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<コンファレンス、フォーラム速報>

マイクロソフト ビジネスアプリケーションコンファレンス99(Biz Apps 99 Japan)開催される

 3月10日、11日にマイクロソフトのテクニカルコンファレンスであるBusiness Applications Conference(Biz Apps)がパシフイコ横浜(みなとみらい)において開催されました。Biz Appsは、マイクロソフトが1998年から世界主要都市で年一回開催する実践的な技術習得のためのコンファレンスであり、マイクロソフトの提唱するWindows DNA(Distributed interNet Applications)技術を利用した企業情報システムの構築に必要とされる実践的な技術情報の提供を目的としたものです。
 米国で昨年9月9〜11日に開催されたBiz Apps 98 USAの模様は、本誌Vol.53(1998/10号)に下川副会長による報告が掲載されています。
 Biz Appsでは、戦略的企業情報システムに必要となる3つのテーマ「Business Operations」(ビジネスシステム統合)・「Knowledge Management」(コラボレーションとデータウェアハウス)・「Commerce」(電子商取引)をトラックとして取り上げ、設計初期の段階から実際の展開/運用管理までの一連の流れを仮想の企業を例にとった解説を行い、2日間にわたって同一テーマのトラックに参加することによって統合的な知識や技術を身につけるれます。
 各セッションではWindows NT、BackOffice及びWindows DNA対応のサードパーティ製品を利用したDigital Nervous System実現のための実践的手法が解説され、多くのデモが行われました。架空の会社で行われるビジネスプロセスを模したサンプルアプリケーションを利用し、シナリオに沿って解説が行われ、サンプルアプリケーションはコードとともに参加者の皆様に配布されました。
 ソリューションデベロッパー事業部事業部長東貴彦氏によるご挨拶、ソリューションデベロッパー事業部テクニカルエバンジェリストグループ課長寺田雄治氏による総合司会で行われ、オープニングはJames Utzschneider氏(Director of Evangelism Application Developer Customer Unit ,Microsoft Corporation)による基調講演「Digital Nervous System」で始まりました。

James Utzschneider氏による基調講演

 続くゼネラルセッション1では、Windows DNAソリューションテクニカルエバンジェリスト熊谷恒治氏から、「Windows DNAに基づくビジネスオブジェクトの構築」、ゼネラルセッション2では、Windows DNAソリューションテクニカルエバンジェリストマネージャー萩原正義氏から「Windows DNAに基づくビジネスオブジェクトの構築」の講演があり、その後は各セッションに分かれての受講となりました。熊谷、荻原氏のお二方にはWindowsコンソーシアムは大変お世話になっております。荻原氏は第32回セミナー(1995年4月:OLE2紹介)、熊谷氏は第70回セミナー(1998年3月:Windows NT5.0の新技術)および本誌連載の「やさしく解説するマイクロソフトの最新技術 第1回(Vol.47、98/4)〜第6回(Vol.52、98/9)」を担当していただきました。

熊谷講師 萩原講師

 11日(最終日)の午後5時半から約1時間、マイクロソフトコーポレーション 会長 兼 最高責任者 ビル ゲイツ氏による特別基調講演があり、約4500人の方が聴講されました。この模様を事務局が現地取材しましたので、ご紹介いたします。
また、この模様は、マイクロソフト株式会社のホームページhttp://bizapps.msn.ne.jp/keynote/に、英文による講演内容、日本語翻訳版および使用されたスライドが掲載されていますので、合わせてご参照ください。
 本コラムで使用した図版は、同ホームページより引用させていただきました。なお、以下本コラムの文責は、Windowsコンソーシアム事務局にあります。

ビル ゲイツ会長による特別基調講演

ご挨拶

マイクロソフト株式会社 代表取締役社長 成毛 真氏



 今日は、特別講演と致しまして私どもの会長ビル ゲイツより、デジタルナーバス システムという題でお話しを申し上げようと思います。皆様方もご存じの通り、このデジタルナーバスシステムは、私どもが近年使っております用語であり、これが私どものビジネスとして21世紀のコンピュータを開くものであるという確信を持っているわけであります。今日は、その内容につきましてそれを創り出し、そしてそれを実際に進めている本人ビル ゲイツよりお話しを申し上げます。どうぞ最後までお付き合い頂きますようお願い申し上げます。

特別基調講演

マイクロソフトコーポレーション 会長 兼 最高責任者 ビル ゲイツ氏



 皆様方、こんにちは。このような機会が与えられたことを大変嬉しく思います。デジタルナーバスシステムについてお話しいたします。ビジネスというのは、今後10年間の間に大きく変化し、そして情報の流れは大きく変わるであろうと思います。会社の中でも、パートナー企業との間でも、またお客様との間でもまったくこの10年間の間に違ったアプローチというものが出てきます。そして、この新しいアプローチには、パソコンとインターネットを活用して新しい神経系統で、完全にデジタル化された性格のものが登場いたします。

 ここでいうナーバスシステム、神経系統というのはすべての情報を網羅するものです。財務データ、あるいは過去のデータベースが管理したデータだけではありません。すべてのものです。あらゆるお客様とのコンタクト、あらゆる計画されているプロジェクト、そして電子的な媒体による販売情報により、いろいろな情報を見ることをできるようにすることであったりします。それは、すぐに古くなったり、検索することのできないような紙に書かれた情報ではありません。デジタルナーバスシステムは、社員が座ったままで、非常に簡単に情報を手に入れることができるようにします。基本的なオペレーションの内容、戦略的な考え方およびあらゆるお客様とのやりとりに関し、より敏感にビジネスに対して反応できるようにすることです。


 会社によっては、この必要性を認識しています。そして、お客様はインターネットにおける相互対応を求めていますが、それだけでは十分ではありません。インターネットを通じて、お客様が情報をアクセスすれば、社員より豊かな情報を見ることができるというわけではありません。Webサイトを作る場合には、それを統一して使うべきだと思います。そして、それはお客様に対する書類の流れだけでなく、社内における書類の流れの代わりにも展開すべきだと思います。ここには、ひとつ、プロセスを変えるチャンスがあり、より効果的に、より効率のよいものにすることができます。そして、人事の管理から、非常に複雑なプロセスである価格決定やプロジェクト管理、新製品の仕様決定などという点にまで、広げることができます。

●デジタルナーバスシステムの原則

 いくつかのキーとなる原則があります。そして、インターネットはまず第一にすべてを変えます。このインパクトというのは、今後数年間の間に登場しますが、資本主義自体の考え方、すなわち売り手と買い手を結ぶということで、サービスやアドバイスを提供することによって取り引きを成立させるという意味では、インターネットは主要なコミュニケーションの媒体になります。そして、今までであれば、見つけることのできなかったお客様も確保することができますし、また全く新しいレベルの競争が展開されます。新規参入者がやってきて、今までの流通機構、あるいは営業組織に対し投資することなく、お客様に対してインターネットを通じて接することができます。このような環境の中で、単純な繰り返し作業がなくなり、ただ単にペーパーの情報をコンピュータに入力するという仕事はなくなります。そして、取り引き情報を聞くためだけに電話をかけるような仕事もなくなります。セルフサービスがすべての中心となります。単純な作業ではなく、人々はもっと付加価値を提供できるような仕事に専念できるようになり、顧客思考のサービスをすることができます。しかし、そのためには豊富な情報が必要です。パソコンを活用して、お客様のために判断ができるようにしなければなりません。お客様が中心でなくてはならないと考えています。そこで新しいレベルの競争が展開されます。そして、お客様は今まで以上に大きな期待を持つようになります。あらゆる種類の入力がもっと速く広がります。というのは、ビジネスは急速に変化するので情報のより速い入手と、より速い判断が必要だからです。


 過去2,3年に見てきた為替レートの変化や経済情勢の変化などは、非常にめまぐるしいものです。驚きの連続です。良いニュースも悪いニュースももっと速く伝わらなければなりません。企業全体に対して悪い知らせも速く知らせて、変化に対して反応できるようにしなければなりません。これは重要です。もちろん、人間の性格上なかなか損失を出した取り引きや不満をもっているお客様については語りたがりません。しかし、まさにそういった情報を入手することによって、計画を速く変えることができ、最も良いやり方を取ることができます。会議やペーパーワークの従来のやり方では、悪い知らせが伝わらなかったために、対策が遅れることもありました。しかし、デジタルの世界ではシステムを正しく構築すれば、良い情報も悪い情報も速く入手できるようになり、簡単に誰でも見られるようになります。

 ここでデジタルナーバスシステムを考える際には、まったく新しい投資が必要だと思いがちかもしれません。しかし、実際のデジタルナーバスシステムのためのインフラというのは、もう既に大体のところに存在しています。すなわち、パソコンがネットワークに接続され、最新のソフトを使い、電子メールを使い、ビジネスアプリケーションを使って、そのアプリケーションを統合していますので、ナレッジワーカーはスプレッドシートなどを使って、ピボットテーブルを使ったり、データを検索したり、いろいろなソースのデータを組合わせたり、操作することができます。すなわち、これらのプロセスに関して再検討し、パソコンのインフラからより多くの価値を引き出すことができます。まったく新しいものを買う必要はありません。電子メールは、これの根本的な要素です。Exchange Serverをさらに最新のコラボレーションのために強化していますし、Windowsにおけるセキュリティやディレクトリも強化しています。このようによりよい情報の共有は、まさに我々が実現しようとしてきたものです。そして、大変興味深い結果が既に見られています。

 最近、私はある本を書き終えましたが、ここにおいて、このようなデジタルナーバスシステムについて説明しています。過去1年間、私は世界中のさまざまなお客様から、どこかに良い実例がないかという質問を受け続けました。そこで、私はこれらのことを文章にまとめましたので、月末には「Business at the Speed of Thought(思考スピードの経営)」の本が出版されます(注:日本経済新聞社から4月7日発売予定、2000円)。この本によって、いくつかの重要な要素が何であるかを示しています。ここで、1つの診断のやり方についても説明しています。現在、どの企業をみても、完全なポテンシャルを実現しているところはどこもないと思います。マイクロソフトでさえ、あるいは先進的な試みを行っている他の企業でさえ、まだ完璧ではありません。


 その診断の中には、企業全体が同じ情報を共有しているかどうか、トップレベルからみて、細かい情報まで見ることができるだろうか、採算性というものを理解するために簡単にできるだろうか、などといった点を診断します。パートナー企業を簡単に含むことができるであろうか、将来もっとパートナーを活用していくからです。また、前のプロジェクトの文書を呼び出すことができ、パソコンで1分間でそういうことができるようになれば、今までの過去のいろいろな教訓というものを活かすことができます。もし難しければ、そういう情報を使いませんので、企業の情報資産を十分に活用できないことになります。完璧な企業はないと申し上げましたが、既に最初のいくつかのステップを踏んできた企業からいろいろ学習することができます。そこで、リーダー企業をみて、従来のアーキテクチャから離れて、本当に情報が新しいやり方で利用される良い事例というものが見られます。
 素晴らしい事例としてはブリヂストンの実績が見られます。最近まとめられた大型プロジェクトについて、ブリヂストンではどのようなことをやっているのかビデオで見てみたいと思います。

株式会社ブリヂストンのビデオ:

 「BSハイウエイ」として、競争力のある情報ハイウエイを構築し、情報システムの徹底的なコスト削減を図った。PCプラットフォーム(Windows NT4.0、SQL Server7.0、SAP R/3)によるシステム構築を行い、より高速でより高い信頼性、最高のコストパフォーマンス、高い柔軟性と容易な拡張性システムを実現した。

 これは、本当の意味でのリーダーシップを発揮している良い例だと思います。パソコンのプラットフォームを使っています。パッケージソリューションとしてSAPを使っており、最新のSQLサーバーを使っております。従来のシステムであれば、メインフレームを使っていたところですが、コストを削減してこういうやり方をとっています。しかも、情報のアクセス性はもっとよくなっています。古いメインフレームは、典型的なバッチ処理型でしたので、月末に情報を入手できたということでした。毎日情報を入手したり、その情報に関するたくさんの関連情報を見たり、同僚に対して送信して、世界各地の同僚と連絡し合うというのは不可能でした。しかし、ここでは情報はPCの生産性向上用のツール、あるいは電子メールシステムと結びついていますので、これらの情報を生き生きと効果的に活用することができます。以前のアプローチ以上に効果的に展開が可能です。

 また別の例があります。ここでもリーダーシップが発揮されていますが、プロクターアンドギャンブル社です。アメリカにおいては、最大手の消費者向けの会社であり、多くの有名なブランドを持っています。彼らは、いろいろな小売店と情報交換をしています。過去においては、強いバッチ思考がありました。そしてEDIトランザクションをやっていましたが、彼らはこれを不満に思い、もっとリアルタイムのシステムで、もっと対話型のシステムを求めていました。そこで、インターネットの標準を基にしてEDI以上のアプローチを考えました。もちろん、EDIの豊富な機能も活用することができますが、より一定したお客様との取引情報を見ることができます。例えば、英国において食料品チェーン店のセインズベリーという組織がありますが、すべての情報をリアルタイムでアクセスすることができます。ここでプロクターアンドギャンブル社とセインズベリーのビデオを見てみます。

プロクターアンドギャンブル社(P&G)のビデオ:

