Windows よもやまばなし

〜だってサルなんだもん
 BECAUSE I AM A MONKEY〜

富士ソフトABC株式会社
横浜事業所 設計G 主任 月岡 要
tsukioka@fsi.co.jp

 ご存知の方も多いと思いますが、このタイトルは漫画家“いしかわじゅん氏”の某雑誌への連載です。
 パソコン初心者のいしかわじゅん氏がスーパービギナーからスーパーユーザーになっていくまでを面白おかしく(ご本人は結構まじめなようですが)綴られています。
 今では既に初心者向けというよりは、Windows特有(?)の「PCカードがこっちのマシンでは認識するのに、あっちでは認識しない」などといった、良くわけのわからない、トラブルについて書かれています。

 こんなトラブルは日頃Windowsを使い慣れている人も1度は見舞われたことがあるのではないでしょうか?私もこの原稿を書き始めた日にACCESS2.0とMS Office 95とMS Office 97をはじめから再インストール、再セットアップしました。
 なぜこんな複雑なインストールをするかということについては、ここでは触れませんが、某パソコンメーカーのユーザーサポート窓口のテクニカルサポートを担当されていた方のホームページには、私のような素人に対して「サルなんだから、パソコンなど触ってはいけません。パソコンは人間の使う道具です。」とか「さすがサル、今まで動いていたものを見事に動かなくする。」などとチョット辛口のコメントが載っていました。
 なかには、こういったトラブルが面白いという御仁もいらっしゃるかもしれませんが、やはり「サル」にはつらい経験です。

 さて、パソコンのトラブルといえば先日こんなことがありました。
 私の使用しているノートブックが突然、モデム経由でインターネット上のポストオフィスに接続できなくなりました。エラーメッセージを良く見ると、DNSが見つかっていないようです。プロバイダー自体には接続できるのですが、DNSに問題があるのでその先に行かない。つまり、「http://123.456.789.0」と指定すると接続できるのですが、「http://www.foo.com」とやると接続できないわけです。
 日頃使っている、ポストオフィスのアドレスぐらいは知っているのでメールの送受信には問題ないのですが、ブラウザでサイトを渡り歩こうとすると当然、次のページにはいけません。困った。自宅にはWindows 95と漢字Talk7.1(旧型で申し訳ない)を搭載したパソコンは2台あるのですが、PC-ATは家内が仕事に、Macは娘の落書き帳。Macに至っては、モニタやキーボードにクレヨンで本当に落書きされている始末。(当時マルチスキャンのモニタは高かったんですけどね)まあ、いずれ直さなければいけないので結局解決することにしました。
 はじめに電話したところが、パソコン側のテクニカルサポート。イメージ的には語尾を延ばす女子校生。
 マニュアル通り、「ごいっしょに設定を確認させていただきまぁっすぅ。」などと親切な滑り出し。ところが、私のパソコンはモデムと社内LANを共存させていた...というのが不幸(?)の始まり。


 以下、そのやり取り。(サ)サポートセンター
サ:「こうすると繋がるんですけどねぇ」
私:「知っています。先日までこの設定で繋がっていました。」
サ:「何かインストールされませんでしたかぁ?」
私:「JDK1.1.5はインストールしました。」
サ:「それかもしれません。」
私:「...」
サ:「アンインストールしてみてください。」
私:「本当に関係あるんですか?」
サ:「わかりません。でも、そういうことってあるんですぅ。」
私:「JDK1.1.5は関係ないってば。」

...JDK1.1.5をアンインストールし、再起動。しばらく悪魔のような時間が流れる...

私:「変わりませんね。」
サ:「やはり変わりませんか。」
私:「おいおい」
サ:「それではリカバリCD-ROMでWindows 95から再インストールしてください。」
私:「チョットマッテ。何でリカバリなんだ?こんなことで?」
サ:「わからないときは初期化するのが一番なんですぅ。」
私:「わからないって、じゃあハードの問題だったらどうするのよ?」
サ:「リカバリして同じような症状だった場合、保証期間内でしたら無料で修理いたしまあっすぅ。」
私:「そういう問題じゃないって。」

...このままでは、水掛け論になってしまうと考え、別展開を求めた...

私:「CD-ROMドライブを持っていないんです。LANからリカバリできませんか?」
サ:「できないんですぅ。」
私:「へ?じゃあ、リカバリが必要になったとき、本体だけ買った人はどうするんですか?」
サ:「純正のCD-ROMを購入していただくことになりますぅ。」
私:「純正?」
サ:「はい、純正が一番相性がいいんです。」
私:「じゃあ、既に他社のSCSIカードとCD-ROMを持っている人は?」
サ:「多分動くと思いますが、こちらとしても数種類しか動作確認していないんですぅ...」
私:「ええい、じゃあリカバリが必要なことを考えてオプションではなく、標準付属品として売るべきじゃないの?」
サ:「こちらはサポートセンターですので。そういうことは...」
私:「そりゃそうだ。じゃあ、いい。」(がちゃん)

