活動報告


●第92回セミナー実施報告 <セミナー企画委員会主催>

日 時:平成11年6月10日(木) 13時30分〜16時10分
会 場:東京工科専門学校ICA/テラハウス・テラホール(東中野)
参加者:37名
テーマ:『Windows NT Server Terminal Edition』
構 成:
 第1部 「Windows NT 4.0 Server, Terminal Server Editionに適応したアプリケーションの開発」
     マイクロソフト アジア リミテッド 技術支援本部デベロッパーサポート部 山畑 富雄 様  第2部 「Citrix MetaFrameが提供するサーバー・ベース・コンピューティング」
     シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
     CBAテクニカル・アライアンス・マーケティング部 部長 塩原 稔 様


 第1部では山畑講師から、Windows NT 4.0 Server, Terminal Server Editionに適応したアプリケーションを作成するときの留意項目とService Pack 4 for Windows NT 4.0 Server, Terminal Server Editionで新規に追加されるTerminal Server Edition固有のAPIについて解説がありました。また、Windows NT 4.0 Server, Terminal Server Editionの期間限定評価版が配布されました。


 先ず、5月1日付けのマイクロソフトの組織変更についての説明がありました。日本を含めてアジア・リージョンが統合され、それにより全てのアジアの地域がマイクロソフト アジア リミテッドとして一つの会社として動くようになった。営業部隊だけが今までのマイクロソフト株式会社として存続している。開発の方はMicrosoft Product Development Limitedという会社になり、日本においては3つの会社が存在することになった。
 お話の前にご出席の皆さんから挙手によりTerminal Server Edition上で現在および今後の開発に関わる方をお伺いしたところ非常に少数の方々でした。お話された内容は、@アプリケーションの開発(Terminal Server Editionに適したアプリケーションとは、マルチユーザー環境での競合、チェックポイント、マルチユーザーのためのプログラミング、マルチユーザーのためのテクニック−提案)、Aアプリケーションのインストール、BTerminal Server Edition専用コマンド、CService Pack 4、DNew API、Eより詳しい情報、です。
 @ では、アプリケーション開発に関する5つの項目についてのアドバイスがありました。
 「Terminal Server Editionに適したアプリケーション」の定義は、特別なAPIを使う必要はなく通常のWin32APIが利用できる、資源(CPU、メモリ、ハードディスクなど)は自分だけのものではなく皆で分け合うものである、サーバーで作業しているのは自分だけではなく他のユーザーも作業しているのでメモリ空間やCPUパフォーマンスに注意する、また、共有データと固有データの違いを明確にする(例としてレジストリがローカルユーザーなのか、ローカルマシンなのかなどの注意)ことが必要である。以上を踏まえて“行儀の良いWindowsのアプリケーションを作成”すれば、Terminal Server Editionでも快適に動作する。
 「マルチユーザー環境での競合」は今までマルチユーザーで動くという概念はなかったのでどんな競合が発生するかについて、CPU時間の競合、DISKアクセスの競合、RAMの競合、ネットワークの競合、サーバー側のハードの競合、グローバル資源(レジストリ、ページングファイル、システムサービスなどのアクセス)の競合について回避策を含めてのお話がありました。
 「チェックポイント」ではここだけは絶対守って欲しい点として、インストールでは複数のバージョンをインストールすることを許さない(例えば、Office95とOffice97の混合使用は駄目)、またCompatibility Scripts(バッチファイル)を各ユーザーごとに起動するがReadmeを参照して欲しい。ユーザーデータとグローバルデータの分離ではローカルマシンとカレントユーザーをしっかり使い分ける、グローバルな領域(ハードディスク内のNTのシステムホルダーの中など)にローカルデータを置かないなどの点に注意する。
