特集 Windows NT INTRANET Tokyo96報告


ソフトバンク・エキスポ・ジャパン代表 新堀 進  

 

 12月10日〜12日までの3日間、千葉県・幕張の幕張メッセで開催されました「Windows NT INTRANET Solutions」は皆さまのご協力により盛大に活気ある展示会・コンファレンスとなりました。来場者数は4万人をこえ、137社の企業が出展をされました。
 初日がWindows NT4.0日本語版の発売日だったことも手伝って、会場はWindows NTに関する話題で独占されました。
 なんといっても、注目は初日に行われたマイクロソフトのビル・ゲイツ会長による特別基調講演「パーソナルコンピューティングの近未来」でした。ビル・ゲイツ人気のためか、昼前には行列のできるほどの盛況ぶり。イベントホールを満杯になり、立ち見席も含めて5,500人の聴講者がつめかけました。サテライト中継で用意した500人収容の別会場でも満席になるほどの活況でした。
 ビル・ゲイツ会長は、過去10年間に渡るパソコンの進化について解説、「当初は、パソコンは過小評価されていたが、いまではPCがUNIXの市場にも食い込むようになっている」、「2億人ものパソコンのインターフェイスを覚えたユーザーと、何百ものハードメーカー、何千ものデベロッパーに支えられている」とし、「今後のパソコンの拡張性と使い勝手の良さは、ますます進展するだろう」と、ビデオプレゼンテーションもまじえての講演は聴衆を引き付けてくれました。

 今回の展示会ではハードウェアベンダーは Windows NT4.0 の登場とPentium Proの低価格化に伴い、WSの市場に積極的に進出していく姿が展示ブースを通じてみられました。 ビジネスクライアントとしての PCとは異なった性格を与えられた、パーソナルWSという新しい市場を開拓を狙うものでしょう。
 NTに続いてもうひとつのメインテーマであるイントラネットも会場での大きな注目となりました。
 2日目、基調講演の壇上に立ったのは、タンデムコンピューターズのルール・ピーパーCEO兼副会長。ピーパー氏は、フォールトトレラントなOLTP市場で独占的な地位を築いているタンデムを、インターネット上のOLTP、すなわちインターネットトランザクション(iTP)というオープンで巨大な市場へと舵取りしていくことになるとスピーチ。
 また今回の「Windows NT INTRANET Solutions」で印象的な点の1つは、NT上で提供されるビジネスソリューションの広がりが際立ってきたことです。Windowsコンソーシアムの会員企業の多くがイントラネットを中心とした製品を展示していたのも多いに注目されました。
 またNTTとマイクロソフトが中心となって発足した 「WINEプロジェクト」も業界の話題となっていました。 中小企業向けの LAN/WANシステム普及促進をさせようということで、SIベンダーなど250社から構成された「WINE プロジェクト」が披露されました。 今後NTを核としたビジネス業務システムの構築促進が期待されています。

 今回の展示会・コンファレンスを通じて、参加者は 最新の技術・テクノロジーそしてビジネス・ソリューションを 十分体験できたものでしょう。
 来年はさらにNTマーケット およびイントラネットの活用が一層進んでいると思います。是非来年11月に開催予定の「Windows NT INTRANET Solutions」をご期待ください。  今回の開催にあたり、あらためて皆さまのご協力に感謝する次第です。誠にありがとうございました。


● Windowsコンソーシアム 協賛・出展
 Windowsコンソーシアムでは、12月10〜12日に幕張メッセ(日本コンベンションセンター)でソフトバンク・エキスポ・ジャパン主催により行われたWindows NT INTRANET Solutions Tokyo 96 の協賛と出展を行いました。
 Windowsコンソーシアムブース(5N01)において、日ごろのWindowsコンソーシアムの活動を知っていただくために、来場の皆さまに会報「Windows ShoppingVol.30(特別号)」を約1500部をお配りいたしました。また、Windowsコンソーシアムに興味をもっていただいた方も多く、活動内容や入会のご案内もいたしました。

 

 

 

 


● ビル・ゲイツ会長特別基調講演 「パーソナルコンピューティングの近未来」

(1996年12月10日 12:30〜13:30)


 本コラムは、マイクロソフト株式会社ホームページ(http://www.microsoft.co.jp/)の「Windows NT INTRANET Solutions Tokyo 96 Keynote」資料に基づいて作成しました。要約(Summary)と全文(Online Speech)を掲載いたします。なお、同資料からプレゼンテーションスライドのダウンロード(PPT形式)ができます。

◆ Keynote Speech Summary

 

 

 Windows NT 4.0日本語版が本日、発売となったのですが、これは米国版の発売からたった90日後です。このOSのために既に開発されたソフトウェアやハードウェアの数を見るだけで、Windows NT 4.0日本語版の発売にまつわる勢いの凄さを実感することができます。

(1)長年の夢を獲得したPCの成功
 過去数十年をふりかえると、PCは、UNIXワークステーションなどの機能を獲得するのを夢としていました。その夢を獲得したPCは、この一年の間でも、プロセッサーの高速化、ハードディスクの容量増大、プラグアンドプレイの発展などを見せました。いずれ、最新のドライバがあるかなどを考えなくてよいようにする「オートインストール」、すべてのステートをサーバー上に実現する「ゼロ・アドミニストレーション・ウィンドウズ」、最も重要な情報を取り上げ、デスクトップにもってくる「アクティブデスクトップ」といった技術もお見せできるようになると思います。

