〜 最新ツール事情 〜
(1) Microsoft Internet Day
4月9日にホテルニューオータニでマイクロソフト主催の「Microsoft Internet Day」が開催された。3月に米国で開催された「Internet PDC」(前号の下川副会長の記事を参照)を受けて、日本での初めてのActiveX関連の公式の情報公開となった。配布された資料は以下の通りである。
・講演資料
・ActiveX技術資料
・Internet Special CD-ROM
・Visual C++ 4.1 β版
オープニングに登場するはずだった成毛社長が急用のために欠席し、いきなり古川会長が「マイクロソフトのインターネット戦略」と題したジェネラルセッションを行った。昼食をはさんで午後からは、「テクノロジー」「エンタープライズ」「デベロッパー」の3つのトラックに分かれて、4コマの講演が行われた。
内容的には、3月のPDCで公開された情報が中心であり、とくに目新しい内容ということではない。時期的に米国でようやく発表された「Exchange Server 4.0」との絡みも一部で紹介されたが、配布されたCD-ROMの中身も、以下の通りで、すでにインターネットを通じてさらに最新版が公開されているものもある。
・Microsoft Internet Explorer 2.0 for Windows 95 日本語版
・Microsoft Internet Explorer 1.6 for Windows 3.1 Beta
(注: IE 2.0 for Win 3.1が米国MSサイトで公開)
・Microsoft Internet Explorer 1.5 for Windows NT
・Microsoft Internet Explorer 2.0 for Macintosh Beta 3
(注: IE 2.0 for Macが米国MSサイトで公開)
・Microsoft VRML add-in 2.0 for Windows 95
・Microsoft Internet Explorer 3.0 Alpha
・Microsoft Internet Control Pack Beta
・Microsoft ActiveX Development Kit
・Microsoft Internet Information Server 1.0 日本語版 Beta
(注: IIS 1.0日本語版がMSKKサイトで公開)
・Presentation Slides
4月のテクニカルセミナーで一部の講演と同じ内容をMSKKの方々からお話しいただき、またCD-ROMについても配布していただいたので、出席された方に確認してもらいたい。
合わせてインターネットを通じた「Internet Day on The Web」というページ(http://www.microsoft.co.jp/events/i-day/index.html)で、すべてのセッションの概要やプレゼンテーション資料、ソフトウェアが公開されている。出席できなかった方でも、マイクロソフトのインターネット戦略に興味がある場合は、必ずチェックしておいた方がいいだろう。
(2) Microsoft Visual C++ 4.1
前号の連載で、欧米で配布された「VC++ 4.1」を紹介し、インターネット関連の開発ツールとして、日本語版の発売が待たれると書いたが、今回の「Internet Day」で日本語ベータ版が配布され、今後の発売スケジュールが明らかになった。
日本では「Subscription Edition」の準備が遅れているということで、7月までに「VC++ 4.0」の正規登録ユーザーに対して、「4.1」へのアップグレードサービスの案内がダイレクトメールで届くそうである。もし、「4.0」のユーザー登録を行っていないのであれば、早急に手続きを取っておいた方がいいだろう。
(3) Microsoft Developer Network
「MSDN」(April 1996)の配布が開始されたが、セットアップの改良を含め、ようやくWin95ロゴライセンスを取得したバージョンとなった。Visual Toolsとインターネット関連の豊富な情報があふれている。
●Level 1 (Library Subscription)
・MSDN Library (2枚組CD-ROM)
●Level 2 (Professional Subscription)
・MSDN Development Platform
- SDKs and Operating Systems - U.S. versions and Setup (7枚組CD-ROM)
- Device Driver Kits (4枚組CD-ROM)
- SDKs and Operating Systems - Asian, European, and Latin American versions (13枚組CD-ROM)
●Level 3 (Enterprise Subscription)
・MSDN BackOffice Test Platform (11枚組CD-ROM)
●おまけ
・Microsoft Solutions Development Kit
