■ TrueType協議会からの意見聴取について


副会長 下川 和男

 TrueType協議会からコンソーシアムに対し、日本語拡張フォント名についての意見聴取 の依頼がありました。
 これはTrueType漢字フォントについて協議する団体である「TrueType協議会」で、日本 語WindowsにJIS X 0208以外の文字セットを埋め込み、フォント名を変更して表示する フォントセットの開発が、フォントベンダー各社で進んでいるためです。
 その際のフォント拡張名のルールについて、以下のガイドラインの策定が進いでいます。 Windowsコンソーシアムの会員会社がそのフォントのユーザーとなる可能性も高いので、 以下の「日本語拡張フォント名称のガイドライン(案)」を掲載します。
 このような仕様が広まれば、IMEで中文を入力したり、アプリでJIS X 0212の文字をX 0208に変更されないようにプロテクトをしたりと、拡張フォントが活用できるようになり ます。
 また、フォント名が長くなりますので、アプリケーションによっては処理できない可能 性もあります。自社アプリで何ができるか、どのような問題が起こるかも、連絡して下さ い。
 折角の機会ですので、TrueType協議会として、フォントに関連するアプリケーション側 から見た問題点、疑問点、要望などの指摘も受け付けています。回答責任はありませんが、 何かありましたらメールして下さい。
 ご意見、ご要望などは、サブリーダのリコー小熊さんまでE-Mailにてお願いします。
      oguma@shinyoko.ricoh.co.jp
 また、タイトルの先頭に半角で[TTCSP]と入れて下さい。
 個人としてのご意見を歓迎しておりますが、会社としての公式見解の場合は、その旨書 き添えて下さい。

以 上


◆日本語拡張フォント名称のガイドライン(案)

1995年11月 6日
TrueType協議会拡張フォント名WG

1.提案の主旨
 最近、アプリケーションサイドよりMicrosoft Windows上でMicrosoft標準キャラクタ セット以外の文字セット(JIS X0212等)のフォントを使用したいとの要求が出ておりま す。Windows3.1では、外字の文字数が少ない上に全TrueTypeフォントで1個の外字フ ァイルを共有する必要がある等の問題があり、拡張フォントを外字フォントで実現するの は無理があります。Windows95では書体毎の外字ファイルを定義できるようになりますが、 外字の文字数はWindows3.1と同様1880文字です。
 結局、Windows3.1及びWindows95で拡張フォントを処理しようとすると、何等かの取 り決めが必要になります。その場合、Windowsにはフォントファイル内にフォントが持つ 文字セットを定義するフィールドが無いため、フォント名でフォントが持つ文字セットを 識別するようなしくみが必要になります。そこで本ガイドラインを提案しました。本ガイ ドラインは、OSが持つ標準的なキャラクタセット以外のフォントを作成した時にフォント が持つ文字セットを明示的に示すためのものです。
 但し、今回のガイドラインは暫定的なものであり、Windowsの将来のバージョンが Windows NTと同様にUnicodeをサポートするようになれば、不要になるものです。OS がUnicodeをサポートするようになれば、フォント名で識別するような方法を採らずに、 Unicodeの正式なコードでフォントを作成すべきだからです。
 OSが正式にUnicodeのような世界共通コードをサポートするようになるまで、本ガイ ドラインのようなルールに基づいて拡張フォントを処理するためのものです。
 また、本ガイドラインは今後新規に作成する拡張フォントにのみ、適用するものであり、 既に作成済みのフォントにまで適用されるものではありません。

2.ガイドラインの適用範囲
 本ガイドラインが適用されるのは、拡張フォントのみです。本ガイドラインではマイク ロソフト標準キャラクタセット(Windowsの標準文字セット)と明らかに異なる文字セッ トを持つフォントを拡張フォントと定義します。マイクロソフト標準キャラクタセットの 一部を持つようなフォントやマイクロソフト標準キャラクタセットにマイクロソフト標準 キャラクタセットに含まれない文字を追加したフォントは、拡張フォントには含まれませ ん。従って、それらのフォントは本ガイドラインの対象になりません。また、本ガイドラ インは今後新規にフォントを開発する場合のみ適用し、作成済みのフォントには適用しま せん。
 また、本ガイドラインが適用される環境 (OS)は以下とします。
    日本語Windows 3.1
    日本語Windows95
    日本語Windows NT3.5及び3.51
    漢字Talk7.5及び8.0

