去る12月4日、「Windows CEコンソーシアムアドバイザリー会議設立趣旨説明会」が、Windows CEを推進している会社17社(インテル株式会社、株式会社エム・ピー・テクノロジー、クラリオン株式会社、コンパックコンピュータ株式会社、セイコーエプソン株式会社、株式会社東芝、日本AMD株式会社、日本アプライド・マイクロシステムズ株式会社、日本オラクル株式会社、日本フィリップス株式会社、日本電気株式会社、株式会社日立LSIシステムズ、株式会社日立製作所、富士ソフトABC株式会社、富士通株式会社、ユニダックス株式会社、菱洋エレクトロニクス株式会社)から26名の皆様とマイクロソフト株式会社の出席を得て、下川副会長の司会により行われました。 まず、Windowsコンソーシアム松倉 哲会長から、 「11月13日のWindowsコンソーシアム総会で下部組織であるWindows CEコンソーシアムの設立が認められた。本日の会議は、Windows CEの開発をする皆様方の開発の意見交換をする場ということでもたせていただいた。是非とも忌憚ないご意見をいただき活発にWindows CEを盛り上げて皆様方のビジネス成功の一つとしていただきたい。」の挨拶の後、竹森 淳様(マイクロソフト株式会社OEM営業本部Windows CEアカウント部長)から、 マイクロソフトのWindows CEの取組み方について、「皆様方でマイクロソフトがWindows CEのEmbeddedに関しての取り組み方について懸念されている方が多いと思う。今、Windows CEの米国本社側の最高責任者であるBengt Akerlind(General Manager DSG)が来日しており、彼と我々のグループとで日本の市場に対するマイクロソフトの対応の仕方、これからさき製品的にどうするのか話をした。その結果、本社側としては、このCEというOSに対して、リソースと時間とマーケティングに対するお金のかけ方を今までより桁違いに増やしていくことになった。それは、コンシューマ機器、産業機器、その他のEmbeddedに対する製品の多さ、海外に輸出している量の多さからいって、日本が世界の中で一番巨大なEmbeddedのマーケットであることを本社側としてやっと理解してくれたからである。今回、OEM営業本部の中にCEを担当するDSG(Dedicated System Group)が発足し、このグループでは、CE製品に対するテクニカルな問題点、お客様が使うときのユーザー側のサポートの問題点、マーケティングの問題点についての対応を、ライセンスを含めて全部日本のお客様の実状に合わせた形で作り直すことになった。来年のバージョンアップに対応した形でEmbeddedの世界に合わせ、ユーザー様に合わせ、ライセンスの書き直し、出荷体制のし直し、サポート体制の見直しを、今やっており、来年の3月までに体制を整えようとしている。マイクロソフトとしてEmbeddedに対する取り組みは、日本の実状、ユーザーの実状に合わせた形で再スタートしているのでご期待をいただきたい。」とのご挨拶がありました。 続いて、マイクロソフトの各担当別によるWindows CE状況の説明がありました。 まず、PCコンパニオンについて幸田 倫明様(OEM営業本部 CEアカウント次長)から、 「新しいプラットフォームとして昨日Palm-size PCが出た。Windows CEのOSが走っている日本版のデバイスで、開発系を含めて今までのHandheld PCと同じであるが、コンパクトで非常に小さくてキーボードがない。ツール系の充実とプラットフォームの充実ということがあるが、なかなかその辺がうまく行かないと思っている。Javaのプラットフォームについては、マイクロソフトとしては標準なものにするためもう少し時間をいただきたい。Targeted Deviceというと、どうしてもデバイス側だけだと考えがちになるが、当然これに情報を提供する側のサーバーの事情も考えなければならない。Windowsコンソーシアムには、パソコン、サーバーに関係する会員会社が多いので、そこの方々にワイヤレスでWindows CEの端末をサポートするサーバーソフト、いわゆるBackOffice群を示させていただければと思う。これによって単なるデバイスのストーリーだけでなく、バックエンドのサーバー側のストーリーも出せるということになる。来年になったらもう少し大きなHandheld PC Professional Edition(H/PC Pro)というプラットフォームを提供できる。それを利用して非常に小さなものから大きなものまでという選択肢があるが、同じツール群で開発することができる。ISVの方々にはそれを1つのメリットとしてご説明したい。また、Windows CEコンソーシアムにお願いしたいのは、CEのプラットフォームに対して付加価値を付けられるような、ISVやIHVの方々いわゆるキープレーヤーといわれる皆さんから多くのご意見を出していただいて、それによりよい方向に進められるようにしたい」とのお話がありました。 CE組込み系については、永久 茂様(ソリューションデベロッパー事業部 インダストリーマーケティング部 部長)から、 『産業システムにおけるWindows CEソリューションの展望』として、「インダストリーマーケティング部は、Windowsの企業向けシステムを産業別に展開しており、さまざまな業種のデバイスを中心に標準を図っている。基本的なPCや周辺機器のデバイスドライバー、各業種のデバイスに対して共通のAPIを作ること、また、その上で動くアプリケーションの作り方を標準化してアプリケーションをコンポーネントとして組み合わせるという形で標準化を進めてきた。それにより、エンドユーザーさんに対しては最も優れたコンポーネントでシステムを構築することができるという趣旨の活動をしている。