクセスの部分、SAP R/3との連携する部分などを作りこんでいって具体的に直ぐ使えてイメージし易いものにしたい。Windows 2000の環境にも対応する。詳しいことは、http://www.messageplaza.com/japan/を見ていただいて、一度お越しいただきたい。

 最後に片山講師から、Message Plazaで行われている具体的なソリューションの紹介がありました。


 メッセージプラザにはさまざまなサーバー製品が8台動いており、クライアントも8台あるとのことです。デモとしては、配布されたCD-ROMにあるオートデモの中からいくつか紹介されました。このCD-ROMは、メッセージプラザのソリューション展示・体験コーナーにおけるデモンストレーションから抜粋した内容がオートデモとして見られるものです。

 出席の皆さんのアンケートから受講のご感想をご紹介いたします。
 第1部では、「導入側の説明としては非常に分かりやすかったが、開発者側からの説明も(別の機会でも)あれば良かった」、「営業サイドに説明するのには非常に良かった」、「ナレッジマネジメント体系(一般論として)とマイクロソフト製品の対応を聞きたかったが、マイクロソフトが定義するナレッジマネジメントのみの説明であった」、「Outlook2000に期待」です。
 第2部では、「経営者側に提案するという意味で非常に分かりやすかった」、「体系化、実例(具体性)が良くまとまっている。一つの見識として参考になる」、「顧客のプロファイリングについては、弊社でもECサイトを構築するにあたって課題となっている」、「実際に利用する場合のガイダンス、条件等を知りたい」、「開発の仕事をしているので技術的には物足りないが、経営者側の立場から見て分かりやすいと思った」です。
 セミナー全体としては、「ナレッジマネジメント、デジタル経営など大きなテーマを期待していたが、Outlook Todayやビル・ゲイツの著書の紹介に終わってしまったのは残念」です。
 今後希望するセミナーとしては、「開発環境やツールについての体系化や実例紹介」、「ECに関わる特許について」、「Windows2000/Platiumへの移行」です。
 ありがとうございました。



Contents         Windows Consortium ホームページ