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● ロータス デベロッパー コンファレンス’99 基調講演 (1999.7.22)

「将来におけるナッレッジマネージメントのインターフェイス:Future Interfaces of Knowledge Management」

 ロータス デベロッパー コンファレンス’99におけるIrene Grief氏の基調講演の概要をお伝えします。Irene Grief氏は、IBM Fellow、Director , Lotus Researchです。
 なお、本コラムの文責は、Windowsコンソーシアム事務局にあります。


今回初来日ですが、私どものプロダクト、ビジネスに関して日本における皆様のナレッジマネージメントの関心の深さについて学ぶことができました。本日は、「将来におけるナッレッジマネージメントのインターフェイス」ということでお話したいと思います。


 最初にご紹介したい内容は、ロータスの二つのとても重要な側面です。一つはロータス リサーチに関して、これは私の属するグループです。もう一つは如何にロータスがナレッジそしてナッレッジマネージメントをとらえているか、考えているかということをご紹介いたします。そのあとでこのリサーチから発生した二つのプロジェクトをご紹介いたします。こればBigBoard Studyというフイールドスタディ、またノーツ OverViewでございます。このテクノロジーは実際すぐに入手して皆様のお仕事に使うことができるものです。また、将来のインターフェイスに関しても多少ですがご紹介したいと思います。

●ロータス リサーチ
 それではまず私のグループをご紹介いたします。ロータス リサーチはグループウェアの研究をしており、約20名のチームです。フォーカスとしては、人間のコラボレーションをするニーズを理解するというところです。もう既に各製品に大きなインパクトを与えています。その一部は皆さんご存知の製品でドミノでありますが、これは私どものグループから生まれたものです。1993年、これはまだインターネットが本格的な爆発をする前の段階ですが、私たちのグループでインターノーツWebパブリッシャーを構築いたしました。そしてロータスとしてこれからはノーツをインターネットに向けて方向付けを変える必要があると認識したときには、既に製品グループに移行するテクノロジーができあがっておりました。そしてこのテクノロジーの移行によりノーツサーバーのブランドが変わりました。ノーツサーバーがドミノへと変わったわけです。ドミノの前に私どもの最も重要な貢献としてあげられるのは、1-2-3のバージョンマネージャでした。これは各グループが私どものデスクトップ製品のメリットを享受できる初めてのフィーチ-ャでした。それは、すべてのスィートプロダクトのチームがこのフィーチ-ャを活用できるとい うものでした。更に企業がSametime戦略を確立できるようにお手伝いをしてきております。さまざまなユーザースタディそしてシステムプロトタイプを検討してまいりました。リアルタイムで通信できる機能を持っているものですが、これらを使って会社に対して如何に認識に関して、会話に関して、そして共用されるオブジェクトに関してSametime戦略でとらえるべきかを説明してまいりました。それによりデータビームの取得へと至ったわけです。更に初のノーツコンジットこれはパームパイロット用ですがEメール用のものを手がけましたし、その他にもさまざまな製品が私どものグループから出ております。
 いくつかの理由により、ここまで成功できたと考えております。その一つは私どもの研究は非常に応用志向であることです。常にロータスの製品そしてビジネスストラテジーを念頭において臨んでおります。第二の理由としては非常に科学的なアプローチを取っていることです。現場でフイールドスタディを行って人々の職場における作業、仕事を見ております。人というのは如何に自分が仕事をしているか、必ずしも上手く表現できないことがあるからです。常に必要としているツールが何かを上手く表現できません。私どもは、ニーズがあると見極めたら新しいテクノロジーの思索を行います。その上でこのようなテクノロジーがどのようなインパクトを持つかを検討するわけです。
 Computer-Supported Cooperative Work(CSCW)は私どものリサーチの分野の一つであり、私がこれをスタートさせ、このプロジェクトの命名をしております。CSCWもそうであるように、多分野にまたがり社会科学者、心理学者、社会学者も参加しており、人類学者もコンピュータ科学者とともにやっております。実際にチームの半分くらいがPh.D.を持った研究者であり、残りはデベロッパーであり、設計者であります。彼らが助けてくれて、このプロトタイプのアイディアを出してくれるという体勢で臨んでおります。