3.拡張フォント命名のルール
 拡張フォントの名称は以下のルールで決めます。フォント名の後ろに区切り記号を付けて、 区切り記号に続けて拡張文字セットの拡張名を付けます。尚、この命名ルールは、フォン ト名とPSフォント名(TrueTypeの場合のみ)に適用されます。

    フォント名 + 区切り記号 + 拡張名

 例えば、HG明朝Bの拡張フォントでJIS X0212の文字セットを持つものを作る場合に は、以下のフォント名になると思います。

    HG明朝B@X12

*PSフォント名に付きましては、命名のルールを検討中です。但し、フォント名と同様の ルールで問題がなければ、フォント名と同様のルールとします。
詳細について以下に説明します。

(1)区切り記号
   区切り記号としては以下のような文字は避けねばなりません。
   ・既存のフォントのフォント名で使用されている文字
   ・OSやアプリによっては制御文字と見なされて特殊な動作をしてしまう文字
   ・PostScriptで使用を制限されている文字
   以上を考慮して、@を区切り記号として採用します。

(2)拡張名
   拡張名は日本語Windows3.1等の日本語OSで使用するフォントに、補助漢字や中国の文 字セット等のOS標準の文字セットとは異なる文字セットを格納しているフォントを明示 的に識別するためのしくみです。
   拡張名は明らかにOSの標準キャラクタセットと異なる文字セットの分のみ定義し、OS の標準キャラクタセットの一部(IBM漢字が無い、JIS第2水準の一部が無い等)を持つ 文字セットの分は定義しません。また、アプリケーションが識別するフォント名のバイト 数に制限がある事やアプリケーションがフォントをメニューに表示する場合のメニューの 長さに制限がある事を考慮して、拡張名はできるだけ短くする必要があります。本ガイド ラインでは、拡張名は4バイト以下とします。
   以下に本ガイドラインで定義する拡張名を挙げます。

・日本語の拡張文字
    JIS X0212 -----> @X12
    JIS X0212(追加漢字集合)-----> @X12S
    78 JIS  -----> @J78
    JEF拡張  -----> @JEF
    JIPS-G1  -----> @JIPS
    KEIS拡張 -----> @KEIS

・台湾の規格
    CNS    -----> @CNS
    ig5    -----> @B5

・中国本土の規格
    GB2312  -----> @GB

・韓国の規格
    KS(Johab) -----> @KSJ
    KS(Wansuang) --> @KSW

(3)独自の文字セットを持つフォントを発売する場合
   フォントベンダーが独自の文字セットを持つフォントを発売する場合、TrueType協議会に 拡張名と文字セットを申請する必要があります。TrueType協議会は申請された拡張名・文 字セットを受け付けて登録します。拡張名と文字セットの申請を別々に行う事も可能です。 (拡張名のみ先に申請しておいて、文字セットは商品発売後に申請する事もできます。) 申請の対象になるのは、フォント単体で発売する場合のみです。特定のアプリケーション でのみ使用されるフォントは申請の対象にはなりません。フォントベンダーが独自の拡張 名を定義する場合には、本ガイドラインで規定されているルール(拡張名は4バイト以下 等)が総て適用されます。

(4)特定のアプリケーションのみで使用されるフォントを開発する場合
   この場合はTrueType協議会に拡張名等の申請を行う必要はありません。但し、拡張名は 付ける必要があります。この場合の拡張名は以下のルールで付けます。

    フォント名@ベンダーID_XXXXX

   ベンダーIDはベンダーを一意に識別するためのIDで、半角英数字2バイトで構成され ます。重複を避けるため、各ベンダーがTrueType協議会に申請して登録する必要があり ます。_の後は各ベンダーが自由に付けて良い事にします。また、特定アプリケーションで のみ使用するフォントについては、拡張名のバイト数は制限しません。但し、拡張名の部 分には@と_を除く半角英数字と半角記号のみを使用する事とします。

4.その他
 本ガイドラインは以下のTrueType協議会技術委員会メンバーで検討を行っております。
                            (敬称略)
 主査        (株)イースト         下川 和男
 メンバー      セイコーエプソン(株)     鈴木 嗣
           (株)イースト         礒山 和久
           キヤノン(株)         来見田 恒昭
           大日本スクリーン製造(株)   芝田 博之
           (株)マール社         岡  妙子
           アルプス電気(株)       森山  浩
           ダイナラブ・ジャパン(株)   宇田  豊
           (社)日本印刷技術協会     小笠原 治
           (株)リコー          小熊 新一


   Contens    Windows Consortium ホームページ