活動報告


●第107回セミナー(セミナー企画委員主催)実施報告
日 時: 平成12年7月11日(火) 13:30〜17:00
会 場: 日本オラクル株式会社 本社17Fセミナールーム
出席者: 19名
テーマ:『Windowsプラットフォームにおけるオラクル製品概要』
構 成: 
  第1部「Oracle8i R8.1.6 on Windows 2000」
 マーケティング統括本部 製品統括部IA製品グループ
 担当マネジャー 今野 尚昭様
  第2部「Oracle Enterprise Manager for Windows NT」
 マーケティング統括本部 製品統括部IA製品グループ
 担当マネジャー 田沼 繁様
  第3部「Oracle JDeveloper for Windows NT」
 マーケティング統括本部 製品統括部 開発ツール製品グループ
 担当マネジャー 杉崎 正之様
  第4部「Oracle Portal for Windows NT」
 マーケティング統括本部 製品統括部 開発ツール製品グループ
 担当マネジャー 福山 貴央様

 第107回セミナーが日本オラクル本社セミナールームにて、「Windowsプラットフォームにおけるオラクル製品概要」と題し、Windows NT/2000上でインターネットアプリケーションを構築する上で必要なOracle8iをはじめWeb開発ツールのご紹介がありました。
 出席者には「Oracle8i Workgroup Server R8.1.6 for Windows NT 120日間限定トライアル、Oracle JDeveloper R3.1 for Windows NT日本語最終ベータ版」CD-ROMが配布されました。


 第1部では今野講師から、この4月にリリースしたばかりの Oracle8i for Windows NT R8.1.6製品の新機能についてWindows NTプラットフォームに特化した部分の説明がありました。

今野講師

 お話は、「Oracle8i for Windows製品ラインアップ」、「Oracle on Windows NTの歴史」、「Oracle for Windows NT開発目標」、「新バージョンのお話をする前に」、「Oracle8i for Windows NT R8.1.6の主な新機能」、「R8.1.6のWindows 2000対応について」、「R8.1.6のWindows NT製品ラインナップ」について行われました。

 Windows NT対応製品として今現在出荷しているデータベース製品としては、Oracle8i Lite(モバイルアプリケーション用で非常に少ないリソースで動作するデータベース)、Oracle8i Personal Edition(シングルユーザー用でネットワーク接続して同時に大量のユーザーからのアクセスはしない)、 Oracle8i Workgroup Server(部門レベルのシステム)、Oracle8i Enterprise Edition(企業レベルのシステム)とシステムの規模に応じたエディションを提供している。このセッションで取上げるものはPersonal Edition、Workgroup Server、Enterprise Editionの3製品であり、基本的にはこの3つの製品に関してはデータベースの基本機能、コアの部分は全て共通なものになっている。

 オラクルは、Windows NT対応のデータベースは1994年6月からOracle7 Server R7.0を出荷してから、今の8i Enterprise Edition R8.1.6まで至っているが、出荷日がNTのバージョンと大体シンクロして新製品が対応できてきている、といえる。マイクロソフトさんの開発部隊とオラクルの開発部隊とは密接に情報のやり取りをしながら新しいOSのバージョンに対応してきているのが現実である。今回のR8.1.6に関してはWindows 2000に対応している。

 オラクルのWindows NT版を開発していく最大の目標は、Windows NTというOSに非常に高い親和性を持って、なお且つその上でハイパフォーマンスなデータベースを提供することを第1の目標にかかげている。皆様方は一般的にオラクルのイメージからすると、元はUNIXから出てきた製品だからやはりWindows NT上では無理があるのではないかと懸念に思われる部分としてよく言われる。しかし、実際の所例えば細かい所でいうと、UNIX上のデータベースはデータベースサーバーとして複数のプロセスを行うのが全て物理プロセスで構成ざれているのに対して、NT版のものは全てNTのスレッドに合して作ってある。データベースのSQL文を処理する部分は当然NT版もUNIX版も共通であるが、その足回りは完全にNTに特化した形で作られており、NTに対して高速で安定性よく動くという形になっている。その他、NTサービス対応、APインターフェイスの提供、NT管理ツール対応、MSクラスタ・サービス対応など他のUNIXのポートには無いような機能ももり沢山NT版のデータベースには搭載されている。