 P&Gとセインズベリーがインターネットを使って、製品情報、販売予測、顧客情報、販売促進情報などの情報を共有している。最後に、「マイクロソフトの推進するデジタルナーバスシステム、その中でもバリューチェインイニシアティブ(Value Chain Initiatives)は我々自身のサプライチェイン構想や業界ニーズと同じ方向に進んでいます。企業間の商取引を実現するエレクトロニックコマースは、既存の流通システムを改革する大きな流れになっていくでしょう。私達P&Gは業界標準の推進とパートナー企業の協力、そして推進的なサプライチェインシステムを構築することにより顧客、消費者そして株主に新しいバリューを提供していきたいと考えています。」と結んでいます。

 非常に素晴らしい例であったと思います。生産性のツール、インターネットの標準、そして非常に高い信頼性、PCベースのサーバー、これらが一丸となって非常に素晴らしいビジネスソリューションを提供していました。



マイクロソフトの役割

 次に私どもの役割について考えてみたいと思います。私どもの専門領域は、ハイボリューム、ローコストのコンポーネントブロックを提供し、これによってこうした新しいアプリケーションのプラットフォームを提供していくことです。Microsoft Office、Microsoft Windows、Microsoft BackOffice、そしてパートナーシップやサポートサービス等を通じて、私どもは重要な役割を果たしていきたいと考えています。実は、私どもは年間30億ドルの研究開発費を投資しております。これはあくまでもお客様のフィードバックをベースにして、こうした製品をあらゆる方向性で拡張していきたいと考えています。

 いくつか重要なイニシアティブがあります。まずインターネットサポートというイニシアティブですが、私どもは実際にインターネットをもっとパワフルにしていきたいと考えています。例えば、セキュリティのレベルをもっともっと高めていきたいと考えていますし、ネット上にある他のトラフィックを妨害することなく、オーディオとビデオを上手く取り込みたいと考えています。しかも、例えばデスクトップからビデオを使用して社員がトレーニングを行ったり、プレゼンテーションを見たり、そしてコラボレーションができるようにしたいと考えています。ドキュメントをきちんと共有しながら、それほどネットワークのバンド幅を使わないようにしたいと考えています。インターネットはかなり発展してきました。そして我々の製品にビルドインされましたが、我々は現状に満足しているわけではありません。もっともっとフィーチャーを拡張していきたいと考えています。次に拡張性に関するもの、シンプリシティ、そして総合接続性に対するイニシアティブがあります。

驚異的な拡張性

 いくつか重要な点についてお話しておきたいと思います。まずは拡張性ですが、2つの重要な点があります。1つは、ハイパフォーマンスであるということ、そして非常に高い信頼性が求められています。Windowsプラットフォームは今後既存のプラットフォームをこの2つの点に関してさらに凌駕していかなければならないと思っています。メインフレームをさらに越え、さらに素晴らしい環境を提供していかなければならないわけです。そのためには、当然マイクロソフトとして努力しなくてはなりません。品質を改善する、そしてアーキチテクチャをもっともっとリッチにし、Windowsにビルドインすることが重要であると考えています。いくつかの非常に興味深い開発がここでは行われています。タンデムという会社と協力しています。今はコンパック社に属していますが、我々はこの企業と協力することによって、メインフレーム以上の信頼性を、例えば証券取引所において、またその他のトランザクションのシステムにおいて本当に絶対ダウンしないシステムを構築していきたいと考えています。99.9%のアップタイム、そしてWindows NTシステムでこれだけの信頼性を達成していきたいと努力しています。

 ソフトウェアに関しては、いくつか重要な進歩があります。クラスタリング技術を使いたいと考えています。クラスタリング技術を使うことによって、システムのグループが特定の問題に対して対処することができます。いずれか1つのシステムがダウンしたとしても、すぐその作業を別のシステムでリスタートすることができます。トランザクションのアプローチをやはりOSレベルに実現することが重要であると考えています。当社では、Microsoft Transaction ServerをWindows NTに標準で搭載しています。ソフトウェア開発者はそれを使いながらアプリケーションを自動的に拡張していき、クラスタリング技術のアプローチを使って信頼性を展開していきたいと考えています。特に、Windows 2000の一部に位置付けられているディレクトリをできるだけ簡単に管理ができるようにして、システムの信頼性を高めていきたいと考えています。これによって今システムで何が行われるかを正しく把握してシステムのセットアップを行うことができるようになります。
 次にパフォーマンスに関してですが、我々の進捗状況は非常に素晴らしいものがあると思います。オフィスのハードウエアのコストが下がってきました。そして、1日に10億のトランザクションのレベルになっています。これだけのレベルに特化したということは、世界広しといえどもどの企業の要求も満足することができるものであると考えています。私どもは、2年毎にプロセッサのスピードを2倍にしていきたいと考えていますし、また64ビットのアドレススペースをサポートしていきたいと考えています。したがって、ディスクにあった情報をメモリで扱うことができるようになります。また、より沢山のプロセッサをさらに1つのシステムにまとめたいと考えています。現在は1台のPCに8または16プロセッサまで対応できるようにしていますが、将来は64個のプロセッサーまでサポートしていきたいと思います。そして、クラスターを中核に考えています。すなわち、個々のプロセッサのパフォーマンスを改善し、プロセッサのカードを増やし、クラスタリングを使ってトータルのシステムのスループットをハードウェアのレベルで改善することができます。Microsoft SQL7.0など、ソフト上の改善が見られます。ベンチマークをみますと、データベース、Webサイト、メッセージングであっても、企業の99.9%をさらに越えています。実は毎年3倍以上向上しています。本当に嬉しいことです。
 拡張性、信頼性に関して、特にWindows 2000のマイルストーンという点においては非常に素晴らしい条件になってきていると思います。

相互運用性の向上

 近代的なシステムにおいて、インターネット、Windows、PCハードウェアを計画していますが、当然既存のシステムとの相互接続が必要であります。実は私どもは特に相互運用性、相互接続性に力を入れています。UNIXとの関係は特に重要であると考えています。それからメインフレームとの接続性が重要であると考えています。我々は、あらゆる一般のデータベースに接続するためのデータベースコネクタを用意しています。ODBCをスタンダードにしており、これによって相互接続性をさらに向上することができると自信を持っております。私どものトランザクションの能力はどうでしょうか。CICS、またその他のトランザクションマネージャと上手く相互接続することができます。メインフレームのデータベースから、新しいアプリケーションをWindows NT環境の中で上手く操作することができます。実は、多くの銀行がこのアプローチをとり、デベロッパーを新しい世界にプッシュしています。データベースを経由して新しいプラットフォームへのマイグレーションが発生しています。

 特にエキサイティングなものとしては、XMLというインターネットの標準技術が重要であると考えています。特にそれぞれの産業のオブジェクト、例えば医療、製造などそれぞれの業界におけるレコードを上手く見つけるということが重要であると考えています。業界標準団体と協力することによって、我々はあくまでも中立的な立場をとりながら、ハード、OSを意識しながらXMLを中心として新しいレベルの相互接続性を実現していきたいと考えています。これによって情報の世界をレガシーシステムとの統合性というものを、本当に効率よく進めることができると考えています。


管理能力の向上

 さらに、管理能力が重要であると考えています。管理能力の向上をさらに図っていきたいと考えています。実は、ソフトウェアというのは、このシステムの中に自動的にビルトインされると考えております。Windows 2000、当然これは標準の機能としてサポートとしています。皆さんの明示したポリシーに従ってディレクトリのアップグレードができます。システム管理のインフラは、ずいぶん改善されており、ステーションに行ってクライアントのPCを見ることはなく、ネットワークを監視することができます。
 インテリミラー(IntelliMirror)という非常すばらしい技術があります。このインテリミラーですが、これはローカルパソコンにある情報をサーバー上にレプリケート(複製)するための技術です。PCがダウンしたとしても、新しいパソコンを使って、プラグインしてログオンすることによって、即システムを走らせることができます。情報はサーバー上に保存されているため、その情報をすぐ利用することができます。我々は、これを行うときに、これはあくまでもレプリケートの技術を使っていますので、当然ポータブルマシンでオフラインでも使うことができます。また、ネットワークがダウンしていても使うことができ、非常に迅速に反応することができます。ローカルハードディスク対応になっていますので、このレプリケートされた記憶内容を活用することができます。新しいバージョンではディレクトリは簡単にセットアップでき、また管理することができます。

進化しつづけるシンプリシティ

 さて、シンプリシティですが、ユーザーは当然もっともっと簡単なコマンドであって欲しいと思っています。彼らはエラーメッセージが出てきて欲しくないと、もっともっと簡単に理解できるものが欲しいと真剣に望んでいます。私は最近、我々の製品でのエラーメッセージを1日かけていろいろ分析してみました。私自身もその多くのエラーメッセージを理解することができませんでした。ユーザーの立場がよく分かり、お客様が見ているいろいろなメッセージをどうにかしなければならないと思いました。我々は、これを改善するためのとてもクリエイティブなアイデア、インターネットに接続することも含めていくつかのアイディアを出しました。特に、診断ツールを使うことによってマシン上ですぐ診断できるような機能をサポートしなければならないと考えています。また、ユーザーは、このシンプリシティをこれまで何年もかけてお話をしてきましたが、特に重要なターゲットとして、例えばプリンタードライバーはとても複雑な世界でありました。お客様はドライバーが違えば、アプリケーションも違うものを買わなければなりませんでした。これに関しては、ほとんど解決してきています。フォントの管理やグラフイカルユーザーインターフェイス、その開発ツールなどは今までとても複雑でした。ポータブルマシーンはいろいろ異なった構成やダイアルインがありましたが、ずいぶんよくなってきております。インターネットに接続するのは、今や標準の機能として提供されてきていますので、よりシンプルな世界になってきていると思います。
 しかし、ユーザーはこれで満足しているわけではありません。もっともっとシンプルにして欲しいと、あまり覚えなくてもいいようにして欲しいと思っています。それは正しいことだと思います。

シンプリシティの技術革新

 そこで、我々の新しい製品は、先ず第一にこの点を反映させていきます。Windows 2000、Office 2000には標準搭載されている、インストールオンデマンド機能、自己修復機能もサポートしていきたいと思っていますし、多言語サポートをビルドインしていきます。USバージョンで我々の製品を日本語バージョンという異なったバイナリーを持つことなく、シングルワールドワイドのバイナリーを持つようにしていきたいと思います。どういう意味かといいますと、この統一したアプローチをするために、異なったバージョンを管理でき、すべてのものが最新のものであると確認できるようなシンプルなものにしていきたいと思っています。
 特に、SQLサーバーではさらにシンプリシティの技術革新を図っていきたいと考えています。SQLの言語を勉強することなく、質問事項を入力することができます。また、自動最適化もサポートしていきますので管理的な努力を行う必要はありません。また、あくまでもダイナミックなスペース管理ができるようにしたいと考えています。また、ポータブルマシーンでもハイエンドのサーバーでも同じデータベースが扱えるようにしていきたいと考えています。こういった具体的な領域においてシンプリシティが今後さらに進んでいくと考えていただければと思います。

Windowsアプリケーション

 Windowsアプリケーションの構築ですが、この世界も3、4年前の状況とかなり違ってきています。ユーザーはアプリケーションがもっともっと高度になるべきものだと考えています。サーバーを立ち上げることのできるアプリケーション、ユーザーがWebページをクリックした時に自動的にインストールできるアプリケーション、またユーザーが考えることなしにすべてのコンポーネントをダウンロードできるものが必要であると思います。ユーザーはWindowsアプリケーションでいつも使えるもっと豊かな機能にして欲しいと思っています。またオフラインサポートも同様にユーザーのサイトでポータブルマシーンにおけるアプリケーションでサポートをして欲しいと多くの方々が考えています。
 マイクロソフトは、唯一の企業としてサーバーアプリケーション、インターネットアプリケーション、そしてクライアントアプリケーションを同じプログラミングモデルでサポートしている企業です。プログラミングモデルというのは、あらゆる言語をサポートします。すなわち、アプリケーションを新しい言語で見なおしたり、書きなおす必要はありません。我々は、あらゆる言語をサポートすることは非常に重要であると考えています。というのは、これからますます新しい言語が出てきます。XMLを中心として、イージーアクセスがサポートされていくわけです。書きなおす必要がないということが普及にとって非常に重要だと思います。新しいものが出てきたときに、また書きなおすということは非常に煩雑になります。多言語サポートが今後ますます重要な鍵を握ると、私どもは考えています。シンプリシティをもっともっと進めていきます。データベースアクセスに関して進めていきたいと考えていますし、またOSの中に機能を取りこむことによって、皆さんの方で他の人がやった努力を繰り返さないようにしたいと考えています。トランザクションは、その良い例です。また、Object PlumbingはCOMでやっていますし、その強化版であるCOM+でも行いたいと考えています。これは非常に素晴らしい事例だと思います。

BizTalk

 さて最近私どもは、ある発表を行いました。この発表は、私どもにとって非常に重要な要素でありますが、XMLの標準化に関係するものでもあります。この製品名はBizTalkといいます。このBizTalkというのは、ソフトウェアを各業務、各業界のビジネス慣行に適応できるようにするものです。また、BizTalkによって、アプリケーション統合のための情報交換ができます。しかもいろいろな企業の間でいろいろな組織の間で情報を自由に交換することができるようになります。また、XMLが非常に重要な役割を果たすわけですが、我々のツールは当然これをサポートしていきます。XML中心の方向性に入っていきます。

