最新Windowsソフトウェア事情(第44回)

Windowsコンソーシアム顧問 高橋 三雄
mtaka@fsinet.or.jp


身近になったCD−ROM
−CD−ROM付きの一般雑誌−

尾白川渓谷にて筆者
 この種の雑誌を購入するようになるとは思ってもみなかった。それは図 1の「BART」(集英社)である。本欄のネタ探しを兼ねて書店を探索していたところCD-ROM付きの雑誌が目に入った。もちろん、パソコン雑誌のコーナーではない。書店に入ってすぐの平積み台に積み上げられていたのである。もしかして、「お前、BARTも読んでいないのか」と思われたかもしれないが、正直なところはじめて目にする雑誌であった。表紙の若い女性が誰であるかも知らなかった(あとで田中麗奈という名前であることを知った)。

図1

 ところでBARTとは一体、何だろうか。若者にとってキーワードになっていそうな言葉である。しかし、この種の情報が白紙状態の頭をどれほど絞っても、「BARTってサンスフランシスコの地下鉄じゃないの?」としか思われない。辞書に載っているかなと思って、先日イーストの下川さんから送っていただいた「新辞林」を検索してみた。結果は図 2の通り、新辞林もまた私同様、「BARTってサンスフランシスコの地下鉄じゃないの?」といっているではないか。余計な詮索はせずに先へ進もう。

図2

 表紙をよく見ると「新世代サラリーマンのためのストリート誌」とある。最近では行動がまったく理解できなくなった高校生や大学生よりは上の年代、ヤング社会人向けの雑誌らしいので、表紙だけでなくさらにページをめくって(スクロールして)いってもよさそうである。そしたら、「編集部に情報を送るとその価値に応じてマイレージをもらえる。マイルが一定数たまると航空券がもらえる」とあるではないか。マイレージサービスならひと頃、夢中になったことがある。「あと2千マイルでプレミアが継続できる」というので無理に香港へ出かけたこともあった。いまはもう寄る年波に疲れて海外旅行もしんどくなった。「使用期限が切れかかったマイレージ」も使う気にならない。
 ところで新聞を読んでいたら、今年の高齢者統計によると100歳を超える長寿者が全国で1万人を超えたという。もしかして、私もまだ40年近くも寿命があるのではないか、こんなところで疲れたといってはいられない。そこであらためて「編集部への情報提供」によってマイレージを稼ごうではないか、とも思いはじめた。こうころころ考えが変わったのでは読者も読みにくくてしょうがないだろう。

図3

 情報提供といえば、本欄38回で紹介したシドニーのTypeQuick社のMcIntosh社長(彼とは関係ないが、にっくきマッキントッシュ!それでもiMacが欲しい!BARTにもiMacの折り込み広告記事が載っていた)が1933年型ロールスロイスを駆って北海道から九州までの縦断の旅に来日する(図 3)。車が好きなヤング社会人にとって、これは5千マイルの情報になるのではないだろうか。詳細は私のホームページ(http://www.reitaku-u.ac.jp/~mtakah28/)の先頭に載っている同じ写真をクリックしていただきたい。希望によっては社長にお願いして、あこがれの車に同乗させてもらうことも不可能ではない。また、抽選でBART読者を同乗させるようなイベントを実現したら10万マイルはいただけると期待される。しかし、そこまで社長にお願いするわけにはいかないかも?。

図4

 さて、余計な話で惑わせてしまったが本論に進もう。BARTのCD-ROMを起動すると図 4のようなメインメニューが表示される。ここには表紙グラビア(田中麗奈)、コーディネートゲーム、メイキングオブ・デジタルフィクションそしてBART Reservedのメニューがある。さっそく麗奈さんに会ってみよう。

図5

 図 5にはかわいらしい数葉の写真と操作ボタンが含まれている。写真にはそれぞれムービーがリンクされており、動画ファイルが再生される、また、その下にはいくつかのボタンがあり、たとえばPhoto Collectionからはアルバムをめくって次々に写真を鑑賞できるし、Profileには彼女の略歴そして下段にはスクリーンセーバがある。ついインストールしてしまったので、これからは数分パソコンをほっておくと画面上に麗奈さん(ちゃん?)が現れることになった。大学の授業やセミナーのときは十分注意する必要がある。

図6

 コーディネートゲームはくだらない!いわゆる着せ替え人形遊びである。しかし、紹介しないわけにはいかない。画面には図 6のようにブランド物のリストが表示された。どれ一つとして私にとって、これまで聞いたことも見たことも、まして身につけたこともないブランド品ばかりである。私が現在身につけている唯一のブランド品はカシオのアウトドア時計(PROTREC)である。

図7

 つづいて図 7のような画面があらわれる。「これは何だ!」と思われるだろう。そう、これは画面左の人物(まだシャツもスーツも何も身につけていないはだかの優男)に画面右側のスーツ以下を選択してとっかえひっかえ、ブランド物で飾ってみようというのである(自分の写真を使うことができないと実際的でないが)。ブランドは適当にVisarunoとやらを選んでみた。また図の中央には5万円前後のスーツが並んでおり、左端をマウスでドラッグしてモデル君の上にもっていったところだ。ここでマウスをはなすとこのスーツを着た姿となる(もちろん、スーツだけの姿はそのままでは見られたものでない。シャツ、ネクタイと進むにつれて、じょじょに形が整っていく)。またRESETボタンを押すことで何度でも着せ替えて楽しむ(!)ことができる。

