松倉会長の会員会社キーマン直撃インタビュー 株式会社ベスタ 代表取締役社長 清水吉晃氏を訪ねて 今回は、株式会社ベスタに清水社長をお訪ねして、設立の経緯から、同社のユニークな超小型パソコン「CONIGLIO PC」誕生のいきさつ、廉価な120万画素でコミュニケーションができるCCDカメラ、また得意とする周辺機器への今後の展開などについてお聞きしました。 特に超小型デスクトップパソコン「CONIGLIO PC」はデザインがユニークであり他の周辺機器とデザインを統一してAVシステムと同様の外見で部屋を飾れるということで、人気があり、暮れのボーナス戦線にはカメラ量販店で液晶ディスプレイとメモリ64Mバイト付きで20万円を割る価格で販売される話が進んでいるとのことです。 同社は、JR御茶ノ水駅聖口から聖橋をわたり東京医科歯科大学の横を通って3〜4分の所にあります。
― PCメーカーさんを訪問するのは、日本ゲートウエイ2000さんについで2番目です。 今日は御社のWindows戦略を含めてお話いただければと思います。また、コンソーシアムの会員には開発会社さんが多いのでこれを機会にベスタさんのマシンを紹介させていただければと思います。それではまず、ベスタさんのご案内からお願いします。 清水 ベスタ設立の経緯をお話するのは、私の歴史を話すみたいになりますが、私自身はコンピュータ業界では営業面に12、3年携わってきています。もともとはハードディスクのコントローラのインターフェイスボードの開発会社に営業として勤めておりました。そのボードがどんどんLSI化されてきて、LSIがパソコン本体の中に組込まれたり、またハードディスクの装置の方に組込まれたりして、パソコンメーカー、ハードディスクメーカーが海外生産を拠点にしているということで、日本のメーカーの商品よりも海外で調達したほうがいいということで、そのビジネスが日本で成り立たなくなってきました。その後、そのハードディスクのテクノロジーを応用して一時期は特に富士通さんのハードディスクの販売を国内外でしておりましたが、そのOEMに関しても富士通さん自身が直接販売するという形になってきましたので、そのハードディスクを使ったコンシューマ向けのビジネスを始めようとしたのが約5年くらい前です。 ― そのビジネスは販売ですか。 清水 製造から販売です。ハードディスクをケースの中に入れてパソコンショップを中心に販売していました。もともとMacintoshが好きな連中が会社を作った形になっていまして、前の会社が実は半導体のメモリの急激なコストダウンの時期にちょうど重なって潰れてしまいました。それで私が新しい会社でマックの周辺機器のビジネスだけを引き継いで、商品の開発・販売・サポートまで一連としてやることになりました。会社設立の際は亜土電子工業さんの協力を得ていますが、資本関係はありません。販売の面で亜土電子工業さんの協力を得てT-ZONE中心にショップ展開をしております。もともとはApple Computer用のハードディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-Rその辺の記憶装置を中心とした商品ラインナップを作っておりました。その次に周辺機器だけでなくパソコン本体もという話になりました。当然周辺機器とパソコンとが融合して最適なコンピュータ環境ができ、システムアップができるということです。ただアップル商品を売るというのは非常に販売ルートの制限があります。そこで我々は、アメリカにあるSuper MACというMacOSの互換機メーカーの商品を買い取り、ハードディスク、記憶装置、メモリなどのアップグレードをして商品化してユーザーに販売を開始しました。それがMacintosh Upgrade Serviceです。ケースのサイズからCPU、メモリ、グラフイックスカード、ビデオキャプチャーやハードディスク、記憶媒体、こういったものを全部バラの状態にバラしてお客さまの好きなカスタムメイドの仕様でマックの本体を手がけてきました。 ご存知の通りMacOSの市場というのは、全世界的にみても10%を切ったり、日本国内でもかなりAppleの市場というものが小さくなってきました。Windowsでは95、98が出てかなりシェア的にも伸びてきましたので、我々がビジネスを継続していく上ではWindowsに投入していかざるを得ないなという状況になりました。そこで次にWindows用の周辺機器を手がけました。Windowsの周辺機器になりますとどうしてもコストが中心になりますので、安いものから買われていきます。ただ我々はデザインに凝っていますし、小さな会社ですからあまり大量に生産して販売するというシステムにはできないもので、何か特長のある形での周辺機器を売っていきたいという思いがありました。我々の今までの周辺機器は、コンポーネントを積み重ねていくというスタイルのデザインをとっていますので、このデザインを踏襲したパソコンを作れないものかと考えました。本来はマッキントッシュのOSで作りたかったのですが、Apple自身の方針でOSの供給をしないという状況でありましたので、Windowsでもこういうコンセプトの商品があってもいいじゃないのかということで、昨年のPC Expoで発表して今年から販売をしております。省スペースPCと周辺機器とでパソコンが一体化されるというところが最大の特長です。 ― 今年から発売ですか。 清水 そうです。実際に販売しましたのは、今年の4月からです。