 Windowsだけに限ったアプローチではないと先ほど申し上げました。あらゆるシステムが、よりよく相互に機能するためのアプローチです。これはWindowsの世界にとっていいことだと思います。というのは、これによって人々がいろいろな機能拡張をしてくれるからです。Windowsの新しいシステムがでてくると思います。これまでは、ゼロからしなければいけないということもありましたが、そういう問題をこれから解決していきたいと考えています。BizTalkに関しましては、例えば、ビジネスを一緒にやりたいという2つの会社に使えます。こちらが買い手のプロセス、もうひとつが売り手のプロセスの場合、中身は違うかもしれません。どのようにして取り引きのための情報交換をすることができるのかということが重要だと思います。トランザクションを1つにまとめていくことが重要であるわけですが、それぞれの会社は、Internet Web Siteの一部として、情報を公開していくわけです。自分達のためにビジネスの情報交換をします。そして、標準化を意識しながらBizTalkを使っていくということになります。ここには、非常に重要な努力が行われています。私どもは、先週BizTalkを発表しましたが、業界のリーダー的な企業、例えばSAP、またピープルソフト、その他多くの会社と一緒になりまして我々はBizTalkをサポートしていくということでした。そのために、これは1つの業界に長いこと必要とされているものの延長線上にあるといえるわけであります。

マイクロソフトはBizTalkをどのようにして使うか

 BizTalkは、私どものDNAアーキテクチャに適合するものであります。私どもには1つのサーバーがあり、情報交換することもできますし、スケジュールを管理することもできますし、またいろいろなインベントなどの対応もできます。ネイティブなオフィスにおけるサポートも組み込まれますし、BackOfficeというWindowsそのものにおいてもサポートが実現されます。将来のアプリケーションを考えるにあたって、XMLのスタンダードはどのようにサポートされるかということを考えながら、他のアプリケーション等を考えていくわけであります。すなわち、過去のようにすべてが、1つの会社のアプリケーションを必要とするわけではありません。また、アプリケーション間を結ぶソフトも必要なくなるわけです。というのは、スキーマの変換、すなわちXMLの標準変換さえできれば、非常にストレートに情報が流れるわけです。

マイクロソフトの産業別取り組み

 マイクロソフトの役割は、こういったアプリケーションを実際に構築することではありません。むしろ、プラットフォームおよびこれらを簡単に実現させるツールを提供しなければならないと考えております。私どもは、非常に特化して1つの役割を果たすというのが成功の最も良い方向性であると考えました。すなわち、我々としは、チップを作っておりませんし、システム構築もやっておりません。また、我々はシステムインテグレーションなどもやっておりません。むしろ、我々はプラットフォームを構築し、お客様と相談しながらどのようにしてプラットフォームを利用していくかを考えて、より良い方向性に向かうためのフィードバックを我々は収集しています。そして、我々にとって最も重要なパートナーとは、ISVの方々です。そして、私どもとしては幅広く、いろいろなパートナー企業と協力していることを嬉しく思っております。垂直展開も考えております。マイクロソフト社としては、すばらしいアプリケーションを我々のプラットフォーム上で展開していただくということを目指していますので、いろいろな業界における専門経験というものを確保しております。ここに、いくつかリストアップされてますが、我々の会社でお客様と実際に手を結んだり、パートナー企業と一緒に協力したりする専門家がいます。Windows DNAを使って、それぞれのカテゴリーにおいて、さまざまなアプリケーションというのが展開されており、今後ともこれは増えていきます。人々がアプリケーションを作成する際にWindowsプラットフォーム上でインターネット対応で構築しています。従来、メインフレームやUNIXにあったアプリケーションはすべてWindowsの環境に移植されようとしています。また、デスクトップのレベルにおいては、UNIXのようなシステムはむしろ活用がここ2年間の間に減ってきているような状況です。サーバーの性能、信頼性というものを人々に普及させることによって、同じ衝撃的なことがサーバーレベルにおいても見られるだろうと考えられます。そして、どういうような価格性能比が実現できるかを考えなければならないので、主流のハイボリュームの環境においても我々のソリューションがベストであることを今後とも訴えつづけます。プラットフォームソフトウェアに特化してますが、私どもとしてはより豊かなプラットフォームをつくる可能性があると考えています。これからも、いろ いろな前進が見られると思います。BizTalkのXMLのスタンダードの基で、ますます今後ともいろいろと突破口をつかんでいくことになると思います。そしてPCにおいても、画面の質も、解像度もよくなります。無線ネットワークも展開されます。液晶でもってタブレット版の携帯可能なものが今後普及します。手書き認識で、メモができ、いつでも最新の情報というものを入手しながら、いろいろな情報を収集することができるようになります。アプリケーションを構築した投資というものは、すべてそのような新らしい環境にも持ち越すことができるというわけです。そのためにも、私どもは非常に慎重に検討してきておりますが、我々の研究開発というものはますます大きく活動を広げています。ビジネス界は、ますます大きくなったデジタルネットワークの中で、ソフトウェアの活用がどのようになされるか大変注目しております。。企業としてはどういう形を持ってこういう課題を解決し、どのように競争力を握るかということを検討しています。これは、重要な課題でありますから、CIOのみが考える問題ではありません。むしろ、経営者全員は、CEOを含めてこれに係わり合う必要があります。こういった状況をみて、どのような製品群を我々が提供できるかということを考えて、また、パートナー企業の成果も考えた場合には、非常に私は将来の見通しが明るいと考えています。

将来の展望

 ソフトの技術革新というものは、ますます速く進むだろうと考えられます。過去との互換性というものを切ることなく、これからも互換性を実現しながらますます強力なプラットフォームになります。ハードにおいては、インテルのチップも今後前進しますし、ディスク、高速ネットワークも、高解像度画面、無線ネットワークなどといった構成要素がすべて揃ってきましたので、すばらしい情報用ツールというものが育ってきました。今後は、拡張性、相互接続性、そして管理能力に関しても、いろいろな前進がみられるようになります。これが我々のコミットメントです。私どもはこういったところに毎日目を向けています。結局のところ、私どもとしては、まだまだ試作段階にあります。このようなアプリケーションは、まったく新しいレベルのビジネスを実現します。皆様と協力しながら、ぜひこれを現実のものにしていきたいと考えております。ありがとうございました。


特別基調講演 質疑応答

 引き続きソリューションデベロッパー事業部事業部長東貴彦氏の司会により質疑応答が行われました。ステージ中央のハイチェアにビルゲイツ会長と成毛社長が座り、質問を受けました。
 まず、会場の皆様を代表してということで、東事業部長がこのカンファレンスにご来場いただいた皆様から予めいただいたものの中からピックアップした2つの質問から始まり、会場から2名の方、最後をしめて成毛社長によるものと、ビルゲイツ会長は5つの質問に精力的に応えていました。興味あるその模様を詳細にお伝えします。


質問1 東事業部長による代表質問(1)マイクロソフト社の製品と技術を使った開発環境について
 マイクロソフトのオブジェクト技術、OS、そしてアプリケーションは、頻繁にバージョンアップされるため、これらを利用して開発するとき、常に技術及び製品のバージョンアップとその組合わせを意識する必要があります。そこで、例えば、今日開発を着手して1年後に稼動開始させるとしたら、それぞれどれを使えばよいのでしょうか。

ビルゲイツ会長
 私どものWindowsプラットフォームにおけるコミットメントとしては、今後ともアップワードコンパティビリティを実現したいと考えております。そのため、WindowsのどのバージョンであってもWindows NT4.0であっても、Windows 98であっても、アプリケーションの作業をしても新しいバージョンにおいても動きます。そして、新しいバージョンにおいてもメリットを生み出すことができます。そのパワーを活かすことができます。トランザクションサーバーといい、非常にリッチなディレクトリも提供されます。そこで、どこがターゲットかによってOSのアップグレードが実現できるのであれば、windows 2000を対象とするのは非常に有利だと思います。私どもは、慎重にWindows 2000を魅力的なものにしたいと考えています。サーバーを1台づつアップグレードしても、デスクトップを1台ずつアップグレードするにしても、共存できます。そこで、サーバーのアプリケーションは、Windows 2000を前提としてやっていけます。クライアントとして古いWindows、あるいは他のシステムのバージョンを使っていても、我々の接続性を活かすことができます。今、現在開発を進めている人たちで、お客さまのほとんどはVisual CおよびVisual Basicを使っており、その2つは開発努力のうちの70%位を占めています。私どもとしては、システムの機能をすべてXMLのリッチな機能といい、その他の新しいものも十分にそのような言語で十分展開できるものにしたいと思っています。そこで、Visual Studioの環境とビジネスアプリケーションのためには、Windows NT4.0は良い出発点だと思います。しかし、Windows 2000はもうすでに使っているところもあると思います。

質問2 東事業部長による代表質問(2)日本におけるデジタルナーバスシステムの展開について
 デジタルナーバスシステムのコンセプトは、分かったつもりですが、実際のシステム構築となるとさまざまな知識、ノウハウというものが必要となります。マイクロソフトは日本では、この知識、ノウハウの蓄積にどのような活動を行って支援しようとしているのでしょうか。また、最近さまざまなベンダーからこのようなシステムコンセプト、あるいはフレームワークのようなものが発表されていますが、それらと差別化するためにどのような活動をするつもりでしょうか。

ビルゲイツ会長
 マイクロソフト社のビジョンとしては、権限を付与するという考え方です。すなわち、PCそのものの哲学です。そして、人々は幅広く情報をアクセスし、素晴らしいツールを使うことができます。ポータブルマシンであれ、デスクトップのマシンであれ、いろいろなものを作成し、注釈を加えて、競業を進めることができます。そういう哲学と言うものが、すべてのプロダクトに反映されています。競合他社との戦略とはまた違います。人によっては、端末機さえ与えればよい、生産性向上用のアプリケーションはいらない、固定した画面を使えばよいと考えるところもあります。そこと我々は対象的です。多くのベンダーは、すばらしいハイボリュームの競争によって生み出される価格性能費、PCのハイパフォーマンスに抵抗しているところもあります。このため非常に高価なシステムを必要としていると主張している会社もまだあります。しかし、我々のメッセージというのは、デスクトップにおいても普及しており、サーバーの大半においても我々のメッセージは普及していますから、ハイエンドのサーバーにおいて更に私どもとしては説得しなければなりません。我々のアプローチを採用していただくように、これからも力を入れていかなければなりません。今後1年間の間に大きく前進すると考えられます。デジタルナーバスシステムに関しては2通りの展開が考えられます。まず、インフラを考えなくてはなりません。電子メールを企業としてどういうふうに使っているか、もっとペーパーレスのアプローチを採用できないのかを考えなくてはなりません。トップマネージメントは、コミットメントをもってインフラを整理しようとしているかどうかということです。それが実現すれば、それが1つずつ前進し、さまざまなペーパーフォームを省いていくことができますし、またオンライン化しなければならない情報というものをひとつひとつ取り上げていくことができます。そしていくつか実現できれば、ひとつの勢い、はずみというものがつきます。マイクロソフト社の決意としてベストプラクティスを共有したいと考えています。Webサイトといい、我々の社員からも成功例をどんどん紹介していきたいと考えています。例えば、私どもはソースコードを取り上げまして、ペーパーレスな購買のアプリケーションをWebサイトに出しています。世界の人達がご覧になれます。多くのアプリケーションでそういうことをや っており、非常に良い出発点を、皆様方も入手できるようにしたいと思っていますので、ロードマップを示し、はっきりとしたアプリケーションの展開というものが必要であると考えています。そのために、我々及びパートナー企業とともにデジタルナーバスシステムの展開を押し進めていきたいと考えています。


質問3 会場の皆様から(1)
 1つは統合業務パッケージERPパッケージの方の市場に参入することがあるかどうか、
 2つめは、ここ数年の64ビット対応とか、クラスターだとかは見えておりますが、Windowsの10年後の姿をビルゲイツさんがイメージされているものがあれば、教えていただきたい。

ビルゲイツ会長
 非常によい質問だったと思います。ERPソフトに関しては、私どもはもっともいいアプローチとしては、マイクロソフト社は、ERPソフトを我々自信では開発いたしません。むしろ、そういう特化した知識をもっている人達と協力しなければならないと思います。それぞれの国において、それぞれのニーズを理解しているOBCといったところがあります。また、グローバーなSAP、バーン、ピープルソフトといった企業があり、我々のプラットフォーム上で物を構築しています。NT関連の売上のパーセンテージというのは、どんどんと飛躍的に増えています。SAPプラットフォームのうち、60%以上がWindows NTをベースとしています。そのため、彼らと協力し、競合しないことによってもっとも良い結果が得ることができると考えています。多くのコラボレーションを進めて我々のツールは、MicrosoftOfficeを含めて十分リッチな機能を含めて、柔軟性というものをもって情報を取り上げることができるようにしなければなりません。固定した報告だけではありません。そういったアプリケーションと定義されているものの中でも、いろいろなエンジニアリングのすばらしい関係をERPの会社と結んでいますので、そういった事業展開を我々自身がやるということは考えていません。
 Windowsに関して10年というのは、相当長い期間ですから、1999年です。むしろ、1989年のWindowsを振り返ってみたいと思いますが、当時は失敗でした。グラフィックスインターフェイスは遅すぎる、重すぎると考えられていました。圧倒的に人々は、文字入力のMS-DOSの世界でした。1991年ごろ、ようやくグラフィックインターフェイスというものが、広く受け入れられました。性能、アプリケーションやツールも揃い、さらにWindows NTで前進がみられました。豊富なハイエンドサーバーの機能というものを取り上げて、ユーザーフレンドリーなアプリケーションをWindowsの世界においても展開できるかということに関して、懐疑心がありましたが、今は非常にハイエンドのところでのみ、そういう疑問があります。今後1、2年の間にそういった状況も克服できるだろうと思います。Windowsにおきましては、非常に新しいソースコードというものが、どんどん出てきており、これに対してユーザーは意識しなくてもいいのです。自動的にいろいろな更新をするとか、インターネットにおける最新の診断用ソフトをダウンロードしたり、システムの最新情報を使えるということです。そして、リッチなインターネットの接続を実現すれば、いろいろな問題を解決するためのソリューションをよりよく展開することができます。もっとも大きなインパクトとして、音声認識及び手書き認識というのは、OSの標準的なフィーチャーになります。そしてこのような会議では、10年後にはおそらくタブレット板の装置を使ったり、私の言葉を記録したり、最新の電子メールを見たり、メモを取ったりすることができます。即ちそういったデバイスというのは、もっと今現在のPCよりもアプローチしやすいものになると思います。

