● COMDEX Fallレポート


米国COMDEX視察いろいろ

Windowsコンソーシアム会長 松倉 哲

 今回の米国では、天候の異変を周りからよく聞かされた。シアトルでは、某NK社の人からヒョウが降ってきて大変でした。久々にシアトル空港が閉鎖される事態になっているので旅行会社が青くなっている。砂漠のラスベガスでどしゃ降りの雨が降って会場移動に1時間以上も渋滞した。天変地異をよそに米国では、全体に景気が以前より良いせいか活気がある米国を感じさせた。特に大統領選が終わった後だけにより強く感じるのであろう。COMDEXに関しても、昨年よりやはり活気がある。特に日本を含めてアジア圏の韓国・中国・台湾等の参加が多い。日本は、NEC、富士通、東芝、キャノン等の販売店様を中心とした引率ツアーが目を引いていた。今回の特徴は、米国に於いてもインターネット/イントラネットやモバイル・コンピューテイングに関するビジネスが中心の展示会である。特にネットワークに関しては各社熾烈な戦いを余儀なくされている様相である。同時にビジネスチャンスが幅広く展開しており、ユニークな製品も登場する土壌になっていると強く感じた。出展者数21,00社以上で約10,000の新製品が発表されている。注目は56kbpsのアナログモデム、ケーブルモデム、インターネット上での電話・音声・FAX・ビデオカンファレンスやワイヤレス通信そしてハンドヘルドPC向けに新しいWindows CEなどがあった。その他,音声認識処理・DVDなども新しいインタラクテイブ製品が出展されていた。 何といってもマイクロソフト社とネットスケープ社の人気は他を引き離す勢いである。現在のテクノロジーをリードする会社として絶えずウオッチする必要がある。

11月17日(日)マイクロソフト社は、ラスベガス・トレジャーアイランドホテルでハンドヘルドコンピュータ(HPC)に搭載するWindows CEの発表をした。ホテル内のシアターに1,000人以上の関係者とプレスが集められモーバイル・コンパニオン・デバイスとして御披露目された。ビル・ゲイツ氏は、PCの性能向上・メールなどのコミュニケーションの発達・デジタル・コンテンツの整備・低消費電力のCPUの登場が、新しいカテゴリーを生み出した等Windows CEに関しての背景を説明した。
 ゲイツ氏はWindows CEのコンセプトとして価格は500ドル以下、ポケットサイズ、重さ450グラム、乾電池で1週間利用可能、キーボード、PCの表計算や文書がそのまま使えることをうたっていた。これでサーバー、デスクトップ、ノートブック、ネットPCそしてハンドヘルドとWindowsファミリーによる広域なOSとして広げた印象である。
 しかし、Windows CEは、Windowsという名前が付くものの、スクラッチから書き直したものだ。Windows NTのようにCPUの違いを吸収するレイヤがあり、その上にネットワーク機能やファイルシステム、Win32 APIサブセットやシェル、そしてアプリケーション群(カレンダーやコンタクト管理のほか、ポケット版Word/Excel/Internet Explorer/inboxなど)を積み重ねていた。
 そのため、移植性に優れ、次々と登場するCPUにも柔軟に対応できる。現在は、日立製作所のSH-3、NECのV4101、フィリップスのPR31500がサポートされている。最近のマイクロソフトの発表ではインテルのPentium、モトローラのPowerPCにも対応すると発表している。将来は、スマートフォンやDVDプレイヤー、セットトップボックスなど非PC系を幅広くカバーするOSとしてWindows CEが利用されるという。

11月18日(月)いよいよCOMDEXの開催である。インテル社社長&CEOアンドリューグローブ氏が“A Revolution in Progress”と題して1971年にマイクロプロッセサ4004が登場してから25周年になる歴史を解説するところから講演が開始されたCOMDEX OPENING基調講演である。基調講演の内容は各プレスからの新聞・雑誌で既に発表されているので省略したい。

 

インテル社 アンドリューグローブ社長
 

 2日目はマイクロソフト社のビル・ゲイツ会長、3日目はネットスケープ社のJim Barksdale社長である。
初日はビル・ゲイツ氏が、2日目はグローブ氏が、それぞれ最前列で聴講していたのが印象的であった。3日目はゲイツ氏が、お忍びで来ておりメモをとっていたらしい。(某プレスからの情報)。

 

 

 ここで、COMDEXでの印象を箇条書きに書いてみます。
 まず最初に書かなくてはいけないのが4004誕生から25年が経過したマイクロプロッセッサの歴史がわかる博物館が今回設営されていたことである。この誕生によりPCが生まれ私も現在コンピュータ業界の一員として働かさせていただいている。

マイクロソフト社
 “Where do you want to go today?”を掲げて、今回も広い会場を確保して堂々たるブースを構えている。今年のキーワードはMicrosoft Office97、ActiveX、BackOffice及びWindows CEである。
 Microsoft Office97は11月18日に発表会をモンテカルロ・ホテルで発表会を行い現在製造ラインに渡っており1997年1月16日に店頭出荷されると豪語していた。コンベンションセンターの正面にもOffice97のパッケージ風船がどんと置いてある。Word97、Excel97、PowerPoint97、Access97及び新製品Outlook97で構成されている製品である。特にOutlook97はスケジュール+との入れ替えで注目されている製品の一つである。今回はメジャーアップグレートであり噂ではフォーマット形式が新しくなる様子である。
 その他Office FamilyとしてTeamManager97やFrontPage97である。言語ではVisual J++が紹介されている。今後のソフトウエア開発として重要なのがActiveXである。 展示スペースも十分割り当てており各部品及び製品の紹介を繰り広げられていた。
 印象では以前のOLE、OCXの流れが大半を占めており新しいイメージでの企画はこれからという印象でした。蛇足ですがActiveXのロゴ・デザインが変 わっていた。