(2) PCとインターネットの関係
 1996年におけるPCの発展は凄まじいものでした。
 その大部分は、インターネットのおかげです。私はインターネットのない世の中におけるマイクロソフトの存在を考えられなくなりました。PCこそがインターネット利用の主役である事に間違いありません。膨大なユーザベースを持つPCとインターネットに組み合わせにより、歴史上、最も民主的なメディアが誕生することになるでしょう。

(3) PCをよりリッチに、より協力に
 音声認識によって、わざわざそばに行かなくても用事を済ませてくれるPC。ユーザーの興味や関心の対照を理解したうえで、やるべきことを実行してくれるエージョント機能。ビジュアルな情報の認識。
 これらの技術は、今後、十年の間に実現される筈です。(私は先日、現在のプロセッサーの千倍の処理速度が可能になる話を聞いたばかりです。)表面にそれが見えないという技術、それこそがこれからのPCにとって重要なテーマです。
 私はいま、子供たちをうらやましく思います。彼らは、我々がたどってきた道を通らなくすむのです。そして、未来において、今日のPCを我々が振りかえる時、我々はきっとこういうでしょう、「見ろよ、このマシンは聞くことも、話すことも、見ることもできなかったんだ」と。

Keynote Online Speech

皆さんこんにちは。
 Windows NT4.0の発売にあたって再び日本を訪れることができたのは大変な喜びです。これまでもWindows NTのような画期的な製品の発表をウィンドウズソリューションズのカンファレンスで行ってきました。1994年12月にはWindows NT3.5を、また1年前にはWindows NT3.51を発売しましたから、今年のカンファレンスの主題がWindows NT4.0であることはしごく当然といえましょう。

 日本サイドのサポートを得て、これらの優れたソフトウェアの日本語版をその他主要国向けのバージョンと同時に発売できるような態勢がどんどん整ってきています。現在のところ米国版の発売後90日以内には出荷されています。

 Windows NTの成功は私にとって驚きでもありました。これは5年以上も前に社力を大きく投じたプロジェクトでした。私たちはこれが高性能コンピューティングの基礎になっていくと堅く信じていたのです。世界中の、中でも日本のハードウェア製造会社から得てきたサポートは測り知れません。今回発売するバージョンについては、18社以上のハードウェア製造会社がサーバーをサポートし、26社以上がワークステーションをサポートしていて、ペンティアムやペンティアムプロ、あるいはさらに高度なマルチプロセッサを搭載した多くの様々なモデルが用意されています。また動作するアプリケーションが800種以上にのぼるということも、この製品がここ日本だけでなく、世界中で趨勢を誇っているよい証拠と言えましょう。

 市場の成長は数字の上で大変著しいものがあります。ワークステーション市場をとると77%以上の成長が、またサーバー市場では200%以上の成長が見込まれています。これらが意味するのは、パソコンのアーキテクチャ特有の柔軟性とWindows NT自体の性能の素晴らしさを活用すべく、UNIXのサーバーやネットワークサーバー、あるいはオフィスコンピュータから、Windows NTベースにシフトしつつあるということです。
 世界的な趨勢を示す統計数字をもう少し挙げてみましょう。アプリケーションは2,000種以上、私たちと共にWindows NTを積み木のように組み合わせてソリューションを生み出すソリューションプロバイダーと呼ばれる会社は13,000社以上あります。当社には専門知識や技術の資格認定を行うトレーニングプログラムがあり、これまでに60,000人以上が合格しています。そして4.0は発売と同時に大変な評価を得ています。
 ビルトインした新機能のひとつは、世界で最も高い性能を誇るウェブサーバー能力です。「インターネットインフォメーションサーバー(IIS)」がそれです。そしてそれがNT4.0の特徴でもあるのです。ウェブを何度も訪れるうちに、沢山のサイトがIISを活用していることをあなたも知ることでしょう。またNT用のアプリケーションの数もますます増え続けることでしょう。こうして量が増えるに従い、ソフトの販売業者はそこに好機を見い出してNTを目標に掲げるのです。それは新たにパッケージを作り出すソフトの販売業者であろうと、過去にUNIXやオフコンベースのパッケージソフトを持っている人にしても同じことなのです。もうひとつの例がAS400です。今回のショーではJDエドワーズが彼らのアプリケーションをAS400からNTの環境へ移す様子を初めて見せてくれます。彼らのサポートを得られたことを大いに感謝すると共に、今起こりつつある趨勢のようなものを語る良い例となるのではないかと思います。

 今日ここでは主に10年後のパソコンの使用状況に焦点を当ててお話ししたいと思います。とりあえず過去10年間は大変な進歩を遂げてきたと思います。それでも次のような疑問を投げかける人達がいつでもいるものです−もう来るところまで来てしまったのか、もっとコンピュータを良くすることができるだろうか、処理速度がこんなに速いコンピュータをどう使ったものか、社会に与える影響という点ではどうなのか−そうですね、私たちはこれらに対しては非常に楽観的な見通しを持っています。私たちには日本をはじめ世界中に優れたテクノロジーパートナーがいますから、パソコンはどんどん良くなっていくだけだと思っています。
 人々が10年後にどのようにパソコンを活用しているのかを見せるようなビデオを新たに作ろうかと考えていたのですが、ここ何年かの間にこういったビデオが多くの会社によってたくさん作られていることを知りました。ですからパソコンが今後どのようになっていくのかをお見せするために、私が制作したものを含め、AppleやNECその他数々の会社が制作したパソコンの未来像を描くビデオを組み合わせてみました。それではこの業界が描く10年後のパソコンの使われ方を見てみましょう。(ビデオの放映)