 ここで基本に戻った話として、どうしてさまざまなプラットフォームでオラクルデータベースが皆さまに使われているか、ある意味でデファクト・スタンダードのような形になっているのは何故かというと、それは、他社製品よりも多くの新機能をサポートしているのではなく、データベースの根底の部分の2つのアーキテクチャ(読取り一貫性の保証、エスカレートしない行レベル・ロック)が優れており、他の製品の追従を許さないのが最大の理由であると、この2つの機能について詳しい説明がありました。

 Oracle8i for Windows NT R8.1.6の主な新機能としては、(1)Oracle JServerのサポート、(2)Oracle Parallel Serverの強化、(3)Oracle Provider for OLE DBの提供、(4)Oracle DBA Studioの提供、(5)Windows 2000 対応、である。特に、R8.1.6のWindows 2000 対応についての方針は、Windows NT4.0に加えてWindows 2000 をサポート、シングル・バイナリーで対応、Windows 2000の新機能(Active Directory, Enterprise Memory Architecture, Microsoft Cluster Server)にも対応している。Active Directoryとの統合では、Active Directoryユーザーでの外部ユーザー認証機能、Oracle8iが提供するディレクトリ・サービス対応機能(Net8ディレクトリ・ネーミング機能、Enterprise User Security(R.8.1.7〜)と、詳細な説明がありました。

 R8.1.6のWindows NT製品ラインナップは、Oracle8i Windows NTデータベース・サーバー製品「Oracle8i Enterprise Edition for Windows NT R8.1.6」が2000年4月出荷 \1,600,000〜、「Oracle8i Workgroup Server for Windows NT R8.1.6」が2000年5月出荷 \220,000〜。また、パーソナル・ユース用Oracle8iデータベース製品「Oracle8i Personal Edition for Windows NT/98」が2000年8月出荷 \69,000である。
 64ビット版Oracle8iについても、ハードウェアやオペレーティング・システムの出荷にあわせて、タイムリーに提供する予定であるとのことです。

配布されたトライアル版CD-ROM

 第2部では田沼講師から、 オラクル社の統合システム管理フレームワークであるOracle Enterprise Managerについての説明がありました。Oracle Enterprise Managerはオラクル製品に特化した運用管理の機能を提供するもので、ネットワークやハードウエアのリソースについては他社製品の管理ツールを使っていただくという位置付けになっているとのことです。

田沼講師

 お話は、「Oracle Enterprise Manager(OEM)の特徴」、「OEMのアーキテクチャ」、「OEMの製品構成」、「Diagnostics Pack」、「Tuning Pack」、「Change Management Pack」について行われました。

 OEMの特徴は、容易な操作性(ウイザード形式での操作、基本管理から高度なチューニング機能)、多様な管理形態への対応(複数ユーザーのサポート、Javaコンソール)、スケーラビリティ(3層アーキテクチャ、Management Serverの負荷分担)である。

 OEMのアーキテクチャは、ミドルティアの部分として管理サーバーOracle Management Serverを置いてほとんどの管理タスクを管理し処理している。ここでの管理・処理情報というのはリポジトリで管理される。また、管理対象のデータベースに対しては管理エージェントとしてフロントエンドでIntelligent Agentプロセスを立ち上げている。管理コンソールは実際管理者がコンソールを使って管理する部分であるが、JavaのアプレットとしてWebブラウザ上で起動することもでき、プラス、Javaアプリケーションとして起動するという二つの方法でコンソールを起動することが可能となっている。

 OEMの製品構成は、標準ツールであるOEMが基本管理を行い、有償オプションとしてDiagnostics Pack(監視・診断)、Tuning Pack(チューニング)、Change Management Pack(オブジェクトの変更管理)がある。
 オラクルのデータベースのチューニングというのは非常にある意味では特化した高度なスキルを必要とされるといわれている。それを簡単にさらに工数をかけずにチューニングをできるようにするのが「Tuning Pack」の一つの目的である。チューニングはバランスだと一般的には言われているがトータル的に提供するのは難しい。チューニングで実際ユーザーがどこに興味があるのかという統計情報の元でそこの部分だけピックアップして提供されている場合が多いが、トータル的な形でのチューニングのアプローチが一番最適であると言われている。オラクルの「Tuning Pack」は包括的な形で提供することをコンセプトにしている。「Tuning Pack」にはチューニングツールとしてIndex Tuning Wizard(適切な索引作成をアドバイスする)、SQL Analyze(SQL文の最適化)、Tablespace Map(表領域の物理的な状況の管理)、Reorg Wizard(表領域の物理的な状況の改善)、Expert(包括的なチューニングアドバイス)がある。

