活動報告


第67回セミナー(マルチメディア委員会主催)実施報告

日 時:1997年12月3日(水)13.30〜17.00
場 所:テラハウス/CAI B1Fテラホール
参加人員: 45名
テーマ: 『Windows最新マルチメディア・テクノロジー』
構 成:
 第1部 「Microsoft新マルチメディアテクノロジー DirectX Mediaの概要」
      マイクロソフト株式会社 インターネット事業部
      マルチメディア・テクノロジーグループ 担当課長
      宮田 行伸 様
 第2部 「Intel社のマルチメディア戦略とPentiumU」
      インテル株式会社 マーケティング本部
      アプリケーション開発支援部 ビジネスアプリケーション
      ストラジックソフトウェアプログラム マネージャ
      羽田 博文 様

 
 今回は『Windows最新マルチメディア・テクノロジー』と題し、マイクロソフトの宮田講師とインテルの羽田講師のお二人からお話をいただきました。宮田講師には新しいマルチメディア・テクノロジー出現の節々にご登場いただいており、今回は95年10月の第37回セミナー「Windows 95のGame SDK』以来2年ぶりのセミナーです。また、羽田講師からは本年4月第56回セミナーでのインテル社の菅原講師の「MMXテクノロジー Pentium」に続く「PentiumU概要とそれにかかわるマルチメディア戦略」についてのお話でした。
 なお本セミナーの司会は、マルチメディア委員会の原浩一委員長(株式会社ランドコンピュータ システム営業本部商品企画部長)により行われ、最後にSoftDVD98によるデモンストレーションがありました。

 第1部では、宮田講師のプレゼンテーションはdynamic HTMLを使ったIE4.0上で、DirectX Media技術の概要についてプロモーションビデオや多くのデモを交えながら行われました。

 
 宮田講師
 今まではDirectXというハードウエアを直接コントロールする技術の上にいろいろなマルチメディアサービスが整ってきたが、それを統一的なサービスにまとめあげたものがDirectX Mediaである。従ってマイクロソフトのマルチメディアサービスといえばDirectX Mediaを指すことになり、非常に重要な位置付けとなるものである。最初はWindowsで思いきり楽しめる、早く動かそうということでDirectXプロジェクトが始まり、ゲームの世界では充分成功したと思う。その技術は確立したために、その後にFoundation DirectXという名前を付け直してその上のマルチメディアを利用される方々のための技術としてDirectX Mediaを正式に提供を始めた。現在、Web上にSDKが上がっているので利用できる。最終的なSDKはCD-ROMで近日中に提供できるようになる。DirectX Mediaはマイクロソフトの統一的なマルチメディアサービスとしてデビューする。基本的にはWindows 98での利用が中心となるが、その前に提供を開始する。
 DirectX Mediaのサービスとしては、(1)ハイレベルなメディアサービスである。インターネット環境と完全に調和したマルチメディアコンテンツのためのものであり、またローカルなためのものである、(2)メディアプロセシングに対する統一的なソリューションの提供。Windows CEへの最適化、非常に柔軟なコンポーネントアーキテクチャーの導入、(3)ネットワークを想定しているのでストリーミングを高い効率で行う仕組みになっている。ASFフォーマットの採用、(4)プログラミング言語からの独立。Explorer上ではActiveXコントロールとしての提供とVB、Java ScripのObjectとして記述することができる。また、comインターフェイスを利用しているのでC++等で利用でき、Javaクラスライブラリとしても提供しているのでJavaアプレットの機能として導入することができる。
 DirectX Mediaの目標は、(1)アプリケーションレベルでのメディアサービスの提供、(2)メディアサービスの統合、 (3)複数のデジタルメディアユーザーと環境をサポート、である。
 DirectX Mediaは、DirectX foundationと二つに分かれたトータルなDirectXのハイレベルなパートである。その内分けは、DirectShow、DirectAnimation、Direct3D Retain Mode、DirectPlay、DirectModelという構成になっている。
 以降、これらの構成についての説明が行われ、特にDirectAnimationについては今まで簡単にWeb上でできなかったことが高いパフォーマンスで簡単にできる、ということでデモを交えた説明には、感心するばかりでした。DirectXの技術的な詳細はhttp://www.microsoft.com/directxにあるので参照して欲しいとのことです。
 出席者には「Internet Client SDK for IE4.0 Final Version」CD-ROMとテクニカルガイド「DirectX Media: Microsoft Internet ExplorerとWindows向けのマルチメディアサービス」および「DirectAnimation:DirectAnimationでマルチメディアが簡単に」(いずれもホワイトぺーパー:参考訳)が配布されました。「Internet Client SDK」は最終版であり、HTMLを組む場合には必須なものであり、これに関する解説本も出ていない。また、2つのテクニカルガイドも外部に出すのは今回が初めてであり、Webにもまだ上げてない、とのことです。これらの資料は、事務局に僅少ありますのでご希望の方は、メール(wincons@fsi.co.jp)にてご連絡ください。

 出席者からは、「非常に楽しいデモ入りでよかった。私も試してみたい」、「見せ方も凝っていて面白かった」、「ふんだんに使われたデモがよい。またデモの内容が非常に分かりやすかった」、「デモの内容は興味深い。Dynamic HTMLの使い方が面白かった」、「デモは面白かったが、もう少し細かい説明が欲しかった」とデモは大変好評でした。他に「Direct Animationの位置づけが明確になった」、「プログラムに便利そうなAPIが用意されていることが分かった」、「スクリプトを利用したDynamic HTMLでのデモがメインであったが、前バージョンとの違いや、アプリからの利用についての説明も欲しかった」、「ダウンロードサイズが小さくて面白いコンテンツが作成できることは充分分かったが、商業ベースで何に役立つのか具体像が見えない」、「DirectX系の技術は進歩が早すぎて困る。comの仕様から言っても次々とバージョンが上がると、とてもハードディスクが持たない」等のご意見がありました。