 こういった未来像のすべてに災害や医学的な危機や莫大な商取引などの発生が描かれますが、そこで活用されるツールには共通点が多々あります。パソコンも新しいフォームファクター(形態要素)を備えています。大型のフラットスクリーンもあれば、ポケットに入るほど小型でワイヤレスコネクションを使う物もあります。バンド幅もお互いにテレビ会議ができるほど大きくなっています。電子マネーがあるので紙幣を使う必要はもはやありません。また音声認識機能も備えているので、キーボードがまだあるにせよ常にそれを使わなければならないわけではありません。最も重要なことでしょうが、これらのマシーンにはユーザーの好みに順応するソフトが組み込まれています。ですからあなたが興味を持っている情報に即しながら作業を進めていけるのです。

 そこには現在のパソコンにはない機能がたくさんあります。そこで私は現在の状況からいかにしてパソコンがこの驚くべき成功を収めることになったかを探り当て、それをさらに発展させていきたいのです。こういった未来像を現実のものにするためにどのようにインターネットを基本要素として活用していくのか。そして最終的には、パソコンをさらにパーソナル化するためのハードやソフトの進化とはどのようなものなのか。つまり未来像に描かれているごとくパーソナル化するためにはです。

 パソコン業界はこれまでにも数多くの攻撃にさらされてきました。事実、パソコンが初めて登場したとき、絶対に成功するわけがないと考えた人が大勢いました。あまりにも大衆向け過ぎて耐久性に劣ると考えたのです。彼らは実際のところマイクロプロセッサの性能とソフトの水準の高さを過小評価していました。マイクロソフトがMS-DOS、後のWindowsを広めていくことによって、それ以外のあらゆるタイプのコンピュータよりもはるかに多くのパソコン用ソフトが作られるようになりました。ところがパソコンを見るときと同様に、彼らはそれらの強力さと高性能さを過小評価するきらいがあります。

 私たちがやっていることのひとつに、ハード関係の会社とソフト関係の会社の分離があります。その利点はハードの刷新をソフトに惑わされることなく行えることです。つまり最高のハードと最高のソフトを購入して高度な適応性を持つ形でそれらを統合することが可能だということです。
 ここでパソコンのアーキテクチャーに向けられたいくつかの具体的な攻撃例について考えてみましょう。まずは当然ながらUNIXです。長年に亘ってUNIXはパソコンよりもパワフルなものでした。それはより高い性能をもたらすRISCと呼ばれるアーキテクチャの中で動作するものでした。UNIXに関わっていた会社は皆パソコンを退けたがり、注意を向ける必要もないものと考えました。事実、彼らはまもなくすべてのデスクトップを支配することになると単純に考えていました。
 ところが現実にはそれと正反対のことが起こったのでした。それはパソコンの性能が高まり、高度なグラフィックス処理能力を得、大きな記憶容量を誇るようになったからでした。とりわけWindows NTが32ビットのマルチタスクが可能でセキュリティ機能を備えた形で登場してからは、UNIXがパソコン世界に侵入する代わりに、今ではパソコンがUNIXの世界を侵しつつあります。そんなわけで昨年UNIXのデスクトップの実質販売数は低下しました。より高いサーバーのレベルでも同様のことがここ2年のうちに起こることでしょう。マルチプロセッサを備えWindows NTを走らせる非常に高性能のマシーンが、最も苛酷なタスクの遂行を肩代わりするようになるでしょう。

 パソコン業界に対するもうひとつの挑戦はグラフィカル・ユーザー・インターフェイス(GUI)の出現でした。もちろんMS-DOSは元々図形表示機能を持ち合わせていません。ですからXeroxのStar、AppleのLisaやマッキントッシュのようなマシンは非常に早い時期からグラフィカルインターフェイスを採用していたことになります。マイクロソフトはそれに対し、将来的にGUIを目指すと答えました。こうして私たちは社運をGUIに賭けたのです。ExcelやWord他当社のすべてのアプリケーションをこうしたなかで動作させることに決めたのです。実際のところ、これが当社の歴史のなかでも最も大きな成功につながりましたが、それというのも他社がGUIに確信を抱けずに自社のアプリケーションに対策を講じなかったからでした。
 MS-DOS上でグラフィックスを表示できるとは皆考えなかったようでしたが、純粋に技術的な側面から言えば、これらの2つを一緒に動作させるというのは複雑な作業でした。ですが、Windows 1.0からスタートしてWindows 3.0に至るころには必要十分な支持を得るようになり、386を搭載したハードウェアの処理速度や数々のアプリケーションのおかげでこれがグラフィカル・ユーザー・インターフェイスの主流に押し上げられたのでした。 またもうひとつの課題は、すべてのコンピュータに表示を行い集中化するターミナルという発想でした。これはより安価だとされるXterminalのことです。しかしながらこれは適応性に欠けることがわかりました。つまり応答能力をタイムシェアリング方式のように分け合うので望みの高性能を得ることができず、かといって安価なサーバーを購入することもままなりません。クライアント側でいくら節約できたとしても、サーバー側の費用がより高くついてしまったのです。
 また別の課題は、オブジェクト指向のオペレーティングシステムでした。オブジェクト型で最初からやり直そうというわけです。恐らくそのもっとも有名なものが、IBM、ヒューレット・パッカード、AppleのジョイントベンチャーであったTaligentと呼ばれたシステムでしょう。彼らは最初からやり直すことによってより良くできると言っていました。しかしそれも、オブジェクトテクノロジーが標準的なパソコンのオペレーティングシステムに互換性を損なうことなく取り込まれるようになると気づいたことから、断念されました。現在はアクティブコントロールと呼んでいるかつてのオブジェクトリンキングやオブジェクトェンベディングを通して、私たちはコンポーネントタイプのオブジェクトアプローチをパソコンに持ち込みました。我が社のオフィス用ソフトも含め人気があるソフトのすべてや他のディベロッパーの手による製品が、今日ではこういったオブジェクトテクノロジーを活用して開発されています。ですから私たちは適応性を得ることができ、約束を果たしましたが、最初からやり直す必要はなかったわけです。

