最新Windowsソフトウェア事情(第41回)


Windowsコンソーシアム顧問 高橋 三雄
mtaka@fsinet.or.jp



瑞浪(みずなみ)から愛をこめて

■麗澤大学における新生活

 本年4月に千葉県柏市にある麗澤大学国際経済学部に移ってから私の生活は一変した。大学の授業は火曜日と水曜日に組まれており、火曜日の最後の授業(大学院「経営情報科学研究I」)は最後の時限なので夜8時までかかる。世田谷の自宅からゆうに2時間はかかるので8時過ぎに大学を出ても、途中、食事をしたりすると帰宅するのは11時頃になってしまう。翌日9時過ぎにまた家を出るのはしんどいので、学内に泊まることにした。麗澤はじつにめぐまれた大学で研究室棟に宿泊ルームが用意してあり、その都度、清潔なシーツなど寝具一式が無料で利用できる。ほかに学内には本格的なホテル施設もあり、これはもちろん、有料であり、学内関係者には割引があっても毎回だとコスト的につらい。朝の食事は学食で学生と一緒にいただく(300円。今日は「鮭定食」だった)。ふたたび大学(青春)時代に戻った気がする。「まだまだ若い」、そう思いたいこの頃である。
 さて、麗澤は文科系大学としてはインターネットをはじめ情報技術教育が盛んであり、パソコンやネットワークのインフラが充実している。たとえば、インターネットにしても高速のLANや外部の接続経路がめぐまれているのか、実に高速のネットサーフィングをエンジョイできる。大学のホームページには私が所属する国際経済学部ともう一つの学部(外国語学部)の先生方がそれぞれページをもっており、スタッフ一覧あるいは学内マップ(クリッカブルマップ)からページを参照できる。私もさっそく自分のページを開設したことはいうまでもない。また、Web上の本欄へのリンクを張ったことも当然である。

図1

 図 1は麗澤大学のホームページ(htt://www.reitaku-u.ac.jp/)から「教員とセミナー」をクリックして教員一覧をリストしようとしているところである。上段のマップには私の場所もいずれ確保してもらえる予定である。

図2

 また、図 2は私のホームページの一部であり、そこにはWindows Viewに連載中の記事一覧へのリンクも張ってある。私の原稿もとうとう40回を超える長期連載になった。その都度、各号のWindows View目次から「最新Windowsソフトウェア事情」を選択するのは面倒なので、私のページに連載一覧をもうけ、そこから直接、各号の私の記事へとたどることができるようにした。

図3

 図 3はこの記事一覧のページである。この作業の過程で過去の記事を読むとこんなこともあったのかと、自分が執筆した記事ながら懐かしく読むことができた。苦労したことがこんなところでむくわれる思いである。ただ残念なことはWebにアップされているのは第11回からの記事であり、事務局にはぜひ、第1回目までさかのぼってWebにアップしていただきたいと思う。Windows View全体を掲載するのは無理としても私の記事だけでも別に場所を作ってもらい、そこに載せて欲しい。よろしく。

■「瑞浪」ってどこ?

 本題に入ろう。麗澤には高校もある。柏の麗澤高校と岐阜県瑞浪市にある麗澤瑞浪高校である。さっそく麗澤瑞浪高校のホームページを参照してみると図 4のような画面が表示された。

図4

 ここにはなんと、「瑞浪高原ゴルフ場」のリンクまで見えるではないか。じつは麗澤大学(麗澤高校)の母体は廣池学園、この廣池学園は廣池千九郎博士によって始められた「モラロジー運動」がその出発点であった。モラロジー運動に賛同される多くの企業人が活動の場として柏や瑞浪そして全国各地に拠点をもうけて現在にいたっている。瑞浪は広大な敷地の中に高校やゴルフ場も散在するすばらしい環境の中にある。いずれ、コンソーシアムのみなさんとコンペでも開催できたらと思っている。そのためにもゴルフ場のページも図 5に載せておこう。

図5

 じつは柏の大学そして高校が所在する場所に隣接して「モラロジー研究所」があり、10万坪をはるかにこえる敷地の中には9ホールのショートコースがある。私はまだプレイする機会を得ていないが、クラブハウスで昼食を楽しむかたわら、横目で眺めたコースはじつにきれいで挑戦的であった。73ヤードから最長210ヤードまで庭園風なレイアウトの中にみなさんのプレイを待っている。敷地内には最新の研修施設もあり、可能であれば夕刻コンソーシアムの会合を研修寮で開き、翌日午前にショートコースでのコンペを開催して午後から各自の会社へ出勤というのはいかがだろうか。都心から千代田線で40分の南柏が最寄りの駅、駅からはバスで5分の場所である。ゴルフはともかく、一度、遊びにきてほしいと思う。
 また脱線してしまったが、じつは今週の金曜日(本欄を執筆している現在は6月3日の泊りあけの研究室)、千葉県柏市の麗澤高校と岐阜県瑞浪市の麗澤瑞浪高校の間を1.5Mbpsの回線でむすび、ピクチャーテル社のビデオ会議システム(LiveLAN)をもちいた遠隔接続実験授業が予定されている。柏側では麗澤高校の窪田先生(物理担当)そして岐阜県の麗澤瑞浪高校側では、なんと私が授業をすることになった。この催しは両校の間が128Kbpsの専用線接続されたことを記念して行われる行事である。なんで、4月にきたばかりのお前が高校の授業をもつの?と思われるだろう。私もそう思う。しかし、私は大学の情報技術教育についてまだまだ検討の余地があると考えており、その前段でどうしても高校や中学における情報技術教育について現場の先生方と議論したいと思っていた(実教出版の商業高校向け教科書「情報処理」他3冊は私が監修している)。そうしたときに、私が放送大学の授業を担当していることもあったのか、それとも単なる物好きと思われたのか、私に話が回ってきたのであろう。