― “CONIGLIO”は何て読むのですか 清水 “コニーリョ”といいます。コニーリョというのはイタリア語でウサギという意味です。ウサギには早いというイメージがあり、こういった周辺機器やパソコンというのはスピードが優先されます。また、ウサギのイメージに早さの他に可愛らしさがあり、我々はデザインにかなり凝った商品を作っていますので、可愛らしさを備えた動物は何かといった時に、ウサギというのがでてきました。後つけなのですが、私はウサギ年なのです。(笑い) ― コニーリョPCはおいくらですか。 清水 今はメインにTYPE X3と TYPE X4 を出しています。店頭売価でTYPE X3が99,800円で、 TYPE X4にはSCSIが標準で付いており118,000円です。ただしモニターは別です。コニーリョはセカンドPC的な位置付けでというコンセプトです。このWindowsの仕様は本当に価格がめまぐるしく下がりますので、今はもうエンドユーザーさんより企業向けを中心としてやっております。 ― 個人の好きな方が買われるかと思いましたが。 清水 あとは既にこの周辺機器のシリーズを持たれている方、要はマッキントッシュが中心であるがWindowsも使いたいという方が買われるケースがありますね。大体皆さん、この中にはUSBも2つ付いたり、ほとんどの機能がこの中に詰まっているのですが、ただお客さんの方としてはName Valueだとか、あとは価格だったり、さらに拡張性というような、かなり雑誌社の評判で評価される場合があります。4月から発売したのですけれど出荷実績としては500台くらいです。 ― CPUはPentiumMMX200MHzですが、そろそろPentiumUの話とかは。 清水 そこら辺がビジネスとしてどうしようかと非常に悩んでいます。 PentiumUになりますとマザーボード自身が特殊なのでそれ用に変えないとなりません。今は、次のバージョンアップとしてはAMDのK6の300対応を検討しております。 ― コニーリョPCの販売は個人向けと企業向けでは、どのようですか。 清水 パソコンショップは値段がまず最優先されますから、企業向けを主にしております。企業向けの出荷は300台くらいです。 ― 注文してから生産するのですか。 清水 ある程度ベアーボーンという半完成品での状態です。
― カスタムメイドMacを発売されていますが、Windowsマシンについては如何ですか。 清水 MacユーザーさんからMacのカスタムメイドをやりながら中にはWindowsもやれないかという問い合わせはあるのです、そうした時には受けています。それをベスタの標準品としてMacのカスタムメイド以上にWindowsをやると、ビジネスを考えた場合は価格であまり手間がかかる分のメリットが出てこないのです。店に行って完成品を買った方が安いということです。要は何故Macがカスタムメイドで受けているかというとアップル商品しか競合商品がないわけですから、アップルを買うよりもベスタのカスタムメイドを買ったほうが高性能なものが安く買えるという部分がユーザーメリットとしてあるわけです。Appleとのライセンスが7月末で切れましたので、このビジネスも販売は年内で終了します。 ― 最近iMacが出たので、またMacが盛り返すということはありませんか。 清水 今、求められているのはiMacが出しているUSBのインターフェイスです。これはWindowsもそうなのですが、USBの周辺機器にかなり注目が浴びられています。うちの商品も今後USBの対応は当然考えています。我々のユーザーさんはどちらかというと、デザイナーや印刷屋さんやDTPユーザーが多いのです。DTPユーザーはUSBというよりもむしろ高速性を求めますので、USBでなくてIEEE1394というインターフェイスの方に我々としては力を入れていきたいと思います。当然1394になると高性能なハードディスク対応の展開が求められるので、自ずとしてパソコンショップから脱却して企業向けの販売が全体的にも中心になると思います。その中でMacもWindowsも使いたいというお客さまに対してWindowsのカスタムメイドを作る力はありますので、提供させていただいております。
― 御社にはユニークなCCDカメラがあるそうですが。 清水 ピクセラという商品で120万画素のCCDカメラです。ロスアンゼルスにあるピクセラ社の製品で、単純な代理店をやっているのですが意外に注目を浴びています。この製品の特徴は120万画素でコミュニケーションしたり、顕微鏡に付けられるというところに価値が認められています。顕微鏡に付けるCCDカメラというのはプロユースになってしまい、この機能ですと100万円から200万円はします。それがローコストでありながら、プロフェッショナルな機能に対応しているということです。実際のCCDカメラ自身は27万画素なのですけれど、シャッターを切るときに4回シャッターを切り、光スウィングという技術を使って27x4で約120万画素のクオリティを出しております。 ― ピクセラのユーザーさんはどういうところでしょうか。 清水 大学関係、病院関係などです。大学では理工系の教授が多いのですけれど色々なデータを画像でとってプロジェクターに映して研究発表するときなどに使い勝手がよいということです。今日もある大手の化粧品メーカーさんが来ましてこのカメラを使って女性の顔を写し取ってそれをプロモーションに展開するお話がありました。お店にこのしゃれたカメラを設置して撮影し、それをコンピュータに張りつけて例えば口紅をこの口紅にしたら、このマニュキアを付けたらという画面で合成しながらお客さんに合った口紅とか化粧品を販売するようなコミュニケーションをしようということです。 ― これは結構出ているのでしょうか。この前横浜で医療学会がありましたが、そういう所に出すと注目されるでしょうね。 清水 月に20台くらいです。広告はそんなに出していません。メールのやり取りが多く、口コミでという所です。余談ですが、映画のジェラシックパークの中で研究所でパソコンで自分の顔と相手の顔を見ながら何かコミュニケーションしているという場面でこのカメラが出ています。スティーブン・スピルバークが自分でこのカメラを持っていて、結構このデザインが好きだということで使っているそうです。 ― 簡単につながるのですか 清水 ノートブックにもデスクトップにもPCMCIA/PCI高速インターフェイスで簡単につながります。さきほどの化粧品の話が決まればワールドワイドで10万台くらい設置されることになります。これはあくまでも販売代理店ということで、実際私どもが開発・製造してわけではないです。 ― こういうのは企画で見つけるのですか。 清水 やはりお客さまに紹介していただく場合が多いです。ピクセラの場合は、日本の大手メーカーで光技術の研究をして方がスピンアウトしてアメリカに渡ってベンチャー企業を起こされました。彼以外は社長や従業員もすべてアメリカ人ですが、ある方から紹介されてベスタで売ってくれないかということで取引が始まりました。彼もうちがDTPや医療関係にチャネルを持っていることをご存知でしたので問題なくいきました。 ― 御社の企画・開発・販売体制についてお聞かせください。 清水 我々は6名で主に企画販売にウエートをおいており、開発は100%外部に委託しております。アウトソーシングといえば格好いいのですが開発も生産も外注を使っております。 ― サポートセンターでは24時間体制とのことですが、苦労話がありましたら。 清水 RDS(Research and Development Center)センターでは、24時間サポートをやっていましたが、今はさすがにできなくなりました。苦労は耐えません。意外と電話はかかってこないですね。(笑い) ― 買う方が結構レベルの高い方でしょうかね。 清水 今はメールでやり取りできるので、何時でもメールで質問してきて、メールで返せば24時間以内にはレスポンスが返るという状況になりました。メールでのやり取りが多くなったので電話は必要ない状態です。 ― 最初どういう意図で始められたのですか。 清水 最初は何かサポートを、何かお客さまに喜んでいただける取り組み方をしたいと思っていました。いつでも問題が発生したときに対応ができればお客さまにとってメリットが大きいだろうと、他ではやっていないのでそれを一つのアピールにしようと思っていました。だから他社に比べて価格が高いですよ、ということでやったのですが。 ― 今後の御社の展開は如何ですか。 清水 パソコンというのは価格という部分が非常に優先されている状況なので、もっと付加価値の高い、量より質という形で高機能、高性能な商品展開をして行こうということで、周辺機器にもう少しこだわりを持って、ファイバーチャンネルとか、USBとか、最新のインターフェイスの開発をやっていくことと、このデザインは引き続き踏襲して行きたいと思っています。数はそう売れるものでないし、特徴ある商品を作ることを目指しています。他がやらないような隙間隙間で展開をして行かざるを得ない状況ですから。 ― 今後の周辺機器への展開を具体的にお話くださいませんか。 清水 記憶メディアでは、今はCD-Rが流行なのですが、DVD-RAMが見えてきています。来年の夏くらいにはDVDがコンピュータの中で使われてくると思います。DVD自身で20倍速くらいのスピードが出てくると思います。それによりCD-ROMは全部無くなると思います。CD-R のコストが非常に安いのでMOは横ばいで急激な伸びは今後見こめないだろうと思います。今注目されているのは120Mバイト入るスーパーフロッピーで、伸びる可能性があります。それとアメリカの方ではZIPがかなり売れています。 アメリカにMicrotechという会社があり同じ周辺機器をやっています。どちらかというとベスタの商品はMacintosh用であり、高機能なデスクトップであり、DTPとかハイエンドな商品ですが、Microtechはモバイルのソリューションをやっている会社です。実は私はこの会社の日本法人であるマイクロテック・インターナショナル(株)で営業担当の取締役をやっているのですが。こういった小型化、軽量を追求したZIPやCD-Rや2.5インチのPCカードのハードディスクなどの完全なるモバイルソリューションを徹底的に追求している会社です。このMicrotechとも提携してプロフェッショナルからパーソナルまでカバーして次の展開を考えています。 ― 他に何かトピックスがあればお聞かせください。 清水 今、大手のカメラ量販店さんからコニーリョPCの商談が入っています。液晶パネルと一番高機能のTYPE X4にWindows 98を入れてメモリ64Mで消費税込みでも20万円を切る設定をしており、ボーナス商戦で相当な数が期待できるという話が進んでいます。 ― 楽しみですね。コンソーシアムに対するご要望やご希望がございましたら。 清水 商品紹介をしていただく Windows Shopping というコーナーが開設されたということで今後利用させていただければと思います。 ― 御社の製品を多いにご紹介ください。それでは、長いことありがとうございました。 |