Windows よもやまばなし

富士ソフトABC株式会社
 鎌倉事業所 水野 健(tamizuno@fsi.co.jp)



Microsoft Tech・Ed 99 Dallas 速報

 米国テキサス州ダラスで5月21日から28日まで行われたMicrosoft Tech Ed・99 に参加しました。Tech Ed は、プロフェッショナルを対象とした Microsoft のテクニカルカンファレンスであり、本場米国での開催は今年で 7 回目となります。今年の参加人数は 14,000 人とも聞いています。これほどの人数を収容した Dallas Convention Center はとても広く、セッションルーム間の移動がかなり大変でした。
 この時期のダラスは非常に暑く、同じツアーの参加者の中には、休憩時間に外に出ていただけで、真っ黒に日焼けしている方もいたほどでした。本当はゴルフにでも行っていたのではないかと、皆で疑ったりしたのですが。
 ダラスと言えば、ケネディ大統領が暗殺されたことで有名な町ですが、それ以外にあまり観光するような場所は見当たりません。近年、急速に発展している都市であり、日本の企業もいくつか進出しているようで、なじみの深い企業のビルを見ることができます。レストランは、ステーキ関係のものが多く、私が入ったレストランでは、何も言わずにステーキを頼んだところ、14オンス(約400g)もあるステーキが出てきました。これほどの量のステーキは、小食の私ではとても歯が立ちません。

 Tech・Ed の会場内には、Digital Nervous System Center と呼ばれるところがありました。ここは、800 台程のマシンがずらりと並んでおり、セッションの資料を閲覧、印刷したり、自分のスケジュールを管理したりできます。この環境は、Windows 2000 β3 と BackOffice 製品群で構成されており、物々しいサーバー群は、アクリルケースの中に大事に保管されていましたので、残念ながら悪戯はできませんでした。
 米国の Tech・Ed では、資料は紙では配られないので、自分で印刷する必要があります。そのため、休憩時間になると人が殺到し、プリンタキューがおそろしい状態になっていました。参加者一人一人にはメールアドレスが与えられ、自由に外部とメールのやりとりができましたし、Web の閲覧も可能でしたが、この環境には Language Pack が入っておらず、日本語が扱えないのが残念でした。来年は、各国の参加人数に応じて、日本語が扱えるマシンなどを設置していただきたいものです。
 Tech・Ed は、大きく 3 部に分かれており、5 月 21 日から 23 日は IT Operations Manager 向けのセッション、5 月 23 日には、Introductory Sessions Day として Windows DNA や XML といった概念を説明するセッション、5 月 24 日から 28 日に Developer 向けのセッションとなっていました。
 基調講演としては、初日に Brian Valentine 氏、24日に Paul Maritz 氏、25 日に Bob Muglia 氏によって、派手な演出と共に行われました。
 Brian Valentine 氏の講演では、Windows 2000 β3が完成したことが伝えられ、実際に Microsoft の Redmond ドメインを Windows 2000 環境に移行する様子がビデオで流されました。Windows 2000 の機能の実装はすでに終わり、今後は信頼性に力を注ぐとのことで、Redmond ドメインは、その最大のテスト環境として現在も稼動していることでしょう。Paul Maritz 氏の講演では、Web 環境の中での XML の重要性が話され、Bob Muglia 氏の講演では、ボイスメールのデモが私の目を楽しませてくれました。
 米国のカンファレンスに参加したのは初めてだったのですが、日本で開催されるカンファレンスとはかなり雰囲気が違っていたので、少し驚きました。日本のカンファレンスですと、セッションの間中、じっと聞いているという感じになりますが、米国のセッションでは、話の中に随所にアメリカンジョークなるものが登場し、拍手喝采が飛び交う光景が、随所に見られました。また、講演の途中で聞き側から質問が飛ぶのも、米国ならではでしょう。
 Windows 2000 の出荷が遅れている関係で、今回のカンファレンスもキーワードは、Active Directory や COM+ など、これまでもいろいろなセミナーなどで紹介されている技術の内容がほとんどでしたが、それぞれの技術がより具体的に紹介されていったという印象を受けました。
 私は日頃は開発者として作業しているため、Developer よりのお話の方を中心に参加してきたのですが、Windows DNA のアーキテクチャに沿ったシステムの構築を支援する機能として、COM と MTS から COM+ への移行を紹介するセッションが数多く見受けられました。
 私が参加したセッションで、COM+ などは具体的に Component Services という管理ツールのデモや Visual C++での COM+でのコーディング例が紹介されました。Component Services でのコンポーネント管理は、現在の Transaction Server エクスプローラと同等のもので、今までえたいの知れなかった COM+ が、なんだか身近に感じてきました。
 セッション以外では、毎晩のようにイベントがありました。
 初日の夜は Rock'n Roll Race Party があり、別の夜は、Peer Talk というスピーカの方と会食をする機会があったり、毎晩のように Jam Session が夜中の 1時頃まで行われたりしました。最終日の前日には、Lone Star Park という競馬場でイベントがあり、私は買いませんでしたが実際に馬券を買って盛り上がることもできました。競馬場に何台ものバスで乗り付けるというのは、少し変な感じがしました。
 今回の Tech・Ed では、Windows 2000 β3 の Professional, Server, Advanced Server が配布されました。私も早速持ち帰り、自宅で使用している Windows 98 が入ったマシンにインストールしてみましたが、なんと Program Files 配下のOutlook Express などを見事に上書きしてくれ、Windows 98 で動かなくなってしまいました。おまけに NIC のドライバがなく、ネットワークも使えない状況なので、Windows 2000 にドライバがある NIC を購入しようと考えているところです。
 さて、来年は Tech・Ed 2000 としてフロリダは Orland での開催となるようです。その時期には Windows 2000 の出荷も始まり、次なるキーワード、技術がわんさわんさと登場するのでしょう。
 日本では、7 月 28 日から 30 日まで Tech・Ed 横浜が行われます。日本の Tech・Ed でも今回の基調講演に登場した Valentine 氏が基調講演を行うようですし、米国ほどの派手さはないのかもしれませんが、期待できる内容になるのではないでしょうか。



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