図6

 図 6は「遠隔接続実験授業」のホームページである。ここには実験の趣旨や通信トラフィックのデータさらにはネットワーク回線図なども掲載されており、実験データとしても参照できる。また、7日(日)にはモラロジー研究所の大きな催しが予定されており、廣池理事長や堺屋太一氏の講演がある。1万人をこえる催しなのでこれらの講演は移動式のジャンボトロンに映し出されるとともに、岐阜県瑞浪でも見ることができるようになっている。この実験授業のページがいつまで残されているかわからないが、麗澤大学のホームページのリンクをたどって参照いただきたい。

■瑞浪への道

 私にとって瑞浪ははじめての場所である。4日(木)午前に吉祥寺の成蹊大学の授業が終わったあと、車で移動することにしている。途中、小淵沢で降り、我が「八ヶ岳山荘」で小休止してから瑞浪へ向かう。こうしたときに、地図ソフトが役立つことはいうまでもない。

図7                          図8

 図 7は「MapFanIII」上で瑞浪周辺を調べた様子を示している。このソフトは自作の地図を作成するためのソフト「まっぷっぷ(エーアイソフト社)」と連動しており、図 8のように、まっぷっぷの地図へ移して案内図の作成に利用できる。リアルな地図もよいが案内図としてはこの図の方が見やすいだろう。もちろん、麗澤瑞浪高校のホームページには図 9のようなわかりやすい地図が掲載されていたことはいうまでもない。

図9                          図10

 瑞浪での授業はプレゼンテーションソフト(PowerPoint)に依存して行う予定であることはいうまでもない。その一部は図 10のようになっている。私はこの授業の中で「柏から瑞浪にいたる道筋で出会うできごとをシナリオ風に描き、その中でパソコンソフトを登場させようと考えている。まず、「八ヶ岳山荘」に立ち寄ったあと、近所のトヨタのディーラーで新型RV車(ハリアー)を試乗することにする。じつはこのHARRIERは広告用のCD-ROMが無料配布されている。私の手元にこの広告用CD-ROMがあり、再生すると新車のデザインやインテリアをインタラクティブにパソコン画面上でじっくり眺めることができるし、また、バーチャルな試乗もできるようになっている。CD-ROMドライブが標準装備された最近のパソコンはCD-ROMをメディアとした広告キャンペーンの対象になろうとしている。

図11                          図12

 図 11はHARRIEで車のインテリアを眺めているところである。マウスをドラッグすることで360度、どの方向にも動き回ってインテリアを見ることができる。また、拡大/縮小も自由自在である。ついで、図 12はHARRIERの試乗風景である。画面右側のアクセルをマウスボタンで押すと車が動きだし、強く押すと速度が上がる。アウトドアでも、ハイウエイでも、さらにはシティでもHARRIERの姿は風景にマッチすることが実感できる。実際に買いたくなってしまったが、値段が手におえないので山荘用にはホンダのCR-Vの中古車を考えているところである。ホンダのホームページでは同じく360度、自由自在に新車を眺めることができるということである。
 つづいて、瑞浪にいたる途中の風景をデジタルカメラで撮影し、アルバムソフトのスライドショウ機能を使って順番に画面上(プロジェクタで拡大した)に表示することである。その場合にはあわせてバックグランドミュージックを流すこともできる。

図13

 図 13はPaintShop ProにセットされているMediaCenterを使ってスライドショウの設定を行っているところである。ただし、実際に瑞浪へ出かけるのは明日のことなので図では前回のComdex/Springの写真を例示している。
 シナリオではつづいて途中、デジタルビデオカメラで撮影したビデオ素材をソニーのDVキャプチャー用PCカードを使ってノートブックパソコン上で再生し、これはと思う画面を静止画として保存することを考えている。高校生にとって見て楽しいデモはやはりマルチメディア関連だと思われるからである。

図14

 図 14は実際に適当なDV用のビデオ映像をパソコン画面上で再生し、適当な画面を静止画として取り込んだところである。画面右側には何枚かの静止画がリストされている。これらはJPEGあるいはBitmap形式で保存し、さまざまな目的に利用できる。

■情報技術に対する高校生の意見

 シナリオではまた、高校生に「私にとっての情報技術」という質問にもとづいて意見をアンケートしており、それらの回答を「ISOP KJ法」ソフトを使って整理することにしている。

図15

 図 15はその画面例である。図にはカードのイメージで数多くの意見が収録されていることがわかる。これらのカードを組み合わせて整理していく作業が続くことになる。講演はできるだけ、生徒をまじえて双方向にしたいと考えており、その素材としてあらかじめ生徒からの意見を聴取しておいたのである。これらのアンケート結果はあとであらためて整理して高校生が考える情報技術としてまとめたいと考えている。

 このようにして今回は麗澤大学関連の現状と遠隔接続授業の実験を題材として関連するソフトを紹介した。なお、話は変わるが、7月8日(水)〜10日(金)の日程で東京ビッグサイトを会場に「第3回データウエアハウスEXPO‘98」が開催される。主催はリードエグジビション・ジャパンであり、かくゆう私がセミナー企画委員長をしている。データウエアハウスはマネジメントの情報活用において大きな可能性を秘めており、近い将来、ソフトウエアの重要なジャンルの一つになると思われる。ソフトウエアの企画/製作にかかわるみなさんこそ、ぜひ、見に来てほしい。

図16

 図 16のホームページには展示会の無料招待券の請求コーナーもあり、本欄が印刷されたりWebに掲載される時期でもまだ、十分に間に合うものと思われる。

(麗澤大学国際経済学部教授
http://www.fsinet.or.jp/~kaikoma/)



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