マイクロソフト株式会社 ソリューションデベロッパー事業部 「BizTalk」について 最近、すっかり春らしくなってきて、そろそろ冬物を整理する時期のようです。お蔭様で、Internet Explorer 5も予定通り出荷され、関連するWebサイトの負荷が急上昇するほど、非常に多くの方からダウンロードして頂いているようです。また、毎年行われているTech・Ed 99(Dallas)も段々と近づいて来ました。今年も多くの新しいトピックが提供される事でしょう。私は現地に行けるかわかりませんが、どちらにしても多くのトピックが私を楽しませてくれる事は確かだと思います。 さて、前回は、XMLパーサーの中間層での利用についてお話しました。正直、今回は何を解説しようものやら大変苦慮しましたが、XMLを説明してきた流れもありますので、私共が、ちょうど一ヶ月前のあるイベントにて発表した「BizTalk」について解説したいと思います。ただし、ある程度詳細な情報については、前述したTech・Ed 99 (Dallas)の中で解説されるのではないかと思います。従って、現段階では社内の我々にも入手できる情報が限られていますので、BizTalkのWhite Paperを元とした非常に概要的な内容になりますことをご了承下さい。
Microsoft BizTalkは特定の製品のみを指すものではありません。BizTalkは、企業の成長を支えるビジネスシステムにおいて、アプリケーションインフラストラクチャに拘束されることなく情報をスムーズに共有できる様にするための、新しいXMLスキーマおよび、業界標準をベースとしたマイクロソフトのフレームワークです。BizTalkは既存のシステムが、どのようなものであっても、オンラインで取引先との製品情報、注文書など(BizTalkドキュメント)の円滑なやり取りを容易に実現する事を目標としています。もちろん、これらを実現するためには業界標準スキーマの制定など、まだ、多くの作業が必要ですが、マイクロソフトは、ユーザー、パートナー及び各種業界団体などと協力してスキーマの早期標準化を目指していくと同時に、マイクロソフトネットワークショッピングサービスでのBizTalkの利用や、様々な製品の将来のバージョンでのサポートを表明しています。
従来は大変難しかった、企業内の異なったシステム、プラットフォーム、アプリケーション間の連携を比較的容易に実現できる手段を提供します。個々の企業の様々なニーズに合わせて作られたアプリケーション間でデータをやり取りすることは容易なことではありません。もちろん、企業内だけでなく、企業間、異種業界間の幅広いアプリケーションの統合をも実現します。網の目のように張り巡らされたインターネットのようにアプリケーション同士の連携が可能になり、まるで神経が繋がった、1つの大きなアプリケーションのように利用する事が可能になります。また、BizTalkは、Windows DNA アーキテクチャを拡張したものです。これにより、前回、紹介した中間層での利用がもっと容易になります。BizTalkの登場により、いわゆる、XMLをベースとした電子商取引システムも現在よりも更に現実的なステージへと移っていくと考えられます。
BizTalkフレームワークは、マイクロソフトだけで完結できるようなものではありません。個々の製品だけでなく、パートナー、ユーザー、業界、そして様々な業界団体などと協力してBizTalkフレームワークのサポートと推進をおこなっていく必要があります。それだけ、様々な分野に広範囲に関わるフレームワークです。これに際して、まず、電子商取引とアプリケーションの統合を実現するためにマイクロソフトは下記の5つに重点を置くことを表明しています。 @業界標準XMLスキーマのサポート BizTalkのドキュメント処理スキーマは、様々な業界標準に基づきます。例えば、製造業では、Open Application Group(OAG)などのオブジェクトベースの業界イニシアティブを利用します。このように、BizTalkのドキュメント処理スキーマはISVの顧客、および様々な業界団体と協力して定義されます。 Aマイクロソフトの各業界におけるイニシアティブ マイクロソフト、マイクロソフトのパートナーそして、業界標準団体は、企業内、企業間、さらに異種企業間でのスムーズなアプリケーション統合の実現のために、既存のWindows DNAイニシアティブ( 少しだけ例を挙げると、金融業界のためのWindowsDNA FSや、サプライチェーンのためのValue Chain Initiativeなど)の拡張に取り組みます。 B 製品とサービス提供のためのBizTalk BizTalkは、マイクロソフトネットワーク(MSN)をオープンマーケットプレイスとして利用するための、製品、サービス、およびプロモーションのフレームワークになります。BizTalkは様々なドキュメント形式に対応し、業務、製品、およびプロモーション情報を直接MSNや、その他の顧客のWebサイトに掲載することが可能になります。これにより、多くの製造業や小売店が容易に参入することが可能です。 C Microsoft BizTalk Server ある意味で最も解りやすいのが、このBizTalk Serverかもしれません。