 いまから1年前には、インターネットがパソコンを廃れさせてしまったのでゼロからやり直す時が来てしまったと発言する人が大勢いました。私たちはこういった不安に応えていく中で、インターネットに対するサポート体制を構築しながらずいぶんと成長を遂げてきたわけです。それでも今だにそれがパソコンにどんな意味を持つのかと問う人達がいます。コンピュータのデバイスが持つフォームファクターが将来的にさらに多様化していくことは間違いないでしょう。先月米国で発表されたばかりのWindowsCEをベースとするハンドヘルドパソコンのような小型のデバイスが、必ずやフルサイズパソコンを非常にうまく補完していくようになるでしょう。同様に、テレビに接続して双方向性機能を与えるようなデバイスが人気を得るだろうと考えますが、それはこういったデバイスの方がより安価で、しかもテレビを見ている最中でも気が向けばインタラクティビティを楽しむことができるからです。
 最大の問題点はハンドヘルドデバイスやテレビを基盤とするデバイスにあるのではなく、むしろフルサイズパソコンと似たようなもので全く互換性がないものを構築したい人達にあります。彼らはこれをネットワークコンピュータと呼んでいますが、それがどんなものなのか明確な定義がなされていません。それがディスクを必要としないものを指すのか、接続されているときだけ作動可能なものなのか、といった多くの点が明らかにされていないのです。しかしながらここで重要な点は、クライアントサイドからあまりに多くのものを除去してしまったらネットワークとサーバーに過度の負担がかかることです。ですからネットワーク型のデバイスがもたらすであろうものを誰でもが享受できる簡単な操作環境を提供しつつ、パソコンの適応性と応答性の両方を保持するようにする必要があるのです。

 パソコンがもたらす力とこの市場に参画している会社数には実に驚異的なものがありますから、ここであきらめるわけにはいきません。しかも私たちはゼロアドミニストレーション(操作の不要性)を実現させたいのです。つまり、現在あなたが行っているような特定のステップを踏む必要なく、ソフトウェアのアップデートが自動的にパソコンに流れるようにすることです。またあなたのシステム構成に何か問題があれば、ネットワークを通じてアドバイスを受けたりそれを修正させたりできるようにすることです。ディスクが組み込まれていないパソコンが登場することでしょうが、それはかなり稀な例にとどまると考えています。ディスクが組み込まれているものの、すべての情報をサーバーに蓄積するというのがより典型的な例になると考えます。そしてこれがゼロアドミンWindowsです。それはあなたのパソコンが壊れたとしても、すべてを簡単にそのパソコン上に再構築できることを意味します。また別のパソコンを使ってログインしたときでも、あなたが関心のある情報を持ち込んでくれるようになるものです。ですから全世界でもっとも優れたものということです。

 パソコン現象には利点がたくさんあって私たちはそれを当然のことのように受けとめています。パソコンの操作環境を学んだユーザーは2億人、優れたハードウェア販売業者は何千社にも上ります。そしてこのことがハードウェア販売業者間に激しい競争を強いるのです。ソフトのデベロッパーは何百万人という数があります。しかもこういったデベロッパーは、彼らが使う言語によって制約を受けることはありません。FORTRANでも、COBOLでも、機械語でも、Visual Basicでも、Cでも、Javaでもよいのです。Javaは新たに加わった素晴らしい言語です。けれども皆が一晩のうちに新言語を学んですべてのアプリケーションを書き換えるようになるかというと、それは現実的ではないと考えます。ですからその環境で他のすべてのアプリケーションが動作可能であるという枠内で、Javaをサポートしています。
 先に指摘した点にはハードとソフトの分離が必要でした。皆さんによく聞かれることは何故UNIXが成功しなかったかです。成功する余地はあったのですが、そこには構造的な問題がありました。それはハードウェア会社にソフトの開発をさせたことです。そこで彼らは彼ら独自の拡張性を持つことになりました。ソラリスはAIXと違っていましたし、AUXともネクストとも違っていました。そのためにハードとソフトを分離することができなかったのです。この種の互換性のなさがネットワークコンピュータにも、またパソコン以外のどんな環境にも存在しています。

 今回提供するもののもうひとつの利点は、デスクトップとサーバーの両方に共通のユーザーインターフェイスであることです。アプリケーションを書くときにはそれがクライアント側とサーバー側のどちらで動作させるべきか明確ではありません。そこで適応性を持たせることが必要となります。というのも、多くのアプリケーションがどちらでも動作するようになるからです。夜間に動作させてレポートを作成させたいアプリケーションであれば、それはサーバー側で動作するべきものです。顧客を訪れる際に携えていきたいアプリケーションであれば、クライアント側で動作するものでなければなりません。サーバー側とクライアント側の両方に同じWindows APIを組み込んだ場合のみ、完全な適応性を持たせることができ、そのアプリケーションの一部がどちらでも動作するようになるのです。

