活動報告


● 第65回セミナー: 第9回Windowsコンソーシアム総会特別セミナー

日 時: 平成9年11月11日(火) 15時00分〜17時00分
会 場: 京王プラザホテル 4F 花
出席者: 100名
テーマ: 『我が社のWindows戦略』
構 成:
 第1部 「マイクロソフトのWindows戦略」
     マイクロソフト株式会社
     ソリューションデベロッパー事業部 事業部長
     東 貴彦 様
 第2部 「NECのWindows戦略」
     日本電気株式会社
     第一パーソナルC&C事業本部
     パーソナルソフトウェア事業部
     アプリケーション開拓推進部長
     浅沼 明夫 様
 第3部 「日本IBMのWindows戦略」
     日本アイ・ビー・エム株式会社
     パーソナルコンピュータ事業部
     PCインダストリー販売事業部営業担当本部長
     長野 祐三 様
 第4部 「富士通のWindows戦略」
     富士通株式会社
     ソフトウェア事業本部
     第一ソフトウェア事業部 事業部長代理
     草野 明 様
 第5部 「東芝のWindows戦略」
     株式会社東芝
     パソコン商品技術部 部長
     日比 健二 様

 恒例となりました通常総会時特別セミナーでは、マイクロソフトおよびPCメーカー4社のキーマンの方々からそれぞれのWindows戦略につきましてご講演いただきました。

 
 
  
 マイクロソフト 東講師からは、この一年間マイクロソフトは企業システムに向けてさまざまなメッセージを色々なマーケティングプログラムを通じて発してきたが、これを振り返ってまとめ、また来年度に向けての方向性についての説明がありました。
今年主な課題としていわれたことは、次の6つである。(1)Total Cost of Ownership(TCO)、(2)大規模システムへの適用、(3)アプリケーション開発生産性、(4)業務ソリューション、(5)業種別ソリューション、(6)小規模システム。これらに対してマイクロソフトが行った活動についての説明がありました。
(1) TCOに対するソリューションとして、マイクロソフトからはWindows CE、NetPC、 Windows Terminalを解決策として提案してきた。Windowsファミリーの品揃えの拡張であるが、共通のインターフェイス、共通のアプリケーションプラットフォーム、共通の管理体系、共通の操作性などが支持を受けている。(2)中心となるアーキテクチャーとして、DNAを提案した。これは今までOLEとかCOMとかActiveXとか色々な云われ方がされていたものを統合して、クライアント・サーバーのアーキテクチャーの上でWebサーバーとブラウザーという関係であらゆるアプリケーションが実現できるような仕組みができ上がった。(3)生産性をあげるニーズがたかまっているが、分散オブジェクト部品によってシステムを構築する手法が一般化してきた。クライアント側、サーバー側それぞれ同じアーキテクチャー、同じ開発手法でできるというのが一つの売りになっている。Active Desktop、Active Server、そして合わせてActive FrameworkとよんでいたものがDNAという形にかわり、その基幹となっているテクノロジーはCOMでありDCOMである。マイクロソフトではWin32、System Services、ActiveX(COM)、Components、Scripting、HTMLの開発まで色々な階層別開発プラットフォームに対し、多くの選択肢を提供している。このような開発環境の広がりに合わせてマイクロソフトは今年5月30日に開発環境を一新したVisual Studio 97を発表した。(4)ビジネス・アプリケーションの開拓と普及を目指す事業部門ADCU(Application Developer Customer Unit)を4月に新設した。World Wideで全部できたのが7月であり、日本に世界が追従したことになる。この事業部の顧客はSolution Developerの方々で、セグメント別(ユーザー規模、業務別、業種別)を図っている。また、啓蒙の対象となるテクノロジーはDNAとBackOffice(特にSQL Server)製品である。(5)6つの協議会と2つの研究会が業種専用システムのオープン化と標準化を行っている。産業別協議会活動の中でもっとも成功したと評価されているのは「POSシステムの標準化」であり各社から標準に基づいた製品が沢山発表され、インストールされた。(6)WINEプロジェクトが活発に行われたが 、どんな小さなユーザーでも対応できるようにした。


 
 
