■ ソフトウェア流通便り(第11回)

ソフトウェアジャパン株式会社

「小さくても大ヒット」

 「ASAHIパソコン」の最新号に気になるコラム記事があった。正確な内容はよく覚えていないが、大体以下のような記事内容だった。
 NIFTY-Serveの山岳展望フォーラムが、いわば自費出版のような形で発売した「パソコンで楽しむ山と地図」がよく売れて版(増刷?)を重ねている。販売元はインターリミテッドロジック、定価2,800円。同フォーラムでは、NIFTYのパソコン通信をとおして、山岳展望シュミレーションソフト「やまおたく」、可視マップソフト「カシミール」、鳥瞰図ソフトやそれらのソフトで使うデータを作成し、フォーラムにてフリーソフトとして会員間で利用していたが、これらをCD-ROMに焼いて販売をしたところ、思わぬヒットを飛ばしている。云々・・・
 私は「やっぱりな」といった感想であった。私も登山を趣味にしており、山岳展望の本をかなり読み込んでいたので、このフォーラムの会長の本も当然よんでいたので、ヒットが理解できたのである。
 一般の方は、この「山岳展望」なる言葉はほとんど知らないと思う。同義で「山岳同座」などというが、簡単に説明すると、ある山の山頂までいって東西南北にどのような山が見えるのか? 証拠写真やコンパス・地図を使って山名を割り出すゲームの様なものだ。誰にでも簡単に判定ができて、登山愛好家には人気があり、上記のようにフォーラムまでできているのである。したがってパソコンを使って計算すると肉眼よりもより正確な判定ができると伴に、どこの地点からどの山が展望できるか、といったことが計測できることになる。一度はテレビのニュースで富士山が見える最遠望地点は?などとして三重県から見えるといってレポーターが驚いている映像をみたことがあるのではないだろうか?

「今の山登り派はお金持ち?」

 現在の登山を支えているのは中高年層である。汚い・キツイ・カッコ悪いが敬遠されて若者には人気がない。反面、中高年、とくにオバサン(失礼)、リタイヤ組みには、失われた自然との対峙、人間関係から開放される心の安らぎが見直されている。この中高年層は、山岳関係においてかなり高い購買力を持っているのも知られている。
 彼らが登山時に身につける、装備・衣類はかなり(私が見たところ)高級品である。GORE-TEX(ムレナイ繊維)、撥水加工品は当たり前である。宿泊においても、テントなどは持参せず、山小屋泊り、温泉宿泊りが主力である。山岳関係のガイド、紀行文、雑誌をよく買う。とくに彼らのうち、多くが目指す深田久弥「日本百名山」は、高価にも拘わらず全100山のビデオから復刻版の豪華装丁本まで多種多様である。

「元は他のメディアにある」

 山岳図書のジャンルは、国内外を問わず、山岳ルートガイド、山岳紀行文、随筆、山岳展望、地図、HowToなど多岐にわたっている。最近の展望モノで大ヒット(といっても多分万単位)を挙げると、
 「車窓の山旅−−中央線から見える山」 山村正光
 「展望の山旅」「続 展望の山旅」、「続続 展望の山旅」 藤本一美・田代博
 「東京から見える山を歩く」横山厚夫
などがある。「車窓の山旅」は、登山家でもあり、国鉄中央線の車掌でもあった著者が、車窓から見える山の言われ、最高のビューポイントを紹介する内容である。「展望の山旅」シリーズは、山頂からみえる展望で、人気をよび全国の山々まで広がって今や3冊目である。「東京から見える・・・」は、サンシャシンビルから見える山々の山岳ガイドといった内容である。
 その他のメディアとしては、名山の空撮ビデオシリーズ、NHK衛星放送の小連続番組「日本百名山」などに人気がある。

「マニア物が売れる?」

 パソコンソフトのオタク物の元祖と言えば(失礼)「AQUAZONE」である。私はたまたま近くに熱帯魚マニアがいたので、このソフトを通して極意を伝授?されたが、このソフトが誠に理に適ったソフト(マニアが作った)であることがわかった。「山と地図」を通して「マニア物」を見てきたが、ゲーム感覚+ハイテク+マニア+マーケティングの要素が合体すると結構行ケルンジャ、といった感触で、注視していきたい。

(営業本部ニューメディアセンター 松村 隆)


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