活動報告


●第88回セミナー(セミナー企画委員会主催)実施報告

日 時:1999年3月3日(水)13時30分〜17時00分
会 場:マイクロソフト株式会社本社B1Fセミナールーム(笹塚NAビル)
参加者:40名
テーマ:『Microsoft Office 2000』
構 成:
 第1部 「Microsoft Office 2000概要」
     マイクロソフト株式会社 アプリケーション製品統括本部
     コーポレートマーケティンググループプロダクトマネジャー 函館 太郎 様
 第2部 「Microsoft Office2000 Developer Office 2000の開発環境」
     マイクロソフト株式会社 ソリューションデベロッパー事業部
     デベロッパー製品部 プロダクトマネジャー 磯貝 直之 様
 第3部 (1)「BackOffice Server 4.5 、Small Business Server 4.5製品概要」
     マイクロソフト株式会社 アプリケーション製品統括部
     BackOfficeプロダクトマネジャー 鶉橋 研治 様
     (2)「Designed for Microsoft BackOfficeロゴ V.4.5概要」
     マイクロソフト株式会社 ソリューションデベロッパー事業部
     デベロッパーマーケティング部 主任 寺田 和人 様

 まもなく発売が予定される「Microsoft Office 2000」について、概要、開発環境、BackOffice Server およびBackOfficeロゴについて、マイクロソフトの4人の講師からお話していただきました。会場は久しぶりにマイクロソフト本社ビルB1Fのセミナールームをお借りして行われました。

セミナー会場

 第1部では、函館講師からOffice2000は3つの大きな目的、@よりシンプルな操作性と作業効率の向上、A効果的な情報利用・共有の支援、BTCOの大幅な削減、で開発しているとのお話がデモを交えてありました。
 
函館講師

@ の『よりシンプルに』では、「目的の機能・ファイルをより見つけ易く」として、ユーザーに合わせて学習するメニューとツールバー、Microsoft Agent技術を利用したOfficeアシスタントの採用、タスクバーによるドキュメントの切り替え、“ファイルを開く/保存”ダイヤログの改良およびフォントのプレビュー機能等の改善を図っている。また、「繰り返し作業の軽減による作業効率の向上」として、Officeクリップボード、日本語入力機能の拡充(全てのOfficeアプリケーションで確定後の再変換機能を実現)、IntelliSenseテクノロジーの改良、各アプリケーションの大幅な機能強化を行っている。例として、1回の操作で複数のデータの張込みができるようになっている機能の紹介がありました。
 “メニュー表示”については、ユーザーへの色々な調査により使う頻度の低い機能は後ろの方へ追いやるようにして初心者ユーザーに配慮しているが、経験者向けにはオプションで設定が可能としている。その他、新機能についてWord、Excel、PowerPointでデモを交えた説明がありました。“日本語の文書チェック“のエンジンは今まで社外のものを使用していたが、Office2000からはマイクロソフト社内で開発した新しいエンジンを採用し、パフォーマンスと精度の向上が図られている、とのことです。
A では、「イントラネットでのWebコラボレーション」と「BackOfficeとの連携強化」である。
 マイクロソフトは新しいワークスタイルの提案を行っているが、これはOffice2000のある意味での本当の姿であり、是非ご理解いただきたい所である。現在のワークスタイルは、担当者が必要な情報を全て引き出しまとめる責任を持ち、ドキュメントは仕事の結果であったが、Office2000が提案する新しいWebワークスタイルは、イントラネットを中核に据えて、作業をしている間にそこの上に情報をどんどん蓄えていくという作業のスタイルを提案している。これがマイクロソフトが呼んでいるWebコラボレーションの考え方になる。例えば、作業をしたい、分析をしたい、レビューをしたいということは全てイントラネットを中心にOffice2000を使って作業をしていただくと、いう形となる。この機能を実現するのが、HTMLへの完全対応である。今までのOffice97でもHTML対応していたが、今回のOffice2000では全てのアプリケーションでHTML対応し、更に表現力も向上している。もう1つ非常に大きな部分がXMLによるラウンドトリップサポートである。これはOffice文書からHTMLに保存した場合に、いつでもまたOfficeの方で開いて使うことができることである。HTMLサポートによるメリットはOffice2000を使うことによって誰でもWebコンテンツを作ることができることにある。極端な話、例えばイントラネットを構築して毎日食堂のメニューをイントラネットに置いておきたいという時に、食堂のおばさんがパソコン上でWordを使うことができれば、わざわざ誰かに頼んでイントラネットにファイルをアップロードしなくても、そのおばさんがWordを使ってファイルを変更すると、社内中の誰でもがイントラネットを通じて新しい食堂のメニューを見ることができるということが可能になってくる。
 Webコラボレーションのもう1つの中核になるのがOffice2000に付属してくる Office Server Extensionsある。インストール先はNTサーバーであり、IIS4.0用の拡張機能として搭載され、Webへの簡単なOffice文書を発行する。これにより発行文書の変更をメンバーにメールで通知でき、発行文書についてのオンラインディスカッションができるので、常に最新の情報が確実に伝達でき、ミーティング・回覧の手間が省ける。Office2000とFrontPage2000によりワークグループ内でのWebソリューションが実現でき、Office文書が保存されているWebサイトの作成および管理ができる。Office2000とBackOfficeとの連携では、「Outlook2000 + Exchange Server5.5」はグループウエア、「Access2000 + SQL Server7.0」はクライアント/サーバー、「Excel2000 + SQL Server7.0」はOLAPによる分析システムのサポートができると、Outlook2000、Access2000、Excel2000の新機能についてデモを交えての説明がありました。これらの組合せにより小規模オフイス、部門/ワークグループ、大規模エンタープライズまで規模に応じたシステム構築が可能となる、とのことです。
B では、(1)“展開コストの削減”として、新しいインストーラ技術(Windowsインストーラ)の採用で機能毎の柔軟なインストールや、アプリケーションの自動修正機能がある。Office Custom Installation Wizard、Office Profile Wizardを使うことにより機能、メニュー、ツールバー等柔軟な展開用パッケージの作成ツールが提供され、社内/部門標準環境の設定と維持が容易になる。また、多国語対応しておりユーザーインターフェイス、入力ツールを各国語に切替えて利用でき、インターナショナル企業にとって運用管理がシンプルとなる。(2)“管理コストの削減”として、移動ユーザーのサポートをしており、空いているPCの利用や出張先のオフイスでPCを借用などの際、個人の作業環境がサーバーから再現できる。(3)“サポートコストの削減“としてファイルの互換性を維持しているので、Office97 & Office2000、Office95/4.X & Office2000等の混在環境でも安心して利用できる。また、よりシンプルな操作体系、へルプ機能の充実を図っている。