 昨年はパソコンにとって素晴らしい年でした。ペンティアムにしてもペンティアムプロにしても、メモリー価格の急激な下落によって今では32メガバイトのマシンがかなり一般的となり、ハードドライブの容量も拡大して1ギガバイト以下の製品を買うのが難しいくらいで、全く夢のようです。そこにはある種のアイロニーがあって、かつてオープンシステムについて語っていた人達は高価なシステムを持っている人達なので、一旦選んだハードウェアの販売業者から離れられないでいます。ですからこの「オープン」という言葉に本当に気を付ける必要があります。私たちが思うにそれは結局は顧客の選択の問題ですが、そんな中でパソコン業界はより優れたものを提供してきましたから、今度はその性能の良さによってそのうち誰も予測しなかったコンピューティングの分野をも支配するようになることでしょう。

 ここでの課題はスケーラビリティと呼ばれるものです。それは、非常に安価なマシンを提供した上でユーザーの要求が高まってきたら、ソフトを変えることなく機能を付加していき、すべてのトランザクションを進め、それによって必要となる膨大なメモリーに対応させるというものです。私たちを前進させてくれるものは数多くあります。さらに高速のマイクロプロセッサや複数のマイクロプロセッサを使用するシンメトリックマイクロプロセシングと呼ばれるもの。それにソフトウェアテクノロジーの進歩です。

 来年には大きな流れになるだろう新たな前進は、マシンを群れにまとめること(クラスタリング)ができるという機能でしょう。これはこれまでパソコンでは実現されていなかったメインフレームの持つアイディアの最後のものです。クラスタリングすればディスクやその他別のものを共有することができますし、また共有していない場合でも共通のネットワークに単に接続するだけでクラスタリングが可能になるのです。その素晴らしいところは、たくさんのマシンに最高性能を付加することができるということなのです。そこで典型的なデータベースソフトの場合は、私たちは共有されないクラスタリングを使って皆が驚くようなパフォーマンスを獲得しています。私たちはいくつか見本となるシステムを作成しつつあり来年の前半には発表する予定ですが、これらは数テラバイトのメモリーを持つものになるでしょう。1テラバイトは千ギガバイトに相当しますが、現在のところ1テラバイトを越すような容量のデータベースを持っている会社は全世界でもわずか20社にすぎません。将来あなたがウェブサイトを管理するようになれば、アクセスしてきた顧客のサイト内でのあらゆる動きやその顧客がどんな人なのかというようなことまでを記録てしまうので、多くの人が膨大なデータベースを持つようになるでしょう。既製のパソコンサーバーのテクノロジーと数テラバイトを管理するWindows NTとを組み合わせても、安価であるだけでなく非常にたやすくセットアップできることをお見せするつもりです。処理速度に関しては、こういった既製のシステム上で一日数十億ものトランザクションを扱うことになるでしょう。今のところここまで必要とする会社はありません。実際、トランザクションについていえばその限界を押し上げているのはインターネットで、これまでどんなコンピュータも成し遂げたことのない数十億というトランザクションをやり遂げることを私たちに強いているわけです。ですから1997年末までには、誰もパソコンのテクノロジーがローエンドテクノロジーだとは二度と考えることがなくなるでしょう。

 大きく懸念される分野がひとつありますが、それについては常に顧客からフィードバックを受けています。それは操作性の問題です。私たちはどんどんコンピュータに処置を加え続けています。決して立ち止まったり今あるもので満足せずに、常により多くのものを付加し続けています。私たちの目的が1992年のコンピュータを使いやすくすることだけにあったなら、私たちはもっと大きく前進していたことでしょう。当時に比べれば印刷のような作業はずいぶん良くなっています。ネットワークへの接続もはるかに簡単になりました。コンパウンドドキュメントは当時は大変なものと考えられていましたが、いまでは誰もが当たり前のものと思っています。我社の製品にはウィザードやインテリセンスのような手ほどきしてくれるソフトもあります。このように私たちは操作性を高めてきましたが、それにはユーザーからのフィードバックを活用しています。それでもなお、私たちがこれまで十分にやり尽くしてきたとは言えません。とりわけ皆が新しいことを試してみようとしているからです。マルチメディア、先端的な電子メール、グループウェアなど。常にあまりに多くのオプションがありますし、人もまたあまりに多くのことを学んでいかねばなりません。

 我が社には操作性についてのスピーチや操作性について話し合った場面を撮影したビデオがあって、それらを見て参考にしてきましたし、受けた電話の内容や興味深い質問について検討を加えたりします。それではそういった中の操作性について抱かれている懸念のいくつかを見てみることにしましょう。(ビデオの放映)

 誰でも皆パソコンに不満を抱いたときがあったと思います。これらはパソコンを動作させるのに必要となるすべての専門用語の良い例ですが、これらは皆さんの目からは隠す必要があるものです。電気系統や水道系統を想像してみてください。それらの下地は非常に複雑にできていますが、私たちは当たり前のものとして使っています。そこでパソコン自体もまたそれを情報へ接続する際にも、同じように滑らかに動作するようにする必要があります。

 昨年は素晴らしい年でした。Windows 95によって私たちは大幅な進歩を遂げました。長いファイル名も楽なもんです。これは解決済みです。リンクを使えばあなたの情報を異なったディレクトリー間で系統立ててリンクさせることができます。マルチタスクは偉大な進歩です。現在はタスクバーによって作業間の行き来が簡単になっています。プラグアンドプレイ機能によってドライバーの設定に頭を悩ますことなくハードを簡単に足したり取りはずしたりできます。オートプレイCDによって、CDを差し込めば自動的にプレイします。そしてマルチメディアに対するサポート。サウンドと映像を豊かに表現します。

