Windowsよもやま話
富士ソフトABC株式会社
技術調査室 清水 栄子 ( mgicho@fsi.co.jp )
私は三日坊主である。家計簿だけは毎日つけようと堅く決心したのに、結婚当時買った家計簿は10年たった今でも半分も使っていない。どうして続かないのか、「面倒くさいから続かない」どうしたら続くのか?面倒ではない方法はないものか?「パソコン上で管理すれば簡単ではないか」「紙面で続かないものがいくら簡単だからって続くわけがない」等、いろいろな意見が飛び出した家族会議の結果、長女の「学校でもパソコンの時間があるんだよ」の一言ですっかり買う気になったパパ。ヤレヤレ...
そして念願叶って我が家に届けられたのは、家庭用にはこれが一番とコマーシャルしているF社のもの。この機種に決めたのはバーゲンだったから。
セット内容は、本体、ディスプレイ、CCDカメラ、マイク、それにカラープリンターまでついている。OSはWindows 95。家計簿ソフトはもちろんのこと、内蔵ソフトも多種多用である。これだけあれば何でもできる。さっそく家族にそれぞれの利用法を提案してみる。
夫はもともとこの業界の人間だった。
7〜8年前まではこの業界でバリバリ(?)と働いていた。いつも最新の情報をキャッチしていた彼のことを私は師と仰いでいた。だから多少のブランクがあったとしても勘はすぐに戻るだろう。やっかいなのは子供たちだ。「これはどうするの?あれはどうやるの?」と質問攻めにあうに違いない。考えただけで憂鬱だ。しかし蓋を開けてみるとどんどん使いこなしていくのは小学生の長女だった。3歳の次女までが流暢にマウスを動かしている。その傍らには夫が恨めしそうな顔で子供たちが快適にパソコンライフを楽しんでいるのを眺めているだけであった。過去にプログラマーであったといっても、今となっては単なる「機械オンチのおじさん」である。私は次女を出産するとき4ヶ月間の産休を取った(取らせていただいた?)。そして4ヶ月ぶりに出勤した社内は大きく変わっていた。たった4ヶ月間のことでこれだから8年間も畑違いのことをしてきた彼には、パソコンは単なる光を放つ箱なのであろう。何がなんだかわからないのも無理はない。導入にあたり、することになるであろうと思っていた「使い方説明会」は当初の予想を裏切って娘たちにではなく夫にすることになった。
機械オンチのおじさんとなった夫には何からやらせよう。やはりインターネットが手っ取り早い(まずはマウスと仲良くなるためにも)。大体のことを説明して後は自分でやらせてみる。その後わからないことを聞いてきた。彼はまず、「Windowsって何?」等という質問から浴びせてきた。うーん、そんなことから聞いてくるとは。改めて聞かれるとWindowsって何だろう。「Windowsって何ができるの?」「ツールって何?」(あーうるさい)。近所の方が「Windows 95が出る」と世の中が大騒ぎをしているときに得意げに「私もWindows 95を買うのですよ。」といっていた。「パソコン買ったのですか?」と聞くと「パソコンが必要なの?」と返してきた。まさか、あの方と夫が同類だとは思わなかった。その後、あの方が本当にWindows 95またはパソコンまで買ったかどうかは定かではないがあのときこのような伯父様方は多かったのではないだろうか?若者に負けるものかという意気込みだけで訳もわからず買ってしまって後悔している方々。本棚の隅でほこりをかぶりつつも出番を待っているCD-ROM。毎日のように次から次へと諾々と流れる滝のように出るソフトたち。一体、職業と切り離して使用している人達の何%くらいがWindows自体を把握し、使いこなしているのだろうか?