質問4 会場の皆様から(2)
 DNSに向かって御社の製品群がバージョンアップされることによって、PC上でできることが増えてくることは、PC上でソフトを開発していたISVにとってはビジネスチャンスが増えるということで、極めて喜ばしいことだと認識しております。しかし、いつもISVにとって課題になるのは、2つあるような気がしています。新しい環境の基で既存の製品が、本当に正しく動くかということを、ユーザーサイドにISVとして保証していかなければならないことと、ユーザー以上に新しい環境を吸収して、ユーザーにより早い時点で具体的な形で提示していかなければいけないと思っています。その時に、これから1、2年と考えたときに、今まで以上にISVが抱えている時間というのは貴重なものになってくると思います。その時にISVとしては、何に一番注意して、これからの時間、有意義なものとして結果を出すためにビジネスチャートを本当にキャッチアップするために過ごしていったら具体的に良いのでしょうか。

ビルゲイツ会長
 Windowsの成功は、ソフトウェア開発者との関係にあります。私どもは、この関係に関してアプリケーションカスタムユニットという部門を通じて、この技術的な面だけでなく、マーケティングに関しても、またリニューなアプリケーションに関してもこれからさらに関係を強化していきたいと考えております。本当に皆様方のビジネスチャンスが大きくなっていくようにと投資活動を行っています。技術的にみてみたいのですが、特に重要なポイントとして、アプリケーション開発者の皆様方は当然ターゲットを持っていらっしゃると思いますが、我々はそのモジュールを開発し、皆さんに提供していきたいと考えています。そうすることによって、ただ単に古いシステムに戻ることが簡単にできますし、と同時にお客様に本当にアップデートしてもらえるチャンスが大きくなってくると思います。考えてみますと、ソフトウェア会社にとって非常に大きな期待が生まれると思います。Webサイトを見てください。また、新しいXMLのスタンダードを見てください。また、それを中心としてアプリケーションが次から次へと開発されてきていますし、人々はよりリッチな情報を得ています。現在のアプリケーションというのは、本当に必要とされているアプリケーションの世界に非常に近づいてきていると思います。デジタルナーバスシステムへのピーク値を全面的に出すことによって、例えば日本においても、非常に大企業においても、この技術をどんどん取りいれていただければ、状況は大きく変わってくると思います。ビジネスの業務アプリケーションのより良い世界が展開していくと思います。また、大企業だけでなく、中小企業においても非常に素晴らしい機会が考えられると思います。例えば、PCというものをいろいろな目的のためにこれから使うことができます。マイクロソフトはあくまでもPCをファンデーションにして、ビジネスを今後とも考えていきますので、そこに非常に大きなチャンスがあると思います。アプリケーションビジネスの業界において我々が共有できることは、本当にこれからも頑張っていきたいと考えていますし、特にこの業界の中でもっともこの分野がもっとも高い成長が見込められる分野だと考えています。

質問5 成毛社長(折角出てきて何も言わないで帰るのはもったいないので…ということで)
 もし、ビルがマイクロソフトの会長ではなくて、新しくソフトハウスISVをやるとしたら、どんなアプリケーションを今から作るかしら。

ビルゲイツ会長
 非常によい質問だと思います(笑い)。私が最初にソフトウェアを書いていた時は、給与関係のプログラムを書いていました。2万行ぐらいのコボルの世界でしたが。それを書いた後で感じたのは、本当に書くのは難しいということでした。BASICインタープリターをやって、その後でOSの世界に入ってくるわけですけれど。Webサイトのソフトウェアはどうでしょうか。もっともっと簡単なWebサイトができるように、ということが重要だと思います。特に今この分野には大きなチャンスがあります。長期的に考えますと、ソフトウェアが学習できるということが重要だと思います。非常に大きなチャンスがあります。ただ、これは非常に難しい世界だと思います。私自身、このAIの世界で仕事をした方がいいのか、学校をやめてこのAIの分野でやっていこうか、悩みましたが。どうでしょうか、20年以上経ちましたが、まだまだ機能は限定的なものだと思います。まだまだ失望をおぼえている分野です。ぜひ、この分野が進歩してもらえればと思っています。これは、まだまだ開発されていないフロンティアであると思います。これは、まだチャレンジだと思いますが、ただWebサイトの世界は、間違いなくビジネスチャンスがあると考えています。そして、この分野の技術が改善されていけば、本当に世界全体はより素晴らしい世界になってくると思います。


ロータスフォーラム99開催される

 3月2〜3日に、「ロータスフォーラム99」が東京水天宮近くのロイヤルパークホテル(中央区日本橋蛎殻町)にて開催されました。このフォーラムでは、Web技術をベースとした次世代情報システムのプラットフォーム「ロータスドミノ R5」、「ロータスノーツ R5」を中心に、ロータスの提唱する4つのソリューション「ナレッジマネジメント」、「基幹システム連携」、「モバイルコンピューティング」、「エクストラネット」および最新技術が、各種セミナーや展示を通じての紹介が行われました。3月2日には、基調講演としてロータス米国本社エグゼクティブ・バイス・プレジデントのマイク・ジスマン氏による「R5を核としたロータスからの提案」、および慶応義塾大学教授の中島 洋氏による「ナレッジマネジメントと企業経営」が行われました。

 「ロータスフォーラム99」は、ノーツ/ノーツ ドミノの既存ユーザー、および新規にイントラネット/グループウエアの導入を検討しているユーザーを対象に、「ドミノ R5/ノーツ R5」の優れた機能とともに、企業の知識資産を戦略的に活用するための「ナレッジマネジメント」を実現する情報システムの構築・運用方法についてさまざまな角度から紹介するものです。また、セミナーでは、基調講演に加え、ロータスの先進性を紹介する「ビジョントラック」、R5の最新技術を全て紹介する「テクニカルトラック」、事例紹介や具体的なビジネスソリューションの提案を行う「ビジネストラック」の3つトラックに分かれたブレークアウトセッションが実施されました。また「展示コーナー」では、「ドミノ R5/ノーツ R5」及び関連製品の製品展示、製品紹介プレゼンテーション、R5体験コーナー、ロータスが提供する各種ソリューション及びサービスの紹介コーナーが開設されました。
 本コラムでは、ロータス株式会社代表取締役社長に新しく就任された安田誠氏のご挨拶、マイク・ジスマン氏による基調講演およびロータスノーツR5/ドミノR5記者発表会の模様を現地取材によりお伝えします。マイク・ジスマン氏による基調講演のスライドは、ロータス株式会社のホームページhttp://www.lotus.co.jp/にありますのでご参照ください。
 本コラムで使用した図版は、基調講演時配布資料より引用させていただきました。なお、以下本コラムの文責は、Windowsコンソーシアム事務局にあります。

■ご挨拶

ロータス株式会社 代表取締役社長 安田誠氏


 ノーツは文書や知識を取扱える一番最初のソフトウエアだと思っています。或いはそのようなことができるという可能性を我々に見せてきたソフトウエアだと思っています。それが今インターネットというより大きな産業、ビジネスといった環境が変わってきており、さらにその可能性が高まってきているのではないかと思っています。
 今日はそのノーツのR5という新しいバージョンを皆さんにお見せするわけですが、その中に2つのキーワードがあります。1つはWebアプリケーション或いはWebコンピューティングというインターネットの世界の中でどうやってこれからグループウエア或いはノーツ/ドミノという製品が展開されるかということ、もう1つはナレッジマネジメント、グループウエアの中で蓄えてきた情報や知識、データがどうやってより広く活用できるのか、というこの2つの方向性が出てきます。
 先ほど流れていたビデオは、アメリカのCMであるが、“I am”の後に“a Ware”、“Connected ”、“a Force“とかいう言葉がでてきます。また、最後に“Super Human Software”というキーワードがでてきます。この前のバージョンの時には“Work the Web”という言葉で目指している方向性を表してきましたが、今回は“Super Human Software”であります。どういうことかというと、“私はつながっている”、“私は力を持っている”、“私は何でもできる“、そして最後の方に歌で「私は何でもできる」というフレーズがあります。これは、コンピュータ、ネットワーク、インターネットなど身近にあるいろいろなリソースを自分のパワーにするようなことができる、あるいはそのようなことができることを手伝えるソフトウエアとしてこのノーツ/ドミノを皆さんに使っていただけるようにしていきたい、という思いです。
 R5のロゴはバックグランドが青で、黄色でR5と書かれていますが、実はスーパーマンの青いTシャツに黄色でSと書いてあるのをもじっているだそうです。云わないと分からないのですが(笑い)。後ろの青は特にIBMの青ではないということです。


 要するに“Super Human Software”は、「自分が持っている力を最大限に発揮できるように」ということが一つの大きな狙いになっています。ここに出席されている皆さんにお届けする一番最初の大きなアナウンスですが、このR5を日本では4月16日に発売することになりました。アメリカでは発売が1ヶ月遅れるというアナウンスが出て、日本でも3月末の予定が2週間ほど遅れてしまいましたが、最小限の遅れにとどめて皆さんに新しい製品をお届けしようと考えております。
 R5の発表と今回のロータスフォーラムといろいろな意味でロータスはこれから新しいことをを皆さんにお見せしていこうと思っています。新しい社長として色々と未熟のところや、見ていて危なっかしいところがあるかと思いますが、私は社員、エンドユーザー様、一緒にビジネスを展開していただいている皆様方のために一所懸命に仕事をしたいと思っています。今日はその意味で一番最初のスピーチの中で「是非これから頑張って行きます」というお話をしてご挨拶としたい。


■基調講演

Lotus Development Corporation Executive Vice President for Strategy
マイケル D. ジスマン(Michael D. Zisman)氏
「ロータスとビジネスソリューションの未来」



 まず最新状況についてお伝えしたいと思います。前回1996年に来日しましたが、以来ロータスノーツのユーザー層は非常に成長しております。世界的にも伸びておりますし、日本においても増加しております。ユーザー人口は、1996年冒頭は500万人弱であったが、今やユーザー数は3400万人という数字になっています。1998年は非常に競争が激しかったにもかかわらず、我々の公の目標よりも15%上回る結果を出すことができました。そして、1998年1月のロータスフィアにおいて、私は98年のゴールとしては1200万人の新しいユーザーを確保したいと考えましたが、実際は1400万のユーザーを確保でき、200万のユーザーをとることができて、Microsoftを上回る結果となりました。1998年は我々にとっては非常に良い年であり、日本においても良い実績を上げることができました。皆様に感謝申し上げたい。
 アメリカの状況を見た場合、フォーチュン100社のうち87社は多くの意味でビジネスの運営にあたってノーツ/ドミノを使っています。まさにこれを皆様方に申し上げたいが、フォーチュン100社の87社がノーツを使っているというだけでなく、いろいろな意味でビジネスを運営するにあたってノーツ/ドミノを使っているということです。まさに、これは私がお話したいテーマであります。
 1998年はすばらしい一年でした。エンドユーザーで非常に普及させることができましたが、それだけでなく、ビジネス、パートナーの数も増やしております。今朝は、ビジネス・パートナーのショーケースをいろいろ回りました。パートナショーケースはロータスフィアのアメリカであれ、日本であれ、あるいはベルリンであれ、いつも驚きです。これは業界全体の状況であります。ロータスデベロップメントコーポレーションだけではありません。単独の会社では皆様方のニーズを満たすことはできませんので、ビジネス・パートナーと手を結んで基本的なインフラを提供し、皆様が必要とするソリューションを提供することによって皆様方はビジネス及びエンタープライズにおける価値というものを満たすことができるわけです。

ロータスのビジネスに対する考え方

 我々のビジネスに対する考え方の進化についてお話します。いかにして、ビジネスを管理しているか、またお客様に対して我々のビジネスを説明する際にどのように語っているかを申し上げたいと思います。以前は3つのCと呼ばれているものがありました。私がロータスに入ったのは1994年のことです。そして、1995年において我々のビジネス特にノーツのビジネスというのは、「コミュニケーション」、「コラボレーション」、そして「コーディネーション」であると考えたわけです。コミュニケーションは電子メールで1対1あるいは1対大勢、コラボレーションは大勢対大勢のコミュニケーションです。そしてコーディネーションというのは、アプリケーション開発の新しい言い方です。特にノーツのユニークな点として、また今でもノーツのユニークな点であると思いますが、1995年において予想できなかったことですが、ドミノのユニークな要素としてはRADラピッドアプリケーション開発の環境であります。これは前例にないものです。すなわち、コーディネーションというのは、アプリケーション開発というものは、ある特別なアプリケーションクラスのために行うということです。そして、お客様と対話する際に、どういうアプリケーションをノーツで構築しているかということを聞いたところ、繰り返し出て来る言葉がありました。それは、「トラッキング」という言葉でした。例えば、人のトラッキング、あるいは購買の追跡をするとか、あるいはプロジェクトを追跡するとか、競合相手のトラッキング、あるいは政府の動きのトラッキング、すなわちいろいろな状況をトラッキングする、追跡するという流れがもっとも重要視されていました。