 私たちはこういった基盤の上に構築しているのです。来年も私たちが付加していく必要のある重要なものがいくつか出てくると思います。たとえばオートインストール。それはインストールの作業工程を経る必要がなくなるというものです。あなたは単にどのアプリケーションが欲しいか指示するだけ。すると私たちがそれをあなたのマシンに組み込むのです。
 ゼロアドミニストレーション。それはあなたのパソコンに蓄積されたものすべてを集中的に管理するということです。ローカルディスクを高速のキャッシュとして使いますから、今慣れ親しんでいるパフォーマンスを得ながら様々に歩き回るという柔軟性を持ち、しかも個々のパソコンを管理する必要がなくなります。こういう環境だからこそクライアントには管理機能ないのです。大して余分な容量も取りません。それはあなたが持つ他の人と共通するすべてのアプリケーションがサーバー上にメモリーを必要としないからです。

 強力なディレクトリーサービスはインターネット全体の中でリソースやユーザーを見つけるのを可能にするものです。先月米国ではデベロッパー向けにNT5.0に近いもののベータバージョンを発表しましたが、これは「カイロ」というコードネームで私たちが長期間取り組んできた強力なディレクトリです。来年にはユーザーの元にお届けできるはずですが、ディレクトリ機能を駆使するための重要な基盤となるものです。

 最後の段階は、ファイルやメッセージやページの検索の仕方を学んだ後でそれらの構造が皆異なっているということに気がつくことです。どれが一番大きいものなのか、どれが最新情報に更新されているか知るためのやり方、つまり検索コマンドの与え方は実に複雑ですし、ある人には楽なやり方でも他の人にはそうではないことがあります。私たちがやりたいのは、ファイルやメッセージやページを検索する最良の方法をそれぞれ組み合わせてみることです。そうすれば個々の構造の違いを考慮する必要など無くなります。そして学ぶのはひとつのインターフェイスだけになるのです。

 それが高度に進化したブラウザであるInternet Explorer4.0でやっていることです。事実、Active Desktopと呼ぶものでやっているのがそれです。そこでは単にあなたが情報を得ようとするだけでなく、情報自体があなたの元に届くのです。ですからコンピュータの画面に目をやると、フォルダやファイルだけでなく、情報の受信を知らせるチッカーや、社内での処理状況や売上状況などあなたの関心事を示すものが表示されます。このように1997年には1996年に引けを取らないほどの操作性の向上が見込まれているのです。これらの多くはインターネットの存在に頼ることになるでしょう。これとの接続が私たちにユーザーにとってより良いものの制作をとにかく可能にしてくれるのです。

 過去1年間、私はインターネットを使用して実に愉快でした。簡単に書籍を買うことができましたし、妻が妊娠したときは他の人たちの経験から多くを学ぶことができましたし、世界中に散らばっている友人達とブリッジを楽しむことができました。私の趣味のひとつである生命工学については常に最新の情報を得ることができます。実際のところ、薬物の発見や試用の情報をすべて取り上げて整理し、皆が閲覧して学ぶことができるように毎日のようにインターネットに載せられているというのは実に驚くべきことです。私は非常に解像度が高いスクリーンをオフィスに設置しました。それは2kX2kのディスプレイで常に4つのウェブページを表示することができます。ニュースや競争会社やマイクロソフトの色々なサイトといった、あるカテゴリーを呼び出してこれらに目をやりますが、一日のうちでそれらが循環して何が新しいものかを見せてくれます。ですからテレビ局の重役が腰をかけて異なるチャンネルをすべて見るように、私はウェブをモニターし、常に最先端をいくようにそれを利用しているのです。

 ウェブを通じて私はますます多くの電子メールを受け取るようになりましたが、これは素晴らしいことです。それが、我が社のメールソフトが備えているあなたのメールに優先順位を付けたり重要度を知ることができるやり方を確実に簡便化していく動機づけともなっています。今ではインターネットなしでマイクロソフト製品を動作させることなど想像できません。つまり社内で情報を共有するためや顧客に接触するために活用できるものがない環境ではということです。

 そしてそれは内蔵されたインターネット対応機能のなかの電子メールがすべての手始めです。パソコンとインターネットがここ1年のうちに真に一体となりました。つい最近にはリフェラルサーバーと名付けたものをWindowsの日本版に組み込みました。これは追加的なソフトを必要とすることなくアクセスする方法を捜し出すのを助けるものです。プロトコルがありブラウザがあればすべてそろっていることになり、インターネット上を歩くのには何も特別なことをする必要はありません。先ほど触れたActive Desktopというのは、私たちがインターネットに入ってあなたに代わって検索し、あなたのマシン上に表示する情報のことです。しかもそういった情報の出所は社内社外を問いません。

 私たちはWindowsにウェブサーバーを実際に組み込みました。これは標準装備されているもので皆が使っているわけではありませんが、その基本的な思想は非常に民主的なものです。世界に発信することができるのが新聞社やテレビ局の人たちだけではなくなるのです。パソコンがあり、それがネットに接続されていれば誰でもそういう人たちの考えを共有することができるのです。そしてまたインターネットを活用して同じような考えを持つ人を探して接触することができます。

 インターネット上ではセキュリティの確保が大きな問題となっていますが、それにも確かな前進が見られます。身元確認についてのクレジットカード会社との共同作業や非常に高度な暗号化技術は、あなたがソフトを手に入れるときに期待どおりの会社から実際にそれが送られてくることを確実にするためのものです。このことに大きな重点が置かれているわけですから、セキュリティの問題がインターネットを後退させる要因となることはないでしょう。

