活動報告


●第87回セミナー(ビジネスイントラネット委員会主催)実施報告

日 時:1999年2月17日(水)13時30分〜16時00分
会 場:ロータス株式会社本社セミナールーム(西五反田)
参加者:29名
テーマ:「ロータス2000ビジョンとノーツ R5/ドミノ R5」
構 成:
 第1部「ロータス2000 ビジョン」
     ロータス株式会社 マーケティング本部
     課長 柳下 剛利 様

 第2部「ノーツR5/ドミノ R5」
     ロータス株式会社 マーケティング本部
     松村 芳道 様

 今回はロータス本社セミナールームにおいて、 ロータス 2000ビジョンおよびロータスの今後の製品、サービスの戦略説明と、近日リリース予定の「ノーツR5/ドミノR5」を他に先駆けてデモを含めてのご紹介がありました。製品発表前ということで、説明資料の配布はなく、画面のプレゼンゼンテーションによって行われました。

セミナー会場

 まず、柳下講師から本日のセミナー方針のお話がありました。
 ロータスが来る2000年に向けて「ロータス2000 ビジョン」というフレームワークを用意している、またそれに合わせて情報システムの方々にご興味を持っていただいているナッレジマネージメントについてロータスがどのようなことを考えているかについての戦略および思想を発表させていただく。また、第2部では実際にその戦略および思想に合った製品として出荷をひかえているノーツR5とドミノR5について説明させていただく。

 第1部では、柳下講師から「『ロータス2000ビジョン』とは、21世紀に向けて私どもはコア製品だけでなくコアをより使いやすくする製品、そしてただ道具を作るだけでなく、道具を生かす利用者のための製品、より円滑にすすめるためのサービスをビジネスパートナーと一緒にやっていきたい」とのお話から始まりました。
柳下講師

 根本的に考えているのは私どもの方で製品やサービス、パートナーを含めてお客様にご提案する上でどのように製品を位置付け、どのように拡張し、どのような機能強化を図っていくのかをというのがこの図になる。


 ノーツドミノサーバーがコアテクノロジーになり、基本的な電子メールの機能やカレンダーのスケジュール機能、Webアプリケーションサーバーとしての機能、マイクロソフトOfficeやロータスSuperOfficeなどデスクトップとの統合性を基本的な機能として用意している。我々はコラボレーションに力をかけているのでこれらを企業のインフラとして整備していただくと考えている。Sametimeの技術によりノーツドミノは、リアルタイム型のメッセージング、コラボレーションに対応するようになり1月6日から出荷している。
 今までインフラのベースになる製品を販売しており、実際には1300を超えるビジネスパートナーがアプリケーションを構築してお客様に納めることをしてきたが、実際にお客様の方に納められている製品で考えてみると、ワークフロー、ドキュメント管理といったものがそれらのノウハウを持ったビジネスパートナーはサービス、製品、ソリューションを提供できるが全ての方が提供できるわけでない、また、1からアプリケーションを開発していく形となると時間・費用がかかってしまう。今は導入にかかる費用を下げ、そこの中で最大限の効果を得るという方向になっており、私どもの方で基本的なワークフロー、ドキュメント管理の機能を提供させていただくというように考えている。
 そういった形で、「付加価値を提供するExtention」としてワークフローのデザインツールやドキュメント管理のツールを提供している。そのための製品として『ドミノドッグ』を提供し、米国では最新バージョン2.0が出ておりCとのAPIが用意されている。ドキュメント管理の基本機能はドミノドッグを使っていただき、お客様が要望されたカスタマイズだけをビジネスパートナーがやるというように、今まで1から100までやっていたところを私どもが60くらいまでサポートするという形の製品として用意させていただく。『チームウエア』は、アウトソーシング型のプロジェクト管理、そのプロジェクト中でコミュニティを作るツールで、米国で2月8日に発表した『QuickPress』がこれに相当する。また、昨年販売開始したJavaベースの『eSuite』についても機能拡張していく。
 付加価値を提供するExtentionのものとドミノを使っていただくことにより、1つのターンキーとして使っていただくこともできるし、それぞれの要素に対してより特化したソリューションを提供することができる。特にeSuiteでは出荷を控えているノーツドミノR5とほぼ同時期に新バージョン eSuite2.0がでる。これはノーツドミノとよりデータの連携を深くしている。
 このように道具は色々と揃ってきた。実際に道具を使うのは人間であり、道具を使って何かを創り出すのも人間である。私達人間が使いやすい環境、使いやすくするためのレベルを上げる、使い方を勉強すること必要になってくる。これが「ナレッジマネージメント(knowledge Management)」である。私どもは、遠隔分散教育にも力をかけており製品として『Distributed leaning2.5』があり学校、企業で新人の教育に使われている、その中で道具の使い方を覚えさせる、営業の仕方を覚えてもらうということを考えている。 『Expertise Location』は開発中の新製品である。実際に道具を使う、より道具を使ってもらうためのテクニックに加えて実際に教育やお客様にジャストヒットするためのコンサルティングをビジネスパートナーと一緒にやって行こうとするのが私どもの「2000ビジョン」である。
 私どもがこの「2000ビジョン」の中でやりたいのは、本当にお客様が欲しい“VALUE”をどのようにしたらご提供できるかという所に視点を置こうと考えている。単なるシート数の争いとかでなくていかにお客様の投資効果があったのかというCustomer Valueであるので、そこにフォーカスした製品を多いに出していきたい。今度出すドミノサーバーR5は、アプリケーションサーバーの所について機能強化を図っている。