 第2部では、磯貝講師からOffice2000 Developerは、Office2000ベースのソリューション構築に必要なツールを全て提供し、Digital Nervous Systemを実現するものである。開発環境として@ Microsoft Script Editor、A Visual Basic for Applications6.0があると、その新機能についての説明がデモを交えて行われました。

磯貝講師

 Office2000はOffice97と比較して非常に大幅な進化をしている。そのリッチな機能をカスタムアプリケーションにそのまま活用することができる。例えば、(1)「AccessとSQLの統合」によりOLEDBプロバイダを介してAccessをユーザーインターフェイスにしてそのまま直接SQLサーバーへのアクセスができる、またAccess自体もADOをネイティブでサポートするのでクライアント側のデータの扱いが簡単になる、(2)「Data Access Pages」によりWebベースのデータ処理をするインターフェイスをAccessで作ることができ、それをサーバーにおいてクライアントのパフォーマンスを落とさずにAccessの機能を使うことができる。(3)「Excel OLAPサポート」、(4)「Office Webコンポーネント」によりExcelのスプレッドシートやPivotテーブルをWebページにそのまま張りつけてWeb上でExcelベースの分析ができる。(5)「オブジェクトモデルの強化」は、Office2000開発のコアになる重要なトピックになる。Office2000では基本的に全ての機能はオブジェクトモデルとして公開される。それをVBなどでオブジェクトとして呼ぶことにより、そのOfficeの持つそれぞれの機能をカスタムアプリケーションの中に再利用できる。
 Office2000の開発環境としてデフォルトで2つ、@Microsoft Script EditorとA Visual Basic for Applications6.0を用意している。@は、VBScriptおよびJScriptをサポート、Visual Studio6.0と同等の開発環境、HTMLソース編集、Webスクリプティングおよびデバッキングができる。Aでは、Visual Basic6.0と互角の開発環境、Visual Basic6.0と同一のモジュールを使用、新たなファンクションを追加しているので、非常にパワフルな開発ができる。Office2000 Developerの開発目標は、開発効率の向上、簡単なデータベース接続/管理、容易なシステム構築の3つにあると、それぞれに入っているツールの説明がありました。
 続いてVBA6.0環境をOffice2000のExcelから立ち上げて、今まで説明された点についてのデモが行われました。VBA6.0で大幅に強化された開発環境は、5つの大きな特徴、下位互換、VBAコードのラウンドトリップ、パフォーマンス、インストーラ技術による自動修正、パスワード機能の強化であると、デモを交えた説明がありました。
 VBAで開発していただきたいのはCOMアドインである。COMアドインはOffice2000で共通となるアドインの使用により、Officeの各アプリケーション、ExcelやWordを区別することなくOfficeという1つのプラットフォームの上で動くアプリケーションとしてのアドインを作ることができるので、非常に自由度の高いアドインを作れるようになった、即ちカスタマイズしやすいソリューションの構築の方法が提供されることになった。以降、Officeアドインモデルの開発目標、COMアドインとは?、COMアドイン特長、COMアドイン開発のメリット、COMアドイン使用のメリット、COMアドインの開発方法、COMアドインの配置についての説明がありました。


 第3部(1)では、鶉橋講師からBackOffice Server 4.5 、Small Business Server 4.5製品概要についてお話いただきました。鶉橋講師には、昨年3月12日の第69回セミナー「Microsoft BackOffice Small Business Server4.0のご紹介」でお話いただいております。