 もうひとつ重要な研究分野は、インターネットを介した映像、音声、画像などの情報の共有問題です。NetMeetingと名付けた無料の当社製品がありますが、それはインターネット上の誰でも2人が1つの画面を共有することを可能にするものです。ですからワープロで書類を制作しているのなら一緒に作業することができるし、スプレッドシートで作業をしているのなら離れたところからの共同作業もなかなかよいものです。現在のところ蓄積された音声なら非常にうまく再生することができます。リアルタイムの音声についてはまだインターネット上に大変特殊な接続を要しますが、さらに大きなバンド幅を得られさえすればそれも向上して映像もスムーズに映しだすことができるようになるでしょう。インターネットに接続するのにさらに高速性を求めるのは実は大したことではないのです。まるでより速いコンピュータや車を求めるようなものです。ここに最後から2番目の放映となるちょっとしたビデオがありますが、これはパソコンとインターネットに夢中になっている子供達が高速度の接続環境を欲しがる、そういった現象について語るものです。ではオンラインのバンド幅についてのストーリーを見てみましょう。(ビデオの放映)

 大きな課題のひとつはインターネットのテクノロジーを採用してそれをビジネスに適応できるようにすることです。ビジネスの世界では、人は単に情報を読んだりインターネットに入ってニュースやスポーツを見るだけではなく、実際に情報に貢献しています。書類を作成する場合でも新しい方法で情報を一覧し、それらすべてをまとめていくわけです。そんなときに必要なのは、優れたインターネット一覧用ツールでありオーサリングツールでもあるMicrosoft Officeのような生産性を向上させるアプリケーションを採用することです。
 つまり私たちが完成させた製品を採用することによってこれらをオブジェクト指向にすることができ、ネットワークを介してコンポーネントとして送り届けることができるのです。けれどもそれらは単なる孤立したコンポーネントではありませんし、誰もそれを望んではいません。一緒に吟味されたコンポーネントの数々が一緒にサポートされていることと、首尾一貫したユーザーインターフェイスが望まれているのです。それゆえこのようなオフィスアプローチがこれほど人気を得ることとなったのです。リンクスのアイディアを採用して、それがスプレッドシートドキュメントであろうがワープロドキュメントであろうが、あらゆるタイプのドキュメントをたやすくリンクさせ、ウェブ上で使うのと同じアプローチでこれらの様々なドキュメント間の移動を可能にする必要がありました。ですから社内で共有されるイントラネットは実際のところインターネットよりも複雑ですが、それは読み込むだけではないからなのです。追跡されているものには異なったバージョンが存在します。情報には異なったセキュリティが施されているのです。

 インターネットを使ってできるようになることのひとつに、私たちの顧客にこれまでよりも優れた方法で接触できることです。たとえばさらにパワフルにして欲しいコマンドがあれば、インターネットに入ってクリックしていただくだけでメッセージが作成されてそれが私たちの許に届き、どういう要望があるかを伝えてくれます。そこで私たちは大小の改良版をネットワークを介して実に簡単に供給することになるのです。

 では何が問題なのでしょうか。インターネットはそのうちどこにでも存在するようになります。しかしながらさらに大きなバンド幅を得なければならないことから、10年以内には実現しないでしょう。ただ、ISDNやADSLと呼ばれる新しいテクノロジーによって、いつかは各家庭に映像も乗せられるバンド幅のものが接続されることでしょう。企業や大学は一足先にこういったバンド幅を持つようになるでしょうが、一般家庭には、とりわけ大都市から離れた家庭では導入にさらに時間がかかります。

 インターネットにはもっとしっかりした構造を持ってもらわなければなりません。たとえば、ウェブページで約束したことを自分の日程表にそのまま持ってくることができれば、そこにタイプし直す必要がなくなるわけです。様々な場所や日時の情報がすべてそこにあって簡単に取り出せるべきなのです。ウェブ上を歩き回ってレシピを探し当てて引き出したら、それらを小容量のローカルデータベースに蓄積することができるべきなのです。そうあるためには共通のフォーマットが必要になりますから、より富んだ構造が必要だというのです。インターネット上に開業する店舗が必要となってきます。小額の情報閲覧料を支払えるようなマイクロペイメントシステムも必要です。こういったことすべてが、そのうち明らかになる各国の銀行業法やセキュリティ問題に則った方法でなされなければなりません。

 この新しいツールのことを、100年以上前に書籍について考えられていたのと同じように考えてみるのは、わくわくするような時のひとつだと思います。そして誰もがそれにアクセスできるような方法があるはずなのです。事実、図書館や学校がそれの中心になると考えています。ますます多くの家庭がパソコンを所有するようになるとしても、すべての人が所有するようになるわけではありません。ですから近所の図書館に行ってインターネットに接続されたパソコンを使うことができるとすれば、それは素晴らしいことでしょう。教育の一環として、パソコンを道具として使いこなせることが非常に重要だと私は考えます。実際の話、パソコンとはいつでも使える道具なのだという見方をいかに早く受け入れたかという基準に沿って、国々がお互いに競争するようになるでしょう。

 大きく疑問符が付けられていることのひとつは、これらすべての進歩に限界があるのだろうかということです。COMDEXではアンディ・グローブの話が大変面白かったのですが、それはおよそ15年後に私たちが性能が100,000MIPS以上のマイクロプロセッサを手にすることになる過程を語ったものでした。これは現在あるものの1,000倍以上の能力になります。それを何に使うのだろうかと疑問に思う方もいるでしょう。スプレッドシートやワープロにはこれほど必要としません。パソコンのさらなるパーソナル化が必要となったときにエリアを確保するためにそれが必要なのです。それはスピーチやグラフィックスや経験学習です。事実、私の仕事の大きな役割のひとつはマイクロソフトの研究所で時間を費やして、最前線を押し進める努力をしつつその突破口を利用していく科学者達に会うことです。皆さんを連れて研究所を案内するわけにはいきませんが、現在進行中のすごいプロジェクトの2、3を紹介するビデオを持ってきました。それはパソコンのさらなるパーソナルユーズ化を可能にする性能を備えたソフトを目指すものです。(ビデオの放映)