 次世代のコンピューティングの環境を考えてみると、キーワードは、「スピード」「コラボレーション」「ナレッジ」である、と考えている。
・「スピード」がなければ生き残れない。アプリケーション開発に1から100までの時間をかけられない。
・「コラボレーション」は今まで社内外を問わずある目的を共有するチームが“ネットワーク組織(Extended Enterprise)”を作り、ゴールに向かってムダ・ムリ・ムラを最大限に減らす仕掛けが必要である。コミュニケーションについては、基幹システムとより連携をとるような形となる。
・ 「ナレッジ」による企業武装が必要である。ネットワークが広がり、企業と企業がつながってある意味では組織の壁が壊れる形になると、重要になるのは使うツール、その環境で仕事をする人間である。ネットワーク組織化で生き残るためにメンバー(社員)のレベル(スキル)アップが必要であり、競争力をつけなければならない。レベルアップ、競争力をつけた社員が創造する製品・サービスの提供によるその企業ならではの価値の創造・実現が可能になる。
 この実現例として、米国自動車産業界(Automotive Network Exchange)では、ノーツをベースとした「コラボレーション」が動いており、実際に使っている人はノーツを意識していない。アプリケーションサーバーがキーであり、基幹システムとの連携ではさまざまなオプションを準備している。Webブラウザに対するアプリケーション開発では、従来のノーツが持っていたファイル単位ではなくドキュメント単位のでのユニークなコンテンツの管理と加えてより高い信頼性の機能(Webアプリケーションサーバーのクラスタリング)を提供する。また、それを利用いただく環境ではさまざまな機能強化を図っている。
 ロータスは企業レベル、企業のもつニーズに合わせてさまざまなサーバーライセンスを準備しているので、これに合わせたシステムの構築ができることになる。フロントエンドの開発がWebにシフトするにつれて一番最適な開発環境として、ドミノサーバー、デザイナーを提供したい。
ナレッジマネージメントに対するロータスの戦略については、図を基に説明されました。


まとめは、次です。
@「コラボレーション」が「次世代情報インフラ」となる。
・ ナッレジマネージメント、プロセスマネージメント、エクストラネットがキーワードである。
・ ナレッジマネージメントが企業を強くする。
A「ロータスノーツ/ドミノR5」
・「コラボレーション」のための全ての機能を提供する。
・「Webブラウザ」を「Webクライアント」にする強力な機能を持つ。
B「ロータスはソリューションカンパニー」

