田中 亘のWindow’s1999

田中 亘




Windows Shopping Adviser

 このたび、Windows コンソーシアムからWindows Shoppoingのホームページに関する監修を依頼された。その主な目的は、現在の商品データベースの充実と、新しい編集方針の提示、そしてホームページとしての認知度を高めることにある。おそらく、この号と前後する形で、商品データベース登録のお願いが、メーリングリストで会員の皆様にも届けられているはずだ。まずは、この場を借りて、商品データベースを充実させるための情報提供をお願いしたい。

 基本的に、ホームページを充実させるという目的を達成するためには、地道な努力を積み重ねるのが最善の策だと思っている。話題作りや大きな仕掛けをするには、それなりのコストとリソースが必要になる。しかし、短期的なキャンペーンに成功したとしても、そのヒット数は単なる最大瞬間風速でしかない。ホームページを閲覧に来る人たちに、長期に渡って記憶してもらうためには、イベント的な仕掛けではなく、皮肉な話になってしまうが、既存のメディアを使った広告が、もっとも有効な手段になる。お菓子の箱やCDジャケットなどにURLを印刷したり、テレビCMやアドボードなどで長く宣伝しなければ、URLを個人の記憶に定着させることはできない。
 また、インターネットにおけるもうひとつの有効な宣伝手段が、サーチエンジンにできるだけヒットさせることだ。ところが、これも今後の改善課題の一つになっているが、現在のWindows Shoppingのホームページでは、データベースと連動した商品検索を実現しているため、商品の情報そのものが、既存のサーチエンジンにひっかかることがない。データベースを組み合わせたホームページは、情報の管理が容易で、メンテナンス性もよく、技術的には優れているのだが、サーチのキーワードがHTMLファイル内にないため、サーチサイトからの検索結果として、参照される可能性が極端に低い。
 そこで、編集内容の充実として考え付いた提案のひとつが、ショッピングアドバイスを情報として提供することだった。それは、秋葉原などの販売店に出向き、実際に取材を通して、いまのパソコン市場やソフトウェアに周辺機器の動向を探り、不特定多数の人たちに向けた、購入ガイドとしての情報を提供することにある。
 いま、国内市場では、インターネットと電子メールを目的として、新規にパソコンを買う人が激増している。ある調査によれば、一ヶ月に販売される約70万台のパソコンのうち、30万台以上が、純粋な個人に購入されているという。かつて、パソコンを家庭で使うといえば、会社の仕事の持ちかえりとか、趣味人のための需要が中心だったが、インターネットという目的は、もはや趣味の幅を超えて、大きな広がりを見せている。
 そんな時代の流れを象徴するように、ショッピングアドバイスで最初に取材したラオックスのザ・コンピュータ館の副店長が、興味深い意見を言っていた。いわく、「冷蔵庫買ってもなにも変わらないけど、パソコン買ったら生活が変わるでしょ」というものだ。この言葉は、明らかにインターネットや電子メールが、パソコンをこれから買う人たちにとって、重要なウェイトを占めるということを意図している。かつて、冷蔵庫や電子レンジだって、十分に生活を激変させるだけの能力を持った夢のような電化製品だった。ところが、いまではあまりに当たり前になってしまい、消費者を刺激するだけの魅力を持っていないのだ。
 それに対して、入門者にとってのパソコンは、まさに生活を一変させるだけの魅力を持った電化製品になった。技術的なことはよくわからないけれど、とにかく楽しそうだとか、お隣も使っているからうちでも買わなくちゃ、などなどの理由で、一ヶ月に30万台以上のパソコンが、日本の家庭に普及している。
 さらに、自作のホームページ作りに挑む人も増えはじめている。ホームページを作りたい、という欲求は、一種、ホームビデオを撮る感覚に似ている。家庭でホームビデオを購入する目的といえば、その第一は家族を撮ることだろう。映画を作ろうとか、何かを学術的に記録しよう、という欲求よりも、愛する人や家族を撮りたい、と考えてホームビデオを買う人は多いはずだ。そして、「ホームページを作りたい」と考える人たちの多くも、家族や身の回りのことをホームページにしようと考える。もちろん、そこには利益とか商売にしよう、という考えはない。だが、だからといって、個人の趣味だから、と見過ごしてしまうのも考えものだ。はじめは趣味であっても、そうした人の中には、それがビジネスへと発展する例もある。振り返ってみれば、パソコンという商品そのものが、はじめはかなり趣味性の高いものだった。個人で100万円近くも出費して、できることといえば、プログラムを組んだりゲームをしたり、そうした趣味から、やがてアプリケーションが開発され、ワープロや表計算などを使うための道具として、定着してきた。
 インターネットのホームページも、やがてはそうした道具になると思う。いまはメディアだとか情報発信の基地だとか、いろいろと持て囃されているが、近い将来には、誰にとっても当たり前の道具として使われるようになるだろう。
 いまは、純粋な個人の市場で、娯楽や趣味の一環として、インターネットと電子メールを目的としたパソコン購入が加速している。だが、この流れは、やがてさらに大きな市場へと発展するだろう。そのときに、より個人の視点に立って、必要とする商品やサービスを考えていくべきではないだろうか。
 Windows Shoppoingのホームページも、そうした「個人の欲求」をテーマに、リニューアルを考えている。期待してもらいたい。

winshop1.gif:現在デザインを開発中のWindows Shoppingのホームページ

 
winshop2.gif:新設予定のショッピングアドバイザのページ。個人の視点で販売店の生の声を紹介していきたい。



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