  
 NEC 浅沼講師からは、PC98-NX新シリーズを中心とした「パソコン市場セグメント別動向」、「NECパソコン事業の基本方針」、「NECパソコン基本戦略」、「97年度下期NECパソコン商品戦略」、「PC98-NXシリーズのラインアップと特長」、「BTOへの対応」、「ソフトメーカー様/ハードメーカー様と連携したメニュー98RDP」についてお話いただきました。
 NECでは昨年来実際の用途別、使用場所別という形でセグメンテーションを行い、各機種の展開を図っている。9月24日にコンセプト発表、10月23日に出荷をしたPC98-NX新シリーズは、次世代のWindows 98/NT5.0を待ち構えながらそのハードウェアの下準備をしたものである。
 企業市場は、堅調でに推移しており、省スペースニーズを背景としてノート型比率が拡大、TCO削減ニーズの拡大、BTOに対するニーズの顕在化がある。一方コンシューマ市場は個人消費全体では冷え込み状態であるが、利用者の裾野拡大は継続(購買者の初級者比率45%)している。「NECパソコン事業の基本方針」は、(1)商品力の強化(グローバルスタンダードをリードした新シリーズの新規投入、現行PC-9800シリーズの継続強化)、(2)拡大するPostPC領域への注力、(3)企業マーケットへの取り組み、(4)カスタマーコミュニケーションの強化、である。パソコンのハードウェアは、97年秋以降各社独自開発から業界標準へ向っており、マルチメディア、インターネット/イントラネットが本格的普及期を迎え、時代にあったニュープラットフォームが必要となり、NECではマルチメディアネットワーク時代に向けてより強力で使いやすいパソコンを、またNECの企業理念にのっとた「創造と確信」の実行のためにもPC9にいち早く対応し、更にPC98を先取りした新シリーズの新規投入決め、PC98-NX(New eXcellent PC)を誕生させ、グローバルスタンダード確立に向け業界をリードしたい。
 PC98-NXシリーズの特長は、(1)TCO削減をはかるNetPCシリーズ(NetFine NX)を業界初投入、(2)企業向けノートパソコンVersaPro NXを投入、(3)ミニノートmobio NX(B5サイズ、750gr)の発売、である。 また新技術、新Windowsに対するNECの取り組み方としてソフトメーカー様/ハードメーカー様と連携したメニュー98RDP(Developer Relations Program)として開発、検証、販売の3つの局面で色々とお手伝いさせていただく準備をしている。芝浦にDRPラボを設置して、今後パソコン上で採用される最新技術をいいち早くキャッチし、パソコン業界全体の中で普及・啓蒙を図るべく、NECがオープンな環境を準備し、業界各社との連携を図る場所(動作検証の場、ソフトメーカー/ハードメーカー相互のビジネス連携の場、最新技術を取り入れたパソコン利用シーン提案の場)を提供する。


 
 
  
 日本アイ・ビー・エム 長野講師からは、「Windows NTソリューション戦略」として、「お客さまのNOSの利用環境」、「カークランド・プログラミング・センター」、「PCソリューション・マーケティングの必要性 →PC NTソリューション・モール」のお話をいただきました。
 アイ・ビー・エムの中規模ユーザー127社についてこの春に調査した結果、ネットワークOSの現在利用中/次期導入予定の比率は、Windows NT:60%/77%、OS/2:19%/4%、NetWare:20%/3%である。また、利用形態は、File/Printサーバー:46%/20%、グループウエア:30%/34%、DBサーバー:15%/27%、Internet/Intranet:9%/19%である。
 これらを踏まえて、アイ・ビー・エムはWindows NTに対し全力投球を行うために、米国マイクロソフト社の近くにカークランド・プログラミング・センターを1993年に開設している。ここでは、300人の技術者が常駐して、"IBMハードウェアに対するMicrosoft製品の適用と最適化"をタイムリーなスキルの習得と適用、フォーカス・エリアの早期デザイン/開発、システムの分析と最適化について行っている。組織としては、開発部門、品質管理/テスト実施部門、ディフェクト・サポート部門・Worldwideレベル3、テクニカルサポートセンター(ノンディフェクト)がある。
 PCクライアント/サーバービジネス動向、PCサーバー利用形態の推移、中堅・中小企業のニーズ、PCシステムの方向から見て、ソリューションの品揃え、スキルの強化・拡大、支援体制の確立、マルチベンダー協業体制の強化といったValue CreationのためにPCソリューション・マーケティングの必要性から、PCソリューション事業として、東京青山に"PC NTソリューション・モール"を開設した。10月31日現在、16社が参加している。ここでは、ポーティング/技術支援、主要ソフトウェアプラットフォームの企業提携、施設提供、販売協業活動、販売導入支援サービスなどオープン・プラットフォームにおけるNTベースのPC/PCサーバー・ビジネスの推進を強力にサポートしている。また、参加企業がさまざまな情報を発信している。ホームページは、http://pcsolution.ibm.co.jpで一般公開用と会員専用があり、一般公開用ではソリューション情報、パートナー企業紹介、パートナー情報、イベント情報があるので参照して欲しい。


 
 