 「Change Management Pack」はオブジェクトの変更管理を行う場合に非常に効果を発揮する。例えば開発環境と本番環境をもつ顧客がいた場合、開発環境の方でチューニングやアプリケーションの変更などオブジェクト変更をしている場合、テストマシンであるから作業によっては度々変わることがあり、いちいち変更箇所を本番機と照らし合せてチェック・管理することは非常に工数がかかり面倒くさいことである。この「Change Management Pack」の機能の一部として、開発マシンの方で何らかの形で最終変更やテストも終わり本番関係にそれを適用しようと言った時にどこの部分がテスト環境のデータベースのオブジェクトと本番環境と違うのか比較することが容易にでき、ある時点からテスト環境の方はこの変更が加わっていることが把握できる、プラス、その変更をGUIベースで同化することがいち早くできる。通常だとテスト環境から本番環境に移すアップデート作業は非常にクリティカルな作業になると言われており、時間帯も余裕を持った形でスケジュールするのが大体一般的であるが、「Change Management Pack」のツールを使うとそういう負荷が非常に簡単になる。

 最後に、「オラクルというとデータベースが皆さん頭に浮かぶのですが、当然データベースだけでは実際の運用環境やそれを使う環境では片手落ちである。どんなに早いスポーツカーであっても最終的にはメンテナンスが必要である。そういった意味でオラクルはOracle8iだけでなく、インターネットに対応する、eビジネスに対応するといった意味でバックグランドでやはり管理ツールを整えていこうと考えている。」とむすばれました。

 第3部では杉崎講師から、Oracleデータベースに対応した本格的なPure Java開発環境である「Oracle JDeveloper」についての解説がありました。
 「Oracle JDeveloper R3.1」は、「Oracle JDeveloper Suite R2.0」の後継バージョンであり、e-businessのための最強のデータベース・エンジン「Oracle8i R8.1.6」で提供されるサーバーサイドJava実行環境「Oracle JServer」に完全対応するため、「Oracle JDeveloper R3.1」で開発されたJavaアプリケーションは直接データベース上で実行でき、パフォーマンスの飛躍的な向上を実現する。
 また、Java/XMLベースのアプリケーション・フレームワークである「OracleBusiness Components for Java」、XML開発者キットであるXDK(XMLDevelopers Kit)、および業界標準のJava 2やJSP(Java Server Pages)に対応し、アプリケーションの開発効率を大幅に向上させる。

杉崎講師

 お話は、「Oracle Java戦略」、「Oracle JDeveloper概要」、「Oracle JDeveloperの特徴」、「実際にどうやって開発するのか」ではJava Stored Procedure、Servlet、JavaServer Pages、EJB、XMLについて、Javaアプリケーションを容易に構築するためのフレームワーク「Business Components for Java」および「製品情報」について行われました。

 JDeveloperを語るということは、イコールJava全てを語ると同じなので、ポイントを抑えてご紹介したい。今現在、 JDeveloper R2.0を出荷しているが、R3.1というバージョンが7月31日に出荷される予定である。本日お配りするCD-ROMにはOracle8i Workgroup Serverの評価版とJDeveloper R3.1の最終ベータ版の2枚がパックにしてはいっているので、是非お試しいただければと思う。

 「日経マーケット・アクセス」データによると、情報化投資の開発運用支援ツールにおいて重点的に投資するソフト分野ということで、Javaが伸びてきており、昨年に比べて大体倍くらいと予想されている。また、Java以外でもXML関連のソフトが非常に大きく伸びるという予測が立てられている。現に、私どものJDeveloper R2.0は非常に好調である。
 XML関連のソフトとしてXDKがオラクルのホームページからダウンロード可能で、次期JDeveloperではXDKがインテグレートされた形で出荷される形になっている。XMLは、基本的にはデータの保存の部分とか、データの情報交換の部分で飛躍的に使われ出すのではないかと思われる。企業間の連携システム構築のためには、インターネットやXMLを利用するとシステムが安価にできるというメリットもあるし、私どもはデータの保存としてのXMLにも注目している。

