活動報告


●第96回セミナー実施報告 <セミナー企画委員会主催>

日 時:1999年8月25日(月)16:00〜17:55
場 所:ホテルニューオータニ東京 ザ・メイン宴会場「梅の間」(千代田区紀尾井町)
参加人員: 84名
テーマ:「21世紀のメディア像 〜インターネット、WebTV、情報家電〜」
講 師:マイクロソフト株式会社 代表取締役会長 古川 享 様


 古川会長からまず、「私は、この20年アメリカでマイクロソフトのどんな部隊が一体何を開発しているのかをいろいろな所に行って覗き見してきた。やっと最近、Windowsの裏の世界で少しずつ暖めてきたものが、徐々に表に出始めてきた。その状況をどのように受け止めるか、特にWindowsの存在によってメディアが変わるかもしれない、メディアというのは具体的にはテレビの番組の制作現場とか、今ちょうどアナログテレビがデジタルテレビに変わろうとしている、それからちょっとお騒がせしたが東京電力さんとソフトバンクさんとうちでなにやら新しいものをやるらしいとか、通信のインフラも変わろうとする。このように通信や放送のインフラがアナログからデジタルに変わる、もしくは新たな競合を生むような感じになった時に一体その中で何を運用していくのか、何がその上にデータとして走り回るのか、そこもやはり同時に考えていかなければならないことである。Windowsの果たす役割の中でこれから先に、メディアとして存在する今までの例えば、印刷物、放送、通信などの世界に実はWindowsというのは、このように貢献できるのですということを、今日体感していただくような時間にさせていただければと思う。」とおことわりがありました。

 今回のセミナーは、2時間近くにわたり、「21世紀のパソコン技術」は市場からの要求に応えるものでなければいけない、とのお話から始まり、『マイクロソフトのネットワーク配信とDRMに対する取り組み』、『デジタルTVの現状と展開(21世紀のテレビ放送とPCの役割)』と2つのタイトルについてお話いただきました。100枚近くのスライドと映像、音楽の再生、インターネットからの情報を取り込みながらデモを交えてのお話しは、いつものように出席者を飽きさせることなく圧倒し、終わったのは懇親会の始まる寸前でした。


● 21世紀のパソコン技術

 21世紀のパソコン技術のベースとなっていた基盤技術というのは、過去10年の間にWindowsの普及であり、Office、BackOfficeへの発展、単にアプリケーションそれからOSの普及を図るということだけではなく、サポート・サービスというものが商売の糧になってきたことは間違いないことである。ところが私どもがもう一度21世紀へ向けて一体何が必要になってくるかということを考えるとき、技術の立場からお客様にご提供できるものを作り、それを自ら提案し、それを納得いただいてご購入していただくというのが20世紀のアプローチだとすると、21世紀の展開というのはむしろ逆に自分達が主張するものを、そのまま押し売りするのではなく、お客様が何を望んでいるかということに応えていくという姿勢が21世紀へのアプローチであるということを忘れないでやっていきたいと思う。それはインターネットに対する要望であり、複雑化したセットアップ、更新のモジュールやデバイスドライバーの組み込み、それらをよりシンプルにして欲しい、それから相互接続性、拡張性といったものに対してWindowsが何とかならないか、ということに対して真剣に考えるのがベースになる姿勢である。

 そういった全体像の中で今回はかなり局所的に的を絞って、雑誌にはあまり出ていない新しい流れということで2つのテーマ、『マイクロソフトのネットワーク配信とDRMに対する取り組み』と『デジタルTVの現状と展開(21世紀のテレビ放送とPCの役割)』を用意した。

 前半の『マイクロソフトのネットワーク配信とDRMに対する取り組み』では、マイクロソフトがこれからネットワーク配信とRealAudiに対してどういう取り組みをしていくかということに対して、お話いただきました。DRM(Digital Rights Manager)とは、コンテンツを配信してそれに対してお金をチャージするメカニズム、著作権者の権利を守り、どうやって管理をしていくメカニズムのことをいい、マイクロソフトが取り組もうとしている新しい言葉であるとのことです。

