Windows よもやまばなし


WindowsでのSystem構築裏話

富士ソフトABC株式会社 鎌倉事業所
第1技術G 課長 鈴木 裕 
ysuzuki@fsi.co.jp


 まずは執筆にあたって私のプロフィールから紹介したい。
 5年以上前のことですが、UNIX Workstationを12台ならべ、NFS(Network File System)、YP(Yellow Page、最近ではこんな言葉はないが)UUCPでのバケツリレーの構築を手がけて以来、Networkを中心としたシステム開発/構築に携わってきている。
最近ではUNIXでのSystem構築というのは、めっきり少なくなり、Windowsを中心としたSystem構築になってきている。
今回はWindowsでのSystem構築裏話をいくつか書いてみたい。

「Windows 98での意外な落とし穴!?」

 この間、6拠点をWANで結びNTのNetworkを構築し、その上にASPを使った販売管理システムをCut Overさせた。  皆さんご存知のとおり、Microsoft Internet Explorer3.02にはいくつかの問題がある。Postを使う際に制限があり、この時これに見事にはまったのだ。仮の運用を開始する間際に文字化けが発生したり、Microsoft Internet Explorer がかたまったりするのだ。Microsoft Internet Explorer4.0以降であれば、この問題が対処されているというFAQを見つけさっそくMicrosoft Internet Explorer4.0で確認を開始したが、HTMLの構文に誤りがあるとかObjectが見つからないというMessageが出て動作させることができなかった。
 一般にHTMLを利用したSystemの移植性は優れているといわれているが、Microsoft Internet Explorerの3.0Xから4.0への移植にはそれなりのWorkがかかりそうだ。Windows 98が発売され、Microsoft Internet Explorer4.0を搭載したパソコンの導入を控え、今後このWorkをこなしていく予定である。
 お客様と動作するのはMicrosoft Internet Explorer 3.02と約束を取っていたとしてもこのWorkにかかる費用を素直に認めるお客様はまずいないだろう。Windows 98では、Windows 95で動作している大多数のアプリケーションがそのまま動作するのだが意外にも こんな所に落とし穴があったのだ。

「Windows Network」

 Windows NTを利用してNetworkを構築していくにあたり、よく信頼関係や名前解決方法がよく分からないという話を聞く。
 実際にWindowsでいうDomainとInternetでいうDomainとでは違っているし、Windowsでいう名前解決のWINSはWindows独自のものである。WindowsのマシンだけでNetworkを構築できるケースであればこれらは、おそらく問題にはならないであろう。
 しかし、実際のUserのSightを考えるとOS2ありNetwareありMac ありServerとして UNIX Workstationがあるという状況である。
 これらをいかに透過に扱うかこれが重要である。 Windows NT4.0になって (一部はService Pack 3以降だが…)Networkの標準といわれているものをサポートし、運用可能な状態となった。例えばNetware for Gatewayにより、Windows Clientより、 NetwareのServer上にあるFileをアクセスしたり、Netwareのプリンタに印刷することもできる。
 また、Macintosh GatewayによりMacintoshとも同様なことができる。この様な環境になってきた今、Windows NTを中心としたNetworkが検討されるのは当然なことであろう。
 しかし、Network Managementという観点ではまだまだUNIXに一日の長がある。次のWindows NT5.0では、Directory Service などをサポートし出荷されるといわれているが、UNIXでは標準的にサポートされているものが多い。負荷分散、障害時を考えると、Directory Serviceは必須であり、これを搭載することでNetworkのServerとしての位置付けが生まれてくると思う。

「TCOの削減!? - アカウントの統合管理 -」

 少しWindowsから離れてしまうが、是非書いておきたいことがある。
 最近では、Windows 95やWindows NTを中心としたネットワークが多く構築されている。大手の企業では、その上にExchange等のGroup Wareが導入されている。それ以外にHostがあったり、UNIXがあったりと社員1人で3-5のアカウントを持っている企業も増えている。これらの企業では、4月・10月の人事異動の時期前は情報システム部門を中心として明け方まで電気がついていることが多く見受けられる。
 統合的にシステムを構築している事例は少なく、人事システムは人事システム、基幹システムは基幹システムとして構築されてきたためにこのWorkが生まれているのである。 また、日本の風習として人事異動に関する情報は直前まで公表されず、3-4日前からこの作業をするからではないだろうか?
 某銀行の顧客情報漏洩以降、ネットワークのセキュリティを考えているのだが相談に乗ってほしいということをよく聞く。最近では、Single Sign Onという単語に代表されるように、個人を認証することが企業内LANでも検討が進み出している。
 最近のはやりでは、One Time Password, ID Card,筆跡認証,角膜認証,音声認証等の認証技術が定着し出している。どれも、専用のH/Wが必要である。例えば、ID CardではID Cardリーダー、専用のボード、ドライバが必要であり、安くとも2万円前後はする。端末が数千台もある企業ではこれだけでかなりの出費になる。これ以外に既存のマシン1台1台にID cardリーダの接続,ドライバのインストールを行うとかなりの金額になる。
また、認証サーバーおよびクライアントの金額も馬鹿にならない。本当にここまでやらなければならないのであろうか? これらをまとめたアカウント統合パッケージというものが静かなブームになってきつつある。
 また、ERPに関しても日本でも話を聞くようになってきた。今後はパッケージ一つ一つがObjectと考えたObject志向での企業のシステム構築の時代が確実に来ると実感をしている。