その反面、何もわからないはずの子供たちは快適なパソコンライフを楽しんでいるようだ。お絵描きソフトで絵を書き、飽きたらゲームのウィンドウを開いてゲームをする。姉妹でカメラに向かってポーズを取って画面を見ながらモデルの気分を味わったりしている。
またカメラで取り込んだ画像を右に、お絵描きソフトを左に置いて、右から左へコピーなどという技を駆使してお友達にお手紙などを書いたりしている。夫が苦手なのはこの辺のようだ。ワープロソフトや表計算などはヒョイヒョイと使って見せる。しかし組み合わせて使用しない。またはできないともいう。ひとつのツールをオープンしている間は画面いっぱいにウィンドウを開いていないと気が済まない。他のソフトへ移るときはクローズしたりしている。横で見ている私はまどろっこしくて仕方がないのだが彼はどうしてこんな使い方をするのだろう。それは「光を放つ箱=テレビ」の発想からなのだろうか?Windowsが登場する以前は一台のマシンはツールごとにしか稼動しなかった。当然画面はそのツールが目いっぱい自己主張する。Windowsが登場したことによっていちいちツールを起動しなくても良くなった。ひとつの作業の途中でも違うことが隣でできる。こちらからあちらへ、あちらからこちらへと、移動orコピーなどは何の苦労もいらない。便利になったものだ。世の中便利になるとどんどんと前へ進む。そのおかげでソフト類は毎日のように新製品が出て、並行してマシン自体の性能も日に日に高性能になっていく必要がある。企業の中の一人としてはどんどんと新しいものを購入し、導入し、自分のマシンが性能アップしていくのは楽しいものだ。しかしこれを家庭に置きかえるとこれほどの苦痛はない。常に最新の設備を整えることができるのは、よほどお金のある人か自宅兼作業場の人であって、趣味の域でのみ使用している場合自宅ではそこまで掛ける時間もお金もない。まして知識もない。仕事で使用しているのであれば必要として本も読むだろう。またこれだけパソコンに関する書籍・雑誌の類が山ほど出ているが素人にはどれを読めばよいかのさえもわからない。趣味の域で使用している場合、パソコンは少しつらいおもちゃなのかもしれない。
現在の我が家のパソコンは結構稼動している。といっても主に昼間子供が遊びで使用しているのだが。夫はたまに夜中に一人こっそりと書類などを作ることがある程度だ。たまには子供とインターネットなどでも見ればよいのに、立場が逆転してしまうので避けているようだ。ある日珍しく夫と子供たちでゲームをして遊んでいたときのこと。アクシデントが起こった。パソコンがうんともすんともいわなくなってしまったのだ。この時子供たちは冷静に事態を私へ報告に来たけれど、いっしょにいたはずの夫は一人で苦戦していた。まずしばらくはマウスをクリクリと動かしながら、まるで念力でも送っているかのように画面を見つめていた。その後やっとマニュアルを取り出した。マニュアルには「マシンが動かなくなったとき」等という項目の見出しはない。全部のページを見なくてはならない。探しているうちにイライラする。そばで子供が助言でもしようものなら「うるさい!」などといってしまう。かわいそうな子供たち。
夫のイライラが絶頂点に達する直前に私はプチンとパソコンを再起動させる。さっきまで家族の中に気まずい雰囲気を流す原因となっていたパソコンがすべてを忘れて再起動する。これでまた何事もなかったかのように稼動しはじめるのだ。夫はお株を奪われたようにちょっと怪訝な顔をしていたがそんなことは無視して「続きをやっても大丈夫だよ」と子供たちへ。そのときに「私がいなかったらどうしたのだろう」と考えた。多少だが扱いになれている私がいたからよかったものの、いない場合、または私も知識がなかった場合何をしたか。
・ とりあえず叩いてみる
・ メーカーに問い合わせる
・ 強制的に電源を落とす
いくら何でも叩いたりはしないだろうが、強制的に電源オフというのも素人にとってもはとても怖いことなので多分しないだろう。とりあえずは何所かに問い合わせるだろう。問い合わせの手段はやはり電話が手っ取り早いが、電話を通じて事態を説明ができるのだろうか。またはこちらのいうことは通じたとしても、先方のいってくれたことは理解できるのだろうか。用語さえもわからずオロオロするのが落ちなのだろう。便利になればなったで違う場面で手を煩わすことに違いはないような気がする。
我が家では家計簿をつけることを第一目的にパソコンを買った。そして家計簿はどうなったか?やはり性格上三日坊主は手を変え品を変えても三日坊主に代わりはないようだ。
今では電源を入れることさえ面倒くさい。勝手なものであんなにも欲しかったパソコンなのに見れば自分が怠っている作業を思い出し苦痛が倍増する。最近では「どうして買ってしまったのだろう」と思うことさえある。またスペース上の問題もある。「ノートパソコンにすればよかった」と少しずつ邪魔者扱いしている。張り切っていっしょに専用デスクなるものを買ってしまったのもいけなかった。設置した瞬間は狭いスペースながら自分の書斎ができたようでうれしかったが日がたつにつれ、掃除が大変なこともわかってきて一気に厄介物へ格下げになった。パソコンが来てからそろそろ一年になるが組み込まれていたたくさんのソフトたちもほんの一部触ってみただけである。たった一年弱で「ノートパソコンに買い換えよう」とはとてもじゃないけど言い出せないので、今月から初心に返って使いはじめよう。もしかすると来月からかもしれないけど。