●ナレッジとナレッジマネージメント
 このお話では最近マイク・ジスマンが行った講演のスライドの一部を活用いたします。マイク・ジスマンは私どものストラテジー担当のイクゼクティブ・バイス・プレジデントです。ナレッジマネージメントに関して彼の仕事のかなりの部分は、野中教授の研究を参考にしております。私は野中教授の文献をいろいろと読み、また読み直しました。皆さんもご存知かもしれませんが、野中教授がナレッジマネージメントを米国の企業に対して語る際に彼が言っているのは、「米国の企業はもっと日本的であるべきだ」と、また「米国の企業あるいは米国人というのは用語を定義したがり過ぎる」と、「例えば『ナレッジマネージメントは一体何ぞや』ということばかり言っている、日本の企業はそうではなくてスローガンを使うのが上手だ、そして企業にエネルギーを与えて、重要なところにフォーカスができるようになる」ということです。マイク・ジスマンその他ロータス・インスティチュートのメンバー、またIBMのナレッジマネジメント・インスティチュートのメンバーは、「米国のお客様は実は本当に定義を求めている」ということが分かりました。私は、ロータスとしてこのナレッジマネージメントの日本的なストーリをどのように提示しているかという観点からご紹介していきたいと思います。

 最初に最も重要なことは、私どもの言っている「知識というのは人間の頭の中に存在する」ということです。単なるデータ或いは情報以上のものです。ロータスのとらえ方としては、データというのは事実であり、またトランザクション(やり取り)の記録であるということです。情報というのはコミュニケーションのために整理されたデータのことをいいます。その例として、半構造化ドキュメントがあります。ノーツのデータベースに入っています。知識というのはかなり処理された類の情報です。往々にして頭で思考を介して、そして考察しながらプロセスしていきます。

 野中先生は、また二つの種類の知識に関して言っています。まず、“暗黙的な知識”というのは人々の頭の中にある、そして社会的なプロセスの中にあるインターラプションの仕方です。その一部だけが頭の中或いは体の中に内在します。そしてそれに基づいて何か物事が上手くできるということです。こういったものの一部は表現することができる、そして書き留めることができます。こうなりますと、これは二つ目の“明示的な知識”になります。書くことができる、格納できる、そして共有できます。書き留めるとどうなるかというと、往々にして非常に情報のような様子を呈してくるわけです。

 知識というのは変換されて、そのサイクルが回っています。暗黙的なものから明示的な知識に変換されます。人々は時間をかけて自分は何を書き留めることができるか、そして自分の知識の一部を他の人が見ることができるように記述できるということが分かってきます。そして書き留められたものが特にコンピュータにストアされますと、その明示的な知識から、また別の明示的な知識の形に変換されます。Eメールであるとか、或いはノーツデータベースといった形でやり取りされる形です。
 知識というのは明示的な形からまたもう一度暗黙的な形に戻ることもできます。いろいろと読んだ情報を検討する、勉強する、内面化する、そして自らのものにした場合です。暗黙的な情報の一部というのは、また暗黙的な形から暗黙的な形に交換することもできます。人々が話し合うとき、いろいろなストーリを語るとき、或いは師弟関係で例えば机を並べて仕事をするというような場合です。野中先生は、「知識というのは螺旋状に高まっていく」ということを言っています。一つのサイクルを回す度に、その人はよりその情報の理解度が高まるかもしれないということ、或いはより多くの人々、多くの人々グループがこのコミュニティにおいて参加できるようになると、この情報を持つといった意味でです。