これを利用することによって企業はより簡単にBizTalkフレームワークの利点を享受することができるようになります。BizTalk Serverは、BizTalkフレームワーク、及びそれらの基盤となっているXMLテクノロジをサポートし、企業がインターネット上でデータを交換し、広範囲でのアプリケーション統合をおこなうことを可能にします。このサーバーは、スケーラブルで信頼性の高いデータ変換および交換機能を備えており、現状のSite Server 3.0 Commerce Editionに搭載されている、Microsoft Commerce Interchange Pipeline(CIP)の機能を拡張します。 D さまざまな製品におけるBizTalkのサポート BizTalkサービスアーキテクチャは、Office、BackOffice、Windowsをはじめとする、様々なマイクロソフト製品によってサポートされる予定です。特にMicrosoft SQL Serverの次期バージョンには、BizTalkに対応した強力な機能が組み込まれる予定です。これらの機能によって様々な統合が可能となるだけでなく、XMLドキュメントと読み取り、書きこみ、格納などをおこなうことが可能になります。
フレームワークは、なかなか理解するのに手間と時間がかかるので、ここでは、BizTalkを利用することによってどのようなことが可能になるのかを架空の例を交えて説明します。 W社は家電の小売店ですが、最近、オンラインでの販売を開始しました。W社は製品時用法や特売品情報などをより多くの消費者に知ってもらうためにMSNを利用することにしました。W社は、BizTalkをベースとした製品情報やプロモーション情報、そして企業情報をMSNに提供しました。 さて、消費者であるKenは、2ヶ月後に誕生日がくる息子のためのプレゼントをオンラインで探していました。Kenはデジタルカメラをプレゼントしようと考え、MSNで提供されているBizTalkをベースとしたバイヤーズガイドを利用しました。このバイヤーズガイドは、買い物客が同じカテゴリーの製品をメーカー及び販売店を横断的に比較検討することが可能になっています。これらは、BizTalkによって実現されています。この場合、デジタルカメラを探すのに自ら色々なメーカーのWebサイトを見て更に販売店のWebサイトを見て、比較検討する必要はありません。Kenは様々な比較検討を行ってF社製のデジタルカメラを選びました。しかし、そのカメラはかなり高額でした。しかし、誕生日までは時間があるのでF社のデジタルカメラの情報が変更されたら、メールで通知が来るようにMSN Market Monitorに登録しました。BizTalkは単なる商品情報だけでなく、プロモーション情報もサポートしています。それから暫くして、家電の小売店であるW社は、F社のデジタルカメラに拡張メモリーカードをバンドルして以前と変わらない値段で販売するというプロモーション情報をBizTalkドキュメントによってMSNに登録をしました。すると、MSNはe-mailでその情報をKenに通知しました。Kenは拡張メモリのバンドルによって、高いと思っていたそのカメラの値段は妥当な値段になったと考え、e-mailに添付されていたW社のURLにアクセスして、そのカメラを購入したのです。 ここまでで紹介した一連の販売サイクルにおいて、消費者とサプライヤー両方に対して、BizTalkはベネフィットを提供しています。BizTalkを利用したシステムによって、消費者は簡単に商品の比較検討を行うことができ、プロモーション情報も即座に入手することができました。サプライヤーは、消費者に対してリーチして顧客との良い関係を維持することができます。 この例のようにBizTalkは企業内外の様々なアプリケーションのデータ連携をスムーズにし、従来は考えられなかったような、スピードと情報そしてメリットを全ての人達にもたらします。
BizTalkは、異なるシステム、およびシステムからの情報を統一された業務プロセスと連携させるためのフレームワークを提供します。多種多様な業務において矛盾無くデータを共有できるテクノロジが実現されると、色々な場面で、多くの利点を生み出すのです。 今回は、まだまだ情報の少ないBizTalkについて解説しました。フレームワークという事もあり、いつもよりも概念的な説明に終始してしまいましたので解りにくかったかもしれません。段々と多くの情報が流通してくることになると思います。なお、次回の内容は未定とさせていただきます。また、次回で私の執筆は終了の予定です。もう暫くの間、お付き合いいただければと思います。
今回の記事の内容については、BizTalkのWhite Paperを元として、筆者が内容を整理したのちに執筆しています。なお、該当のWhite Paperはマイクロソフトの発行時点における見解を示しています。変化の大きい市場の状況などによって各々の細かな戦略などは随時変更される可能性があります。従って、この記事の内容及び情報の正確さについて、マイクロソフトは、これを一切保証するものではありませんのでご了承ください。 |