■Windowsテクニカルセミナー


◆マルチメディア専門委員会

第2回マルチメディアセミナー実施報告

 日 時:1995年11月24日(木)14時00分〜17時45分
 場 所:大手町KDDホール
 参加人員:64名
 テーマ:『マルチメディア:一般論と知的所有権について 』
 構 成:
  第1部 「マルチメディアとは:一般論 」 
      Windowsコンソーシアム顧問、筑波大学大学院経営システム科学
           教授 高橋 三雄 様

  第2部 「マルチメディアにおける知的所有権について 」
      Windowsコンソーシアム顧問、マックス法律事務所
      弁護士・弁理士 松田 政行 様

 マルチメディア専門委員会による第2回セミナーが11月24日に開催されました。第 1回セミナー(7月6日開催)では代表的なオーサリングツールの事例紹介を主に行い ましたが、今回はマルチメディアを原点から見直すものとし、最新のマルチメディア事 情を筑波大学大学院教授の高橋先生、メインテーマである知的所有権問題をマックス法 律事務所の松田先生にお願いしました。
 第1部では、高橋先生からパソコンのイメージを新たにしてもらうために、「パソコン はPresentationの世界である」、「パソコンは健康管理のためのマシーンである」、「パ ソコンとは読み上げチェックの道具である」、「パソコンはRelaxationのツールである」、 「パソコンはNavigationのツールである」、「パソコンは電子ファイリングの装置である」、 「パソコンとはミュージックマシーンである」等具体的なマルチメディアソフトの例を使 いながら、COMDEX/Fallでのホットな情報を交えて説明が行われました。
 第2部の松田先生からは、50ページにわたる「マルチメディア著作権」と題する資料が 配布されました。レジメは、@マルチメディアによって日本経済はどうなるか、A著作権施 策の展開、B権利の集中管理、C著作権法の問題点と改正検討事項、Dマルチメディアと著 作者人格権(同一性保持権、Eマルチメディアと情報の保護(デジタル情報の保護、と広範 囲にわたっておりましたが、今回は主にAの「情報化の進展に対応した著作権施策の展開」 についての説明が行われました。文化庁マルチメディアWG報告が指摘した8つの問題点につい て具体的な事例と解釈を加えながらの新しい刺激には受講者一同熱心に聞き入っていました。 最後の方で述べられた新曲を現役時代の山口百恵さんやビートルズの声で歌わせるビジネスは 著作権でどうなるかなどは、もっと聞きたかったことと思います。
 次に、受講者のアンケートからいくつかを紹介します。
第1部の高橋先生による「マルチメディアとは:一般論 」については、「ソフトを実際 に見せていただいて、最新情報を知ることができてよかった」、「アプリの紹介として、 面白かった。Windows Viewの記事を毎回楽しみにしている」、「手掛かりとなるものは多 かった」の有用だったという意見の他、「市場全体の分析の話が聞きたかった」、「現行 のマルチメディアについては分かったが、今後のビジョンに触れて欲しかった」(2件)、 「多様性への対応だけでなく、方向性についての考え方が伺いたかった」、「もう少し多 種多様な内容が欲しかった」、「マルチメディアの中で動画が登場しなかったのが残念で ある」等、次のステップを望む意見がより多く見受けられました。また「やはりマルチメ ディアをテーマとして扱うのは難しい。寄せ集めの一般論という気がする」、「タイトル が漠然としていて、説明される方も大変だったろうと思う。今の勢いで一般ユーザーにPC が売れるためにはもう一工夫何かが必要であろう」等感じられた方も何人かおられました。
 第2部の松田先生による「マルチメディアにおける知的所有権について」は、90%近 くの受講者が有用であったとのアンケートを寄せております。「非常に良いプログラム でとても勉強になった 」(6件)、「判例など具体的説明が良かった」、「非常に分かり 易かった」、「問題点が分かった 」、「更に詳しい続編を期待」、「法整備が時代の進歩 に追い付いていないことが良く分かった」、「資料が豊富な上、分かりやすい問題点の解 説だった」等の他、更に「もう少し時間をかけてやって欲しい」(3件)、「シリーズ化、 定期的に開催して欲しい」(2件)、「非常に難しいテーマなので、回を重ねて欲しい」、 「もう少し細かく2、3回に分けてやって欲しい」、「もう少し平易な説明を望む」、「も う少し判例に促して具体的な話にして欲しい」、「一般論としてはよく理解できたが、業 務的に有用とは言えない」、「大変興味深い話だったが、難しい問題であり、メーカーと しては法整備が早くされることを望む」、「文字(デジタルフォント)についての知的所有権を どう思っておられるかお聞きしたかった」、「現行著作権法の問題点の指摘でしたが、判 例解釈に近かった。現状何が可、何が不可かを具体的に、もっと提示して欲しかった」次 を期待する意見も数多くありました。
 今後のセミナーへの要望・希望としては、「知的所有権について、引き続きセミナーを 行って欲しい、定例化希望など」(5件)、「知的所有権とマルチメディアビジネスの問 題のシリーズ化」、「知的所有権の話で具体的な事例に掘り下げたものをどんどん取り上 げて欲しい」、「知的所有権の話は面白かった。違う業界の方を招いてのセミナーは非常 に有意義である。(プログラマーは視野が狭い、また狭くなりがちである)」、「こうい ったセミナーでは、技術論より法律論の方が大変役に立つと思う。(技術情報は他にもア クセス手段が沢山ある) こういった機会をもっと増やして欲しい」、「OCX等でコンポー ネント(色々な人々の)の集合体としてソフトウェアを組み上げてまとめた場合、その著 作権は色々な人々の著作権の集合体となるのでしょうか。また、そのコンポーネントの使 用法として著作権、もしくは特許を主張できるのでしょうか。そういった内容(ソフトウ ェアを作る上で)のセミナーを希望」、「ネットワーク情報に関する法的保護」などの今 回の続きを期待する意見が多く見られました。他にも「MPEG1,2,3の企画の現状について」 、「台湾、中国等の海賊版に対する日本国内だけのProtection手法の検討会」、「Windows95 とMPEGの利用(技術及びAPIの標準化等)」、「著作権、ソフトウエアがらみの法律的な 問題の日米での比較」、と当事者として対面する問題のセミナー希望などがありました。
 また、Windowsコンソーシアムに対する要望としては、「インターネット上で早くコ ンソーシアムのホームページを実現して欲しい」、「現在Windowsのソフトがジャンル別 にどの位発売されているかを知りたい(かなり細かく、できれば米国を含めて)」、「知 的所有権についてコンソーシアムとしての意見をまとめ、官公庁に訴えていくことも必 要」、「情報交換の場としてセミナーを積極的に続けて欲しい」、「実施したセミナー 等の資料をライブラリー化し、閲覧可能にして欲しい」など承るべき問題の提起がありま した。
 なお、松田先生が会場でご案内しました「マックス法律事務所による無料セミナーと無 料法律相談のご案内」が後のページに掲載されていますので、ご活用ください。


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