こういった中でナレッジマネージメントというのは、まさに人のマネージメントだと言えると思います。このコミュニティを育成するということ、そして人々を動機付けて何かを書かせる、発表させるということ、そして共有したいというインセンティブ(刺激)であるということを確保すること、また、もしかしたらこれが最も重要かもしれませんが個人個人が考察できる新しい情報を、仕事の中でも考察でき、また学習できる時間を与えるということが必要であるかと思われます。

強調したいのはやはり技術は必要だということです。トム・スチュアートは、「人間なしに技術は役に立たないが、技術なしに人間はスケールアップができない。“Technology without people will never work, but people without technology cannot scale”」と言っています。今日のグローバル経済の中ではスケーリングできるということは本当に重要なことです。スケールアップするということは、皆さんご存知のようにノーツ/ドミノのインフラストラクチャーが非常に上手くサポートできるところです。そして如何にこれを使って情報をより広範囲に配布できるかご存知かと思います。
本日考えていきたいのは、どのような機会があるかということ、このテクノロジー即ちノーツ/ドミノを使ってこのスケラビリティを超えて、このコミュニティにおけるビジョンを共有する、そして暗黙的と暗黙的な知識の交換ができるか、そしていかに考察・分析を助けることができるか、ということです。明示的から暗黙的な知識の変化においてどのような役割ができるかということをご紹介していきたいと思います。

●ロータスリサーチからの2つのプロジェクト(BigBoard Study、Notes Overview)
 どもの研究におけますプロジェクトを2つご紹介したいと思います。BigBoardとOverViewです。


○BigBoard
 BigBoardというフイールドスタディ(現場調査)がありますが、これは私どもが数年前に手がけました。ここではシステムを検討しましたが、これはコミュニティに対して自然なインセンティブを与えるものです、従ってこの暗黙的から暗黙的なレベルのコミュニケーションに関わるシステムです。
 OverViewというのは、新しい形でノーツデータベースをビジュアル化するテクノロジーです。自分の持っているアイデアを見えるようにする、そしてシェアできるようにするということで、これは暗黙的と明示的な知識の交換の両方向に働くことができる技術です。
 BigBoardですが、これはプロジェクトマネジメントに関するフイールドスタディです。ここに紹介しますのはWhittaker and Schwarzからの文献「Back to the Future:Pen and Paper Technology Support complex Group coordination」ですが私どもと共著で本を書いております。もしご関心がありましたらhttp://www.acm.org/sigchi/chi95/proceedings/sjw_bdy.htmをご参照ください。このような背景にあります。

20名で構成されている製品開発チームがあり、そこの人たちがコンポーネントテクノロジーを作って、いろいろな製品グループによって共有するようにしたいと思っていました。その製品開発チームは、他のチームから出向してきた人たちが多かったのですが、興味深い点が二つあります。今まで一緒に仕事をしたことがなかったので暗黙的な理解を人々の間で持つことができなかった、チームワークをすることができなかったわけです。そしてまた、かなりの成果物を出すことを期待されていたのですが、なかなか効果的にはいきませんでした。それはいろいろな他のチームの人々が移動していたからなのです。このチームのマネージャは何か革新的なことをして、この新しいチームを効果的に動かしていきたいと考えました。このマネージャが考えたのはオンラインのプロジェクト管理システムですが、今の段階ではまだ効果がない、というようにマネージャは理解していました。

そこで最初にコードが生まれる前の状況、このオンラインのプロジェクト管理のソフトでどのような状況であったかをお話しいたします。まず、ソフトは気まぐれな形で使われていました。使っていた人たちはほとんどマネージャであり、電子ツールを使用してスケジュールを作ろうとしました。しかし、考え通りには思ったほど情報が共有されませんでした。さらにこのスケジュール自体、プロダクトの間で徹底して更新されませんでした。電子的にスケジュールを入力すると、それで終わったような気になってしまいました。何も考えていないということです。変化したポイントが上手く伝わっておらず、またみんなに伝えてもそれを人々が共有しませんでした。使っていなければ到着したときにはもう死んでしまっていることになります。スケジュール自体が開発プロジェクトに統合されておりませんでした。