 「オラクルのJava戦略」では、Javaを実行するサーバープラットフォームとして、Oracle JServerを提供していく。OracleのデータベースのJava機能を総称してJServerといっている。Personal EditionからEnterprise Editionまで全てに無償のオプションとしてJServer機能が入ってくる形になっているのでデータベースもJava対応した。オラクルは、常に最新の技術をサポートする総合的な開発ツールを提供するということでやっており、Javaの開発環境としてJDeveloperを提供している。このように、オラクルはPure Javaを推進し、スケーラビリティ、パフォーマンス、堅牢性を重視した製品を出荷していく。

 「Oracle JDeveloperの概要」では、Pure Java統合開発環境であり、次期バージョンでXMLアプリケーションの構築もできるようになる。Oracle8iに対応した開発環境を提供することにより、Oracleのインターネット戦略に必要なテクノロジーをすべて兼ね備えている。標準インターネット・プラットフォームでは、基本的には昨今いろいろ難しい言葉が出回っているが、JSPとEJB、XMLだけを抑えておけばいいかな、という形である。Javaの世界ではOracle8iの中でJava Stored ProcedureやJavaトリガを入れることができる。さらには、EJBコンポーネント、CORBAコンポーネントをOracle8iの中で動作させることも可能になる。これらの開発全てを支援するのがOracle JDeveloperである。
 また、JDeveloperは、開発、コンパイル、デバッグ・テスト、配布まで全てできるようになっている。特徴の一例として、JSPやサーブレットは動的なHTMLをはき出すものであり、通常は作ったものをWebサーバー上に入れてテストしなければ当然動かないが、JDeveloperに関してはそういったことをしないで、 JDeveloperのIDEの中にJSP、サーブレットのエンジンが入っているので、同じIDE環境の中でテスト・デバックができる。つまりWebサーバーに配布しなくても、テスト・デバックができる形となっている。
 Oracle8iのプログラミングモデルとしては、Oracle8iのJavaサーブレット、Java Stored Procedure(JSP)、Enterprise JavaBeans(EJB)、CORBAオブジェクトなどの機能を使った豊富なプログラミング環境を提供しているが、データベースのカーネルにJavaVMを統合したことによりJavaプログラムを非常に高速に動作可能である。また、高速化を施すために、メモリ領域を複数に分けてにガーベイジコレクタ(GC)を発生させるタイミングを変えたりコアAPIやJDBCの部分をネイティブコンパイルした形で提供している。ただし、サーバーサイドではAWTなどを利用したGUI系のプログラミングは必要ないのでサポートしない。

 「Oracle JDeveloperの特徴」はOracle8i完全対応である。配布プロファイルによる1クリック配布といった形でOracle8i上に、Stored ProcedureやEJBなどを配布できるようにインテグレーションされている。また、JDeveloperの中からOracle8iのコンポーネントが閲覧できる。これは、通常Javaのクラスなどをデータベースに配布した場合、難しいSQL文を書くのであるが、そういったことが必要ないといった形で、ありとあらゆるところでインテグレートされているのが特徴である。
 生産性向上では、ライブラリを利用した柔軟なクラスパスの設定によりコードインサイトによりコーディングの簡素化、n層開発を管理するための構成可能な多層プロジェクト作業領域、データベースとの接続ではコネクションAPIを使うことによってシンプルなコーディングができる。

 「実際にどうやって開発するのか」では、Java Stored Procedure(どの層でもJavaで開発できるメリットがある)、Servlet(HTTPサーバーの機能を拡張したJAVAオブジェクト)、JavaServer Page(HTMLにJavaで記述したロジックを埋め込み動的にWebページを生成)、EJB(実際のロジックの部分)、XML(XDKと統合された)の説明がデモを交えて行われました。

 「Business Components for Java (BC4J)は、ビジネスロジックを作成するためのJava/XMLベースのフレームワークであり、単なるライブラリのようなイメージであるがその開発を支援するツールがJDeveloperである。BC4Jは何を目標としているかというと、基本的にEJBはロジックに集中できるというメリットがあるが、BC4JはJava/XMLベースのフレームワークであってそのロジックの部分を軽減させる製品になっている。具体的にはデータベースプログラミングで必要なJDBCやSQLJといった技術を使ってゴリゴリとコーディングする必要はない。すべてフレームワークがやってくれるのである。
 また、これらのオブジェクトはEJBやCORBAオブジェクトとして配布することが可能であるため再利用性という意味で非常に重要だ。さらに、BC4J用のクライアントの開発もJDeveloperのウィザードにより全てやってしまうのでデータベースプログラマは非常に楽になる。