 スライドのタイトルは、「最新のストリーム配信」、「Windows Media Technology」、「Physical Goods…Become Digital」、「Bits Rate」、「高品質なビデオ:MPEG・4 Video」、「インターネットを利用した高度な情報メディア」、「ライセンス・マネージメント」、「DRM:Digital Rights Manager」、「電子ブックなどの書籍・雑誌を中心としたライセンス・マネージメント」、「Windows Media Player」、「Microsoft以外からの提供」、「クロス・プラットフォーム」、「PCの世界から外へ」、「Windows Mediaガイド」等です。この中からいくつかをご紹介いたします。

●最新のストリーム配信(インターネットによる映像音声の配信と暗号・課金システム)

最新のストリーム配信についてRealAudioやG2、QuickTimeという流れに比べると、マイクロソフトはストリーム配信、音声・映像の圧縮といったものに対して少し立ち遅れているのではないかという声を聞くが、マイクロソフトがインターネット上で映像・音声の配信と暗号・課金メカニズムといったものに対してどういった取り組みをしているかということについてお話したい。

● Windows Media Technology


Windows Media Technologyは、マイクロソフトが提供するストリーミングソリーションとして、デジタルメディアの制作、配信および再生のための最良のプラットフォームであり、その核になるものは、@高品質なオーディオクオリティ、A容易なコマースソリューション(暗号化のメカニズムを最初から組み込めるような形にして商売にしていくベースに定着していこうという姿勢を持つ)、B最新の圧縮テクノロジーを自由に組み込める、CIntelligent Streaming(受け側の速度を認識し、最良の速度でデータを個別に送り出すテクノロジー)、D高品質なビデオに対する取り組み、EDigital Rights Management (DRM)を組み込んだメカニズム、の5つである。


このWindows Media Technology は、@コンテンツ制作(Windows Mediaツール)、Aサーバー環境(Windows Media Service)、Bクライアント環境(Windows Media Player)と3本の柱をベースにしている。
@「コンテンツの制作」という中に必要とされるのは、エンコーダーであり、オンデマンドプロデューサー(コンテンツの編集をしながらいろいろなものを埋め込む)、PowerPoint Online Broadcast(PowerPointの中に映像を埋め込んで、映像がしゃべりだしたその瞬間にスライドの何番目をめくって自動的に運用するような仕掛けを自由に作る、というような映像の編集の流れを仕掛けるだけでなく、その中でプログラムの実行に対していろいろなトリガーを埋め込む、そのようなことができる編集ツールがサポートされる)、A「サーバー環境」としては、NetShow Service 3.0/4.0はナロー・バンドを対象に、NetShow Theater Server 3.0はブロード・バンドを対象に映像の配信ができるようなサービスである。B「クライアント環境」は、この1年無償で提供されているが、あらゆるデータ・レートで最良の音声・映像の質をサポートしていこうとすることを試みている。
その中で実際にはどのようなことができるのかということであるが、特定のホームページの中に埋め込みのボタンをおいて、そのボタンを押した瞬間に音声とか映像が出てきてそれが再生されるというリコメンテーションがある。また、今MPEG3のICカードベースのプレーヤーが沢山運用されているが、ちょうどたった今4時から東芝の西室社長と、松下の森下社長とサンディスクのエリ・ハラリ社長とうちの社長が記者発表をやっているはずである。この次のジェネレーションで使われるICカードをベースにしたハンディーヘッドホンステレオを組み立てるときに新しいICカードのフォーマットを使って、その中で音楽を自由にダウンロードしていく、もしくは将来のコンテンツを自由にダウンロードできるコンテンツを自由に焼きこめるようなICカードを統一フォーマットで作ろうと、いう記者発表である。私どもはそのような新しいICカードのスタンダードができあがったときに、それをそのままコンテンツの、例えば圧縮技術をそのまま再生するだけでなく、ICカードの中に埋め込まれている特定のシリアルナンバー、プレーヤーの中に入っているシリアルナンバーが一元的に決められて、配信されて圧縮されたその音楽が、特定のカギでしか開かないというコンデションを整えながら再生できるような新しい時代のプレーヤーを作っていこうと考えている。