 「マルチユーザーのためのプログラミング」では、複数インスタントを許さない、ファイルとデータベースのロック、メモリリーク、コンピュータの名前やIPアドレスが1人のユーザーに等しいと想定しない、Windowsシェルを想定しない、Tempフォルダ内のファイルの継続を想定しない、GINA(Graphic Identification and Authentication)を変更しない、システムファイルを置換えない、C/S接続をユニークにする、ユーザープロファイルによるカスタマイズをサポートする、周辺機器環境を考慮する、について具体的なお話がありました、
 「マルチユーザーのためのテクニック−提案」では、セットアップ時または実行時にOSに応じて動作選択を行う、バックグラウンドタスクリソースの消費を調整、スレッドの使用を調整、スプラッシュスクリーンの使用を最小限にする(ビットマップを最少に)、アニメーションの使用を最小限にする、ダイレクトビデオアクセスを最小限にする、ユーザー入力ルーチンをフォアグラウンドアプリケーションに移動する、全てのユーザーに対してアプリケーションアクセスを有効にする、できるだけクラス(MFCライブラリ)を使う、について具体的なお話がありました。
 おさらいとして、再度「Terminal Server Editionに適したアプリケーションというのは、特別なAPIを使う必要はない。資源は自分だけのものではない、皆んなが使っているので我がままなアプリケーションを作らないで欲しい、サーバーで作業しているのは自分だけではなく、他のユーザーも作業しているので自分のアプリケーションだけで暴れたりとか、シャットダウンをしてしまうとか、しないで欲しい。また、共有データと固有データの違いを明確にして欲しい、これは、自分だけの情報なのか共有の情報なのかレジストリのキー、ファイルの位置などをきっちりしたところに置くことである。これらは今までのWindows NTのアプリケーションでも言われていたことであり、“行儀の良いWindowsのアプリケーションを作成”すればOKである。」と強調されました。
 A では、アプリケーションのインストール方法で気をつけけていただきたい点は、コントロールパネル[アプリケーションの追加と削除](TSE修正版)で全ユーザー用のアプリケーションのインストールを行うか、change userコマンドでインストールモードに移行してからインストールを行って欲しい、とのことです。
 B コマンド一覧19個について、特にMSG,SHUTDOWN,CONNECT,DISCONN,LOGOFFの説明がありました。詳細情報は、「http://www.asia.microsoft.com/search/worldwide/japan/support/default.asp Step5:キーワード:“ターミナル サーバー コマンド」にある。
 C Service Pack 4(SP4)は、US版は提供済みであり、日本語版も間もなく出荷予定である。SP4は、「Windows NT4.0 SP4 + TSE専用のFix」という形で提供され、TES専用のAPIが追加されている。
 D Service Pack 4からWindows Terminal Server Software Developer’s Kit(WTSSDK)が利用可能となり、新たに付いてくるNew APIについて、Terminal Server Administration、Terminal Server Client/Server SupportおよびTerminal Server User ConfigurationのAPIについての説明がありました。
 E より詳しい情報は次にある。、
http://www.asia.microsoft.com/japan/products/ntserver/tse
http://www.asia.microsoft.com/ntserver/terminalserver
・ MSDNライブラリ1999年4月リリース Platform SDK Base Services Terminal Services(英語版)