計測制御等のデバイスからの要求や、流通ではPOSレジの端末をEmbedded CEでやる話など、業種別のユーザーさんのリクワイヤメントからスタートしており、組込み型で産業デバイスということでのマーケティング活動をしている」とのお話に引き続き、佐野 勝大様(ソリューションデベロッパー事業部 インダストリーマーケティング部マーケティングマネージャー)から、 『組込み市場の産業別レイヤー』として、「組込み市場としては、コンピュータ周辺機器、データ通信、医療、製造業・流通業、オフイスオートメーション、小売りターミナル、テスト機器・測定機器、交通機関など広範なエリアがある。今後の進化の方向性として、Handled PC、Palm-size PCといったインフォメーションデバイスの進化、Wallet PC、Auto PCなどいろいろなレイヤーで情報端末としての進化がここ数年のうちに考えられる。日本の組込み市場の動向としては、通常のHandled PC、Palm-size PCといった今見えている市場以外にもっと産業別に特化した広い市場があるのではないかということで模索している。今、コンピュータを使用するエリアが広がっているが、それ以外の業種業種ごとの特化した組込み機器の市場は無視できないくらい広がっており、次の世代の機能を要求されているのをひしひしと感じている。最近は、徐々にWindowsベースのものが増えてきているが、依然としてコンピュータと組込み機器の境目というのはある程度ギャップがあり、もっと安価に高速なものができないかということが業界の中で求められてきた。その中で、去年から登場したWindows CE が非常に高いポテンシャルを持つことを産業別のお客様から評価いただいている。我々の経験からして、今までは米国のマーケットに対して日本のマーケットのスピードは非常にゆっくりしたものであったが、Windows CE組込みのマーケットは非常に早いスピードで動いており、実装されているメーカーも多数あり、来年からはかなりの製品が出てきそうである。今や国産Windows CE組込み機器市場の関心度は非常に高まっているので、マイクロソフトとしては産業システムに対し常に革新的なプラットフォームをもって取り組んでいくつもりである。お客様、あるいはISV、OEM様とWindows CEコンソーシアムを通じてお話していく中で新しいものを創造して出していく、アイディアを出していく、お手伝いをしていく、といった活動の中からWindows CE組込みシステムに関しては来年以降全く新しいものがいろいろと出てくるのではないかということで、活動させていただいている。」とのお話がありました また、Windows CEの営業状況について御代 茂樹様(OEM営業本部 Windows CEアカウント 次長)から、 「本来コンピュータのライセンスではほとんどの場合は直接のライセンスを行っているが、私ども組込みの場合にはデストリビュータ様を通したライセンシングということに撤している。この形式は今までのライセンシングの形には中々相当しなかった新しい形式である。その営業活動の展開をデストリビュータ様と一緒になって、ファクトリーオートメーション系、POS端末、カーナビ、車などいろいろなメーカー様とお会いして、このマーケットの可能性、要望などをお聞きしながら、どのポイントで対応できるのかと、本社側の最高責任者である Bengt Akerlindにフイードバックしながら今対応している。何しろ製品が未完成で未成熟のところが当然あるのでそれを本社側に伝えながらどういった対応をしなければならないか、という話をいつも喧喧諤諤やっている。是非この辺のマーケティングに関する話をデストリビュータ様とのお付き合いを含めて、いろいろなところとお話をさせていただいて進めていきたい。来年はいろいろな物が揃ってくるということで非常に期待している。Embedded向けはPCをアーキテクチャーとしたものについてはWindows NTで、ライセンシングのスタイルについても新しいものが導入されるので、今までのEmbedded向けのライセンシングより一歩近づいた方法が取れる。Windows CEについては、今後サービスパックのリースなどを含めて今欠けているシェル、MFCシェルやインターネットのブラウザーなどのサポートが増えてくるので、物が揃ってくるということがある。当然開発環境が揃ってくることによって皆さんからのツールやソリューションが出てくることが、最大のお客様へのメニューであり、メリットである。そういう意味で、来年はなんとかいいスタートが切れそうである。」とのお話がありました。 この会議の開催趣旨と活動予定について下川 和男副会長(イースト株式会社 取締役 兼 コミュニケーション事業部長)から、 「この会の位置づけでは、あくまでアドバイザーという立場で御意見をいただくのが趣旨である。特にアドバイザーの資格は何もないが、ただWindowsコンソーシアムまたは、Windows CEコンソーシアムには入っておいていただきたい。基本的にはWindowsコンソーシアムの下部組織としてCEコンソーシアムがあり、意思決定はWindowsコンソーシアムの理事会で行う。従って今日ここで討議したことが決定するわけではなく、アドバイスをいただくための会としての位置づけている。本日は、Windows CEを推進している会社さんということでこのようなメンバーにさせていただいた。もっと多くの方にお声をかけたが都合が悪く参加できない会社さんが多数あった。アドバイザーのメンバーもこれで固定する予定はないし、アドバイザーということで固定して何かやるということも考えていない。これからも非常に熱心にCEを推進されている方に参加していただきたいと考えている。今回は第1回目であるが、来年も1、2回はこのような会を催したい。Windows CEコンソーシアムの活動としては、アプリケーションカタログのデータベースの作成、CEコンソーシアムのホームページの拡充、会員用やアドバイザー用のメーリングリストの作成、資料の配布サービス、会報への掲載、海外からの引き合いへの対応、セミナーの運営、展示会の参加などを予定する。」とのお話がありました。 続いて、IDGワールドエキスポジャパン天野 俊彦部長による「Windows WORLD Expo99 のCE企画説明」、最後に参加各社からの事業紹介とご意見、また、場を変えての懇親会と多岐にわたって行われました。 |