そこで新しいシステムをやってみようということになりました。壁一面の大きさの掲示板(ビックボード)に作業ラベルを貼っていきました。そしてこの掲示板を人のよく集まる場所、廊下において1日に10回位見てもらうような形にしました。この掲示板には、縦軸の所に人々の名前が付いています。上が日付になっています。それぞれの紙がプロジェクトを示しています。下のところにまだ新しいプロジェクトが生まれたときに、或いは新しい作業が出てきたときに、割り付けることができるようにピンであるとかラベルが用意されています。

実際にビッグボードを使った上での考察です。マネージャがこの変革を実施しました。正式なミーティングでチームメンバーを集めそして一度に正式なスケジュールを伝えたいと思いました。そうした正式なミーティングは上手くいったのです。それでハッピーになってよかったはずなのですが、他にもそれ以上に重要なことが起きていました。ほとんどの活動というのは自発的に発生していたからです。この掲示板の前を一通り人がいろいろ歩き回って、いろいろな活動が生まれました。スケジュールについての話し合いもありました、そして経営者側のツールではなく自分たちのツールであると感じるようになりました。自分のオフィスに閉じこもっていたらこのような掲示板は現れなかったでしょう。

このスケジュールの更新をするときにもっと時間的には厳しくなるのですが、自分は何をしたらいいのか、そしてそれに関する予想より正確にしなければなりませんでした。チームがこの掲示板を通じて結束し、協力し助け合うようになりました。掲示板の内容を見逃した場合、誰かがそれを見て忘れていたことを気づかせてくれ、それから又新しい一歩が踏み出せるという状況になりました。BigBoardというのはこうした製品グループの調整にも上手く機能しました。今どうなっているということを良く理解できましたし、このチームメンバーでディスカッションを設けることができました。

このBigBoardを見ている人たちを見て分かったことは、このスケジュール自体が開発プロセスにとって非常に重要な部分になってきたということです。コラボレーションが促進され、それによってより多くの非公式なミーティングが開かれるようになりましたし、人々のコミットメントも高まってきました。

 当然制約もあります。こうした制約の大概のものが、このシステムが物理的なものでオンラインではなかったということです。つまり分散しているチームのサポートということができませんでした。またバージョン管理もされていませんでした。誰かが作業を動かす前にポラロイドで写真を撮っておいてそのボードの状態を記録にとどめておき、それを上に貼り付けておいて履歴を示すのですが、この情報は他のシステムとは統合できておりませんでした。そして時としてセンシティブな機密情報も見えてしまうという限界もありました。
 こういった限界のほとんどはグループウェアで対応することができます。ノーツ/ドミノにより分散した共有されたプロジェクトマネージメントシステムが実現します。そしてアクセスコントロールの微調整も可能です。また同時にバーチャルプレゼンスも可能です。それにより何時他の人たちがそのプロジェクトボードにいるかということが分かり、彼等とやり取りができる、共有ができるということが可能になりました。
 我々が知りたいのは、特に研究ではそうですが、さらにこのグループテクノロジーの技術の向上を理解しようとしておりますので、はたしてビッグボードの特長を生かすことができないか、コミュニティを作る際にビックボードを上手く活用できないかということでした。一つ重要な点なのですが、ビッグボードは公共のものであったということです。公共の目立つ場所に掲載されていました。従って人々はいつでもこれを見ることができ、そうしてその記憶を新たにする、そしてプロジェクトが今どうなっているのか常に認識することができました。モニターを例えば廊下のところに置く、大きなスクリーンあるいはフラットパネルモニターを廊下のようなところに設置することにより、このグループウエアのソリューションに対して目立つという特徴を与えることができるということをご理解いただけると思います。またこのシステムは触感レベルでも訴えたということで、これは重要だと思います。触ることができた、これはどうやってオンラインできるのか想像しにくいので、この点についてもお話したいと思います。これも将来に向けてのユーザーインターフェイスに関連しております。
 まず、如何にこの触感の特性、機能あるいは特長が重要であったかということをご紹介いたします。例として、作業ラベルを切り取るという機械的な、物理的な動作の最中に果たして自分が正しく切り取っているのか、また期間の長さをリアルに表しているかを考えます。学校の先生ですと何時でもやっていることだと思いますが、学校では手で触れるようなものを長年教材として使ってきています。生徒によっては手を使った方が、そして自分が学習しているものに触れることができた方が学習効果が上がるからです。また、こういった紙切れを貼り付けるという行為によって人々を引き込むことができました。この紙をいろいろと動かすのが中々届かないことがあります。従って誰かが通りかかってその難しい部分だけをヘルプする、ただそれをする前にスケジュールのことを話し合うわけです。従ってこの触感的なフィールというのもとても重要だと考えました。我々のグループではこのようなことをしておりませんが、フォローしております。我々はこのMITのメディアラボの直ぐ近くにおりますので、触知ユーザーインターフェイスを研究しております石井ひろしさん、彼はNTTの研究所にいた方ですが今はMITにおり、そこで触ることのできるユーザーインターフェイスに取り組んでおります。もっと彼の研究を知りたかったら次のWebサイトを参照してください。http://tangible.media.mit.edu/projects/Luminous_Room/Luminous_Room.html