今月のトピックス

富士ソフトABC株式会社 技術調査室 室長
山本 淳 (yamamoto@fsi.co.jp)



 米国でも日本でも当初の予測に反してWindows 98の販売が好調である。その理由についてはさまざまな定義付けがされているが、ひとまずPCメーカーや流通業界、ソフトベンダーは一息ついている。お盆休みで会社も静かになり、家のPCをバージョンアップしている人も多いだろう。
 7月下旬にパシフィコ横浜でMicrosoft Tech・Ed 98 Yokohamaが開催された。全国から集まった2,500名余りの技術者を前に、マイクロソフトは相変わらず「企業ユーザーのためのWindows NT 5.0」という戦略を進めている。NT 5.0の出荷時期については、99年第1四半期から第2四半期、さらに最近では99年末という説まで飛び出してきている。97年9月の米国PDCで配布されたNT 5.0 Beta 1版からほぼ1年が過ぎて、ようやくこの8月下旬にBeta 2版の配布が行われる見込みである。98年末にさらにBeta 3版が配布され、99年のある時期に製品版がリリースされることになる。もう1年以上もNT 5.0に関するさまざまな新機能の紹介を耳にしているが、果たして本当に製品版を手にするのはいつになるのだろうか。
 NT 5.0 Beta 2版のリリース遅れの影響を受けて、NT 4.0 Service Pack 4のリリースも大幅に遅れている。ベータ版を見ると修正項目の多さに驚かされる。たしかに前回のSP 3リリースから時間が経ち、セキュリティ関連などいろいろな問題も指摘されてきたし、NT 5.0で実装されるはずの一部の機能が前倒しでSP 4で組み込まれるとの話も出ている。
 こうしたマイクロソフトの戦略に反するかのように、企業ユーザーがWindows 98を導入するようになってきている。いつ出るか分からないNT 5.0を待つまでの間、USBなど新しい周辺装置をサポートした最新鋭のPCを有効利用するための選択となっている。またNT 4.0も順調に出荷数を伸ばしていると聞いている。Tech Edを覗いてみても、マイクロソフトの戦略に疑問符をつけながらも裾野はどんどん広がってきている。夢のNT 5.0の話に耳を傾けながらも、現状で選択できるソリューションやアプリケーションの開発に手を染めている。

 お盆休みが終わると、日本では8月19・20日にSQL Server 7.0 Developer's Conferenceが開催され、「今度こそ本当にOracleに追いついた」SQL Server 7.0が出荷される。同時にDirectX 6.0の出荷に合わせたMeltdown Tokyo 98 SUMMERも開催される。 そして米国では9月2日にVisual Studio 6.0出荷を迎えたDeveloper Daysが開催される。日本でも9月18日に東京で開催され、10月にはマイクロソフトが営業所を置いている札幌・仙台・名古屋・大阪・広島・福岡の6都市に地方展開する予定である。10月中旬には米国コロラド州デンバーでPDC 98が開催され、NT 5.0に関するさらに新たな展開が予定されている。この間にもOffice 97のService Release 2も登場するようだし、Office 2000のベータテストも本格化する。この8月から10月までの3ヶ月をどう過ごし、どんな新しい話題が登場するのか、目も耳も休む暇がないだろう。

 個人的にはTech・EdやDeveloper Daysにスタッフとして絡んで、裏からの話もいくつか耳にしているのだが、それ以外でもWindows DNA戦略に関する雑誌・書籍原稿の執筆依頼やセミナー講師の依頼が相次いでうれしい悲鳴を上げている。その合間を縫って、営業担当者に同行してユーザーを訪問し、要求に応えるべき意見を述べさせていただいているのだが、どうもこの業界には部分的な不況感はあるものの、全般的には好調さを維持している。2000年問題を含めて技術者を探すのが大変で、新しいシステム構築の話は目白押しで、インターネット技術を有効に利用した新しい形態のサービスが続々と登場してきている。こうした作業に関わっている技術者は、毎日遅くまでマシンに向かって格闘していることだろう。

 上記のマイクロソフトのイベント関係はホームページを通じて情報をチェックし直した方がいい。

  ・Windows 98
    http://www.microsoft.com/japan/win98/
  ・Tech Ed 98 Yokohama
    http://www.microsoft.com/japan/events/teched98/default.htm
  ・SQL Server 7.0 Developer's Conference
    http://www.microsoft.com/japan/bkoffice/ntsql/devcon/
  ・Meltdown Tokyo 1998 SUMMER
    http://www.microsoft.com/japan/directx/japan/meltdown/default.htm
  ・Developer Days 98 Tokyo
    http://www.microsoft.com/japan/developer/events/devdays/
  ・米国Professional Developers Conference 98
    http://events.microsoft.com/events/pdc/


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