ロータスの新しい出発

 1995年後半においてて、インターネットが普及してきました。爆発的に普及してきました。そして、1995年後半におきまして、人々はノーツの役割というものを疑問視するようになりました。インターネットが普及する世界でどうなるかということで、業界の専門家はもうノーツは終わりだというふうにいっていたわけです。300万あるいは400万のユーザーがあった際にインターネットの世界ではノーツは必要ではないのではないかという人もいました。そして、AOLももう駄目だという人もいました。インターネットが普及する中でAOLという会社を誰が必要とするのかという人もいました。しかし、我々は幸いでした。それだけ注目され、そういった専門家の意見があったからこそ、我々はひとつの状況が強いられたわけです。
 1995年に私も私自身を見つめなければならなかったのです。一体、この全く新しいインターネットとワールドワイドウェブにおける我々の役割はどういうものであろうか。どういう価値を提供することができるのだろうか、どうやってお客様のソリューションを構築する上でお手伝いできるか、ということでノーツはメッセージング、コラボレーション及びインターネットであると語られる様になりました。
 1995年の12月において非常に細かくアナリスト及びプレスに対するイベントがあり、そこで我々の戦略を紹介しました。時間をかけて何をするかを説明しました。そして、本日はまさにR5によってそういったものが集約されるわけです。いづれにしてもノーツとドミノをインターネットと同期をとりながら、展開していきたいと考えたわけです。
 私どもが考えたのは、インターネットはその3つのメッセージング、コラボレーション、そしてもう一つの柱ではなくむしろインターネットはまさに中核であり、すべてはそのまわりに構築されるということがはっきりしてきたわけです。そして、3つの柱というのは、メッセージング、コラボレーション、私どもは当時エンタープライズインテグレーションと呼ばれているものがもう一つの要素であるということが明白になりました。それはどういう意味かと申しますと、お客様と話して1995年および1996年といろいろと調査したところ、繰り返し同じメッセージというものが伝えられてきたわけです。
 大手銀行のCIOの方とお話をしました。彼は、「我々は200以上ものワークフローのアプリケーションを検討し、ノーツは我々にとって大きな資産になるであろう」といいました。しかし、彼がいうには「それぞれのアプリケーションにおいて、ノーツをフロントエンドあるいはバックエンドの方で既存のエンタープライズの当時レガシーシステムと呼ばれるようなものと統合しなければならない。しかし、ロータス社は統合ということは苦手である」といわれました。そこで、明白になったのですが、我々はそういった問題を解決しなければならないと考えました。
 ノーツとドミノはお客様の環境の中では孤立して存在するのではなく、多くの場合ではそれがユーザーインターフェイスとなって、またアプリケーション開発ツールが既存のエンタープライズシステムを結んでいたわけであり、そして密にこういうエンタープライズシステムと統合できる機能、すなわちERPのレベル、或いはデータベースのレベル、或いはお客様自身で構築されたシステムであった場合には、それをどう結びつけるかというのが我々の決定的な成功の要因になることがはっきりしました。そこで、このように我々は戦略を実行してきました。インターネットはいずれにしても中核をなすものであると考え、すべてがその回りを回転する中心であると考えました。そして、メッセージング、コラぼレーションそしてエンタープライズインテグレーションの間での相乗効果があると意識しました。また、TCOがお客様の意志決定の上で重要な要素になってきていると考えました。市場導入期間も鍵を握るものです。
 非常に重要な点ですが、我々のお客様というのはソリューションを求めています。テクノロジーだけではなく、完全なるソリューションというものを求めています。そういった背景でいかにプロダクトが発展してきたか、そしてR5の状況についてお話したいと思います。

新しいプロダクト

 最初の段階において、1990年、或いは1991年頃ロータスノーツのマーケティングを開始しましたが、当時は非常に単純な状況でした。クライアントはノーツクライアントであり、対話できるのは我々のサーバープロダクトであるノーツサーバーのみでした。また、同様にノーツサーバーもノーツクライアントとしか対話できなかったのです。そして、独自使用のソリューションでありました。我々の要素というものは、他の我々の出している要素としか対話できませんでした。しかし、すばらしいメッセージンググループウェアであり、アプリケーションのRADの環境でした。本当の意味で初めてのコラボレーションシステムでありました。グループウェアという言葉は丁度90年代初頭に登場してきました。私どもも業界の中でもグループウェアの定義というものを考えようとしましたが、唯一定着した定義というのは「グループウェアとはロータスノーツである」、ということでした。そして、コラボレーションという観点で考えるようになりましたが、これは我々にとってより明白な用言でありました。
 ノーツサーバーとノーツクライアントという非常に単純な世界の中にワールドワイドウェブが登場してきました。そこで、1995年において我々はブラウザもクライアントとしてサポートしなければならないことを意識しました。我々のアプリケーションのノーツクライアントからアクセスできるのと同じようにアプリケーションをノーツブラウザからアクセスすることを求められていることも意識しました。
 そこで、我々はノーツサーバーのブランドを変えなければならないと考えました。1996年初頭において、お客様の中で我々のサーバー上でアプリケーションを構築しているところもありました。特に、インターネットアプリケーションでは全くノーツクライアントによってアクセスされていないという状況がありました。そこで、ドミノサーバーをおき、ノーツクライアントを置き、お客様をさらにこういったアプリケーションをブラウザからアクセスすることもできるように考えました。
 そして、R4において、我々のゴールとしてドミノをそのために構築されたアプリケーションというものはWebブラウザからもアクセスでき、機能面も能力もノーツクライアントと同様のものが得られるということを公表しました。公表したものの、これは実現できなかったわけです。できる限り努力しました。ロータススクリプトとは強力なものであると考えましたが、ブラウザの環境の中では動かすことができなかったので少し問題でした。しかし、重要な点が1つおきました。ほとんど偶発的におきたわけですが、先ほど申し上げましたエンタープライズのインテグレーションに関する対話というものを持ったわけです。例えば先ほどの銀行のCIOの方との対話を持ちましたが、その結果エンタープライズインテグレーションという概念に相当力を入れるようになりました。ノーツポンプというものがありましたが、それは最初の我々の努力であり、リレーショナルデータベースとノーツストアの水平展開というものを考え、データのポンプのやり取りをすることを考えました。お客様において、これはいい出発ということですが、それ以上のものが求められていました。リアルタイムでそういったシステムとの接続を図る手段が必要だと言われました。そこで、我々は過去数年間で出したもっとも重要なプロダクトの一つとしてノーツポップの展開であるDCS(Domino Enterprise Connectivity Service)です。これによって、リレーショナルデータベースに対するネイティブアクセスが可能です。DB2、オラクルやその他の普及しているものにアクセスすることができます。しかも、それをリアルタイムで処理し、しかも宣言型の方向でもできます。すなわち、ノーツドキュメントにフィールドがあります。そしてリレーショナルデータベースのフィールドがあります。そして、その間のリンクがあります。それを実行せよと指定すれば、プログラムで実行できます。そして、デベロッパーはデータベースをどういうふうに扱うかということを指定することができましたし、またネイティブなアクセスをコネクタを通じてERPシステムへ実現することができました。SAP、ピープルーソルト、JPエドワーズやオラクル、そしてノーソンソフトの発表も最近ロータスは行っております。MQシリーズ、CICS等といったものへの展開も実現しました。
 1997年当初まだ我々が認識していなかった点として、こうした投資においてリアルタイムのエンタープライズコネクティブにおいて実はこのポイントは皆様方の意識に対して非常に大きな影響力、特にWebアプリケーションサーバーという意識が非常に重要なポイントであるということが我々当時は理解していませんでした。実は、Webサーバー第1世代のものがでてきます。ネットスケープ、IIS、アパッチというものが出てきます。非常に基本的なソフトウェアです。HTTP、HTML、CGI、スクリプティング、こういったものが次から次へと登場してきましたが、実はその段階で最初のWebサーバーのモデルにおいて、すべての作業はクライアント側で行われるのだと、Javaアプレットの世界で行われるのだと、サーバーというのは非常にthin(薄い)であると、ファイルサーバー以外のものではないという考え方がありましたが、しかしそれは現実の姿ではないと。本当のエンタープライズのアプリケーション、ミッションクリティカルのアプリケーションにおいては沢山の作業がサーバー側で処理されなければならないという認識がでてきました。クライアントサーバーのバランスを変えなければならないということになりました。これによってWebアプリケーションサーバーの世代が生まれました。数年前のことですが、Webサーバーがエンタープライズアプリケーションのフロントドアになると私は確認したのを覚えています。すなわち、皆様方の組織におきましては、既存のアプリケーションというものがあります。そして、これらのアプリケーションを不特定多数の人達に対してブラウザを通じて提供するということになります。アクセスは変わってきていますが、基本的なアプリケーション、アプリケーションのビジネスロジックまたデータベースアクセスそのものは変わりません。ユーザーの体験そのものをこういう形で変えていこうとなりました。これによって非常に簡単にエンタープライズアクセスを簡単に開発できることになりました。
 私どものお客様が次のようなことを言い出しました。「ドミノサーバーを自分は持っている、非常にリッチなエンタープライズコネクティビティも持っていると、ロータスは本当に約束したことを実現してくれればドミノで書けばWebブラウザでアクセスできるということであれば、それこそWebアプリケーションサーバーだと自分は考える」ということを言ってくださったわけです。昨年何回か調査を行いました。アメリカ、ヨーロッパおよび日本で調査を行っていますが、ここで分ったのは、非常に興味深いと思いますが、ドミノが実はWebサーバアプリケーションの中で最も配置されている第2のゲージでありました。また、調査によりますと、IIS、マイクロソフトIISが1位であるという結果ですが、これはWebサーバアプリケーションではありません。これはあくまでも第1世代のWebサーバーです。ドミノはIISの上で動きます。これは非常に重要な展開であったと思います。これによって、我々は全く違うマーケットに入ることができたと思います。本当に目を見張るようなドミノというアプリケーションの世界が生まれてきました。そして、ドミノは古典的なWebアプリケーションサーバーとして、また既存のエンタープライズアプリケーションのフロントドアとして機能しています。あらゆるアプリケーション開発能力、ドミノの開発能力、そして非常にリッチなエンタープライズコネクティビティがそこでは提供されることになります。そこで、もっともリッチなWebアプリケーションサーバープラットフォームというのは、いくつかの特長があります。まず第一にドミノのディレクトリ、セキュリティ、ルーティング、非常にリッチなオブジェクトモデル、こうしたフイチャーを本格的に活用するということ、そしてインターネットスタンダードをネイティブでサポートできるということだと思います。
 最近の発表ですが、クラスタリングの能力を発表致しました。ノーツクライアントだけでなく、R5においてはWebブラウザもサポートしています。ドミノでアプリケーションを、Webアプリケーションをドミノで開発できるということは、これらのクラスタリング、フェイルオーバー、ロードバランシングの機能が当然付いてくるということになります。ブラウザでアクセスをしていてもこういう機能は出てきますし、また、マイクロソフトのIISを選択された場合であってもHTTPサーバープラットフォーム対応ということになります。  少し将来の話をしてみたいと思います。我々にとって一番大きな障害はプログラミングモデルであると考えています。プログラミングモデルそものがよくないというわけではありません。ロータススクリプトは本当に評価されていると思います。何が問題かといいますと、純粋なブラウザモデルにおいては我々は残念ながらロータススクリプトをクライアントマシンの上で走らせる能力を持っていません。したがって、今後ともロータススクリプトをサポートしていきます。今後ともロータススクリプトに投資し続けますが、JavaおよびJavaスクリプトを基本的なプログラミングモデルとしてサポートしていきたいという考え方ももっています。

R5について

 ここでR5について少しハイレベルの話をしてみたいと思います。R5の3つの重要な側面から見てみます。まずは、クライアントであるということ、R5というのは最先端の統合されたe-mail及びコラボレーションのソフトウェアであると我々は考えています。こういうことを言いますと、次のような質問がよく聞かれます。「確かにおっしゃるとおり、アプリケーションをドミノのために書けば、そのアプリケーションはWebサーバーからアクセスできる、それは正しいと、もしそれが事実であるならば、どうしてノーツクライアントが必要なのか」という質問がでてきます。確かにもっともな質問だと思います。昨年ですが、1200万のユーザーがそういうことを考えたわけです。今年はもっともっと沢山の人達が考えるかもしれませんが、2つ理由があります。
 まず、第一にメッセージングの機能がそこにあるからです。実際に多くの製品がブラウザ形式のメールを提供しています。ドミノのメールは、ブラウザからアクセスすることができます。ただ、私同様に皆様もそうだと思いますが、実際にコンピュータを朝起動したときに多分50〜70ぐらいのメッセージがメールボックスに入っているかもしれません。そのときに、パソコンに非常にリッチなメッセージングユーザーエージェントが必要だと思います。パソコンのストレージをマネージする、いろいろなメッセージがきていますから、こうした情報の流れの中で本当に自分が見たいものを効率よく見たいと当然思います。今、業界ではシンクライアントモデルに対して、1996年ネットスケープを中心として事業が展開されていて、本当に多くの人が恋をしたと思いますが、ネットスケープがブラウザを開発しました。そして、アイコンをクリックすればローカルクライアントベースのメールユーザーエージェントを走らせることができます。メールの機能がやっているわけです。一番目がメッセージング、2番目がレプリケーションです。
 私にとって何がノーツクライアントの価値かといいますと、データベースモデルのレプリケーションにあると考えています。重要なデータベースはすべてこのコンピュータであります。メッセージングだけでなく、ディスカッションのデータベースもワークフローアプリケーションもすべて自分のパソコンに常駐しています。したがって、たとえば日曜日の朝12時15分シカゴタイムで881のジャンボに乗って東京に今回来たわけですが、例えば3個のバッテリーがどのくらい続くのかというのを心配する必要がありません。すべて自分のパソコンにあるからです。私は、3個ののバッテリーで十分な作業をすることができると思います。かなり持つと思います。東京に着きました。そして、IBMのアジアネットワークにアクセスします。それですべてです。だからこそ、ノーツクライアントが評価されていると私は分析しています。