Windows CEコーナ
 今回の目玉として中央に位置しており山のような人盛りであった。
 NECブースはゲーム会社に変身したような展示ブースである。NINTENDO64やSEGAのアミュズメント機器が展示されPCの展示と打って変わっての様相である。各社にメモリ等を供給している実績を表現しているらしい。
 CASIOはWindows CE搭載のCASSIOPEIA(カシオペア)に人気が集中していた。

CASSIOPEIAの主な仕様は、
・製品構成:A-10(メモリ2Mバイトタイプ)、A-11(メモリ4Mバイトタイプ)
・表示能力:FSTN液晶(バックライト付)、480×240ドット、4階調グレイスケー
・CPU:SH-3
・メモリ:2Mバイト(A-10)、4Mバイト(A-11)
・搭載ROM:4Mバイト
・インターフェイス:RS-232C(115.2kbps対応)、データ通信ジャック、PCカードスロット、赤外線通信ポート(IrDA ver.1.0対応)
・電池性能:20時間(単3アルカリ乾電池2本使用時)、14時間(充電地使用時)
・サイズ(H×W×D):使用時 15×175×175mm、折り畳み時:26.5×175×92mm
・重量:380g(電池含む)等
 そういえばMSKKの古川会長が、 CASSIOPEIAを会期中持ち歩いており知り合いと会うたびに宣伝をしている光景にお目にかかった。

NC vs NetPC
 JAVAベースのNC(ネットワークコンピュータ)が展示している。IBMのマシンなどは中に何も入っていないを強調するようにCPUの箱を開けて展示していた。Net PCに関しては今回には展示製品が見つからなかった。誰かみた人は教えてください。
 いろいろなPCにWindows 95あるいはWindows NTを採用したPentium/Pentium Proベースマシンに加え、MMX対応の各種プロトタイプPCが登場した。ゲートウエイ2000社のP55C-200は、200MHzのMMXプロセッサ、12倍速CD-ROMドライブ、3Dビデオ、最大3.8Gバイトのハードディスクを搭載。価格は2500ドル。

モデム
 ビルゲイツの基調講演のビデオでは14.4Kbpsのモデムだと友達と遊べないので28.8Kbpsをねだっていたシーンがありましたが、会場では56Kbpsアナログモデムが登場していた。Rockwellチップ(Rockwell International Semiconductor Systems)はモデム全体の75%に供給されている代物である

COMDEXインターネット
 コンベンションセンターの前にテントを設けてパビリオン3、パビリオン5とヒルトンホテルで展開されており企業イントラネット、インターネットセキュリテイ等の製品を紹介していた。

DVD
 東芝からDVDを展示している。これからPCの新しい媒体として期待している。DVD-ROM、DVD-Movie、Chip(MPEG2ビデオ再生向け)の3パターンが出されている。4.7GB、8.5GB、9.4GB、17GBの容量が期待される。マイクロソフトは1997年中期にOSにDVD-ROMサポートを表明しているので、来年の年末商戦はDVD搭載PCが多数登場する見込みである。

デジタルカメラ
 日立ホームエレクトロニクスのMPEG1カメラに人気があった。352 x240の解像度で提供されている。

 いろいろと書きましたが今回のCOMDEXは、やはりネットワーク特にインターネットの流れに展示会が変化してきた215,000人以上の参加者が来たラスベガス来年の内容はどの方向性をみせるか楽しみです。しかしホテル料金がなぜこんなに高くなるのかどうにかして欲しいものである。

(富士ソフトABC株式会社 常務取締役)

 

 


COMDEX Fall '96 Windowsコンソーシアム出展

Windowsコンソーシアム  事務局長 福田 裕次

 Windowsコンソーシアムは、さる11月18日〜11月20日の3日間、米国ネバダ州ラスベガスで開催された世界最大のコンピュータショウ「COMDEX Fall '96」に出展しました。出展場所はSands Expo会場のM6133ブースで登録名称は「Japan Wincons」でした。
 出展目的は会員企業のソフトウェアの海外販売の推進、そして日本進出を希望している米国企業と会員会社の仲介等です。
 Windowsコンソーシアムの活動を紹介したほか、前回に引き続き日本のWindowsアプリケーション一覧「 Windows Shopping」などもオンラインで展示しました。
今回は特に、下川和男副会長(日本印刷協会、フォント協議会会長)からのご好意により、World Wide Font CDを2000枚ご提供頂き、無料で配布致しました。
 U.S.で先に発売されたWindows NT4.0対応のアジア向けのアプリケーションに関係する方には非常に興味深いUNICODE対応の日本語、韓国語、中国語が含まれるもので、ブースを訪れた方々に好評を博しました。同時に各社の英語の会社案内や製品カタログをご紹介するいいきっかけとなりました。
 Windows NT等、業務アプリケーションの開発環境が充実してきたことの現われとして、訪れたU.S.やヨーロッパのソフトメーカーの活気が感じられました。中には、 Windowsコンソーシアムの活動をU.S.やヨ―ロッパではやっていないのか等の質問もありました。  全般的には、在米日本企業向けの日本語処理ソフトの問い合わせや英日翻訳ツールの問い合わせが多く見られました。
 今回は次の会員会社が参加しました。出展・運営にあたって国内および現地でご協力頂いた皆様、ありがとうございました。

 ・イースト
     英和・和英辞典、漢英辞典
 ・エムピーテクノロジー
     マルチメディア・ツール、会社案内
 ・クレオ
     筆まめ
 ・クレオ・テクノロジー
     US版Windows用日本語ワープロ
 ・富士ソフトABC
     会社案内
 ・ランドコンピュータ
     マルチメディア・ツール

 

 


Contents         Windows Consortium ホームページ