 第2部では、松村講師からドミノR5、ドミノデザイナーR5およびノーツR5の製品紹介が簡単なデモをまじえて行われました。

松村講師

 今回の製品は、従来製品(ドミノR4.6、ドミノR4.6)と異なり3つの製品ラインに分かれている。ドミノR5は、今までのドミノR4.6の新製品で、グループウエア&Webアプリケーションサーバーである。ドミノデザイナーR5は、今までのノーツR4.6に統合されていた開発ツールの機能を新製品として切り出したWebアプリケーションのための統合開発環境である。ノーツR5は従来のノーツR4.6から開発機能を取り除いた統合Webクライアントである。
 ノーツ/ドミノの進化の歴史はインターネットへの対応の歴史である。R4.5の時代で初めてサーバー側がドミノという名前になり、クライアント側のノーツと明確に切り離されて、サーバー側はWebブラウザをクライアントとして使うことができるようになった。これはHTTPサーバーの機能をドミノサーバーが持ったためである。続いてR4.6ではサーバー側のドミノはよりWebサーバーとしてのインターネットへの標準プロトコルへの対応を拡充し、クライアント側はWebアプリケーションの開発機能をNetクライアントとしての機能を強化している。今度出るドミノR5はWebブラウザおよびNetクライアントとノーツクライアントを全く同列のクライアントとして扱うことができるようになった。例えば、メールの世界において今までノーツの世界の中でのメールとインターネットのメールとはフォーマットやプロトコルが違っていたために変換処理が必要であったが、R5では全く同じ動作をするようになっている。クライアント側は開発ツールをドミノデザイナーR5として新たな製品として切り出されている、クライアント側は統合コラボレーション環境としてよりインターフェイス等を変えて充実したものになっている。
 ノーツ/ドミノは、インターネット標準技術を活用した次世代の3層モデルに適している。80年代後半からクライアント/サーバーということで2層のシステムが普及してきていたが、近年になりインターネットが普及するにつれて3層モデルのアーキテクチャーが注目されてきている。ドミノを中核にしたWebアプリケーション開発では、Tier2にドミノを置き、Tier1にノーツ、Webブラウザを置き、ドミノとTier1をつなぐ間のプロトコルはHTTPはじめとするインターネットの標準プロトコルでつなぐアーキテクチャーになる。Tier2のドミノとTier3基幹システムの基幹データ(RDB、ERP)との連携は、ドミノが持っているNotesPUMP,LSXなどのツールを使ってバックエンドとのデータとの連携が可能である。このようにドミノを中核にしたWebアプリケーション開発ということでロータスが考えているアーキテクチャとして提唱していきたい。

 続いて、製品の機能について具体的なお話がありました。
1. ドミノR5
3つの点で生まれ変わった。
@ 最強のメッセージングサーバーとしての機能の強化
ドミノのメッセージングとインターネットメッセージングとでは全く同じ処理・動作をするようになった。ネット標準技術、プロトコルへ完全対応しており、よりパフォーマンスの向上が図られている。また、セキュリティの標準アーキテクチャへの対応、X.509の認証書の発行ができるようになった。
A 次世代Webアプリケーションサーバーとしての機能の強化
ノーツのアプリケーションがWebのアプリケーションと同列になった。ビジネスロジックを支える高い信頼性・拡張性としてクラスタリングがノーツクライアントだけでなくWebブラウザを使った場合にも使えるようになった。トランザクションログを採用している。また、技術面から、HTMLネイティブ、Javaテクノロジーとの融合、CORBA/IIOP対応、基幹連携(DECS: Domino Enterprise Connection Service)についてのお話とデモがありました。
B 求められるTCO削減への対応強化
高度な管理機能の採用、ユーザー管理の集中化、パフォーマンスの劇的な向上を図っていると、デモを交えた説明がありました。