ドミノ

 さて、R5の第2のコンポーネントはドミノです。ドミノのコーポネントはサーバーです。ドミノサーバーはメッセージングサーバーとして、またWebアプリケーションサーバーとして機能します。特に、エキサイティングなコンポーネントとしてドミノデザイナーというものがあります。ドミノデザイナーはどういうものでしょうか。これは、開発ツールです。クライアントとは別になっています。これによってアプリケーションを構築することができますが、アプリーケーションを構築している、それをノーツクライアントまたはブラウザでビューします。したがってインタラクティブな開発環境ということが言えます。Webアプリケーション、ノーツアプリケーション、非常にインタラクティブな形で対応することができる、またはWeb、プラス、ノーツアプリケーションを開発することができます。特に、アプリケーションの開発の世界では、ノーツクライアントを通じて社内アクセスが考えられますし、またブラウザを通じてファイアウォールを越えて通信を図る場合もあります。ノーツドミノの強みというのは、一度アプリケーションを書けば一度で管理することができる、そして全く異なるコラボレーションに対してセクション、フィールド、セキュリティモデルを使って2つの世界に対して情報を提供することができます。社内では、セキュリティがあり、お客様がブラウザでみているセキュリティはまったく違うものになるわけですが、この一つのアプリケーションで一つのものに対してアクセスするというメリットを実現することができます。具体的なメリットは、エンドユーザーのメリットとしての大きさだと思います。世界最高峰のメッセージングクライアント、ディスカッションデータベースクライアントであるということです。そして、ディスコネクティブモデルクライアントであるということです。ITのメリットはなんでしょうか。ITにとってそのクラス最高のメッセージングプラットフォームであるということ、どの調査を見ましてもこの点をサポートしてくれていると思います。マイクロソフトは確かに非常に努力してExchangeを改造しようとしていますが、しかしこの点に関しましてはずっと絶えず我々よりも遅れています。R5においては、アドミニストレーションが大幅に改善されています。というのは、このアドミニストレーションというのは、我々これまでお客様から批判を受けてきた分野であります。 もっともなことであると思います。そこでロータスは、アドミニストレーション、そしてトラッキングということを意識した開発を今回特に行ってきましたし、これによって最もリッチなWebアプリケーションデベロップメントプラットフォームを開発することができたと思います。
 次にデベロップメントにとってのメリットですが、一言でお話しますとワンダフルということです。インタラクティブ開発環境を実現することができます。Webアプリケーション、コラボレイティブアプリケーションの世界において非常に高いエンタプライズインテグレーションのツールが用意されているということは、非常に素晴らしいことだと思います。

クライアントのフイーチャ

 実際、私はこの6ヶ月、R5を使っています。ここでも使ってみましょう。ディレクトリに直接入っていってそこで新しいアカウントを作ることができます。どんな感じなのか調べてみます。例えば、POPアカウント、POP3のアカウントが出てきました。そのサーバーの名前を確認します。ユーザーID、パスワードを入力します。また、このアカウントをどのロケーションに対してアクセスをサポートするのか、それはデプリケーションの技術があるからできるわけです。サーバーをアクセスします。POPのメールインを個人使用ということでISPから実際もっていきます。ドミノに行って、自分のメールをエンタープライズデータベースから持ってきます。そこで、気にしていなければ、さらにISPのコネクティビティを持つことができますので、非常にパワフルな環境を持つことができます。LDAPも同じく使えます。このクライアントを使って実際に他のLDAPサーバーに対してアクセスすることができる仕掛けになっています。こちらのスクリーンショットはそのアカウントを作るためのものです。アイマップのアカウントです。サーバーの名前といったような明かな質問が出ています。また、使い勝手も大幅に改善されています。ここ数年聞かれる我々に対する批判として(これは当然の批判であったと思いますが)、お客様の意見を聞いてみますと、ユーザーインターフェイスはこれより良いとか悪いとか、そういうことよりも重要なのは、他より違うのだと、我々は一貫性のあるユーザーインターフェイスが欲しいと思っているという声を聞きました。3年前のことですが例えば、私は一貫性のあるユーザーインターフェイスが欲しいというお客さんがいれば、多分私は、「Windowsの話ですかと、Windowsが欲しいのですね、Windows95のインターフェイスが欲しいのですね」というように答えたのかもしれません。しかし、今はどうでしょうか。お客様が一貫性のあるユーザインターフェイスが欲しいといってきたときには、一体どういうメッセージがそこにあるのでしょうか。Windowsがほしいということではなくて、「私はブラウザインターフェイスが欲しい」というふうにいっているのだと思います。

 この数年間我々の業界で相当いろいろな事を学んだわけです。本当に物を使いやすくするためには何が必要なのかということを学んできたわけです。例えば、ページを戻るとか、あるいはリロードするとか、再読み込みとかそういったブラウザのモデルを我々は採用したわけです。そしてボタンでもってノーツにもどり、そして古いデータベースのビューにもどりたいということであれば、ほとんどの人達はそういったことよりもむしろブラウザのようなビューを好むと思います。そして、前へ進んだり或いは再読み込みをしたり、戻り、そしてブラウザと同様に動かします。そして、コントロールは自分自身でします。R5を最初に作るとネットスケープのブックマークを開いて、左側の方にいろいろなブックマークをドラッグアンドドロップすることができます。そして、ノーツに入ってブラウザモードに入って、そのブックマークへアクセスしていくことができます。
 ブラウザは何を使っていますか、それは、自分自身で選べるわけです。インターネットエクスプローラ4.0或いは5.0でもいいし、ネットスケープでもかまいませんし、インテグレイテッドノーツブラウザを使うこともできます。我々はブラウザのテクノロジーを相当磨いてきました。しかし、ブラウザに関しては多くの人達は別のものをすでに選択しているので、我々はそれも完全にサポートしています。統合も依然として進めています。お客様がある文書を作成する場合、メールメッセージを読んでいる最中に、マイクロソフトワードを使いたいという人もいます。エディタではなく、ワードを使いたい、我々はますます統合を進めて前のリリースよりも優れた統合となりました。
 いろいろなローケーションがあります。ローケーションを基にしてどうやってネットワークに接続するかということが指定できます。ごくあたりまえにできます。これを考えてみてください。私は、シカゴから東京まで来る間、12時間の飛行時間の間に相当仕事ができます。そして、東京に着いて、ホテルにチェックインして、現地の電話番号をまわすことによって、そういった作業を全部配信することができます。また、メッセージを受け取ることもできますし、作業を続けることもできます。多くの人達は仕事の一貫として出張に出ます。そこで、私としてはどこにいても同じ作業ができます。移動性というのは、自分自身がユーザーとしてノーツクライアントを使うもっとも良い理由のひとつです。
 また、ものをやり易くするために、ウィザードも相当加えています。それから、新しい領域にも入っています。R5において、ヘッドラインスペース、見出しのスペースというものがあります。そして、皆様方が何を見たいかを選ぶことができます。数年前にいろいろダッシュボードの話というものがお客様の間で聞かれる様になりました。今のダッシュボードと同じようにユーザーがログオンした際に、こういったダッシュボードみたいなものを見たいということですが、これは実現しています。例えば、見出しのページをどのようにするかということを指定できます。例えば、3つ、4つあるいは5つのフレームを置くこともできます。そして、それぞれのフレームに関して何をみたいかということも指定できるようになっています。例えば、メールの方の受信を見たいとか、カレンダーは別のフレームで見たい、そして何をしなければならないのかというのは別のフレームであったり、データベースに対しての状況というものをあるフレームで、別のフレームであるデータベースを開始することができます。そして、特定の人間がデータベースに何か追加した場合、データベースのあるスレッドに誰かが何かを追加した場合には必ずそれを見たい、そしてそのデータベースにすぐ入っていけるようなリンクもつけたいということができます。
 すなわち、お客様が必要としているエージェントテクノロジーを開発しています。あるいは、フレームをURLに指定することもできます。例えばAOLのニュースであったり、エキサイトのパーソナル化されたぺージを置くこともできます。そのようなページは、継続的にアップデートされますから、その見出しのページをスタートさせたとします。そして、エキサイトと指定をします。そうすると、エキサイトのページをご覧になることができます。また、見出しのページに戻った場合にはリフレッシュといちいち指定しなくても、最新のそのページの状況を見ることができます。ノーツがやってくれます。また、電子メールもどんどんと強化されています。そして、タスク管理の機能も強化されています。そして、グループとかタスクをグループに対して割り振りするという概念も導入されております。また、カレンダー、スケジュリングに関しても相当力をいれています。グループのカレンダーも見ることもできますし、いろいろなセキュリティの要件を満たすことができます。そして、強力的なカレンダー、スケジュール機能というものがも設けられています。
 また、コラボレーションにおけるイノベーションとしては、(ナレッジマネジメントの一般的な話は後でしますが)R5におきまして一つの基盤というものが構築されています。そして、まったく新しいナレッジマネジメントの機能が実現されようとしています。もちろん、検索技術も入っています。劇的に我々の検索技術というものは強化されています。そして、ノーツデータベースの検索のみならず、非常に簡単にドメインサーチというものができ、エンタープライズにわたってすべてのノーツデータベースを検索することができます。あるいは、ヤフーのサーチエンジン、エキサイトの検索エンジンにいって、データベースとかワールドワイドウェブとか自分の個人的なファイルの検索もできますので、幅広い検索機能というものが実現されています。又同時にシンターンというものがありますが、もう非常に普及しております。即、ナビリストを使ってメッセージを出すことができます。我々のプロダクトの中に数ヶ月前から導入しています。そして、R5.0で非常に密に統合されています。例えば、今朝東京のホテルにおいて私のバディリストを出して、2ヶ月前に発表した内容ですが、非常に密にAOLのインスタントメッセージングと統合するということを発表しました。バディリストの中にAOLのメンバーもすぐ追加することができます。よく理解されていない点ですが、AOLは純粋なスイッチの役目を果たすことができます。私はこれを使って私はAOLに購読しているわけではなく、加入しているわけではなく、毎月22ドル払っているわけではありません。しかし、スクリーンネームが欲しい、登録したい、マイケル・ジスマンという名前でスクリーンネームで登録したいというふうに、スクリームネームのためにいっさい支払いの必要はないわけです。また、AOLに加入しているわけではありません。しかし、皆様方もAOLに対して登録したい、スクリーンネームが欲しいといったとします。他のサービスは一切必要ない、AOLに加入したいわけでもない、といえます。しかし、お互いバディリストの中に入れることはできます。私が接続してAOLサービスに行きたいということであれば、ログオンしている人間はハイライトされています。AOLの人間と私は対話をしなければならなかったのです。AOLのIBMのパートナーシップエグゼクティブを務めていますので、同時にログオンしてその人もログオンしていましたので 、彼にメッセージを出すことができました。人によっては聞くかも知れません。「なぜ、そんなことをしたいのか、電話番号は分かっているじゃないか、703-265-2677、その電話番号が分かっていればかければいい」と言われるかもしれません。確かにそういうことはできます。しかし、彼は703-265-2677という電話番号にいるわけではなく、カリフォルニア州のホテルにいます。また、私は東京のホテルにいます。そうすると、どこにいても構わないのです。いったんネットワークにさえ接続すれば、私はマイケル・ジスマンです。彼はデイビッド・ゲンです。そしてお互いに対話できます。
 そしてこの上にいろいろなアプリケーションが今後構築されます。5.0ということではありませんが、次の5.1ぐらいになりますと、データベースを開き、他にこのデータベースを現在見ている人は誰かということを尋ねることもできます。もし、データベースをアクセスして、自分もそうであれば、共通点がある、このテーマに対して関心持っているということがわかります。
 そこでエキスパティース、専門知識という概念がでてきます。ジャストインタイムコミュニティというものがあります。すなわち、即その場で誰と対話しなけばならないのかという機能が実現できます。また、ドキュメントライブラリーもさらに高度なものになっています。ワークフローアプリケーションを簡単に構築することできるようになりましたし、導入もし易くなっています。お客様の意見を聞き、相当努力をして、よりノーツクライアントの導入が簡単にできるように工夫しました。そういったようなR5の特長があります。その間にもいろんなイノベーションがあります。
 長年私が語ってきましたが、R5というのはノーツにとってR1以来最も重要なものであるというように考えていましたが、ますますそのように感じています。私自身もこの半年間の間にますます々いろいろな調整を加えてR5の利用をできるようになりました。Webというのはただ単にドミノのアプリケーションではなくて、いろいろなブックマークを使っていきます。ノーツデータベースであったり、ドミノデータベースであったり、Webページであったりするわけですが、同じやり方でアクセスすることができます。しかも、簡単に移動させることもできます。HTMLというのもネイティブなデータタイプとしてサポートされております。