・Microsoft Windows 95 Service Pack 1 (PC/AT互換機版、PC-9800シリーズ版、英語版)
前号で紹介したようにWin 95のUIを持つ「Windows NT 4.0」のServer/Workstation版のPre-Releaseなど、次世代に向けての準備も怠りないが、今回はおまけで提供された「Microsoft Solutions Development Kit」(MSDK 2.0)に簡単に触れておく。
以前のテクニカルセミナーで触れたことがあるが、「MSDK 2.0」は、Microsoft Office、BackOffice、そしてOLEコンポーネントを統合して、カスタム・ソリューションを構築するためのMicrosoft Visual Toolsの利用に関する情報が提供されている。32ビット統合ソリューションを構築する、Microsoft Office for Windows 95、Microsoft BackOffice Development Kit、情報、ドキュメンテーション、統合サンプルコード、ユーティリティ、有用なリファレンスマテリアルが1枚のCD-ROMで提供されている。OLE、Visual Basic for Applications、Messaging API、ODBCなどの技術が、どのような仕組みでデスクトップからサーバーへ至るコンポーネントベースのソリューションを築くための一貫した方法の基盤になるかが理解できる。
もちろんすべての情報が英語であり、提供されているユーティリティやサンプルも日本語版環境では動作しないものもあるが、企業システムを構築する上では十分に参考になる情報が掲載されている。もし手元に届いていないのであれば、しかるべき手段で入手された方がいいと思う。
(4) Microsoft Tech-ED '96
毎年恒例の「Tech-ED '96」が米国を皮切りにスタートした。今年は、とにかくインターネットシフトと、関連するWin 95/NT、Office、BackOfficeなどの整備についての情報が中心となる。
Exchangeサーバーもようやく出荷され、日本でも6月末のWindows World Expo 96 TokyoにB.Gates会長が来日して基調講演を行い、大々的に発表ということになる。
「Internet Day」でも紹介された「Internet Control Pack」(ICP)は、 Visual Basicなどと組み合わせて、ブラウザを含むインターネットアプリケーションを簡単に構築するためのActiveXコントロールで、すでにベータ版の配布が始まっている。デモを見た限りでは、本当に簡単にアプリケーションを構築できるので、イントラネットに対応した企業内システムなどに応用が効きそうである。
米国で「SQL Server 6.5」の出荷が開始され、インターネットを通じて120日間無料体験版も配布されている。企業内の情報保護のためのファイアウォールとなるプロキシ・サーバー「Catapult」や、新しいWebパブリッシング・ツール、Java開発環境となる「Jakarta」などの仕様の詳細が続々と明らかになってきている。次期OSでのJavaサポートの話も出てきており、情報を整理するだけでも大変である。
日本では7月31日から8月2日までパシフィコ横浜で開催される予定であり、今後発表される情報を含めて、かなりのボリュームの内容となると予想されることから、とりあえず参加申し込みを早めにしておいた方がいいだろう。
(5) その他
マイクロソフト関連以外でも米国を中心にさまざまな展示会やカンファレンスが開催されており、各社が続々と新製品・新技術の発表を行っている。
とくにブラウザ市場の85%のシェアを持つというNetscapeとJavaに関連する情報が氾濫している。あとは、Lotus NotesをコンテナとするOLE 2.0カスタムコントロールベースの「Lotus Components」の発表があったり、OpenDocが搭載されたMacintoshの次期OS「Copland」の年内出荷がむつかしい状況にあるという情報や、分散Java開発ツールの発表など、時代の流れは明らかに「分散化」「部品化」「インターネット・イントラネット対応」という状況にある。アプリケーション開発という仕事はなくなり、コンポーネント開発と部品を組み合わせたソリューション提供という仕事に二分化されるという予想は的外れではないようである。
(6) 最後に
先月号に情報交換のためのメーリングリストを開設しようということで情報を掲載したが、登録状況は芳しくない。4月末に弊社サーバーのシステム変更が発生したため、一部のユーザーにはご迷惑をかけたようである。
どうも「Windows View」という会報自身があまり読まれておらず、テクニカルセミナーなどの出席者に左右されているような気がする。今年初めのセミナーで開発系の話が続いたころには、盛んに情報交換の場がほしいというアンケート結果が出ていたが、最近のインターネット系のセミナーでは、どうも出席者層が異なるようで反応が違っている。とりあえず前号と同じ内容を掲載するので、関係者へのアナウンスと登録・投稿をお願いしたい。
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