 第2部の羽田講師からは、(1)PC市場の状況と98年の傾向、(2)インテルの家庭向けプラットフォームのロードマップ、(3)PentiumUプロセッサにより実現できる新しい機能、について多くのデータを入れたスライドによりお話いただきました。

 
 羽田講師
 PC市場として今まではインテルMMXテクノロジーが主流であったが、97年後半からはPentiumUが本格的に普及してきておりその動向について、PentiumUプロセッサの組合わせでWeb上のオーサー、MIDIを含めてどういった点で強化できるのか、また来年以降の市場のボリューム的な所を中心としながらインテルの戦略について説明されました。
 今年は全世界で8000万強のPCが出荷されたが、来年末以降は1億の大台を突破することは確実と見ている。現在PC市場が停滞していると言われるが、インテルからメーカーへの出荷数量は来年の3月以降は持ち直すという見方をしている。今後イントラネット、4月以降本格化すると言われている電子商取引のニーズにより今後の市場のボリュームは15%以上伸びるだろう。全世界的に見ると2000年をターゲットにした場合、中国、インド、韓国などの市場が急速に立ち上がってくると思われるので、アプリケーションを開発する上でこれらの国向けのバージョンを今まで以上にプライオリティを上げても、例えば2番目にしても市場のポテンシャルは大きいと言える。
 インテルMMXテクノロジwith Pentiumは期待した以上の大きな販売店からの反応があり、ほぼ全てのソフトウェアパブリッシャがMMXテクノロジを使用したソフトを発売している。これからQ4、12月以降はPentiumUプロセッサ対応ソフトがビジネス分野においては徐々に立ち上り、マルチメディア・音楽系ではかなりの対応ソフトが出てくると思われる。PentiumUプロセッサは5月6日発表、ビジネス分野での利用を強調し、この秋よりコンシューマ市場・ビジネス市場での普及、コンシューマ・ビジネス向けプロモーションを開始した。また、AGP(Accelerated Graphics Port)という新しいグラフィックスの機能を高める採用のものをQ3に発表している。486バージョンがかなりの市場ボリューム(7割強)を占めるに50ヶ月以上かかったのが、PentiumUでは98年Q2には達成できるものと見ている。今後は特にグラフィックスのパフォーマンスをい上げるためにAGPに対応したアプリケーションに力を入れさせていただきたい。
 続いてPentiumUプロセッサのダイナミックエクぜキューション、Dual Independent Busアーキテクチャ、キャッシュ、プロセッサ・バスの転送速度、PCのグラフイックス性能、周辺機器の接続などについての説明がありました。
 AGPはWindows 98でOS的には完全にサポートされる。もしWindows 98が出る前に、AGPバス対応のアプリケーションを作ろうとする場合はOSレベルでのその部分だけのモジュール部分をインテルがある程度用意することができるので、要望がある場合はインテルに連絡いただきたい、とのことです。
 インテルとしては、PentiumUプロセッサを主に3つのエリア(3Dグラフィックス、デジタルイメージング、ビデオ)で新しいパソコンの使い方を提唱したい、ということでジャンル別、ビジネスモデルについての説明がありました。
 PentiumUはMMXに比べ、フローティングポイントが上がっている、16ビットアプリを使う際に更に高速な形となっている、イメージングでは7.2倍位、あまり知られていないものとしてモデムのエンコード/デコード処理が5倍位上がり、従来通信レベルで必要であったハードがいらなくなってトータル的にコストが1/5になったという事例もあるそうです。
 以降、PentiumUプロセッサの新しい機能によるユーザーの操作性の向上、DVD-ROMに適したアプリケーション、新しい機能・利点としてのオーディオ/音楽、対応のライブラリ・ツール一覧などについての説明があり、特に来年は子供向けのタイトルが今後大きな市場を占めるので力を入れたい、とのことです。マイクロプロセッサのロードマップでは、98年以降Deschutes、Katmaiが予定される。98年前半のホームシステム、アプリケーション開発支援の役割、最後にPentiumUプロセッサでスケーラブルになるツール例として3D Web Pageを簡単に作成できる「SUPERSCAPE」、またPentiumUプロセッサ+AGPでスケーラブルになるツール例としてリアルタイム3D制作ツール「Digital LOCA(Human)」の紹介がありました。

 出席者からは、「新しいビジネスとしての興味がある」、「DVDコンテンツの現時点での問題点を指摘するなど、我田引水ではなく本音ベースでのテクノロジー解説は大変理解しやすく、有用である」、「開発の支援については興味深い」、「大まかな内容でしたが今後の流れが参考にできる内容だった」、「将来におけるハイエンドマルチメディア戦略を聞きたかった」、「是非とも解説本を出して欲しい」などのご意見がありました。

 最後に、SoftDVD98の紹介とデモンストレーション(日本ビクター提供のデモ用DVD VideoソフトによるFull Circle、Hiromi Iwasaki LIVE 96)が、マルチメディア委員会の原委員長により行われました。

 
 原委員長
 DVDビデオ再生ソフトウェア『SoftDVD98』の特長は、(1)DVDビデオの再生をすべてソフトウェアで実現、(2)MPEG-2ソフトウェアデコーダー、(3)Dolby AC-3ソフトウェア、(4)バーチャル3Dサラウンド、(5)DVDビデオ・ナビゲーション、(6)暗号解除用ソフトウェア内蔵、である。詳細は、http://www.randcomputer.com参照。


 


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