ドミノR5

 ますますこのテーマの重要性というものが、出てきましたが、先ほどの講演にあったナレッジマネジメントというものが大事です。ドミノとはどういうものでしょうか。非常に生産性の高い開発環境であり、アプリケーションを構築することによってプロセスを自動化したり、ワークフロー、あるいは情報の流れというものを管理し、そして電子的関係というのがフォーカスを絞ったビジネスコラボレーションを通じて実現することのできる手段であるわけです。エレクトロニックな関係をフォーカスを絞ったビジネスコラボレーションを通じて実現するということです。すなわち、これはトランザクションではありません。また、純粋なeコマースでもないわけです。ここで話しているのはコラボレーション、すなわち、ある共通目的で人々は協業するわけです。場合によっては結果としてトランザクションが出てくるかもしれません。しかし、むしろフロントエンドの作業を対象としています。バーチャルコミュニティのコラボレーションというものがむしろ大切です。 よく人と冗談で言っていましたが、IBMの人間と話す場合に、「ロータスの素晴らしい強みの一つは我々の業界において我々のビジネスというものを一つの言葉で表現することができる、すなわち我々のビジネスはコラボレーションである」と語ってきました。我々がそういったことを対象としています。そして、それが我々のすべてだというふうに私は考えております。我々はコラボレーションのビジネスをやっている、これ以上重要なビジネスはないと思います。またIT作業においてももっともエキサイティングな今後10年の間の重要な部分であるというふうに考えています。その上にメッセージングインフラを設け、Value Added Frameworks、そしてさらに新しいナレッジマネジメントの世界があります。

ロータス2000フレームワーク

 ロータス2000のフレームワークには、まず強力なインフラというものがあります。そして、その上にValue Added Frameworksがあります。Value Added Frameworksといいますと、ある一連の機能を追加し、それによってますます簡単に我々のビジネスパートナーがソリューションを提供することができます。すなわち、我々がビジネスパートナーに対して提供するもの、エンドユーザーに対して提供するもののレベルアップを図っているわけであり、ソリューションが構築されているわけです。そして、我々の最も関心の高いソリューションの一つとしてナレッジマネジメントというものがあります。


ナレッジマネジメント

 昨年、ボールドリッジグループ(クオリティオブワークプログラムを運営している)が300人のCEOを対象に行った2つの調査結果のチャートをお見せしたいと思います。そして2つの全く違った意見が反映されています。何故こういった意見の食い違いとがあるのでしょうか。300名のCEOに対し調査を行って何が不安であるか、何を懸念しているか、何が最も心配している点かということを聞きましたが、最も高かったのはグローバリゼーションです。94%のCEOはグローバリゼーションだと答えています。しかし、2番目にナレッジマネジメントと、よりよいITの活用ということでありました。すなわち、300名のCEOに対して調査し、もっとも心配なのか、何が最も不安なのかということを聞いたところ、2番目に出てくるのがナレッジマネジメントということでした。よく私はビジネスマンのいろいろな苦労について考えます。人々はどういうところに苦労しているか、そういった苦労というものを無くすように努力するわけです。CEOというのは、確かにここで苦労というものを感じているわけです。すなわち、左手と右手の連携が取れていないというその苦労というものを感じるわけです。そして、エンタープライズにおける暗黙知を十分活用していないことを懸念しています。これは興味深いと思います。
とは申しましたが、一方で実はこちらはPC Weekマガジンからとってきたものですが、数週間前に出たものです。ジョーン・ドッジという人がいます。彼はこの業界のエディタです。非常に有名な話ですが、彼はナレッジマネジメントを全く相手にしていませんし、信用していません。特に新しいものはないと、これまでもあったものではないかと、マーケティングの考え方だと彼は言っています。まったく異なる意見がこのように対峙しています。300人のCEOが自分にとって頭を悩ましているのはナレッジマネジメントであるといっていますが、ところが業界でも最高のマガジンがそんなことは心配する必要は無いと、重要でないといっています。新しいものが無いと、これはあくまでもインフォメーションマネジメントの新しい用語だと彼は言っています。まったく違う意見です。私はこのCEOと同じ意見です。そこで自問してみました。ジョン・ドッジは何を理解していないのか、彼はいったい何が見えていないのか、、いったい彼はどこを理解していないのかを考えてみました。その答えはこれです。確かに彼がいうように、ナレッジというのは新しいものではありません。ナレッジマネジメント、言葉としては新しいものであるわけですが、ただ新しいというのは暗黙知に焦点が当てられているということ、そしてその中身、これは実は日本から前にきたものです。すなわち、暗黙知と形式知の違いに焦点があったわけです。すなわち、トランザクションの記録、情報というのは、これは反構造化されたデータ、そして最後にこの暗黙知というのがきています。すなわち、直感であり、体験であり、動作視力であり、自分の角度という世界です。すなわち、プロジェクトのプランをみて、これは上手くいかないなと、かなり遅れているな、というふうな感が働くときがあります。バランスシートを見てちょっとおかしいな、どうしてこの買掛金と売掛金がどうしてこのように違うのか、どこかおかしいぞと直感的に分かります。
 どうでしょうか、こういう事例を考えてみますと、こうした我々の持っている暗黙知というものが間違いなくあります。CEOはこの問題を理解していると思います。実は、テクノロジーの質よりもこの問題を理解しています。実際に、技術屋さんと呼ばれる人達の前で話をしたことがありますが、ぜひ皆様にも考えていただきたいのは、CEOが今どのような痛みを感じているのか、ぜひそこを皆様の頭で分析していただきたい、多分答えはこの暗黙知にあると思います。
 さて、ナレッジマネジメントは、実は古典的な情報管理とは大きくかけ離れています。特に、どこが違うかといいますと、この暗黙知と形式知の違いだと思います。インフォメーションマネジメント、情報管理というのはその定義において形式知に焦点をあてています。すなわち、この式というのはコード化されています。コンピュータシステムに存在しているものです。インフォメーションマネジメントはゴール形式であるといっているわけではありません。ナレッジマネジメント イコール 暗黙知であるといっているわけではありません。ナレッジマネジメントというのは、これら2つの式をいかに融合させるか、ここがポイントだと私は考えています。
 ここで、まとめてみたいと思います。これは非常に有益なモデルだと思います。暗黙知と形式知のことをここで考えてみたいと思います。そして、その間でいろいろな変換が起こっているというモデルです。例えば、我々の目標は暗黙知を取り出してそれを形式知すべきなのか、確かにケースによっては“イエス”という場合があると思います。実際にこの業界においてかなり前から同じ事をやっていると思います。例えば、我々はこの業界においてどのテクノロジーを使って暗黙知を形式知に変換しようとしてきたでしょうか。エキスパートシステムがその一つです。エキスパートシステムは、まさしくそれぞれのフィールドの専門家である方々に話をしてもらって、それを基にしてルールのコードを作っていきます。例えば、医療の分野、診断、金融のプランニングにおいてはこれで上手くいったと思います。ところが、ケースによっては上手くいかない場合もあります。したがって、ゴールというのはただ単に暗黙知を形式知に変えればいいというわけではありません。そうではなくて、達成可能なゴールというのは、この暗黙知をもっともっと表面に持ってくることによってより沢山の人達を関連つけて、実際に暗黙知を持っている人のことを自分が分かるようにしなければならないと考えています。また、組織的にいって、また文化的にいってどうして自分の専門知識、この暗黙知を共有しなければならないのか、これも重要なテーマだと思います。
 次にこの形式知から暗黙知の方向をみてみたいと思いますが、形式知から暗黙知へは学習のプロセスということになります。学習とはまさしくこのプロセスで発生します。学習というのは、洞察力を得るということです。IT産業に入る前に、私は実は何年間か大学で教鞭をとったことがあります。MITで教えていました。そこで、人々の学習の仕方、また学習のの教え方を勉強したつもりです。大学の教育というのは非常にお金のかかるものです。でも、例えば日本でもそうだと思いますが、大学に皆行きたがります。そして、まず1日目に彼らが使う教科書を手に入れることができます。彼らは、本を買ってきて読むことができるわけです。どうして授業料を払わなくてはならないのでしょうか。本を読めば済む話でしょうか。確かにそれで勉強できる人もいます。しかし、そういう人達の数は非常に限られています。学習のプロセスというのは、形式知のナレッジを取り返して、そこから洞察する工夫を得るということ、ただただ暗記するということではありません。暗記だけでは駄目です。洞察力を得るということが重要であると思いますし、これが実はナレッジマネジメント、特にDistributed Learning、Virtual Learningにおいて非常に重要な鍵をにぎっていると思います。ロータスは、特にノーツとドミノでまさしくこの世界に業界を持って行こうと努力しています。以上、暗黙知と形式知についてお話をさせていただきました。

 それから、ロータスとIBMは今協力していますが、我々は次のような考え方を定義しています。この組織の中で知識はどのように流れているのかをまず分析しました。最初のステップというのはまず意味があるかないかという段階だと思います。ご自身のことを考えていただいきたい。いろいろなビジネスをやってらっしゃいます。そしてあるコンペティターが非常に大きなアナウンスメントをしました。どのようなものですか。先ずは、書いたものをプレスリリースだとか、広告だとか、そうした媒体を通じて形式知を当てはめます。そして、次に業界でよく知っている人を集めて形式知というもの、暗黙知というものをうまく整理して、そこからメッセージ、意味を取り出そうとします。次に、そのナレッジを組織化しなければなりません。その次にソーシャライズと私は言っていますが、社会的な共有が重要だと考えています。すなわち、そこで実際に話をすることによってこの部分は信用できるが、この部分は拒否するといったディスカッションをしなければならないと思います。本当に物を知っている人と関係をもって社会的な共有をここで持つわけです。そして、それを題材化するということが重要になってきます。社会的な共有を通じて題材化していくわけです。多分、皆さんも納得していただけると思いますが、ITの専門化に対して「ナレッジマネジメントは何か」という調査をしたとすると、多分多くの人が「ナレッジマネジメントというのは、これは本当に素晴らしい検索エンジンだ」と、インターネットで検索するためのエンジンだと、これは確かに重要な視点ですが、ただそれではあまりにも狭い定義だと思います。これはあくまでもプロセスの一つでしかないということに気がつかなければならないと思います。そのプロセスをもう一度見ていただきたい。これは形式知に関係しているところです。ソーシャアライズ、インターナライズの部分は、どちらかというと暗黙知に関係している世界だと思います。もしこの定義が妥当であるとすれば、そこには5つの重要なテクノロジーの柱が出てくると思います。これによって、ナレッジマネジメントが推進していくと考えています。このうちの2つはビジネスインテリジェンス、コラボレーションということできちんと隔離されていると思います。IBMと我々はビジネスインテリジェンスで非常に高く評価されている企業体であると思います。コラボレーションも自信を持っています。
 なんといっても、ナレッジマネジメントの中で統一しているのは、このコラボレーションです。どうして人々がロータスに対して期待しているのか、まさしくその鍵はここにあると思います。グループウエアコラボレーション、そしてナレッジマネジメント、そこには自然な関係があります。これが以上2つでした。
 3番目はナレッジトランスファーです。知識の移転です。形式知を抽出してそれを暗黙知に変えていく作業です。組織において、企業において、誰かに対して何かを教えるというプロセスが必要であると思いますが、ここでいう教えるというのは、例えばファイナンスだとか、マーケティングのコースだけの話ではありません。例えば、新しい製品をこれから発表すると、当然営業担当員を対象として訓練をしなければいけないという側面も入っています。また、新しいセイフティの機能を導入することになりますと、当然工場の人を対象としていく上でも必要になってくると思います。
 あと、2つ新しい分野があります。ナレッジディスカバリーというものが先ずあります。これは本当にリッチな分野であると考えています。私どももかなりの金額を投資してきています。これによって、非常に大きな非構造化の世界から洪水のように沢山あるデータの中から、基礎となっている構造を見つけるための技術です。たとえば、このドキュメントはこういうメッセージがある、このドキュメントはこのドキュメントと関係があるといったような視覚をヘルプするためのコンセプトになります。すなわち、構造を見つけようというわけです。既存のドキュメントの中に存在しているストラクチャー、一見非構造的な世界から構造を見つけるということです。“リオダ”というコードを我々は使っていますが、“リオダ”というのはナレッジディスカバリーのためのプロジェクトです。我々の持っているテクノロジー、ツールを使って行う分析をドキュメントに対して行う、そして、ドキュメントのカテゴリーから行うことによって視覚化をやっていこうというプロジェクトです。
 この業界においてどうでしょうか。この2年ぐらい、ナレッジマネジメントというのは、結局は大きなデータベースを上手く検索して結果を出すことだといわれてきましたが、ところが多くの場合、必ずしも情報を検索するというのではなくて、どこにこの分野の専門家がいるのかを見つけたいというのが重要なポイントであることが分かりました。したがって、エキスパートのマネジメントが非常に重要になってきていると思います。IBMは、28万5千人の社員がいる組織体です。例えば、私が何か聞きたい場合には、何か質問がある場合には、28万5千人の社員がIBMで仕事をしていますが、たぶん同じような質問を持った人もいるでしょう。もしかしたら、そういった人達と話をすることによって答えが分かるかもしれません。一体専門家はどこにいるのか、誰なのか、これを見つけるのは非常に難しいと思います。“リオダ”というプロジェクトはまさしくそのためのプロジェクトです。ロータスインスティテュートにおきまして、ロータス本社におきましてエキスパートネットワークというプロジェクトであります。この研究におきましては、企業の中のネットワークに焦点をあてて、専門家がどこにいるのかを見つけるためのプロジェクトであるわけです。
 ナレッジマネジメントはどうしてこんなに重要なのでしょうか。どうしてCEOはナレッジマネジメントに関心を持っているのか、と言う質問致しました。その答えが、このチャートにあると思います。彼は、頭ではこの企業活動のほとんどは、これはナレッジドリブンであると、例えば自分たちの持っているテクノロジーであれ、お客様との関係において、顧客の管理においてもナレッジは重要であると、サプライチェーンマネジメントであっても、これはプロセス イコール 結局、自分が知っている知識であるというように考えられます。したがって、いろいろな知識がありますが、なんといってもそのテクノロジーをこのコアプロセスの中に持ってくるということが重要なプロセスになってまいります。
 また、そこに4つの重要な機能があると思います。まず、速く反応できるということ、イノベーションの能力が重要です。CEOは絶えずイノベーションのことを考えていると思います。どのようにすれば、企業のイノベーションをさらにアップすることができるのか、競争力をつけることができるのか、コンピテンシーおよび理解ということになります。我々はどのようにトレーニングすればいいのか、IBMのCEOがどのようにすれば学習の機会を提供することができるのか、非常に重要な質問だと思います。すなわち、スキルを開発するというのは、非常に重要なテーマだと思いますが、我々にとって今いったような事例が非常に重要ですから、生産性を改善することが重要だと思います。そして、その下にいろいろなナレッジの流れ、そしてそれを納得し、まとめたり、共有化したり、内在化したりするわけです。すなわち、すでに存在しているコアプロセスというものを新しいやり方でもって活用します。ナレッジマネジメントというのは非常に単純な定義で、体系的に情報及び専門知識を活用するということです。体系的な活用です。
 もっと簡単にいいますと、自分の知っていることを活用するということです。自分自身の知っていることを活用するということは、暗黙知を活用するということを意味するわけです。では、このグラフでもって説明したいと思います。プレジターリサーチのリポートから取ったものです。これが、我々のR5の概念に非常に近いです。すなわち、どうやって1つのイントラネットのポータルを通じて必要なものを全部見るかということです。これはまさに、R5の目的であったわけですが、ご利用していただければ、相当我々がこれに成功していることが分かると思います。

