(1) Microsoft Internet Professional Developer's Conference
まずは、3月中旬に米国で開催された「Microsoft Internet PDC」で発表されたいくつかのWeb関連技術について触れなければならないだろう。おそらく詳細は、3月のテクニカルセミナーでもMSKKから説明されたし、今回号の別ページでも解説されているはずなので、簡単に紹介しておく。
・ActiveX SDK
Javaアプレッツと同様の動作が可能なOCXを開発するための技術で、今まで「Sweeper」というコードネームで呼ばれていたAPIセット
・NCompass
Netscape Navigator用に作成されたプラグインをInternet Explorer上で稼動可能にするツールで、OCXをNetscape上で稼動させることも可能
・Internet Control Pack
HTML文書を表示
・Internet Explorer 3.0 アルファ版
ActiveX SDKにバンドルされて、米国MSのWebサイトからダウンロード可能
・Active Movie Tech
QuickTime対抗のActiveXコントロール
・Distributed COM (旧Network OLE)とIISの連携
次期Windows NT 4.0 (今年夏に発表)に標準サポートして発表。ただし、現状MSDNのPremium Releaseで配布されているベータ版ではどちらもサポートされていない。
・VC 4.1, VB 5.0
(後述)
OSのアップデート計画も発表され、今年夏からWindows 95とWindows NTがInternetとIntranetに対応され、すべてのファイルや情報が進化したブラウザで表示可能になるという。
とにかく情報はほとんど米国MSのWebサイトにアップロードされているので、関係技術をチェックしておいた方がいいだろう。PDCのCD-ROMを入手したが、他にもいくつか新しい技術情報が提供されている。マイクロソフトだけではないが、最近の各社の急激なInternetシフトを考えると、企業においてもClient/ServerシステムからIntranetシステムへの移行という時機がすぐにやってくるような気がする。もしかしたら、分散オブジェクト技術やコンポーネントウェアの普及によって、アプリケーション開発の手法(アプリケーションという概念もなくなっているのだろう)を見直さなければならない、技術者にとって新たなハードルが待ち構えている時代である。
(2) Microsoft Visual C++ 4.1
以前から欧米で実施していると報告している「Microsoft Visual C++ Subscription Edition」だが、最近「Visual C++ 4.1」がリリースされた。今回のリリースに含まれる内容は、以下のとおりである。
・MFC and Appwizard support for the Microsoft Internet Information Server API (ISAPI)
Win32開発技術を利用して、インタラクティブなWebアプリケーションを開発可能
・Virtual Reality Modeling Language (VRML) support from Template Graphics Software (TGS) through a Custom Appwizard and OLE control
コンポーネントを使って、Web上でリアルタイム、3D表現のインターネット・アプリケーションを簡単に開発可能
・Internet samples
Web上でリアルタイム・データベース・トランザクション を管理するか、いかにWindows Socketsを使ってWebサーバーを作成するか
・Third-party OLE controls
11社の先進的なOLEコントロールベンダーから、全機能で再配布可能な出荷しているコントロールをバンドル
・Performance enhancements
プロジェクト管理やシステムビルドにおいて、大きなプロジェクトの管理を改良。プロジェクトのロード時間や設定管理、デバッガの開始時間、すべての反応の効率化の改良を含む
・Additional samples of DAO and ODBC development techniques
内容を確認している余裕がなかったが、マイナーチェンジにしては、Internet関連のISAPI、VRML、サンプルとかなり強化されている。サードパーティのOCXをバンドルとなると、開発者にとってソフトウェアの部品化・再利用への対応がますます必要となってくる。ちなみにバンドルされたOCXをみてみよう。
・Drag-it/OCX from Kelro Software
・Interactive Diagramming Object from ProtoView Development Corp.
・LEADTOOLS OCX from LEAD Technologies, Inc.
・MhGauge from MicroHelp, Inc.
・MList2 from Desaware, Inc.
・Non-Rectangle Arrow Button from ASP Corporation
・PICS Data Edit OLE control from ProtoView Development Corp.
・Sax Basic Engine from Sax Software Corp.
・SmartHelp from Blue Sky Software
・VideoPlay/OCX from Media Architects, Inc.
・Visual Voice for TAPI Solo from Stylus Innovation, Inc.
