待望の「Windows95」がいよいよ11月23日に発売される。パソコンソフトとしては、
過去最大の販売が予想され、中には米国同様、午前0時より販売するショップもあると聞
いている。又今回の「Windows95」を契機に、本格的にパソコン販売に参入する大手スー
パーや書籍・レコード販売店もあり、まさに空前の販売合戦が繰り広げられそうだ。今回
のバージョンはゲームや通信等のマルチメディア機能を大幅に強化し、今後急成長が見込
まれるHOME市場も十分に念頭に置いたものになっている。
これまではパソコンといえば、東京なら秋葉原、大阪なら日本橋と相場が決まっていた
が、これからは特に「Windows95」を契機として、郊外型の店舗でも気軽にパソコン関連
商品を買えるようになるかもしれない。それはちょうど家電商品が郊外型のディスカウン
トショップでも売れるようになった過程と似ているような気がする。但し、その前提とし
て誰でも使えることが必須になり、そういう意味では、越えなければならないハードルが
いくつかあるのだろう。
ただ、今の勢いだと2000年には、パソコンの世帯普及率が40%に達する見込みだとい
う。その時には当然、新しいチャネルでの販売が日常化しているだろう。そういった需要
を見込んでだろうが、このところ異業種からの業界への参入が相次いでいるようだ。例え
ば教育産業。教育分野といっても色々あるが、ある英会話学校ではこれまでのノウハウを
集積したCD-ROMソフトを販売している。又、パソコン教室への進出も盛んに行われて
いる。先日も英会話スクールを運営するイーオンが、幼児向けパソコン教室の日本フュー
チャーキッズとFC契約したという記事を見たが、今後このような動きも活発化すること
だろう。なにせ今や「ミドルのパソコン」というお題目で雑誌が売れる時代なのだ。又、
将来的にはゲーム専用機市場もパソコンというプラットフォームに集約される可能性も出
てきており、各ゲームメーカーもそれを見越した動きを見せ始めている。
このようにパソコンというインフラが急速に拡大していく中で、パソコンを中心にして
様々なビジネスチャンスが広がってきたことは間違いない。ただ、80年代にも同じような
動きがあったことが想起される。当時は、「ニューメディア」が大ブームだったわけだが、
所謂インフラの未整備のためか、結局は尻すぼみに終わってしまった。ではどうしたら、
地に足の着いた普及・発展ができるのか。そこでキーワードになりそうなのが「もっと楽
しく」ということではないだろうか。この言葉は「Windows95」のセミナー等で何度も見
聞きしているので、そろそろ洗脳されてきた方もいるだろう。この言葉には、文字通り難
しそうなパソコンを「たのしく」使おうという意味もあるのだが、もう一つの読み方とし
て「らくになる」と読めることが必要なのではないかと思う。つまり、一般のビジネスマ
ンの方が日々の仕事をいかに効率良くこなして、らくになれるかということが重要で、こ
の点をもっともっとユーザーに知らしめるべきだと思う。発売を前に色々なセミナーが花
盛りのようだが上記の点に的を絞ったものは少ないようだ。(もっともディーラーさん向
けのものが多い為かもしれない)例えば、外出先から自社のネットワークにアクセスし、
メールのやりとりをしながら仕事を進められるとか、そういった「そんなこともできるの
か」といったことを一般のユーザーにアピールすべきだと思う。実際、これから大事なユ
ーザーになる方は「何ができるの?」が一番重要な関心事になるだろうから。
ということで会員の皆様には、これからもなお一層パソコンを有用なものにする為に、知
恵を絞り市場を盛り上げていっていただきたいと切にお願いします。もちろん我々流通も、
インフラ提供者としてできる限りのバックアップをするつもりですし、何よりもこのコン
ソーシアムが母体になり、活動の場をさらに広げていけることを望みます。
(第一事業推進部 中山 紳一)