開発/言語ソフト ここが見所、さわり所

「最新開発ツール事情」

山本 淳


 
● Microsoft Active Platform Developers Conference 1997, Tokyo

 この原稿を読む頃には詳細が明らかになっていると思うが、すでに2月14日の申し込みの締め切りを過ぎてしまっているかもしれない。ソリューション・プロバイダー企業に配布された開催要項によると、2月末に「Microsoft Active Platform Developers Conference 1997, Tokyo」が開催される。詳しくはマイクロソフトのホームページで公開されるとあるが、今日1月27日現在ではアップロードされていない。

・日 程 2月27〜28日の2日間
・会 場 東京ビックサイト
・内 容
   Active Server Pages
   Microsoft Transaction Server
   Distributed Component Object Model (DCOM)
   データアクセス技術
   開発ツール
   次世代Windows戦略
   その他関連技術
・詳 細 http://www.microsoft.co.jp/developer/events/index.htm

 昨年11月に米国で開催された「Microsoft Professional Developers Conference」で発表されたActive Platform (Active Server / Active Desktop)に関する、日本で初めての公式コンファレンスとなる。
 日本語プラットフォーム製品(Internet Information Server, Exchangeなど)、および日本語開発ツール(Visual Basic, Visual C++など)のプレリリース版を収めたCD-ROMが配布されるとなっている。
 Active Platformについては、先月号の「Windows View」でマイクロソフトのホワイトペーパーの抄訳が紹介されていたし、昨年末に発行されたほとんどの技術系専門雑誌に詳細に説明されていたので、ここでは詳しく触れない。今後のマイクロソフトの分散オブジェクトシステムを支える数々の最新技術が投入される。
 システム構築者にとっては、Active Serverを支えるWindows NT Serverの新しいサービスとBackOffice製品群、Active Platformを形成するWindows NTやWindows 95、Internet Explorerなどの新版についての最新情報は重要である。
 開発者にとっても、Active Platform上で動作するアプリケーションやオブジェクトコンポーネントを開発するための新しい開発ツールについての情報は大切である。
 昨年ロングビーチでの「Microsoft PDC」に参加して、この連載でも一部を紹介したことがあるが、少なくともその後の米国での対応製品のリリースやアナウンスを見て明らかなように、マイクロソフトは急速な技術革新を着実に行ってきている。米国ではActive Serverを支えるいくつかのアプリケーションやサービスがすでにリリースされている。また、Windows 9x (Memphis)やInternet Explorer 4.0といったActive Desktopのベータテストも近くスタートする。
 日本でもWindows NT 4.0がリリースされ、Active Platformの基盤となる環境が整った。今後順次投入されるアプリケーションやサービスは、すべてWindows NT 4.0上に展開されていく。もちろん、Windows 95に対応する部分もあるが、前回紹介したように「企業システムはWindows NT ServerとWindows NT Workstationによって構築される」というマイクロソフトの基本姿勢がますます明らかになっていくことだろう。


● Microsoft Visual Studio

 一部のオンラインニュースサービスや雑誌で目にされた方もいると思うが、次期のMicrosoft Visual Toolsは「Boston」というコードネームでベータテストが続いていたが、いよいよ「Visual Studio」という統合開発環境でリリースされることが決まったようである。
 Visual Basic 5.0は今回の統合開発環境には含まれないが、Visual C++ 5.0, Visual J++ 1.1, Visual InterDev (Internet Studio), MSDNなどが同じユーザーインターフェイスの下で動作する。
 Visual Basic 5.0は、現在米国MS社のホームページで公開されているControl Creation Editionだけでなく、標準でActiveXコントロールやActiveXドキュメントの開発をサポートする新しいユーザーインターフェイスと持つことになる。Wizard機能が拡張され、またVisual C++でのデバッグを可能にするネイティブコードの生成や、Visual C++ 4.2でサポートされたSQLデバッグ機能なども搭載されるようである。
 Visual C++ 5.0は、以前紹介したActiveX Template Library (ATL)を標準サポートし、COM/DCOMオブジェクトの開発が容易になる。コンパイラやリンカー、MFCほかのライブラリも改良され、OLE DB SDKも付属するようになる。Visual Data Toolsという新しいデータ解析ツールやMicrosoft Transaction Server (MTS)に対する対応も含まれる。
 Visual J++ 1.1はマイナーチェンジであり、Visual InterDevはActive Server Pagesなどと連動して動的なWebページを簡単に構築できる新規製品である。