ここで少しライブ的にお伝えします。
「さて実際にはどのようなことができるのでしょうか。まずインターネットで配信した音というのがどんなレベルでどんなクオリティで皆さんのお耳に入ってくるかということは、多分過去のいろいろな実践の中でお耳にしたことがあるかと思います。例えば、RealAudioの音というのがどんな音であったかもう一度お耳を拝借したいと思います。」ということで、RealAudio、ボックス・アンド・メタサウンドおよびWindows Media Technologyで再生された音を20kbpsでのデモが行われました。〜音楽〜
「初めてインターネットから音が流れて時に、20kbpsでアナログのモデムでこのレベルの音が聞こえた時にはすごい時代になった、インターネットを使って音楽が聞こえるのだということにびっくりしたのです。ところがこの音はやっぱり気になります。クオリティが変わるだけでこれだけ変わるのです。同じ20kbpsの音です。もう一回RealAudioの音に戻します。〜音楽〜 一応ボックス・アンド・メタサウンドをもう一度かけてみます。〜音楽〜 これはかなりいいですね。ビット・レート変えていません。実はアナログのモデムを通じてもコーデックの技術が変わるだけでこれ位音が良くなってしまいます。ここでデモしますと、『やっぱりRealネットワークスに対してケチつけるのかお前は』という誤解を受けるのですが、実は申し上げたいことは、同じWindows Media Playerで再生されているということを是非見ていただきたいです。私どもが提案したいのは、特定のプレーヤーに限るのではなしに、データがどのコーデックでかかっているかということを自動的に判定して、それに必要なコーデックを自動的に吸い上げてどのアプリケーションからも再生可能な状態を保つということは一番大事であるということです。もちろん私どもも自分達の主張するWindows Media Technologyのコンテンツがサポートしている音楽のコーデックを使えば同じビット・レートでこれだけ音がよくなるのですよ、ということを当然主張させていただきます。でもMPEG3を使いたい方は当然MPEG3のコーデックを、RealAudioがいい方はRealAudioのコーデックを、という立場です。今聞いていただいたのは、20kbpsケースのレベルで通常の音楽をRealAudioとボックス・アンド・メタサウンドとマイクロソフトのWindows Media Technology4.0のオーディオコーデックを使って再生したものでしたけれども、それをさらにビット・レートを上げて具体的なCDのクオリティの音を例えばMPEG3に落とす、そうすればどの程度の音の違いがあったのでしょうかということをちょっとお耳を拝借したいと思います。ここでボタンを押しますとCDのビット・レートの音が流れてきます。」 〜音楽〜 「さてMPEG3というのはどの位のレベルの音かといいますと、〜音楽〜 64kbpsのMPEG3の音です。ISDNで2 本とらないで1本のISDNの音でとこれくらいの音です。レンジ数を128kbpsまでビット・レートを上げるとこれだけいい曲が流れます。〜音楽〜 もう1回CDの音です。〜音楽〜 64kbpsのマイクロソフトのコーデックです。目をつむっていただいて、これだけやりますと最後にやったのがCDではないかと勘違いされる方がいらっしゃるのではないでしょうかと期待しているのですが(笑い)。」以降、興味のあるお話はまだまだ続きました。

今までは、単に映像なり音楽を綺麗に圧縮してどうやってお金がとれたとか、音楽をコーデックにかけたときにクオリティとしてどう高いかということだけを中心に考えてきた。アーティストの方々は、「このテープはCDにそのままの形で入れることができなかったが、もう少し別の形で音楽を出荷できるかもしれない」と言い、また別の方は、「音楽を作っている過程の中というのは、最後の最後の中締め切りがあってそこのスタジオで完成させて出したその後に、ライブなど繰り返しているとまた別の発想が出てきて、曲想が出てきて少しずつ少しずつアレンジしていくものだ」と言っている。その時にネットワークから配信される一つの音楽を例えば、『戦場のメリークリスマス』というものを坂本龍一さんに対してこの先一生何回でも聞いていきたいという申込みをしたら、彼がこの先にあらゆるコンサートでやる別のバージョンがいつでも聞く権利をもてる、というそんな関係を作ることも可能になってくるのではないか。
たまたま音楽の話を中心に話してきたが、これから先の書籍、パッケージソフトの更新をしながら将来のサポート、アップデートをどういう形で配信し、どういう形でお金をチャージするかというメカニズムを物理的にはどうするかというと、例えば先ほど「音楽を事前にプッシュして配信して後からカギが外せます」という話をしたわけであるが、当然CDなりDVDに例えば英語の教材の第1章だけ入れておいて、残り10章のうちの9章は全部カギがかかって入っており、第1章だけをサンプルに皆さんが聞くためにDVDの英語の教材をどんどん配ってしまって、よかったら会員になってくださいよと、第2章を申し込んだときに手元にあるDVDのカギが開くというからくりを作ればメディアの再配布をせずに、またネットワークの中から大量の映像データを配信せずに配れる、ことになる。このように配信のメカニズムの中でカギがかかったもののロックを外すというメカニズムは、オンラインだけでなくオフラインのメディアと上手く融合することによって新しいメディアとしての価値を生んでいくと考えたい。