・VSFlex from VideoSoft
誌面の関係で、内容の詳細については記載できないが、欧米の会社に混じって、以前コンソシアムでも講演してもらったASPのOCXが入っているのがうれしい。動作確認を取っていないが、一部を除くと日本語環境でも動作可能であると思われるので、今回のリリースの日本語対応版の発売が待たれるところである。
(3) Microsoft Visual Basic 5.0
今年秋に米国で出荷される予定の「VB5」では、ActiveXで提供されるWebブラウザからVBアプリを実行する「OLE Document Objects」仕様がサポートされる。Java対抗製品として、VB (VBS)、ActiveX、OLEなどの技術が中核となって、Web上のVBアプリという新しい環境が生まれることになる。Office用のVBA出荷の延期が発表され、当初予定されていたWordとPowerPointのVBA対応よりも、全製品でInternet対応を急ぐという最近の戦略に基づくものらしい。今年末に米国で出荷予定の「Office97」ではVBAをサポートするとしているが、Internet対応のためのVBSを開発することの方が重要だということだろう。VBSについては、MSKKのWebサイトでもわざわざページを用意しているので参考にするといい。
そういえば、3月末にMSKKのホームページがようやく大改造され、米国並とは言えないまでも充実してきている。まだ工事中のページもあるが、単なる製品カタログとプレスリリースだけのサイトから、技術者にとっても情報収集の場所に生まれ変わってきた。最新技術動向をつかむ意味からも必ずチェックをするようにしなければならない。
(4) Java関連
対するJava関連の開発ツールの話をしておくと、続々とInternet対応、Java対応をうたったものが登場してきている。
・Sun
米国のSunサイトでは、Webブラウザベースとしては初めてのJava開発環境「Java WorkShop」がリリースされ、評価版のダウンロードが可能になっている。Solaris OSだけでなく、Windowsプラットフォームにも対応しており、Javaアプレッツの開発からテスト、保守などを行うことができる。簡単に操作できて、ブラウザベースの開発環境なので効率的なソフト開発ができるという。
もちろん、Javaのお膝元ということもあり、賞金のかかったJavaアプレッツコンテストも行っているので、趣味の世界からトライしてみるのも面白い。
・Borland
米国で近々リリース予定の「Borland C++ 5.0」では、C++アプリと同じようにJavaアプレッツの開発ができるGUIベース統合環境が提供されるという。将来的には、Java開発環境や、Javaからデータベースにアクセスするソフト、Javaとデータベースの統合開発環境などが提供されると予定である。
・Symantec
Symantecからは、JavaアプレッツやWWWアプリケーションを作成するための統合開発環境「Symantec C++ 7.2 for Windows 日本語対応版 Java開発環境」ベータ版の配布を開始されることになった。市販製品の7.20から7.21へのバージョンアップと、Java開発環境がセットになったCD-ROMが有料(3,000円)で入手できる。詳しくは、WebサイトかNIFTY、サポートセンターで確認された方がいい。
ちなみに、「Symantec C++ 8.4 J for Power Macintosh」にJavaアプレッツの開発環境をサポートするプログラムもリリースされる。WindowsとMacでの開発を行っている場合にはチェックすべきである。
(5) Internet関連
・IBM
IBMは、最近OS/2やAIXだけでなく、Windows環境もサポートしているツールを提供しているが、サーバー製品群やHTMLオーサリングソフトを用意した。
サーバー群は、米国で発表されたばかりの「IBM Software Servers」で、BackOfficeの対抗製品となる「Eagle Project」と呼ばれていたLotus Notesを含む7つのインターネット関連サーバー製品から成る。
・Lotus Notes (Windows NT, OS/2, AIX)
・Internet Connection Server (Windows NT, OS/2, AIX)
・Database Server (Windows NT, OS/2, AIX)
・Communications Server (Windows NT, OS/2, AIX)
・Directory & Security Server (AIX)
・System Management Server (AIX)
・Transaction Server (Windows NT, OS/2, AIX)
InternetとIntranetのトータルソリューションという戦略で、まさにマイクロソフトと全面戦争という状況になりそうである。
ワープロ感覚でHTMLページが作成できる「Homepage Builder」は、Netscape Goldのようにレイアウトを確認しながら文書を作成し、保存するとHTMLができるオーサリングツールで、表の編集が可能であることなど、Netscape Goldではサポートしていない機能も持っている。
・Oracle, Netscape
前回のテクニカルセミナーで紹介された「Oracle Power Browser Developers Release 2」や「Netscape Navigator 3.0 Atlas Preview Release-1」など、新しいWebブラウザも続々登場してきている。
(6) MSDN Development Platform Premium Release
MSDN Level-2とLevel-3の登録者には、3月中旬に新しい開発環境が届いているはずである。
・Windows NT 4.0 (Beta)
・Win32 SDK
・Windows NT DDK
・Windows NT HCT
・BackOffice 2.0 SDK (Beta)
開発者にとっては、SDKとDDKで、NT3.51の日本語版を正式サポートしており、アプリケーションやデバイスドライバの開発に必要な場合が出てくる。
Windows NT 4.0を導入してみたが、見た目はまさにWindows 95で操作上の違和感もない。現状では、クライアントマシンで95を使用していると、サーバーのNT3.51マシンでマウスの右ボタン操作が効かずに困っている。マイクロソフトの戦略的にも、企業ユーザーに対しては積極的にNTを販売していくと方向再転換を図ったようで、どうも企業での95の寿命は短いような気がする。
(7) 最後に
以前から会員相互の情報交流のための場所がほしいという話が出ていたが、社内の承認も下りたのでとりあえずメーリングリストを試験的に運用してみたい。あくまで本格的なサポートまでのボランティア的な運用となるが、趣旨に賛同いただける方は、以下のアドレスにメールを送って、メーリングリストに参加していただきたい。
【登録】< wincons-request@research.fsi.co.jp >宛に、本文に JOIN とだけ書いたメールを送付
【脱会】< wincons-request@research.fsi.co.jp >宛に、本文に LEAVE とだけ書いたメールを送付
【投稿】< wincons@research.fsi.co.jp >宛に、メールを送付すると自分自身を含むメンバーに配信
ダイジェスト機能はサポートしていないので、過去のメールに関してはまとめてホームページに公開させていただくことにする。
どういう方向で情報交換を行っていくかはとくに決めていないので、メーリングリストの中で話し合っていきたいと思う。