富士ソフトABC株式会社 技術調査室 室長
山本 淳 (yamamoto@fsi.co.jp)
日本の会社は3月末で決算の場合が多い。というわけで、4月は新年度のスタートとなる。街には新入社員が溢れ、研修などが盛んに行われている。この業界でも気分を新たに、ビジネスがスタートしている。もちろん外資系の会社が多い業界なので、5月末や6月末といったそれぞれの年度末に向けたノルマ達成のために最後の悪あがきのキャンペーンが走り始めたりもする。ジャストシステムやアスキーなど、あまり聞きたくない厳しい現実が数字になって現れたりもしている。
今年で2回目の「COMDEX/Japan 98」が幕張で開催された。海外からの出展社も増え、ITプロフェッショナルのための展示会として、一応の成果は見せている。ただ人の流れを見ていると、世間の不景気の風は業界にも吹き荒れているように感じる。
マイクロソフトは98年夏に出荷を予定している"Microsoft Windows NT Server, Terminal Server Edition 4.0" (開発コード名: Hydra)を参考出品した。裏話を噂で聞いてだいぶ無茶もしたようだが、一向に盛り上がってこないNCなどThin ClientとPCとの棲み分けをどう定義していくのか、ライセンス体系などの噂も米国から漏れ聞こえてくるが、97年には一種のブームとあった「TCO削減」というキーワードとともに、今後の動きを注目しておいた方がいいだろう。
●Microsoft Developer Days 98 Tokyo
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主催者であるANTの西社長は基調講演でいきなり、「盲目的にマイクロソフトの技術を受け入れる必要はないが、ほかの技術と比較調査した上で何を導入するかを判断すると、自然と答えが出てくる」と持論を述べている。これから大企業の基幹システムにおけるホスト・ミニコン・UNIXなどとの市場競争がますます激化し、その過程でWindows DNAなど新しいフレームワークに従ったアプリケーション開発・あるいはコンポーネント開発の重要性が高まってくる。
会期中にMSDN 5周年記念パーティが開かれたのだが、今やWindows開発者にとって必須のアイテムとなっているMSDNが日本に登場して、まだ5年しか経っていないとは驚きである。ほとんど初期の頃から利用させてもらっているが、最初に配られた英語版のLibrary CD-ROMを手にしてのが5年前とはとても思えない。この業界では時計の針の進み方は世間とはかけ離れているに違いないと、改めて実感してしまった。
●Microsoft Windows 98 Marketing Day
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4月のWindowsセミナーでも紹介があったが、日本でもWindows 98が7月末に登場する。米国など英語版の出荷からわずか1ヶ月というタイムラグで、「コンシューマー向けの最強OS」が投入される。まだ機密保持契約が解けていない状況で、詳しい話をどこまでしていいのか判らないが、6月中旬には製品発表会が開かれ、7月上旬のWindows World Expoでは大々的なキャンペーンが打たれるようである。米国での製品価格がWindows 95と同じく109ドルという話も伝わってきているが、少なくとも家庭ユーザーに向けて新たな夏のボーナス商戦が繰り広げられることになるだろう。Windows NT 5.0に関しては出荷が遅れる噂ばかりが先行しており、今年の「売れる玉」はWindows 98しかないと考えている量販店の思惑もあるようだが、マイクロソフトの基本姿勢は「企業にはWindows NT、家庭にはWindows 98」という戦略を明確にしており、Windows 95を導入している企業にもいかにWindows 98を売らずにWindows NTを売るかが今後の課題になっている。
●Microsoft Tech Ed 98 (US & Japan)
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6月に米国で開催されるMicrosoft Tech Ed 98ではWindows NT 5.0のレビューとともに、97年のPDCで発表されたCOM+のベータ版が配布されるという噂がある。当然7月の日本での開催でも開発者としては注目しておかなければならない。開発ツール系がインターネットを通じてベータ版が配布されているものの、本格的な製品投入は秋になるという話で、ひとまずは7月の横浜に集結して情報収集に励んでおいた方がいいだろう。
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