 我々のビジョンというのをより高度なレベルで見た場合に、いかにして世界を小さくすることができるようなコミュニティをつなげることができるのか、そして世界中のいろいろな考え方をどうアクセスするかということを考えています。我々は、1つの旅に出たわけですが、その旅に参加していただける皆様方に対しても感謝申し上げたいと思います。幸運を祈っております。ご静聴ありあがとうございました。


ロータス ノーツR5/ドミノR5記者発表会

 3月2日、ロータスフォーラム99会場において記者発表会が開催されました。ロータスデベロップメントコーポレーション 経営戦略担当エグゼクティブ・バイス・プレジデント マイケル D. ジスマン氏、ロータス株式会社 代表取締役社長 安田誠氏、ロータス株式会社 マーケティング本部本部長 藤村厚夫氏の3名が出席され、お3方からのプレゼンテーションとQ&Aがありました。


● マイケル D. ジスマン副社長


 繰り返しこの2年の間は私が意識付けてきたことは、ノーツおよびドミノR5というのは、R1が登場して以来、もっとも我々にとって重要な状況になるであろうということです。そして、我々がこれを導入していただいている、ますますこういった状況が明確になってきたというところです。そして、このようにR5が登場する今となっては、過去を振り返ってみますと1998年は、私どもは大変成功することができました。1998年冒頭、ロータスフェアにおいて、私はおそらく1998年においては新しいユーザーは1200万人増えるであろうと考えました。しかし、それを200万人上回る1400万という結果を出すことが、幸いできました。こういう新規ユーザーに加えまして、今までで3400万のロータスノーツのユーザーがいることになりました。
 現在R5の登場により、相当すでに勢いというものがありますし、弾みがついてきております。そして、R5を企業導入する際に私どものお客様の間では次のような特長に目を向けることになると、我々は確信しております。
 まず第1に、R5の登場によりまして、ドミノは本当の意味で最も最高のWebアプリケーションサーバーになるわけです。1998年にいろいろな調査が行われましたが、繰り返しドミノというのはWebアプリケーションサーバーとしては、マーケットシェアといい、顧客満足度といい、常に第2位の地位を持って評価されておりました。しかし、このR5の登場によりまして、私どもは必ずや第1位の地位を確保することができるという自信をもっております。また、さらにR5におきましては、ノーツのクライアント側におきましても劇的な変更を加えております。そして、すでに私どもが注目した点におきまして、ますますユーザーの体験するモデルがもっとも一般的に普及しているのが、Webブラウザーであるということです。そういったユーザーモデルにも対応しなければならないと考えています。
 すなわち、ユーザーがもしノーツR5のクライアントを使ってWebをアクセスしたり、あるいはノーツデータベースにアクセスしたり、メッセージングを行っていたり、或いはディスカッションデータベースの対話を進めている場合においても、必ずやルック&フィール、すなわちユーザーが体験するものは、そのブラウザのような見栄えであるということです。
 そして、3番目に私どもが基本とするプログラミングモデルとして、Java及びJavaスクリプトを採用致しています。私どもは継続的に今後ともロータススクリプトをサポートしていきますし、また今後ともロータススクリプトに対する構築も続きます。しかし、完全なるWebでの対応を実現するためには、私どもはプログラミングモデルとして、Java及びJavaスクリプトをサポートしなければならないということを認識しております。つまり、あるデベロッパーがドミノアプリケーションを構築する際に、我々のツールを使っても、またMicrosoft FrontPage或いはNetObject Fusionのようなツールを使ったとしても、そのアプリケーションはノーツクライアントにも、ブラウザにも、あるいはノーツクライアントとブラウザの混在する環境においても対応させることができます。
 そして、以上申し上げた3つの要素、すなわち第1にWebアプリケーションサーバー、インターモデルとてしてはブラウザモデルを使って、またプログラミングモデルとしてJavaおよびJavaスクリプトの対応ということで、最高のWeb環境を整備することができます。
 ノーツ及びドミノのR5をご利用いただければ、こういった特長が明白になるはずです。以上申し上げた特長ほど明白ではないかもしれませんが、もっと重要性を持っている点と致しまして、今後のR5を基盤としてナレッジマネジメントの将来への展開ということであります。ナレッジマネジメントにおけるもっとも重要な要素として、この概念は日本からまず最初に登場してきたことですが、形式知および暗黙知の違いであります。もし、ナレッジマネジメントを非常におろそかに考えているようであれば、いかに組織としては暗黙知というものを活用し、組織の中でいかにして暗黙知を利用するかということを全く理解していないことになります。もっとも、この暗黙知を企業が取り上げる際に、利用されるもっとも重要なテクノロジーとしてコラボレーションというテクノロジーがあります。これがまさに、ノーツ及びドミノの中心となる価値の提案であるわけです。
 ある企業にとってすばらしいナレッジマネジメントの機能を実現するためには、5つの主要なテクノロジーがあると考えております。先ず最初の2つは非常に発達しており、よく知られているものです。それは、コラボレーション、及びビジネスインテリジェンスということになります。3番目の点としては、これは急速に発展しているものですが、分散型学習、あるいは知識の移転ということです。また、仮想と学習というようにも呼ばれております。この5つであります。最後の2つは、私どもはナレッジディスカバリー、ナレッジの発見、及びナレッジマッフィンというように呼んでいます。これは、非常に期待を寄せているテクノロジーであります。これを使うことによって人々は、非常に大量の文章の中から1つの構造体を見出すことができます。5番目の柱として、エキスパティーズ、専門知識ということであります。すなわち、私どもがシステムを構築する上で、お手伝いすることによってある企業の中、あるいは社会において存在するさまざまな専門知識を見出す方法であります。このように5つのテクノロジーがあり、コラボレーション、ビジネスインテリジェンス、ナレッジの運搬、ナレッジなどの展開でありますし、またエキスパティーズ、ナレッジディスカバリーとともにエキスパティーズの専門知識というこの5つの点が上げられます。そのうちの4つというものが、まさに我々のコアになる要素であります。コラボレーション、ナレッジトランスファー、ナレッジディストリビューションやエキスパティーズが我々の中間にある要素であります。
 そこで私どもはいろいろな工夫をR5に加えました。その4つの方面におきまして、さらに我々が前進できるような基盤を定義するために努力しました。そのためにも、私どもはR5に対して期待を寄せており、このリリースによってさらに投資を進めていく次第です。これにより、さらに私どもと競合他社との間のギャップを広げることができると自信を持っています。このナレッジマネジメントという新しい世界における私どものしっかりした基盤というものが定義されると信じております。ありがとうございました。

● 安田社長


○ノーツ/ドミノはインフラとなっている。
97年度法人申告トップ50社中、37社がノーツ/ドミノを採用している。日本を代表する企業による1000ユーザークラブの250社がノーツ/ドミノを採用。ノーツ/ドミノ対応製品が21カテゴリー/260製品を超えた。

○圧倒的なシェア
98年度ワールドワイド累計シート数3400万、国内累計650万シート、グループウエア市場50%をキープ。

○ワークグループからWebソリューションへと進化

○R5投入の2つのビジョン
本格的なWebコンピューティングへの移行。ナレッジマネジメントの構築基盤。
これら新時代のシステムソリューションをパートナーとの協業で推進する。

○これからの情報システム
2000年は、インターネット標準に準拠したWebコンピューティングの時代に突入する。コンピュータの家電化により一桁違う市場規模となる。

○「市場を向いている」システムを実現するための最適環境である。

○ナレッジマネジメントによる新たな付加価値とビジネス分野の創造を行う。

○R5とその積極的な展開によるWebソリューションのブランド確立を目指す。
R5はビジョンに沿った徹底的な機能拡張を行った。実績あるパートナーとのビジネス展開を図る。

○製品出荷日は、4月16日(金)。価格は原則据え置き(機能拡張を勘案すれば実質的な値下げである)

●藤村マーケティング本部長


R5投入にいたる経緯

○経緯
R3J:93/10日本市場への投入、R3.3J:95/5 Windows NT対応、R4J:96/3インターノーツWebパブリッシャーおよびドミノコンセプト投入、R4.6:96/11ノーツ/ドミノで本格的にインターネット対応、R5:99/4出荷

○基盤
ロータスビジネスパートナー参加企業:1300社、ノーツ/ドミノ対応製品:260製品超、「1000ユーザークラブ」加盟ユーザー企業:250社、97年度法人申告所得トップ50社中37社で採用

○市場背景
経営層からの要求(ビジネスチャンスを逃さないシステム)、財務担当部門からの要求(もっと低コストで)、ユーザーからの要求(簡単に使えて止まらないシステム)、顧客からの要求(欲しいものを欲しいときに)

○R5の回答
Webソリューションのためのプラットフォームへ(インターネットとの相互運用のオーバーヘッドはゼロに、システム構築・改良は迅速かつ低コストに)。高度な信頼性と拡張性(ミッションクリティカルな運用に耐えるフェイルオーバー・ロードバランシング、旧バージョンを数段上回るパフォーマンス、各種OS/ハードに対応しサーバー統合も推進可能)。大幅に改善された各種ユーザーインターフェイス(あらゆる情報へ統合された操作性でアクセス ― ブックマークメタファ、高度な運用を容易に ― 管理クライアント&ドミノデザイナー)。

○グループウエア市場をさらに大きく拡張
基幹連携で情報システム融合を促進、ナレッジマネジメントのためのプラットフォームへ

R5新機能ハイライト

○パフォーマンス&スケラビリティの劇的向上
R4.6と比べ接続数は3〜5倍へ

○同一構成のサーバーのパフォーマンス向上

○操作性の劇的向上
ノーツR5はWebブラウザのUIを大幅に採用、管理コストを削減する管理クライアントの改善、直感的な操作で開発効率を向上

○ドミノディレクトリ&日本語拡張試用
組織階層に応じて柔軟に表示、よりスケーラビリティかつコンパクトな運用が可能、外部アプリケーションからの利用が可能

○基幹システムとの連携
ノンプログラミングでERP・DBMSとのデータ連携、eSuite DevPack for DominoからもDBMSとの連携を実現

○Webレディな開発環境
フレームなどWebならではのニーズに対応:アウトライン、ページ、フレームセット、リソース管理、Java、ドミノUIアプレット

○ナレッジマネジメントへのアプローチ
TeamRoom R5(ドミノ)、ヘッドライン(ノーツ)、ドメイン検索などを搭載

マーケットへの取組み

○異なる競合とのアプローチ
技術面(プロプラエタリアか?、インターネットオープンか?)、価格の提供形態(OSの延長線上か?、ソリューションの基盤か?)、ユーザーへのアプローチ(特定方向への強制か?、選択の多様性を保証か?)

○加速するR5ビジネス
国内の代表的な企業で導入を検討(自動車、金融、電力など)、多彩なR5対応製品の開発が進展(51社、145製品以上)

○提携
ノーツR5からインフォシーク検索サービスが利用可能になった

○販売推進活動
製品ラインアップと価格:現状ラインアップの踏襲を前提に、価格は原則据え置き
販売キャンペーン、トレーニングプログラム、専用サイトR5.netが稼動中 http://domino.lotus.co.jp/


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