活動報告
●第77回セミナー(ビジネス・イントラネット委員会主催)実施報告
|
日 時:平成10年8月27日(木) 16時00分〜18時00分
会 場:ホテルニューオータニ(千代田区紀尾井町)
参加人員:102名
構 成:
第1部 「2000年へ向けての技術展望 The Future of Windows」
マイクロソフト株式会社
代表取締役会長 古川 享 様
第2部 「Windowsコンソーシアム便り」
Windowsコンソーシアム会長 松倉 哲
古川会長からまずWindows 98の出荷について「7月25日に出荷され、当初3ヶ月で50万本いけばいいと思っていたが、2週間で50万本達成できた。IDCの調査では、2日間で25万本出ており、この勢いはWindows95の4日間での25万本を凌ぐものである。皆さま方のお力をいただくことにより達成できたものと改めて感謝したい」と、お礼の言葉がありました。
続いて「Windowsのテクノロジーは非常に幅を持っており『2000年に向けての技術展望』ということで、これから3〜5年のスパンについてコンシューマの話がメインになるかもしれないが、NTにも触れながらお話をしたい」と、100枚近くのスライドと映像、音楽の再生、インターネット、Wevテレビから情報や映像を取り込みながらデモを交えてのお話は出席者を圧倒し、予定時間を軽く超えて約2時間にわたって行われました。
スライドのタイトルは、「PCサクセスループ」、「Windows:技術革新のトレンド」、「ネットワークの融合」、「メディアの融合」、「インターネットを活用した高度な情報メディア」、「インターネットの最新技術」、「Microsoft Windows 98 アクセシビリティ機能の提供」、「Bill Gates Information at your fingers 2005」、「Windowsファミリー」、「Windows CEの提供する基盤」、「Auto PC Demo」、「Optimize Devices by Category」、「Palm-size PC Platform」、「Applications Included」、「More Than Just a Reference Device」、「Natural Input-Characters」、「組込み型デバイスの事例」、「パソコンによって放送を受信できるように」、「デジタル放送のインフラ」、「家庭におけるWindows」、「衛星インターネットの試み」、「WebTV」、「WindowsファミリーVision」等々と大変多岐にわたっておりました。
お話の中からいくつかのポイントをピックアップして、ご紹介いたします。
● PCサクセスループ
パソコンがここまで成功し得た一番大きな流れは、メインフレームの世界と違って、ハードとソフトの分離が完全になされ、全てのこの業界に携わる方々が等しく権利を持ちながら、新しい創造と変革が生まれ、色々な分野での価格下降があり、出荷数量が大きくなったところで、お客さまにとって選択の幅が沢山あるという、健全なサクセスループがきれいな螺旋状に回転しながら進歩して、今日ここまできたのではないかと思う。
● インターネットの最新技術
インターネットは単にホームページをアクセスするだけでなく、これから先にイントラネットの構築、メディアとしての新しい融合を始めることが目の前に迫っている。
ここで述べる新しいコンポーネントやテクノロジーは、マイクロソフトの開発研究部門www.research.microsoft.comで検索できる。将来的にWindows NTのその先ではどんなOSを作っているとか、データベースの研究、自然言語処理、エージェントに関して、またコンピュータグラフイックで大学との共同研究している部門などがこのページの下にある。
● インターネットの世界をうまくつないで新しいカルチャーを作っていく試み
CD-ROMとインターネットをメディアとして融合させたらどんなことができるかということで、ユーミンがこの4〜6月に全国ツアーをやったときに、コンサートができるまでの経由とCD-ROMがパンフレットの中に入っている状態で、なおかつインターネットで日々の新しい出来事を完全に連動させて一つのメディアにした例がデモを交えて説明されました。
CD-ROMとインターネットをメディアとして融合することにより、同じインターフェイスの中でCDに行くのか、もしくはネットワークの先に行って最新の情報をつかむことができることになる。アーティストにとってみると、単にホームページにアクセスするとか、ホームページを作ってそこに来てもらうという行為だけでなく、コンサートなりCDを使った音楽活動に互換性がある形でインターネットを使っていくということが新しい試みとして始まっている。
「苗場での実験」とは、コンサートの途中でチャットを始めてその中で面白い意見を出してくれた人を10人だけを選び出して、ユーミンのお部屋に連れて行く。コンサートが終わった後でユーミンと実際に観客の人達が実際にチャットを楽しみながらそのリクエストに応えて、ユーミンが自分の部屋から皆に向かって一曲演じるという、そんなコラボレーションが生まれた、という実験を繰り広げていきたいということです。
● NetMeeting(インターネットによる会議と情報共有)
IEを起動して「インターネット通話」を選択すると、「Microsoft NetMeeting」のコンポーネントが立ち上がる。これは、パソコンについているマイクやスピーカーを使ってインターネット電話がかけられるというコンポーネントであるが、それ以外にUSBポートに簡単にTVカメラを接続すれば、相手の顔を見ながら通話ができる。この機能はIEに標準についていながら誰もまだ使っていなかった。これを使うことにより、オーディオ会議、データ会議、ビデオ会議、情報を共有しながらの会話、個人間のみならずグループ会議もできる、テキストベースのチャットやホワイトボードも完備しているので、是非使ってみて欲しい。ただ相手と会話するという行為だけでなく、情報を共有しながら進めるということが、これから業務アプリケーションを作るときにも役立つといえる。
● Microsoft Site Server Commerce Editionの活用
Site Server Commerce Editionを活用して業務アプリケーションを構築することが非常に重要になってくると、デルコンピュータのシステム構築例の説明がありました。