● ライセンス・マネージメント

・Windows Media Technology(NT Serverソフト)の中の一機能である。
・マシン毎に異なるライセンス、異なるカギを持つ。
・有効期限の設定(1回、無期限、日数指定)が可能。
・カギの入ったコンテンツ(DVD、CD、放送、インターネットからのダウンロード、自動販売機などから)を配る。
・ライセンスサーバーにアクセスし、カギをもらう。
・カギの管理は別会社(SONYのマライヤキャリーも委託)
・JASRACはこの仕組みを認めていない。USはOK
・ライセンスサーバー「カギを配る人」は誰でも良い。CD Audioは現在1社。
・メモリースティック、スマートカードなどのICメモリの中に、シリアル番号を入れることも可能。

将来、例えば音楽配信のメカニズムと料金徴収のメカニズムについて新しいルールができあがったら、(アメリカではそうなっているが、日本はまだである)、カギが掛かったものを自由に配ってカギが開いたときだけお金を払うという行為は一層フェアーなやり方であるという方向に進むだろう。さらに、ライセンスサーバーは自由に誰が運営してもよく、例えばCDにカギが掛かったものを配った会社は1社であるが、カギを配る会社は何社かあってもよい。積極的にプロモーションして沢山カギを配るメカニズムを作った人は、ひょっとしたらそれでまた大きなビジネスになるかもしれない。そうすると今までのように、例えばCDをヒットさせようとしたら、とにかくレコード会社を口説いて沢山の数をスタンピングして100万枚の数の在庫を持って、それを在庫として各販売店に持ってもらわないと部数は売れない、売れなかったら全部舞い戻ってくるというメカニズムではなしに、例えば或る方はそのカギを沢山掛けた形であらゆる方法で配り、またそのカギを配りたい人は、自分自身が在庫を持つというリスクではなしに、知恵とカギを外すメカニズムさえ新しいビジネスとして創造すれば、その方はひょっとしたら明日のデストリビューションの覇者になるかもしれない、そういう可能性を秘めている。
このメカニズムはこれから先に例えば音楽だけでなく電子ブック(eBooks)などの書籍・雑誌を中心としたライセンス・マネージメントがきっと起きてくるだろう。意外と早い時期である。多分半年経たないうちに書籍を自由に閲覧できるようなビュワーが日本でも、アメリカでも突如デビューを飾り、その中で新しいユーザーインターフェイスによって書籍を閲覧する新しいタイプのWindowsインターフェイスができて、その中で同じDRMが適用されてくるはずである。そのあたりもこれから先に書籍を配信して、例えばカギを開けたら自動的にその書籍を購入するということに使うとか、その中で音楽を埋め込んでいくようなことも同一のビュワーでできるようになるであろう。

●Windows Media Player

Windows Media Playerは、Windows標準の再生環境であって、シンプルな作り方、豊富なファンクションが特長であり、IE5、Office 2000、Windows 98 Second Edition、Windows 2000の中に組み込まれている。既にワールドワイドで4億回のダウンロードが行われている。
私どもは私どものコーデックを使うのが最良の音楽や映像の圧縮技術だと思い、私どもなりに再利用している。それ以外に他の方が作られるコーデックも自由に組み込んで使っていただくことを積極的に推進している。具体的にはG.726のシャープさんが作られたMPEGカメラの中に入っている音声コーデック、これも私どもがサポートしており、KDDさんが作られたQuality Motionもある。私どものものはWindows Media Audioというコーデックで、これは特に音声クオリティでなくてサイズが非常にコンパクトであるという特長がある。このように既存のプレーヤーが新技術に自動的対応することを絶えず考えている。

