開発/言語ソフト ここが見所、さわり所

〜 最新技術動向 〜

山本 淳


 前回の原稿執筆から3週間あまりということもあって、開発者に向けた大きなニュースは流れていない。 インターネットに流れるオンラインニュースの中から、話題を集めているトピックスのいくつかに触れておくことにする。

(1) Netscape Navigator vs. Microsoft Internet Explorer

 前回もちょっと触れたが、Webブラウザの二大勢力となった「Netscape Navigator」と「Microsoft Internet Explorer」が、相次いで「3.0」にバージョンアップされるとともに、お互いのホームページで付加価値サービスを展開するとともに、相手製品との比較記事を掲載して、激しい顧客獲得争いが開始された。
 「IE 3.0」のセキュリティ上の問題がすぐに発見されたり、パッチ版の供給とともに、Javaで日本語を正しくハンドリングできる改良版がホームページからダウンロードできるようになっている。
 もともとNetscapeはマルチプラットフォーム対応の戦略から、Webブラウザ市場での占有率が80%を超えていたが、ご存知の通りマイクロソフトの急激なインターネットシフトと、製品投入の素早さ、Windows 95の市場への浸透などが重なって、Windowsプラットフォームにおいては今や拮抗したシェア争いをするまでになった。
 筆者自身が2つの製品を併用しているが、ホームページ作成者にとっても新しいHTML文法のサポートや、JavaやActiveX Control、Visual Basic Scriptなど、さまざまな要素が絡み合って、製品の優位性については甲乙つけがたい製品に仕上がってきている。とくに今までの「OLE技術」あるいは「OLE Control (OCX)技術」が新しい「ActiveX Control技術」として、Webページにさまざまな拡張技術を付加するものになることに期待が集まっている。NetscapeがActiveX技術をサポートせざるをえなくなるという論評まで出てきているのである。おそらくこれから半年の間には、JavaやActiveXを利用した企業内システムで利用できるコンポーネントが多数投入されてくることになるだろう。
 IBMはWebブラウザの自社開発を止め、Netscape NavigatorのOS/2版を投入することを発表して、おそらくこの記事を読まれる頃には、ダウンロード可能になっているはずである。Netscapeのマルチプラットフォーム対応戦略は、今後もさまざまなサーバー製品の投入計画、Netscape ONEといわれる分散オブジェクト技術、「Navigator 4.0」のリリース計画など、多くの点でマイクロソフトとの競争関係を激化させていくことと思われる。
 マイクロソフトも「IE 4.0」「IE 5.0」など、すでに次期、次々期製品の対応機能を明らかにしている。Windows市場での絶対的なアドバンテージを生かして、「Active Desktop」など「Windows Explorer」と「Internet Explorer」の統合計画や、「Office 97」やキーコンポーネントとなる「Microsoft Outlook」(Exchange Clientの拡張機能版)を97年早々に投入してくる予定になっている。MacintoshやUNIXへの対応も急いでいると聞いている。
 米国では「Windows NT 4.0」がいよいよ市場に投入され、企業ユーザーにとっても新しいプラットフォーム導入計画に着手している。日本でも12月の「Windows Solution」にターゲットを合わせて、B. Gates会長が再び来日し、「Windows NT 4.0 日本語版」の製品発表を行うことになるようである。
 インターネット・イントラネットをキーワードにした企業内システムの見直しは、データベースとの統合技術や、 分散オブジェクト・コンポーネント技術など、さまざまな要素が絡んで、標準Webブラウザの選択にも頭を悩ますことになっていくと 予想される。

(2) Lotus Notes vs. Microsoft Exchange

 「Exchange Server 4.0」の製品出荷と同時期に「Lotus Notes R4.1J」が投入され、グループウェア市場での「Notes対Exchange」の製品選択の引き合い案件が増えてきている。以前にも触れたことがあるが、弊社でもエンドユーザーからの問い合わせの中で、どちらの製品を選択すべきなのかという質問が数多く寄せられている。最近もロータスとマイクロソフトの関係者に会う機会があり、意見を交換させてもらった。
 Notesは先行製品としての市場での優位性をバックに、マルチプラットフォーム対応や「Lotus Domino」の投入などインターネット・イントラネット対応を急いでいる。
 Exchange単独では「Microsoft Mail」の拡張版といったメッセージング・コンポーネントだが、BackOffice製品群やOffice製品群と連携した場合に、グループウェアとしての真価が問われている。
 米国では今秋から来年早々にかけて「Notes R4.5」「Exchange 4.5」、「Notes R5」「Exchange 5.0」の製品のリリースが予定されている。機能面での充実度は、いずれも企業ユーザーを満足させるものである。ただし、あまりに急激なバージョンアップの連続は、混乱を招くだけである。
 いずれの製品も購入して導入さえすれば、メールレベルでの情報交換は簡単に実現できるが、グループウェア的な利用をするには、アプリケーション開発などいくつかの壁を乗り越えなければならない。エンドユーザーの導入事例を見ても、本格的な利用を促すための関係者の孤軍奮闘ぶりが伝わってきている。
 私ごとだが、来週米国で開催される「Microsoft Exchange Deployment Conference」に出席する予定で、次回の記事でExchangeの最新情報を報告できれば、と思っている。
 「SQL Server 6.5」もリリースされ、「BackOffice協議会」なるものも組織化されるという話だが、トータルのサーバーソリューションというものを考える時期が来ているようである。

(3) その他

 米国でのWindows 95発売一周年記念イベントがマイクロソフトのホームページ上を賑わしていたが、話題には上らないもののいくつか新しいコンポーネントがアップロードされ、開発者にとっては、チェックの必要がある。日本のホームページの技術情報も徐々に充実してきてはいるが、最新技術という点では、米国の情報のチェックを忘れてはいけない。

  ・Microsoft Visual J++ Trial version Beta-3
  ・Microsoft OLE DB SDK
  ・IBM OpenDoc for Windows 95/NT Beta-2
   (ほかにもIBMからOS/2版、AppleからMac版がリリースされている)

 いつものことだが、日本語版については「Visual J++」のベータ版は前回触れたように「Tech-Ed 96」 参加者に近日中にリリースされるという話だが、他の製品については確認できていない。 マイクロソフト製品についても、米国で製品リリースが行われたものの一部が、まだ日本語版の投入時期すら明ら かにされていないものが多い。とりあえず英語版の情報を確認して、心の準備をしておかなければならない。

富士ソフト株式会社 技術調査 室長
【yamamoto@fsi.co.jp】


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