Site Serverが効率良いホームページを画面に出しますよ、という行為だけでなく、実際に受発注から営業・販売、支払、出荷・納品、顧客サービス、賞品企画・市場開発、広告・宣伝までからむすべての行為を複数のコンピュータを組み合わせてできることによって、実際にはイントラネットによる情報共有が効率良くなされ、インターネットを通じたビジネスがはっきり利益を生むという状態にした。
● Windows 98のもう一つの特長である「八つ目の特長」が伝わっていない
アクセシビリティ機能(MSAA:Microsoft Active Accessibility)の提供により、高齢者やチャレンジド(弱視、難聴など)の方々のために配慮されたアプリケーションの開発が可能になった。具体的には、文字の拡大やコントラストの変更などの機能である。ソフトウエア開発者向けにアクセシビリティガイドライン、MSAA J-Developers Kit 1.0が昨日(8月26日)から無償提供されたので、これにそってアプリケーションの開発をお願いしたい。 www.microsoft.com/japan/enableに情報があるので是非検討いただきたい。
● Windows CEの提供する基盤
@ ホームプロダクツ(テレビキャスト、WebTV、電話機など)、A組込み型ビジネス(産業用PC、インターネット・ミニ街頭端末、オーダー入力システム、パーソナルナビなど)、BPCコンパニオン(ハンドヘルドPC、Auto PC、パームサイズPCなど)の3つの分野があり、高度な情報通信機器から家電製品まで非常に用途が広い。この4月に発表され、9月後半に出荷されるAuto PCのデモがあり、そのアプリケーションは、ラジオ、CDプレーヤー、アドレスブック、ワイヤレスコンテンツ、カーナビゲーション、コントロールパネルなどである。PCコンパニオンでは、カテゴリーにより使用するデバイスがオプティマイズでき、そのプラットフォームとしてはWindows CE User Interface、Windows CE APIs/tools、VoiceNote recording、Inking、CF Slot、Windows CE ActiveSync Pocket Outlookがある。先週米国で発売されたばかりのPHILIPSのノートブックを使って最新のパームサイズPCがどんなことができるのデモが、音声で電話をかける、自然言語処理による文字認識などについて行われました。このパームサイズPCには、Pocket Outlook、Voice Recorder、インターネットのChannels、Solitaire、Note Taker、CalculatorおよびClockのアプリケーションが入っている、とのことです。また、組込み型ビジネスについても医療システム、タッチパネルによるピザの注文などさまざまな分野についての例が紹介されました。
●Windowsの新しい流れとして放送と通信、コンピュータの融合
これから放送のデジタル化が進むにつれて、パソコンを使ってインターネットだけでなく地上波のテレビ放送、衛星放送、ケーブル放送がすべて受信できることが可能になる。デジタル放送のインフラとしては、放送のコンテンツとして映像、音声、ホームページといったものが番組制作の中で使われ、それが放送送出としては地上波、衛星、ケーブル/有線、インターネットの4つでパイプが作られ、受信できる道具としてパソコンとテレビが各々活用されていく。その中でマイクロソフトとしてはどんなものが提供できるか、クライアントとしてパソコン、パソコン以外のデバイスをどのように作っていくかということに対して、Windowsのテクノロジーを使ってこれを支えて行こうと思っている。とくにクライアントのサイドでは情報家電としてゲーム機、セットトップボックス、DVD、電話、WevTVのようなものにWindows CEが使われ、テレビ(テレビ、エンハンストTV)にもWindows CEが、またホームPCの中にはWindows 98が搭載され、ホームエンタイメント(HE) PCではこれから先にWindows 98だけでなくWindows NTが搭載されることも考えられる。11月発売予定の次期『WebTV』の試作機が紹介され、インターネットを見ながら、同時にテレビを見る機能があり、右下隅にあるテレビ用の小画面の位置を動かすことも可能でまた、小さいサイズのテレビ画面を、複数同時に表示させる機能のデモがありました。また、テレビとインターネットを融合させたデモがあり、テレビ画面上に、インターネットの文字情報を、テロップのように表示させるもので、例として、プロ野球では投手の過去のデータや他の試合の状況を同時に表示させることができる。これが、テレビとインターネットが融合する将来像であるという、ことです。
最終的には、テレビとパソコンの機能を融合した“ホームエンタイメントPC”へと進化するが、こうした世界を構築するベースとなるのがWindows NTをプラットホームとしたネットワークの世界である、と締めくくられました。
ここでご参加の皆さまからのご感想を紹介いたします。「いつも古川さんの説明には熱い情熱が感じます。とても面白い内容でした。ビジネスに最大限利用します」、「WindowsがWebTVまで関わってきているのには驚きです。いろいろとデモンストレーションをやっていただき分かりやすかった」、「WevTVのデモが大変面白かった」の他に、「利用されているWebTVのテクノロジーがもう少し分かると良かった」、「最近ソフトウエアから遠ざかっているので、とても参考になった。ただWin98/NTをプラットフォームとしてどう実現されていくのかがもっと知りたい」、「さまざまなWindows技術、Windows DNA、DCOMなどが実際のシステム、例えば今日紹介していただいたWebTVなどとどう関連してくるかなどの話がききたい」のご意見がありました。
第2部では、松倉会長から「Windowsコンソーシアム便り」として、Windowsコンソーシアムが提供し、7月25日から一般公開された『Windows製品カタログ・データベースのホームページ』のご案内と説明が行われました。
Contents
Windows Consortium ホームページ