● Macintosh対応

 昨年暮からアップル社に絡んだいくつかのニュースが世界中を駆け巡った。「NeXT社買収」や「MacWorld ExpoにおけるMac OSの将来計画発表」などと一緒に、マイクロソフトがMacintoshプラットフォームをサポートするいくつかのアナウンスを行った。
 Internet Explorer 3.0 for Macintoshや将来のバンドル計画、パーソナルWebサーバーの新製品やActiveX Part Adapter for CyberDocの開発表明、FrontPage WebやMicrosoft Officeなどの製品発表、などなど...
 マイクロソフトがWin dowsプラットフォームにおいて、OSとアプリケーション、開発ツール、インターネット製品などを独占的に開発・販売し、デスクトップPC市場を私物化しているという批判に対しての反論として、マルチプラットフォームへの対応、当然OS/2は対象外であるが、Mac市場やUNIX市場へのアプローチを挙げている。
 筆者の社内でも、Windows, UNIX, OS/2と並んでMacユーザーは少なからずおり、企業内基幹システム、とりわけメールとその添付ドキュメントの相互交換が問題になっている。今後のソリューションとして、早く安定した日本語版モジュールが提供されることを望んでいるユーザーは多いに違いない。
 IBMからはJavaとOpenDocを統合したJavaDocの話も出ているようだが、OpenDocのWindows対応が日の目を見ないまま、一時のOLE vs. OpenDocの覇権争いはマイクロソフトの圧勝に終わった感がある。


● ロータス

 ロータスは、米国での最新版NotesとDomino Server 4.5のリリースに続いて、1月末に日本語版をリリースする。
 また、恒例となったオーランドでのLotusphereで、Lotus ComponentのActiveX対応版、Java対応版などをデモすることになっている。ActiveXとJavaという開発者にとって重要なコンポーネントオブジェクト技術をサポートすることで、ネットスケープとともにマイクロソフト陣営への対抗勢力として目が離せない。
 Exchange 5.0を含むインターネット製品群 vs. Domino 4.5、Microsoft Office vs. Lotus Smartsuiteなど、サーバーでもクライアントでも競合は続いていくことだろう。


● オラクル

 1月20日から22日にかけて、幕張で「Oracle Developer Conference Japan 1997」が開催された。今回の「Windows View」にも記者コンファレンスの内容が掲載されていると思うが、データベースのオラクルというより、ネットワーク・コンピューティング(NC)技術が話の中心となっていた。
 マイクロソフトが主催するコンファレンスほどの集客があったわけでは ないが、参加者のレベルは非常に高いように思えた。当然PCベースの技術者だけではなく、UNIXベースの技術者の参加が多かったようだが、例えばデータベース関連でもマイクロソフトのコンファレンスにはない活気をみせていて、ある意味で伝統の底力を感じた。
 チューニングに関してのノウハウや、管理ツールなどの周辺アプリケーションの充実ぶりなど、Windows NTやBackOffice製品に比べて対応力に一日の長を感じた。
 もちろん、JavaをはじめとするNC技術に関しては、これからの課題となっているが、企業システムを構築する上で、オラクルに対する注目を忘れてはならない。


● 最後に

 1月末から2月にかけて、Exchange Server 5.0とOffice 97に関するコンファレンスが開催される。
 Exchange Server 5.0については、Active Serverの一翼を担うインターネット技術への広範囲な対応が施されている。当初予定されていた4.5をスキップして、5.0にバージョンアップするのは、Lotus Notes Domino Server 4.5との製品比較とActive Server技術への対応と言われている。
 Office 97については、1月のコンソーシアムセミナーでも紹介されたので、今回の「Windows View」にも記事が掲載されていると思うが、Visual Basic Applications Edition (VBA)の全製品サポートなど開発者にとってもチェックが必要なレベルに仕上がっている。製品出荷が待ち遠しいが、果たしてあれほど高機能なアプリケーションを十分に使いこなせるユーザーはどれほどいるのであろうか。
 先月号の連載で指摘したWindows NT 4.0の導入へのアプローチについて、自社のプライベートセミナーで講演したところ、興味深いと評価していただいた。いくつかの雑誌でも安直なバージョンアップへの警鐘が掲載されていたが、お客様からの引き合いは着実に増えてきている。しっかりとした評価をもとに、的確な提案を進めていってもらいたい。

(富士ソフトABC株式会社 技術調査室 室長
yamamoto@fsi.co.jp)

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