 「製品情報」として、「Oracle JDeveloper for Windows NT R3.1」が7月31日より出荷である。1開発者ライセンスで、価格350,000円のところ、キャンペーン価格98,000円である。 本日、ベータ版のCD-ROMを配布するので是非お試しいただきたい。

 インターネット上のOracle JDeveloper製品情報は、次にあるので参照されたい。
・定期研修コース(Oracle JdeveloperによるJavaプログラミング、Javaによるデータベース・アプリケーションシステム開発)は、http://www.oracle.co.jp/seminar/index.html
・ iNews新カテゴリ「Internet Tools」の配信申込は、
  http://www.oracle.co.jp/ofc/mail/index.html
・ Oracle internet application development toolsのページは、
  http://www.oracle.co.jp/tools

 第4部では福山講師から、社内外の情報・アプリケーションにアクセスするためのパーソナライズされたポータルを構築するためのフレームワークであるオラクルポータル(Oracle Portal)について解説が行われました。

福山講師

 はじめに、最近名称変更がありWebDBがOracle Portalとなった、とのお断りがありました。お話は、(1) Oracle Portalが一番基本的な考え方にしているEnterprise Information Portal(EIP)、(2) Portalフレームワークとして以前のバージョン2.xとの比較、(3) PortletとPortlet ProviderはOracle Portalの基本的な構成要素である、(4) Oracle Portal で実現するEIP、(5) Oracle Portalのデモ、について行われました。

 (1) EIPを直訳すると企業情報の入り口、玄関口となるが、散在しているビジネスに必要な情報をデータだけではなくて、あらゆるアプリケーションまでを統合してビジネスに必要な戦略的なビジネス展開を実現するためにインターネット、イントラネットの入り口を統一しようという考え方である。ある意味では、これをWebで実現するのでイントラネットの延長線上のようなものと捉えがちであるが、現状は複数のイントラネットが拡大するのを許してきた結果、求める情報を探してあちらこちらのサイトを検索する羽目になっている。いろいろな部署がそれぞれのコンテンツを立ち上げていてそれぞれ別々に運用管理、運営管理をして、各々がそれぞれにリンクを張っているので検索したいユーザーはこの網の目をたどっていくために検索にすごい時間がかかるというようなことが今まであった。

 コンテンツの分散、異なるユーザーインターフェイスで個々に分散管理や運用管理をしているので個々にWebマスターがいて結局そのような人が何人もいるために総合的なコストが上がってしまっている。また、そのサイトがセキュリティ管理をしていてログインのためにそのサイトごとにユーザー登録をしてパスワード管理をしていかなければいけない、同じことをやっているにもかかわらず、いろいろなことを別々にやらなければいけない。更に複数のサイトがあるためにブラウザを複数立ち上げるので結局画面的にも見難くなっている。また、そこまでたどり着くためにブックマークを使用した場合、ブックマークもサイトが移動したりして古くなっているとかそのような管理をユーザー自身がしなければいけないというような問題があった。

 それらを解決するために、必要な情報、アプリケーションを統一して一個の入り口から全部検索しようとするのがEIPの考え方である。EIPを実現している一つの画面をポータルサイトというが、このポータルサイトから例えば「カスタマーポータル」「社員ポータル」「サプライヤーポータル」「セールスポータル」などのスタートポイントを取りあえず一つにまとめてEIPで実現しようとする考え方である。

 結論的にEIPが提供するものは、次の4つである。
・情報へのアクセスの合理化: 情報を集約してポータルサイトで一覧して見ることができるので、日常的に利用できる企業データを一つのところからアクセスできる。それによって情報や作業の重複がないので日常のアクセスの合理化が図れる。
・情報の連続性: 情報を各部署がそれぞれ作るのでなく、一個の情報は一個にまとめようとする。例えば営業が作った情報をポータルから入力して更にカスタマーセンターでその入力を見て次の情報に役立てるというような情報の連続性を提供する。
・操作の一貫性: Webブラウザで統一的な操作を行うので操作の一貫性が保て、また操作が容易となる。
・コストの削減: 情報を集約して自分で検索、分析することによって、今までやっていた情報管理部門のコストが削減できる。また、その情報の集約をパッケージ化して皆が利用することによりアプリケーションの配布や管理が容易になるので、配布のためのコストも削減できる。