  
 富士通 草野講師からは、『富士通のWindows戦略』として、「PC市場動向と富士通の状況」、「富士通PCビジネス:企業ユーザー、コンシューマユーザー」、「富士通の商品戦略(ハードウェアとソフトウェア)」についてのお話がありました。
 Windowsエンハンスと歩調を合わせ市場も成長しており、Windows 98、NT5.0による市場のさらなる活性化が期待できる。PCの国内出荷台数は97年度が750万台、98年度が850万台と予測される中で、富士通はそれぞれ225万台、250万台を目指している。
 企業ユーザーの基幹業務へは、システムの高信頼性化、TCO削減の提案、イントラネット対応の充実ということでWindows NTが浸透し、96年度は、富士通が企業導入実績30.6%とナンバー1である。また、コンシューマユーザーにおいては、顧客リクエストが多様化(ゲーム/エディユテイメントからSOHOまで、2台目/3台目としてのモバイル需要)、メーカーサポートへの期待から製品の品揃えの充実やサポートサービスの充実が求められる。これに対し富士通はパソコンメンバーサービスやFM WORLD(ホームページ)の充実をしている。
 ハードウェアの商品戦略としては、PC97/PC98規格への積極的対応、高性能/高信頼性、カスタムメイド出荷の実施、フルラインナップ展開を図る。企業ユーザーには、サーバーモデルとしてGRANPOWER5000シリーズを、デスクトップモデルとしてFMVシリーズ、ノートモデルとしてFMV-BIBLOシリーズを、コンシューマユーザーには、それぞれFMV-Deskpowerシリーズ、FMV-BIBLOを提供する。いずれもラインナップを一新し、次世代標準規格への対応、先進技術の採用を行っている。
 ソフトウェアの商品戦略としては、ネットワーク・コンピューティングへの更なる展開を次で行う。(1)Microsoft Cluster Serverへの積極対応、(2)TCO削減 、NetPCへの積極的対応(NetPC,ZAKの提供、富士通製運用管理ソフトMpWalkerによる更なるTCO削減の提案)、(3)イントラネット対応製品の品揃え、(4)既存システムの親和性追求と新規付加価値の提供。


 
 
  
 東芝 日比講師からは、『東芝のWindows戦略』として、「市場動向」、「PC95からPC98へ」、「PC98への対応」、「Windows NTへの対応」、「新製品のポイント」、「東芝ノートパソコン新ラインアップの機能と特長」、「東芝の商品戦略」、「2000年に向けて」についてお話をいただきました。
 東芝がノートブックを1985年にT1100を欧米で発売を始めてから、この10月に1,000万台を突破した。この上期東芝はノートブックの出荷では全世界で21.4%、4年連続第一位であった。如何によい製品を作るかがハードベンダーの使命であり、今後ともマイクロソフト社ならびにインテル社と密接な関係を持つことが大事だというのが東芝のWindows戦略といえる。
 PC95からPC98へWindowsプラットフォームが拡大し、ハードウェアの技術進歩に合わせて強化されている。東芝は来年の7月1日以降のマシンにはPC98が適用できるというアプローチで考えている。PC98では、カテゴリー毎にハードウェア仕様が規定されているが、Librettoの影響でMiniNoteカテゴリーが新設された。本日、東芝は新しいノートブックシリーズ、デスクトップシリーズを発表したが、PC98の規格を先取りしている。特にTecra7500DVDでは、ACPI,DVD,CardBus,USBを搭載し、DVDプレイヤ仕様をマイクロソフト社と共同設定を行って、マイクロソフトキャンパスでACPI,DVD開発のプラットフォームマシンとして使用される予定で動いている。また、Windows 98、NTに関して米国マイクロソフト社のそばに東芝エンジニアリングセンターというR&Dを開設し、PnP,ACPIやNT5.0でモバイル仕様がどれだけ取り込めるかなどについてマイクロソフト社と共同開発を行っている。NT5.0は全世界でNotePCでのプリインストールを計画している。
 東芝の新製品のポイントは、(1)将来規格への対応で業界をリード、(2)最新技術を搭載、(3)海外使用に対応、である。また東芝の商品戦略は、(1)グローバルな展開を行い、日米欧比の4拠点でパソコン製造を行っている。(2)世界に通用する高品質の作りこみということで、キー技術を自社内に持つ、設計の全面CAD化、世界で鍛えられた品質、ワールドワイド品質保証を行っている。サーバーからノートブックPCまで一貫したソリューションを提供。海外でも96年9月からデスクトップを展開。98年度にはサーバービジネスも展開開始する。また、2000年に向けては、(1)本格的なモバイルコンピューティング時代の幕開けに向け、より高性能、高品質の革新商品を継続投入、(2)ポータブルPCのトップメーカーとして業界標準確立など市場の拡大を推進、(3)ポータブルPC世界No1を堅持、総合PCで世界3位を目指す。


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