<Microsoft以外からの提供>
例として、Windows Media Audioのコーデックに関してパソコンの中のランタイムとして適用されるだけではなしに既にCASIOPEAの中に入っているランタイムは非常にコンパクトなコードに置き換えて出している、との紹介がありました。
パソコンランタイムや新しい電子デバイスといったインプリメンテンションだけではなしに、魅力的なアプリケーションとしてのWindows Media Technologyを活かしたものが沢山あるが、Windows Media Audio SDKがこれから出てくる。それを使って画面の中でJukeBoxを作って選曲したら音楽が流れてくるソフト(MUSICMATCH JUKEBOX)を作っている方もおられるし、Windows Media Technologyを活かした形で音楽の編集を自由にできるように組み立ててアプリケーションとしてより魅力的なものにしていこうという動きもある。
この中でゲームや業務アプリケーションを開発される方にとって、通常はオーディオとか映像はいらないが、操作やトラブル時や普段使わない特定のヘルプなどの処理について申し上げたいこととして、「音声や映像は、ネットワークのトラフイックを沢山使うとネットワークのキャパシティがいくらあっても足りなくなってしまう。これから先例えばCD、DVDや夜中の空きの帯域を上手く活かして映像をプッシュしてキャッシングしておくというようなことを上手く活用した時には、非常に多くの方に同時に均質のメッセージを届けるメカニズムがあるのではないかということを是非ご記憶にとどめていただきたい。」とのことです。

<クロス・プラットフォーム>
クライアントとしてのMacintoshはベータ2の段階である。Windows系のPentium CPUの場合はマシンのIDを取り込むのは割合に簡単であるが、Macintoshは一義的にマシンのIDを読み返す方法がない。DRMのメカニズムは相手のマシンIDと上手く組み合わせて一義的なカギを作るため、今Macintosh用に新しいメカニズムを試作中である。年内にはSDKを提供予定であり、Macintoshのサポートを行う。Windows CEの場合は、アセンブリコードで作ったCASIO E-100専用のプレーヤーは既に米国での出荷時点で標準添付されている。日本でも次期バージョンから標準で出てくる。Microsoft TVは、この先のWindows CEを搭載したセットトップボクスの世界の中で標準的にランタイムとして組み込まれていくことになっている。

<PCの世界から外へ>
電子デバイスやデジタルヘッドホンステレオなどWindows Media Audioを搭載した専用プレーヤーの試作が始まっており、この先多分3ヶ月から半年の間に出てくるが、エンコードやデコードの軽さ、高音質の機器への柔軟性といった特長を持っている。DSPメーカーとのクロスサイドで、DRMを含んだ形の移植が現在試作段階で進んでいる、とのことです。エンコードに関してオーディオの現状と今後の動きがかなり具体的に紹介されました。

<Windows Mediaガイド>
Windows Mediaの統合ガイドは全部ホームページで公開されている。エンコードの部分、サーバーの部分、クライアントの部分など全てがネットワークからダウンロード可能である。Windows Mediaに興味をお持ちの方はhttp://webevents.jp.msn.com/に日本語版が公開されているので、是非参照して欲しいとのことです。このページについて多彩な紹介がありました。

後半の『デジタルTVの現状と展開(21世紀のテレビ放送とPCの役割)』では、デジタルTVの時代になったときに実はこんな世界が生まれるという新しい分野のテーマということで、21世紀のテレビ放送の中でパソコンはどんな役割をしているかについてお話いただきました。


スライドのタイトルは、「デジタルテレビの到来」、「放送デジタル化のメリット」、「デジタル技術の有効利用」、「TBS JNEXシステム」、「デジタルBS放送のチャンネル割当て」、「21世紀の放送市場」、「デジタル移行で創出される経済効果:10年間で52兆円」、「広告放送か有料放送かの選択(民放キー局は、広告放送を基本としながら有料放送も検討)」、「ATVEF(Advanced Television Enhancement Forum)」、「デジタルデータ放送への取り組み」、「データ放送の実例:ニュース・スポーツ」、「WevTV Plusサービス(インタラクティブ TVリンク、米国のTV番組事例など)、」、「統合化されたデジタルTV」、「デバイスベイに対応した製品」、「最近のSet Top Boxでは」、「各種機器のネットワーク接続」、「Microsoftの役割」、「WindowsファミリーVision」等々でした。この中からいくつかをご紹介いたします。