 第2部では、塩原講師から、Citrixが提供するMetaFrame1.0を使用することにより実現されるサーバー・ベース・コンピューティングについて詳細説明と現在出荷準備中のMetaFrame1.8の概要が、デモを交えてお話されました。


 お話は、@Citrix Systems Japan K.K.の紹介、AMetaFrame 1.0の機能、BMetaFrame 1.8、CMetaFrameロードマップ、DMetaFrame 1.0のケーススタデイ、Eデモ、について行われました。
@ 1989年9月創立で、キープロダクトはMetaFrameとWinFrame、キーテクノロジーはICA ProtocolとMultiWinの技術である。また、認定ディストリビュータおよび認定システムインテグレータである。URLは、http://www.citrix.co.jp/
A MetaFrame 1.0は、Microsoft Windows NT 4.0 Terminal Server Editionの機能を拡張するもので、製品としてICA ClientとMetaFrame Serverの2つのコンポーネントを提供する。ICA Clientは、クロスプラットフォーム(Windows端末のみならず異機種のUNIXやMacなども端末に入れてしまう)、クライアントデバイス(ディスクドライブ、プリンタ、シリアルポート)のサポート、クライアント管理機能(レディコネクトクライアント、オートマチッククライアントアップデート)を持つ。 また、MetaFrame Serverは、サーバー集中管理、ロードバランシング機能といったエンタープライズ環境下のSBC(Server Based Computing)を実現するために非常に有利な機能をMetaFrameによって実現するものである。以降、ICA Clientの機能詳細 (対応プラットフォーム、クライアントデバイスのサポート、クライアント管理機能、Application Launch and Embedding〈ALE〉、Secure ICAオプション)とMetaFrame Serverの機能詳細(サーバーの機能としてMetaFrameサーバーファームのロードバランス、ICAマスタブラウズ、シングルポイントアドミニストレーション)の説明がありました。
B MetaFrame 1.8は、英語版は既に米国では販売を開始しており、日本語版はベータ版を作成中であり、7月頃には製品アナウンスの予定である。予定される新しい機能としては、Program Neighborhhood(新しいユーザーインタフェイスであり、公開アプリケーションの利用方法を大幅に改善、コネクションの作成にRAS接続を追加)、Enterprise Management Scope(ICAブラウザ・マネジメント、ライセンス・プール・リカバリ、ICAクライアント・プリンタ構成ツールの3つのコンポーネントから成る)がありモバイルユーザーにとっては画期的なパフォーマンス向上が図れる。またSpeedScreen2(1.0に含まれていたインテリジェントなSpeedScreenを機能強化し、最大で25〜30%のネットワークのバンド幅の占有率を抑制することができ、またパケット総数で60%の減少を見ることができる)も進化している。他にビジネス・リカバリ・クライアント機能(プライマリ/バックアップサイトの指定、公開アプリケーションで動作、高いアベイラビリティを提供)を持つ。MetaFrame 1.8はMicrosoft Windows NT Terminal Server Edition 4.0に対応する製品であって、 Windows 2000には対応していない。Windows 2000に対しては米国の方ではパッチの形で対応予定であり(MetaFrame 1.8A)、その後Windows 2000のフルファンクションにも対応していく予定である。
C WTS/Windows 2000のエンタープライズ規模での利用を促進するためのツールを提供するのがMetaFrameのロードマップの基本である。その中に、エンタープライズ・マネジメント、シームレス・デスクトップ・インテグレーション、異機種接続などがあるが、API、Loadマネジメント、Resourceマネジメント、Installationマネジメント、Securityマネジメント、Edgeマネジメント機能をWindows上さらに、UNIX、Javaフレーム、Videoフレーム上で順次提供を企画している。
D ケーススタデイとして、3つの例、某商社系建材会社(MetaFrame Server 2台、リモート環境からアクセス、MetaFrameを使うことによってレスポンスの高速化、障害の容易な切り分け、管理コストの軽減の効果が出ている)某有名大学−1(MetaFrame Server 25台、NC/UNIX/Windows環境からアクセス、1000台超のクライアント)、某有名大学−2(遠隔地からMetaFrame Serverへアクセス、サービスの可能性を探る。MetaFrame Server 1台、50台超のICAクライアント)が説明されました。また、動作確認済み(中)のアプリケーション14本の紹介がありました。
E デモとして、ALEが行われる予定でしたが、諸環境の都合により持ち越しとなりました。

 ここで、参加の皆さんからのアンケートによるご意見を紹介いたします。
 第1部では、「通常ではなかなか分かり難いアプリケーション開発のポイントが聞けて良かった」、「もう一歩踏みこんだ形の説明をしていただきたい。事例やマイクロソフトが考える利用方法などが紹介されるとよい」、「開発だけでなく利用のアドバイスも聞きたい」、「もっと具体的なアプリケーション開発の話が聞きたい」、「実際に適したアプリケーションそのものが分かり難い。もう少し具体的なもの(プログラムの提示など)が欲しかった」、「分かりやすい内容だったが、話題はありふれていた」、「既存のアプリをTSEに移行する場合の対処方法についての説明が欲しかった。行儀の悪いアプリを行儀良くする(修正)のか、行儀の悪いアプリも動く環境にするかなど」、「今後使用できるアプリ開発環境が増えたら良いと思う」、「効果的な使用方法を含めデモを入れて欲しい」です。

 第2部では、「MetaFrame1.8の詳細やロードマップは役に立った」、「まだMetaFrameは使っていないので、製品イメージを掴めて良かった」、「MetaFrame1.0の話はいまさらという感が否めない。もっと1.8の機能の話を期待していた」、「クライアントから見た実際の動作、TSEとの差別化についてもっと分かりやすいものがあると良かった」、「試用版などがあるようでしたら使わしていただきたい」、「デモの意味があまりなかったのは残念」、「サーバーのシステムパフォーマンスを上げると非常に使えるものだと思う」です。

 セミナー全体としては、「非常に参考になった」、「両プログラムとも期待していたものとかなり離れていた」、「プレゼン環境はもう少し準備していただき、スムーズなものにして欲しい」です。

 今後希望するセミナーとしては、「Windows2000の各機能ごとにセミナーを開いて欲しい。Windows2000全体を1回のセミナーでは紹介だけで期待するものにはならないと思う」、「Windows2000関連」、「Active Directory」、「PCモバイル利用」です。
 ご意見としては、「今後とも質の高いセミナーを期待する」、「全体的に実演デモを増やしたセミナーにして欲しい」です。
 ありがとうございました。


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