 今から10年後に人々が現在のパソコンを振り返ったとき、見ることも聞くことも学習することもできないなんて何と奇妙なデバイスだったのだろうと言うことでしょう。長い間コンピュータサイエンスはこういった領域での進化について論じてきましたし、素晴らしいデモンストレーションも行われてきましたが、そのテクノロジーを製品に実現させたところ、使用に耐えるほどの十分な正確さを持ち合わせていませんでした。そのために未だ現在でもキーボードとマウスが情報を入力する手段となっています。
 ではなぜそれがより良くなっていくのでしょうか。その理由の大きなものは、実際に何と言われたのか判断するために、私たちが人間と同じように文脈と世間一般の常識を活用していくからなのです。我が社の音声認識機能担当グループは時折自分達のことを「wreck a nice beach(すてきな海辺を台なしにせよ)」グループと呼びますが、それは音声を認識せよという「recognize speech」と良く似た音なので人々がその違いに実際に気がつかないこと、意識下のものゆえにいかに判別が難しいかを示すものです。「recognize speech」と言うとコンピュータのスクリーン上に「wreck a nice beach」と表示されるのを見て、あなたは一体どうやってこんな間違いを犯せるのだろうかと言いながら笑ってしまうでしょうが、これら2組の音声の波形はそっくりですから、私たちは何の話をしているのか知ることによってのみそれらを区別できるだけなのです。

 中にはそれがどんなふうになるのか不安を感じている人もいます。たとえば電子メールを誰かに送ったとして、受取証明の代わりに、受取人がメールを読んだということだけでなく、コンピュータに受取人の反応に注目させてその人が読んだときに笑ったか顔をしかめたかでメールの内容に対する受取人の考えまでも送り返すように設定することが可能です。こういったコンピュータビジョンの変わった使われ方はたくさんありそうです。
 基本的に本日の意図は世界の動き方を変えていくひとつの道具について語っていくことです。それは電話やその他の偉大な通信の進歩に匹敵するような通信世界における大きな前進です。しかもこれはもっとパワフルなものなので、これまで登場してきたどんなものよりも世界を小さくしていくことでしょう。これが職場や図書館や学校や家庭などあらゆるところに広がるすぐに使える情報の姿なのです。そして日常活動にこれらのデバイスの使用が含まれるようになります。電子メールを送ったりこのデバイスの画面を見つめるのです。たとえば車を買う前に、ディーラーがその車にいくら支払ったか、どのようなレビューが載っていたのか、適正価格はいかほどかなどを調べたり、友人からのアドバイスを受けるのです。

 これが関わっていないものはほとんどなくなります。娯楽もそうです。さらに子供達が、受け身の形でパソコンの画面をただ見て過ごすよりもインタラクティブデバイスの前で過ごす時間の方が増えるかどうかについてお話しすることも可能です。非常に幼いころからインタラクティブソフトを使うことで好奇心や学習能力を得ていく子供達の姿には驚くべきものがあると思います。実際の話、私はこれらのツールを操作しながら成長していく若い人たちがうらやましい。なぜなら彼らの持つ可能性がフルに実現されるだろうからです。そしてこの分野で働いてそれを可能にするツールを構築することになった私たち全員は大変なしあわせものです。
ご静聴ありがとうございました。


 

WINTIS96 WinViewフォトギャラリー

事務局カメラがとらえた会場視察中のビル・ゲイツ会長です。
松倉会長とのショットからはその会話をご推察ください。

 

 

 

 

 

 

 


Windows NT INTRANET Tokyo96報告

出展の会員会社
会員会社57社が出展しておりました。各ブースのプロフイールを紹介いたします。

           
(株)IDGコミュニケーションズ (株)アスキー (株)アスキーサムシンググッド
イースト(株) (株)インターコム エー・エム・アール(株)
(株)エー・シー・エー エクセルソフト(株) (株)エム・ピー・テクノロジー
オートデスク(株) (株)オービックビジネス
コンサルタント
(株)大塚商会
沖電気工業(株) 鐘紡(株) (株)クレオ
コンパック(株) (株)コンピュータ・ニュース社 (株)シマンテック
(株)ジャストシステム (株)翔泳社 住商情報システム(株)
住商データコム(株) 住友金属工業(株) スリーエス(株)
(株)セゾン情報システムズ ソード(株) ソフトバンク(株)
蝶理情報システム(株) (株)椿本チエイン TDCソフトウェア
エンジニアリング(株)
(株)テクニカル・
マーケティング・リサーチ
(株)東芝 日本アイ・ビー・エム(株)
日本NCR(株) 日本オラクル(株) 日本ディジタル
イクイップメント(株)
日本電気(株) 日本ナショナル
インスツルメンツ(株)
日本ヒューレット・
パッカード(株)
日本ユニシス(株) ノベル(株) (株)野村総合研究所
(株)ビーコン・
インフォメーションテクノロジー
ピー・シー・エー(株) (株)日立インフォメーション
テクノロジー
(株)日立製作所 日立ソフトウェア
エンジニアリング(株)
(株)ピュア・エイトリア
(株)フォーバル 富士ソフトABC(株) 富士通(株)
富士通ミドルウェア(株) マイクロソフト(株) 三菱電機(株)
(株)ライフボート (株)リコー ロータス(株)
 

 


Contents         Windows Consortium ホームページ