鶉橋講師

 最初に、BackOffice Server 4.5のお話がありました。
 BackOffice Server 4.5には3つのキーワード、@Office2000との連携強化による効果的な情報利用と共有、Aシステム構築・システム管理・システム開発を統合し、より高度に統合されたシステムを実現。BTCOの大幅な削減、があると、BackOfficeとOffice2000による組み合わせ、Exchange Server/Outlook2000、Exchange Server/Office2000、SQL Server7.0/Office2000、SQL Server7.0/Access2000、SQLServer7.0/Excel2000による機能強化について、またOutlook2000についての説明がありました。今までは、ExchangeとOutlookとの組み合せだったがこれからはOutlook自体BackOfficeの統合クライアントとして位置付けられ、すべての情報の入り口になる。サーバー側のBackOffice Server 4.5のメリットとして、BackOffice統合セットアップ/Deployment Toolによるシステム構築、BackOffice Serverマネージャによるシステム管理、イントラネットスターターサイトによるアプリケーション構築の向上について、デモを交えた説明がありました。
 続いて、Small Business Server 4.5(SBS4.5)では、前バージョンSBS4.0は98年3月に出荷され、横展開ができた大変よい製品だったが改善の必要性が出た。SBS4.5開発のテーマは、制限の拡張、最新のアプリケーションの提供、パートナー支援機能の強化、Office2000との統合である。「制限の拡張」としては、市場に合わせたスペックの提供(最大50台のクライアントPC接続、1データベースあたり10GB。SBS4.0では25台、1GB)を行っている。「パートナー支援機能の強化」では、シンプルかつ柔軟なセットアップができるようにしたこと、インターネット接続の設定の簡素化、管理コンソールの刷新、リモート管理機能の向上を行っている。


 基本的に全てのSBS4.0ユーザーに対し、SBS4.5へのバージョンアップは無償で行うことを提案している(但し送料は別途)とのことです。
 最後に、Windows NT4.0のプラットフォーム上では、BackOffice4.5が最後の製品になり、これからWindows 2000に向けた製品開発が予定されるので、今後も私共と一緒に開発・アプリケーション・ソリューションの提供という部分を含めてマーケティング・開発・販売の部分で協力いただきたい、と結ばれました。

 第3部(2)では、寺田講師から「Designed for Microsoft BackOfficeロゴ V.4.5」について@概要、Aユーザーやベンダーにとってのメリット、B取得要件、Cコア要件、D各製品別の要件についての説明がありました。

寺田講師

 ISVおよびユーザーからの要望や提案に基づいて従来のロゴプログラム(Designed for Microsoft BackOfficeロゴ V.2.1)を改変したものであり、BackOfficeファミリー製品をプラットフォームとして開発されたビジネス・アプリケーションやクライアントサーバーアプリケーションが対象である。現在、ドラフト段階。
 バージョン4.5でのロゴ取得要件としては、
・ 基本となるコア要件に加えて、2つ以上の製品カテゴリの要件をクリアしなければならない。
・ コア要件に加えて、Office2000に関する要件を含む2つ以上の製品カテゴリの要件をクリアした場合、BackOfficeのロゴとOfficeのロゴを組み合せたロゴマークのライセンスを得ることができる。
・ Office2000とBackOfficeの連携機能を重視する。



詳細は、下記のWebサイトを参照ください。
http://www.asia.microsoft.com/japan/developer/bklogo

ご出席の皆さんからのアンケートです。
 第1部では、「今後に有用でした」、「まとまりのある内容で聞き取りやすかった」、「1部デモが見られなかったのは残念」、「かなりこれまでよりインターネットへの対応の強化が見られたが、果たしてどれくらいのユーザーが使いこなせるようになるかが問題だと感じた」、「HTMLとSQLサーバーのあたりをもう少し詳しく説明して欲しかった」、「Webを使用した情報共有は小規模でも非常に有効な気がする。特に遠方とのミーティング等に助かると思う。Windows Installerの作成ツールが欲しい」、「インターネット対応の強化部分について詳しい説明が欲しい」、「XMLをラウンドトリップとしての説明しかなかった。本来のXMLデータソースとしてのデータ共有の方針建てはどうなっているのか知りたい」です。
 第2部では、「アプリケーションにとらわれず共通で使用できるアドインはとても有効だと思う」、「統一的にアドインを作成できるのが助かる。また、VBAの機能強化が楽しみ」、「内容が濃いためもっと時間が欲しい」です。、。
 第3部では、「内容も時間とバランスが取れており、理解度が高まった」、「サーバー管理には携わっていなのでよく分からないところがあった」、「セットアップのデモを長々とやってもあまり役立たない」です。
 セミナー全体としては、「全体的に駆け足で情報量がとても多く充実はしていたが、把握するのが大変である」、「どのプレゼンも途中で時間が足りなくなり早口になるので、時間配分をきちんとして欲しい」、「講師の方が全体的に早口でせわしなかった。もう少し時間のゆとりがあるセミナーを希望する」、「サンプルプログラムをもう少し多くして欲しかった」です。ありがとうございました。


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