これは学生がレーザーホログラフィのセットアップの学習をしているところです。非常に高価な機器、機材を使うことなしに行っています。小さなドットのついたダンボールの箱を使っています。そして石井さんの言っているIOライトボールがこのボックスに付いておりまして、ボックスの位置がセンシングでき、これによりレーザービームの指す経路を読み取って、これをまたテーブルの上に投射することができるというものです。それにより学生はこれを掴んでおりますので如何にレンズを動かすべきかを学習でき、またコンピュータが同時に計算してくれているというメリットもあります。
二つ目の例です。これはメディアブロックスと呼ばれているものです。それは小さなブロックから構成され、自分で持つことができるブロックです。それぞれに計算能力が備わっていまして、他のブロックを感知できます。このブロックをそれぞれ隣り合わせに並べていく、そして一連のタスクをそれで表現するわけです。そのような形でどれだけの時間が一連の作業に必要であったかを計算することが可能になります。こういったところに着目しまして触知ユーザーインターフェイスで何が出てくるかということをフォローしてきました。これはそのうち、日常生活の一部にこれらの技術が取り入れられると考えております。
最後に、BigBoardはその名の通り非常にビッグなものです。通りかかったら直ぐ気づくというだけではありません。もうひとつビッグであるというのは、グローバルな情報を、全体像を与えてくれるということです。例え自分自身はごく小さな一部だけに注目していてもです。

○ノーツs OverView
 OverViewという技術は、まさにノーツデータベースに何が入っているか、大きな像を見ることができるというものです。ノーツOverViewですが、この研究は私のグループのジョン・パターソンが手がけました。彼は自分だったらノーツのデータベースをいろいろな形で見ることに対して沢山のアイディアを持っていました。彼はほとんどのノーツのビューはリストの形で表示されるということに気が付きました。彼の意見では他にもグラフでもいいのではないか、或いはカレンダー、或いは組織図といった形、或いは円グラフという形でも提示できる、いろいろなことが可能であると考えました。ここでデモをご紹介いたします。今話したことをご覧いただきまして、その後でOverViewについていくつかのポイントを述べたいと思います。  このデータベースですが、それは世界各国の国の情報が出ています。この情報は主として世界銀行のデータで、男子対女子の識字率、世界の国別の人口マップが入っています。  我々にとって沢山数字の入っているデータベースを選び、いろいろな異なったグラフイックスの表示をさせるということが便利です。それにより人々に対していろいろ異なった表現、記述の仕方が可能であると示しやすいからです。しかし同時にこれは単に報告ツールではないということをご理解いただきいということです。情報スペースをそして非数値的な情報も表示できるスペースであるということも理解いただきたかったわけです。これはナレッジマネージメントかと言えばYESです。暗黙的な情報を明示的な情報に変えてくれます。内容がだんだんと目に見える形になってきます。そして明示情報をいろいろな人々で共有することができます。なお且つ相互作用がありますので人たちが学習して、理解して自分のものにすることができるわけです。