2. ドミノデザイナーR5
新しく生まれたアプリケーション開発環境では、3つのポイントがある。
@ ノーツとWeb間の統合開発環境の提供
ノーツとWebの違いを意識しないアプリケーション開発ができる。これは、ノーツクライアントが完全なWeb readyになっているからである。ノーツの持つコラボレーション機能や基幹連携を統合的に開発できる。
A オープンなWebアプリケーション開発環境である
ドミノデザイナーの構成要素については、サイトデザイン、レイアウトエディタの採用、プログラミング環境では、従来のロータススクリプトや@関数による開発のほか、さらにJava,JavaScript開発環境を実装している。また、開発の手順の説明とアウトラインエディタ、フレームセットなどのデモがありました。
B洗練された開発環境の提供により直感的で優れた操作性を持つ。

3. ノーツR5
@ ビジネスで利用するための究極のブラウザで、ただのブラウザでなくスーパーブラウザと呼んでいる。より業務で多くの情報を活用することができる。モバイルで利用でき、強力なセキュリティを提供する。
A ドミノR5の機能を最大限活用できるWebクライアントである。
BWebブラウザからWebクライアントへの進化を図った。ビジネス環境で活用されるクライアントであり、Webブラウザの基本機能(POP3/IMAPでのアクセス、SSLによるセキュアなセッション、JavaやActiveXでの機能拡張、CGIやスクリプトでの簡単なフォーム処理)の他に、Webクライアントの付加機能(強固でセキュリティの高いメール機能、モバイルへの対応、ローカルの情報格納、個人情報の管理機能、自動処理エージェント、協調作業環境)を持つ統合Webクライアントである。
B ノーツR5の主な特徴としては、標準技術の徹底的な採用、ユーザーインターフェイスの大幅な改善、先進のアプリケーションを搭載、クライアントで実現する管理・教育コストの軽減、である。従来のノーツのインターフェイスとは全く変わっており、実際に使ってみると非常に使いやすい。あらゆる情報、例えばノーツのメール、カレンダーの情報、Webの情報がシームレスに見ることが可能である。
C デモとして、従来のノーツと比べての変更点詳細をブックマークについて、また先進のアプリケーション搭載では、ヘッドライン、メール、カレンダー&スケジュールについて行われました。メールでは、大幅なインターフェイスの改良、各機能間との情報連携がよりシームレスに、アドレスのクイック検索等について行われている、とのことです。

ここで出席の皆さんのアンケートからのご意見、ご要望を紹介いたします。
 第1部では、「今後の戦略がおおよそ分かり有益、参考になる」、「これからの展開に期待できる」、「大変興味深い内容で参考になった。若干時間不足の観があった」、「少しでも早くラインナップされることを願う。また、修正モジュールなどの対応もレスポンス良くできたらと思う」の他「話が拡散して何が重要なのか明確に伝わらなかった。知らない言葉の説明がなかったので分かり難かった」、「企業戦略であるから仕方ないが説明オンリー(デモ等なし)には少々疲れる」のご意見がありました。
 第2部では、「楽しみにしている。早いリリースを望む」、「従来のものとの違いがよく分かった」、「早く使ってみたい」、「「デモも多くてよかった」、「ますますWebとの親和性が良くなっている。NotesからWebをブラウジング、Webブラウザを使ってDominoへアクセス、などこういったニーズが高まっており、正常進化と感じた」、「R4.6よりかなり向上していることが分かった。デザイナーを使って開発してみたいと思う」、「 限りなくイントラに近いものに(越えた?)変身しているとの印象を受けたが、強いアドバンテージを感じるには至らなかった」、「 NotesクライアントよりDominoサーバーに比重を置いて欲しかった。クライアントはブラウザメールともに汎用性を持たせたいので」のご意見がありました。
 セミナー全体としては、「 我々もビジネスパートナーとして今後の展開をどうするのか、今回のセミナーを参考に考えていきたい思う」、「実際に活用してみたい」、「本日のレジメ資料が欲しい」、「スピーチが早くて部分的についていけない」のご意見がありました。ありがとうございました。


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