 (2) 今までのバージョンWebDB2.xでの機能は、全てブラウザから操作する環境を提供していた。検索するアプリケーション、情報は全てデータベースに入れて情報を管理していた。サイトを容易に作れるインターフェイスを提供しているためにWebマスターや特別な人でなくても情報提供者自身でサイトを作ることができるようになった。それによりセルフサービスで情報提供者がポータルサイトに情報をアップロードすることによってリアルタイムで陳腐化していない情報を提供して、更にWebマスターの負荷も低減しようとする機能も盛り込んでいた。
次に、データベースを情報源としているためにデータベースをいじらなければならない場面が出てくるが、データベースをメンテナンス(管理・参照)するときにSQL文を使わなくてもブラウザからウィザード形式またはGUI形式でいじるようにできていた。
また、Webアプリケーション開発もHTMLベースで簡単にしようとするコンセプトで作っていたのが2.xである。

 この2.xを踏まえて、WebDB3.0(今はOracle Portalという名称になったが)は、かなり機能を拡大している。
 ブラウザベースでアクセスをするのは変わっていないが、情報やアプリケーションを2.xの時よりもっと統合した形で提供するようにしている。提供する形というのは一つの画一的な画面ではなくて、各ユーザー毎に欲しい情報はそれぞれであるので、ユーザー毎である程度カスタマイズができるようにということで、欲しい情報をそれぞれ選択でき、レイアウトのカスタマイズを同時にできるようなパーソナライズ機能を提供している。
 また、ポートレット/ポートレット プロバイダの機能を提供することによってパーソナライズ機能を簡単に実現することも提供している。さらに、SSO(Single Sign-On)でユーザーごとにセキュリティの強化も図っている。

 (3) ポートレットとは、特定の目的のための情報またはナビゲーションを表示するポータルページ内(入り口の画面)のエリアのことである。オラクルポータルでは、ユーザーインターフェイスは全てポートレットで構成される。ポートレットの実体は、サーバー上で実行されポータルページに表示されるHTMLやXSLのライブラリを配信するPL/SQLかJavaサーブレットの塊がポートレットである。情報源はデータベースであるが、そこにポートレットが、PL/SQLかJavaサーブレットでアクセスし、その情報をポータルサイト、ポータルページに返す、という機能である。

 ポータル = 情報であったり、アプリケーションであったりするが、それをポータル毎に作成していく時に決めていかなければならない。それらをポータルに貼り付けることによってポータルの画面を実現している。

 ポートレットプロバイダは、ポートレットを提供するJavaクラスまたは、PL/SQLパッケージであるが、いくつかのポートレットを一まとまりにして管理するという形になっている。分かりやすい例でいうと、カフェテリアの食堂があり、それぞれ中華屋、和食屋、洋食屋のコーナーがあり、そこに出されているおかずをお客がそれぞれ選択する。それを当てはめてみると、それぞれのお店(中華屋、和食屋、洋食屋)がポートレットプロバイダ(提供者)というカテゴリで、おかずがポートレットである。ユーザーが好きな物(今の例でいうとポートレットであるが)を並べていって、お盆に乗っけているのがポータルサイトという感じと思って欲しい。

 今、ポートレットの開発はPDK(Portal Development Kit:ベータ版)で開発できるが、今後はオラクルが製品として出している開発ツール(Developer、JDeveloper、Discover、Oracle Portal、Express、Reports)は全てポートレットに開発できる予定である。

 さらにオラクルとしては、データベース8iとインターネットアプリケーションサーバー(IAS)をインターネットアプリケーションととらえて、社内が持っている既存システムやパートナー・システムを統合してEAI(Enterprise Application Integration)という(オラクルでもまだ具体的な製品はないが)一まとめにした機能を提供して、さらに社外サービスサイトと社内のインターネットシステムとイントラネットシステムの統合的な入り口を目指してオラクルポータルを提供していこうとする予定である。情報系は全てポータルから参照できるようにと今対応を考えている途中である。