皆さんがもっと気になるのは、これはデベロッパーが使うことができるのかという質問だと思います。今私が使っていましたデータベースはWebに載っています。Javaコードもサンプルとして出ていますし、プログラミングのアドバイスも載っています。私どものURLは、http://www.lotus.com/researchです。プロジェクトにポインターを合わせて見ることができます。R5のリクワイメントを用いてOverViewsを見ることになっています。私たちのスライドやスリーンキャムもWebサイトに載っています。

我々のリサーチで何をしたかといいますと、我々はOverViewsをテクノロジーとして使って新しい可視化(目に見える形にする)ということを実験してみたわけです。また、いくつか具体例をご紹介いたしましょう。
私どもの行った実験として、電子メールの利用量なのですが、トロント大学のリサーチがベースになっています。縦軸に人々の名前、上に日付があります。大きなマル、小さなマルがありますけれど、その日にその人がどれくらいのコミュニケーションをしたかということが大きさで出ることができます。マネージャも部下がEメールをやり合っているのが適切かどうかということが判断できます。こちらはアニメーションで示しますが、OverViewsでこれから構築しようと思っているベースになるものです。ニュースデータベースですが、記事からキーワードを抽出して、クラスター化して同じグループにまとめていきます。太字になっているのがそれぞれのクラスターの中を要約したものです。これを用いてベータベースから何か情報を見つけるということを考えてみましょう。ここをクリックしますと言葉が広がっていきます。この太字のところがよく見えるように読み易くなります。下のところにはニュースの記事のヘッダー部分が出てくるので、ここにもキーワードが出てきています。例えば、面白い記事を見つけてクリックしますと、クラスターの中に入っているキーワードと記事の方のキーワードがマッチしていると、こちらも太字になるわけです。さらに、別のクラスターの中には詳細情報が入っていまして、そこもハイライトされます。

●将来の展望
それでは今までお話したことをベースに将来これからどうなっていくかという展望をお話ししていきたいと思います。

 BigBoardというのは自然にコラボレーションを促すインターフェイスです。そして暗黙のものから暗黙のものへのインターフェイスということになりますが、OverViewsというのは、この思考を目に見えるようにし、共有化することができるインターフェイスということになるわけで、暗黙から明示、明示から暗黙にあたります。
 Overviewsは、個人個人の学習やあるいは内省をサポートしてくれることができます。インターフェイスといっても人の好みがありますので、同じ情報に対していろいろなインターフェイスを提供してくれます。また、ツールというのは本当にデータを分析したいというようなパワーツールですが、ドミノを用いますと各自の考えをまとめて、同じ情報を見ることができるという形で、これこそがグループウェアであると私たちは思っています。インフラがあってユーザーインターフェイスを用いることによって個人個人をグループにまとめてくれるというものです。
 もう一方で、BigBoardというのはシングルユーザーインターフェイスでもあります。どうやって使うのかというのは分かりやすいものです。こうした紙を動かすということは面倒なことではありますが、沢山の人たちでそれを共有して痛みを分かち合うことができます。そしてグループの中での結束が高まるものでもあります。BigBoardはグループユーザーインターフェイスと言えると思います。ナレッジマネージメントのインターフェイスにおけるグループユーザーインターフェイスです。
 ここで皆さんにお分かりいただきたいのは、我々がロータスでいろいろな研究を行ってきましたこうした成果を皆さんと共有していきたいということです。ナレッジマネージメントのインターフェイスは微妙な領域でもあり、コミュニティをサポートしなければいけません。個人個人をサポートしていかなければなりません。これが将来に向けての課題です。



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