図8

 メインメニューのBART Reservedは指定席という意味だろうか、図 8のように、人気美女の写真やムービーを見ることができる。「小雪」さんははじめてお会いする方であるが、なかなか魅力的な美女である。本欄の原稿執筆が終わったらゆっくり鑑賞させてもらおうと思っている。
 ところでサラリーマン向けの雑誌の常なのか、このBARTにもコミックのコーナーがある。私も「パソコンソフト実践活用術」(岩波新書)を執筆するにあたって「課長島耕作」全10巻を読まされ、適当に濡れ場の含んだこの種のコミックは経験豊富である。しかし、BARTのコミックはなんと、「スペシャル・アドバイザー佐高信」とあり、表題は「公権力横領捜査官 中坊林太郎」とある。かの中坊さんのイメージにふさわしい内容となっており、これなら電車の中でも堂々と読める。もしかして、ビジネスマンの必読誌になるかもしれないという予感さえ感じられる。

図9

 BARTにはもう一つ、カラフルなコミックも連載されている(図 9)。表題は「Parrot私の名は…涙」である。このコミックはパソコン上で作成、編集されたデジタルコミックであり、メインメニューの「メイキングオブ・デジタルフィクション」から、このコミックの作成/編集の実際をビデオ動画で見ることができる。コミックの内容はともかく、コンピュータがここまで使われているかという新鮮な印象を受けた。図 10はその画面例である。

図10
図11

 一こま、一こまがどのような手順で作成されていくかが具体的に示されていく。このようにして新世代サラリーマン向け雑誌BARTに添付されたCD-ROMを見てみた。もちろん、彼らは会社の机上で「小雪さん」に会おうとするだろうから、上司が側にきたときにPanicボタンをクリックして即座に図 11のような「損益分岐点分析」の画面に変える仕掛けも含まれていることは当然であろう。

図12
図13
図14

 BARTはたまたま見つかったCD-ROM付きの一般雑誌ではない。よく探してみると結構、見つかるものである。たとえばときどき購入するアウトドア雑誌「BE-PAL」にもCD-ROMがついていたことがある。たいして面白い内容ではなかったが、図 12のように、「川遊び図鑑」がついており川辺で見かける魚などの図鑑が収録されていた。図 13はそのメニューであり、これから出かける川に住んでいそうな魚などをあらかじめ調べておくことができる。たとえば小淵沢の拙宅周辺にまだ見かける「どじょう」を選択してみると図 14のようにどじょうの詳細が写真入りで表示された。あらためて懐かしくどじょうについて学習できた。

図15

 メインメニューで「図鑑の図鑑」とあるのは市販されているCD-ROM版図鑑の一覧である。図 15のようにこんなにあったかと思われるほど、各社からさまざまな図鑑が発売されている。パソコンのさらなる普及を支えるのは「ペンティアム400」がどうだとかいうことよりも、やはりユーザーの多様なニーズに対応したパッケージソフトであろう。コンソーシアム各社にも大いにがんばって欲しいという思いを新たにした。

図16
図17

 話のついでにもう一つ、結婚をひかえた若いカップル向けの雑誌「ゼクシー」を紹介しよう。私にとって何の役にも立たないこの雑誌も本欄のためなら恥ずかしさも忘れて手にしてしまう。まずはメインメニューを見て欲しい。図 16のようにそこには「ホテル式場バーチャルレポート」や「スタイル別結婚式見積もり大作戦」などとある。私自身は留学から帰国途中にサンフランシスコで10数名の友人だけで式をあげたので、数百万円の予算で挙行する一大イベントも別の世界のことに思われる。それはともかく、図 17は結婚式場の検索画面である。バーチャルなので300万円の予算、教会式、フランス料理そして軽井沢を選択してみた。その結果、3個所の式場候補地がリストされ、そこから適当に選択してみた画面が図 18である。「軽井沢白樺高原教会」とある。

図18
図19

 これだけでは何も面白くないが、画面下段には「バブルビュー」ボタンがある。バブルとはこれいかに?、懐かしいバブル時代を思い出させてくれるのかと思ってクリックしてみると、図 19のように、教会の写真の上で360度、どの方向へでもマウスの指す方向へ自由に写真をスクロールして見ることができる。また、拡大縮小も自由自在である。最近はパノラマ写真とか3次元写真など楽しい仕掛けも見られるようになった。
 結婚式探しもよいが、相手をどのように探したらよいか、それも大事だろう。山の家でTVを見ていたらどこかの国で数千人の男女を集めた集団見合いの風景が紹介されていた。また、だいぶ前のCOMDEXで見合い用のCD-ROMをもらったことがある。会員になると自分の写真やビデオクリップが登録でき、また、条件に合致する相手を収録されている候補者から絞り込むことができるようになっていた。みなさんのニーズいかんによってはいずれ、本欄で紹介してもよいと思う。ご希望の方は事務局までメールされたい。

(麗澤大学 国際経済学部 教授 http://www.fsinet.or.jp/~kaikoma/)



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