 (4) オラクルポータルでEIPをどうやって実現するかについては、普通のブラウザとデータベースOracle8iによるオラクルポータルでポータルを実現して、それらと既存の情報システムとeビジネススイートといっているERP、CRLを統合して、さらにインターネットのコンテンツもポータルから参照またはアクセスできるようにしていこうと考えている。
 ポートレットを介してどうアクセスするかについては、例えば社内サイトのポートレットであるとPL/SQLかJavaが動いてデータベースにアクセスしていく、そこ(データベース)からまたポートレットを介してポータルに情報を返すという流れになっている。
 このポートレットをポートレットプロバイダが管理しており、そこでどういうポートレットが動いているかを管理している。
 インターネットのアクセスは、ポートレットを介すが具体的なプログラムがあるわけでなく、URLを設定しているだけでそれを参照し、ポートレットがインターネットにアクセスしに行く。インターネットのコンテンツは普通のHTMLで作ったものではなく、オラクルポータルに合ったHTMLを用意しておき、ポートレットを介して表示させる流れとなっている。
 この特別に作らなければならないコンテンツはパートナーさんに協力して作ってもらわなければならないが、アメリカのエキサイト社がオラクルポータル用のコンテンツを作っておりベータ版に入っている。その後も協調してコンテンツを提供していこうという話もしている。日本のエキサイト社も同調するような話をすすめているが、そのようなパートナーさんがどんどん増えていけばそのままオラクルポータルで情報を貼り付けて、そのまま見ることができるということも実現できる。

 まとめとして、オラクルポータルが提供するものとして何があるかというと、ポータルという情報の入り口に情報を配置することによって、情報の統合化を図り、そのセキュリティはユーザーとして管理する。ユーザー毎に必要な情報を提供することによって、アクセスの効率化を図り、その操作性は一貫したものを提供する。結局、ポートレット自体は同じなので、いろいろユーザー毎に画面をカスタマイズして、ポータル画面は違ってもポートレットの操作性は保たれているので操作性は一貫している。そのポータルを実現するための機能として、ポートレット/ポートレットプロバイダを用意してアクセスを容易にしている。

  (5) Oracle Portalのデモ
ベータ版によるデモとして、
・オラクルポータルの管理者としてのログインから、統一的なページやレイアウトの作成、データベースへのクリエートユーザーの実行、ロールの権限や個々の権限を与えるのにSQLを手入力しなくても画面からGUIでできる。
・一般ユーザーとしてのログインから、日経BPのテストポートレット、米国エキサイト社のポートレット、ウエザーニュースポートレット、社内システムのスケジュール管理ポートレット、オークションポートレットなどへいちいち画面を別なソフトで立ち上げなくても一画面でアクセスできる。
・具体的にポートレットをどうやって貼り付けていくか。
について行われました。

 このようにポータルを使って企業情報を統一して、今まで散在していた情報を統合してビジネスの効率、やり方を変えていこうというものがEIPであり、それを実現するものがオラクルではオラクルポータルである。

 ここで出席者の皆さまからアンケートによるセミナー受講の感想をご紹介いたします。

 第1部「全くの初心者であるため基本を知れて良かった」、「R8.1.5 ―>R8.1.6での新機能とR8.1.5で既にあるものとの区別がつき難かった」。

 第2部「管理支援ツールの充実が他社製品との差になっているのでは」、「デモをして欲しかった。OEMは使い方がよく分からなくて、他の管理ツールを使ったりするので」。

 第3部「開発者が導入しやすいと感じる」、「デモをもう少し見たかった」。

 第4部「まだ現実的な使い方が想像できなかった。作り込むのにハードルがありそう」、「社内インフラ向きかも」、「実例での説明が欲しい」。
セミナー全体では、「よい刺激になった」、「内容をもう少し絞った方が理解しやすいと思う」。

 今後希望するセミナーは、「初心者向けのOracle8iセミナー」、「XMLに関する具体的な構築ガイドを含むセミナー」、「アプリケーションサーバーの機能比較」、「USの最新動向」、「各種システムの事例発表」。
ご意見、ご希望としては、「全くの初心者であるため理解しきれない部分もあったが、今後もWebDBをからめたテーマについて聞きたい」、「システム見学会等も有効である」です。
Windowsコンソーシアムに対するご要望、意見は、「初めて参加させていただいたが新しい情報を知れてよい。今後も知識を得に来たい」。
ありがとうございました。