●デジタルTVの到来

未来の放送の中のデジタルTVで何が来るのかというと、地上波のテレビ放送、ケーブルTV、デジタル衛星放送とインターネットが全部自分の家に押し寄せ、どの蛇口からでもあらゆるものが見えることになる。

●放送デジタル化のメリット

@多チャンネル化により、1つのアナログ放送の電波をデジタル化により約3倍のバンドの画面の細かさで見え、同じクオリティの映像ならば3倍のチャンネルが利用でき、帯域を有効利用できる。A高画質化により今のNTSCとハイビジョンだけではなしにあらゆるフォーマットの高精細の映像を映すことができる。B高機能・マルチメディア化により通信機能とコンピュータと連動した新しいサービスを提供する。C移動体放送が実現され、車の中でもデジタルテレビが安定受信できる。アメリカの場合は受信できない方式になっている。D単一周波数中継の実現ということを含めても非常にフレキシブルである。

●デジタル技術の有効利用


Windows NTの使用サンプルとしてTBS新バンザイシステムの例が説明されました。選挙関係の映像をハードディスクに蓄積し、速報のバンザ放映で即座に再生できる。

● TBS JNEXシステム

「ノンリニア編集機やVTR転送機から送られてくるデジタル化した映像物、報道局のニュースシステムから取り出す原稿情報が一体化してJNEXサーバーに蓄えられる。映像と原稿情報などを一体化したものを1つの細胞になぞらえてセルと呼ぶ。JNEXシステムでセル化された情報はLANを通じて社内20数個所の端末で自由にモニターできる。また、JNN全局からもISDN回線を通じていつでもリアルタイムで情報を取り出すことができる。こうした外部端末を利用すれば海外配信のための翻訳も在宅で可能となり、こうした試みも既に始まっている。JNEXシステムの最大の武器は、ビデオサーバーから放送のための映像を自在に取り出すことのできる8本の回線を備えていることである。しかもコンピュータ端末の操作でそれぞれを全く別個にコントロールでき、8本のうち2本がCSオンエア用としてフル稼働しており、1本はJNNへのニュース素材配信用に、残る5本はBS放送、地上波、インターネットサービスなどさまざまな使い道が考えられる。いずれにしてもTBS報道部がこれからマルチメディア展開していく上でその運用は重要なカギを握ると言えそうである」(TBS JNEXシステムビデオより)。
選挙速報システムを作るにも別個に作るのではなく、このシステムをそのまま運用している。編集を終えた素材をTBSから地方局にそのままニュースとして流しなさいと配信するような親子の関係ではなく、素材を素材として各局から自由にアクセスを許すようにしている。その結果、実力のある地方局では、別にアナウンスをたてて独自の番組の中でニュース素材を上手く編集して使っていくということが同時にできる。各視聴者全員に完成されたパッケージとして番組制作するだけでなしに、素材を各局で同時に転用して使っていく、それはこれから先、ニュースを見たときに主要な企業などがニュースに出てきた記者発表の全部をビデオがあったら見せて欲しいと言ったときに、ボタンを押せば各地方の局が自由にアクセスできたと全く同じように、企業として記者発表の内容を全部アクセスできるような環境を整えていくことを、最終的なビジネスにしていきたいと考えている。
このJNEXシステムはNTT画像通信本部が作成したものである。

● 21世紀の放送市場、デジタル移行で創出される経済効果

面白いのは放送各企業に商社、パソコンメーカーもしくは家電メーカー、コンテンツメーカーが各々システム構築として入ってきていることである。これから先のビジネスの市場規模は、電気通信審議会の「情報通信21世紀ビジョン」答申によると1995年から2010年まで5年間隔で、3兆、4兆、6兆、8.4兆円である。これから10年の間で、放送機材(放送局関連)の部分では700億円、もしデジタルTVを各家庭で2台ずつ買ってもらうとすると16兆円、設備という意味では17兆円の規模になり、それにまつわるこれから先ののコンテンツとかいろいろな経済効果は52兆円位期待されている。

● ATVEF(Advanced Television Enhancement Forum)

