Windowsコンソーシアム会長 松倉 哲 今月は、Windows NT5.0改めWindows 2000について焦点をあててみましょう。 Windowsファミリーの主力製品であるWindows 2000、まずはこれまでの経歴を紹介します。
従来言われていたWindows NT5.0 Workstation、Windows NT5.0 Server、Windows NT5.0 Enterprise EditionがWindows 2000 Professional、Windows 2000 Server、Windows 2000 Advanced Serverに変わり、また新しくハイエンド向けとしてWindows 2000 Datacenter Serverという製品になる予定である。 技術的な事項としては、 @ デスクトップ環境 ・エクスプローラにはファイルをサムネイル(縮小表示)したり、暗号化などの詳細な情報を提示することができるようになる。 ・ユーザーのドキュメントを保持するMyDocuments、MyPictureフォルダを開くと、使用頻度の高いファイルから順次表示する。 ・Active Desktopを標準で利用可能(NT 4.0ではInternet Explorerが必要だった)。 ・モバイル環境での利用を想定して、フォルダのオプション・メニューにオフライン向け設定が加わった。 ・デスクトップでのアイコンやメニューの配置を使用する言語によって変更する。たとえばアラビア語は右から左へ記述するので、アイコンやメニューの位置が英語版と左右逆になる。 A ユーザーとリソースの管理機能 ・ディレクトリ・サービスとしてActive Directoryを採用。ドメイン以外にOU(Organizational Unit)やサイトという概念を導入し、組織構造やシステムの物理的な配置を考慮しながら、システム全体を柔軟に管理できるようにする。 ・管理ツールはすべてMMC(Microsoft Management Console)という標準コンソールで操作する B トラブル対策 ・管理者がエンドユーザーの利用環境を集中的に設定して、トラブルの原因となるような勝手な使い方を禁止できる。 ・マシンやユーザーごとの設定を管理者側のサーバーからMMCを通して参照できる。 ・エンドユーザーが利用するドキュメントやソフトウエアを管理サーバー側で集中的に保存・更新しておけば,クライアント・マシンがクラッシュしても、他のマシンに移動するだけで同じドキュメントとソフトウエアを使って作業を続行できる。 C ネットワーク ・IPアドレスの範囲で通信を許可するかどうかを設定できる。 ・ルーティング・プロトコルとしてOSPF(Open Shortest Path First)を採用し、効率的なルーティングが可能になる。 ・ストリーム系の通信などで、一定の通信品質を確保するQoS(Quality of Service)機能を採用。 ・VPN(Virtual Private Network)機能としてIPプロトコル以外でも利用できるL2TP(Leyer 2 Tonneling Protocol)を採用した。 ・Dynamic DNS(Domain Name System)とDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)を採用,IPアドレスを簡単に管理できるようにした D セキュリティ ・ユーザー認証とリソースへのアクセス制御に、Kerberosという認証プロトコルを採用。 ・公開鍵暗号を使ったX.509準拠の認証機能を搭載、発行したディジタル証明書をスマート・カードに記録しておけば、ユーザーごとの認証が可能になる。 ・ ハードディスク上のファイルを暗号化するEFS(Encrypting File System)を採用。 などが主なものである。 製品群としては、 @Windows 2000 Professional クライアント向けであり2ウェイのSMPマシンに対応するOSである。 AWindows 2000 Server Windows NT Server 4.0の後継サーバーで2ウェイのSMPマシンに対応しSOHOなど小規模企業向けOSである。 BWindows 2000 Advanced Server Windows NT4.0では最上位にあたる Windows NT Server 4.0 Enterprise Editionの後継で、4ウェイのSMPマシンに対応した比較的大規模企業向けのサーバーOSである。フェイルオーバー・クラスタリング機能などが組み込まれる。 CWindows 2000 Datacenter Server 64Gバイトの物理メモリと16ウェイのSMPマシンに対応した大規模ビジネス向けのサーバーOS。スケーラブルなクラスタリング機能や負荷バランス機能を組み込む予定。 今現在は、Windows 2000 READY PCsと称して、きたるWindows 2000発売に向けPC導入を今考えている企業の方に効率的な投資の意味で次期のWindows 2000 Professionalに充分対応可能なハードウエアを紹介している。これを見るとノートブックに対しての各メーカーが対応機種を発表しているのも注目に値する。 http://www.asia.microsoft.com/japan/windows2000/ready/ スペックを以下に書くと、 ●Windows NT Workstation 4.0 プリインストール ●64MB 以上の RAM ●Designed for Windows logo for Windows NT Workstation 4.0 and Windows 98(PC97 以降に準拠) ●ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)サポート ●CPU デスクトップ PC :128K の L2 キャッシュを備えた 300MHz Pentium クラス、またはそれと同等以上 ノートブック PC :128K の L2 キャッシュを備えた 233MHz Pentiumクラス、またはそれと同等以上 ●西暦 2000 年問題への最新アップデートモジュールの適用 MSKKの長谷川常務は、Windows 2000に関して『情報システムは、従来の基幹系・情報系あるいはナレッジマネジメント、そして電子商取引といった3つのカテゴリーに分けることができます。この3つを常に意識してどういう形で進化させていくのかということについて、マイクロソフトではDigital Nervous Systemという考え方を持っています。これは、人間の神経中枢のような働きをコンピュータに持たせるということです。そのベースになっていくのがWindows NTであり、Windows 2000というわけです。これから21世紀に向けて、インターネットを始めとして情報テクノロジーが大きく進歩します。マイクロソフト製品を採用し使って頂くことが、企業ユーザーの皆様の成功に継がるよう、製品開発に、システム構築、及びサポートに努力したいと考えています。』とコメントされていた。 最後にWindows 2000とは… 1998年12月に一部にWindows 2000のベータ3 release candidateの配布が開始され正式にはベータ3の配布は1999年第一四半期と予想されます。 日本でもベータ3のテスト・サイト募集が終了したところで、米国に歩調を合わせる形でテストが行われるようです。 Windows 2000のベータ3版は、 ・新しいクラスタリング技術:最大16ノード ・ターミナルサービスWindows Terminal Server2.0 ・COM+アーキテクチャの統合 ・DirectX、OpenGLマルチメデイア/グラフィックコンポーネントの実装 等が提供される模様である。 Windows 2000の正式版については、発表が1999年3月、出荷は1999年6月と報道されていますが推測に過ぎない状況であって、マイクロソフトからの正式なコメントを待つ状況です。それと最近Linux等が脚光を浴びて各新聞・雑誌がLinuxとNTと書いて記事が乱立しております。これもWindows 2000の情報が少ないのが原因と思われます。コンソーシアムでも最新情報を入手しセミナーやWebを通じて紹介したいと思います。 情報: http://www.microsoft.com/windowsnt5/default.asp (富士ソフトABC株式会社 専務取締役) |