これから先、映像、音声、ホームページで構成されたものが地上波、衛星放送、ケーブルTV、インターネットによってTV、パソコンで使用できるという環境が整ってきたときに、ATVEFができて、その中で標準的にインターネットのコンテンツと通常のTV放送を重ね合わせて一つにしていこうという試みが今ある。WebTV、パソコン、NCI TV、Open TVそのいずれも実際にサポートされている。これにより共通規格、聴視者の広がり、豊富な低コストのコンテンツが実現できると、デモがありました。

● デジタルデータ放送への取り組み

ATVF、HTML4.0を基盤にインターネットとTV番組との親和性、幅広い放送事業者・番組制作会社・機器メーカー・ツール開発者の支援、多岐にわたるプラットフォーム(WebTV、NCI TV、Open TV)の提供、により実現化に向けた流れがあり米国の主な放送局が参加している。http://www.atvef.com参照。

● 総合化されたデジタルTVプラットフォーム

デジタル衛星放送box、ケーブルbox、デジタルTVbox、電話box、A/Vアンプ、VTR、DVDプレーヤー、Webブラウザ、ゲーム機など、すべて、もしくはいくつかの機能を組み合わせてお客様の自由な選択ができる。 http://www.Device-Bay.org参照。
デバイスベイに対応した製品として、1394 ATSC Receiver Module、ATSC規格のHDTV用PCIカードだ出ている。

● 最近のセットトップボックス

MPEG3のストリームを映像として見るだけでなくデータ情報として扱え、約8時間の映像を内部ハードディスクに記録することができるので、番組の予約録画(週単位、不在時など)や事前に配信した映像を番組放映時に連動同期でき、また放映中の番組を一時停止、追っかけ録画・再生が可能となる。今までだったら空のテープを入れて予約録画しなければならなかったが、見ている人の趣向をちゃんと分かってくれて自動的に録画してくれるようになるかもしれない。このような機能を上手く活かすことによってビデオとしての機能が大きく変わってくることになる。

● 各種機器のネットワーク接続

こうした各機種を単にパソコンの機能に入れるだけでなしに、これから先セットトップボックスとか、メールのやり取りができるホットメール機能、エクスプローラのブラウザ機能を例えばTVに入れていく、そういうものとSNTの世界、Officeの世界、Windows CEの各端末の世界が全てお互いに関連をもってやり取りするようになってActiveSyncとか、Exchange Serverの元に個人のスケジュールとTV番組のスケジュールが完全に連動して、見たい番組を掴んで自分のスケジュール表の受信にドラッグ&ドロップすると録画予約が完了ということもできるようになる。

● まとめとして、



デジタルTVのインテリジェント機能というのは、これから先あらゆる分野、パソコンに近い所からセットトップボックス、その機能を搭載した新しいTVになるかもしれないし、プロジェクターを使った新しい環境の中でTVが見られるようになるもしれない。そんな中ではセットトップボックスとパソコンの中を使ってTVを見るということが新しい流れとなるだろう。また、Windows 98、SE、Windows 2000を核にしたEmbeddedやCEそのものも活用していくことになる。重要なのは、データ放送としての規格をATVEFに統一して、WindowsだけでなしにNCI TVもOpen TVでも自由に再生できる共通な規格を進めていきたい。また、これから先の新しい規格の中でコンテンツサービスを充実させていきたい。

<マイクロソフトの役割>
私どもは、プロジェクターを中心に、むしろ壁掛けTVを中心にした高品位・高精査を最初から持ったデジタルTVの内側に一種のPCのインテリジェンスやハードディスクの機能を持つようないくつかの製品の中でこれから先Windowsの機能を活かしていこうとしている。

<WindowsファミリーVision>


その中でWindowsファミリーというのは、Windows 2000 Server、Windows 98 SEとWindows 2000 Professional、Windows CEといった3層構造の中で今日話したようなことが全て支えられていることになる。
それだけでなしに、これから先にメディアテクノロジーとして、例えば映像を見る、音を聞くというその中で新しいホームファクターとしてのWebテレホンやさまざまなデジタル機器の新しいビュワーを使ってコンテンツを見るとか、家庭の中でもこういう機能を使って映像も音も自由に配信される、それから従来のコンテンツをブラウジングするとはまた別の環境の中で新しいデバイスが沢山生まれて、それが皆さまの作っていただいたソフトウェアに細かく適合し、皆さまに支えていただいたWindowアプリケーションをさらに拡大することにつながっていけばと期待している。



Contents         Windows Consortium ホームページ