 さて、考えた末、プロバイダに連絡することに。こちらも最初はマニュアル通りの快調な滑り出しでしたが。(プ)プロバイダー窓口
プ:「うーん、こうしたら繋がるんですけどねぇ。」
私:「メーカーにも言われました。」
プ:「リカバリしろっていいませんでした?」
私:「いいました。」
プ:「私もトラブルがあったとき、同じようなことをいわれました。さて、どうしましょうねぇ。」
私:「”どうしましょうねぇ”といわれても、こっちの台詞ですよ。」
プ:「あ、そうですね。すみませんでした。」
私:「もういいです。他、あたってみます。」
プ:「すみませんでした。」
私:「いいえ、こちらこそ。」(がちゃん)

ここで純正のCD-ROMを購入するのも癪に障るので、あるプロバイダの同じパソコンを持つフォーラムに参加していろいろたずねてみました。(フ)フォーラム担当者
私:「LAN経由でリカバリできませんか?」
フ:「ああ、試した人がいらっしゃいますけど、だめだったみたいですよ。」
私:「そうですか。」
フ:「他のノートブックをお持ちなら、ハードディスクを載せ換えて、リカバリする手がありますよ。」
私:「持ってないですよ。」
フ:「うーん、今のところできないですねぇ。」
私:「やっぱり、そうですか。」
フ:「何かあったら、メールしますよ。」
私:「よろしくお願いいたします。」

 さて、ちょっと話を変えて、このように解決できない問題ばかりではなく、当然解決できる問題もあるわけです。現在契約しているプロバイダと契約した直後のこと、自宅のWindows95を載せたPC-AT互換機では、普通にメールの送受信ができるのだが、Macintoshでは接続できない。メーラも当然違うし、プロトコルもフリーソフトを使ってる。さてさて、プロバイダの対応は以下のようなものでした。(プ)プロバイダー窓口
私:「自宅のMacだと繋がらないんです。」
プ:「メーラは?」
私:「Eudoraです。」
プ:「TCPは?」
私:「MacTCPです。」
プ:「では、POPサーバーの名前と、SMTPサーバーの名前を...にしてください。」
私:「ありがとうございました。でも、わかっているのに何でマニュアルに載っていないですか?」
プ:「さっき知ったんです。」
私:「そりゃしょうがないですなぁ。」

 やはり、パソコンは人間さまの道具であって、私のようなサルは使ってはいけないのでしょうか?
 機種やOSにかかわらず、パソコンというものはトラブル続きです。やっと動き出したかと思ったら、今度は違うところが動かなくなるなんていうのは、珍しい話ではありません。さらに、まったく同じ機種でも搭載しているハードウェアが違うばっかりに動いたり動かなかったり。

 Microsoftからは新しいOSであるWindows 98が出荷されました。さて、このOSについて私どもサルはどのようなエピソードを作るのか、非常に楽しみです。
 さてさて、そうしているうちに残る手はリカバリCDのみとなってしまったころ、運よく某Panasonic製のCDドライブとSCSIカードを借りることが可能になりました。これはIBMのThinkPad535についてきたもので、信頼性については特に問題はないと考えています。そこで思い切ってリカバリすることに。

・SCSIカードをさし,CDドライブを着け,リカバリCDをセットし、おもむろに電源をたちあげる。
・そこで、CRTに表示されたものは、「BIOSを書き換えます」...ちょっといやな予感。
・ここまできて引き下がるのも男らしくないので、継続することにしました。
・どうやら、BIOSを書き換えたらしく、再起動しますとのメッセージ。
・CRTが暗くなり、再起動の音。
・ 「ひゅーん、がらがらがら」とけたたましい騒音(?)とともに、このパソコンは2度と立ち上がることはありませんでした。
 サポートセンターに問い合わせたところ、「そうですか、BIOSを書き換えましたか」と意味深な言葉。結局、ノートごと預けることになってしまったのです。あらあら。
 ところで私の購入したパソコンのメーカーさんは、何とこういった問題が出たときはわざわざ引き取りにきてくれるんです。ちょっと感動。まったく梱包もせずに渡しました。

 約1週間後に無事(?)ハードディスクが交換されて帰ってきましたが、今までつながっていたプロバイダにすら接続できない...再度サポートセンターへ電話することに。(サ)サポートセンター
私:「修理してもらったら、今までつながっていたプロバイダにつながらないですけど」
サ:「モデムは生きていますか?」
私:「あ、生きてますよ。」
サ:「じゃあ、モデムのコマンドのX3を追加してください。」
私:「...あ、つながりますね。前は入れていませんでしたよ。なんで?」
サ:「さあ?そういうことってあるんです。」
私:「”あるんです”ですか。大丈夫ですか?」

 ま、とりあえずこの問題については、意味不明ながら解決することができました。ところがもう一つ、ちょっと気になることが。
 実は、ハードディスクの音が非常に大きくなったんです。以前は「からから」程度でしたが、これに濁音がつくようになりました。まあ、ハードディスク自体を交換したのですから、音が変わってもしょうがない...サルとパソコンの苦闘はまだまだ続きそうです。

 最後に、以前私が友人に「何度設定を変えて試しても、パソコンが動かない」と助けを求めたときに次のようにアドバイスをしてくれました。今でもこの言葉を思い出すたびに、昂ぶりが押さえられ、自分の置かれている立場が冷静に見つめなおせるといった効果があります。皆さま、参考にされては?
 「え?だめだよ、そんなにパソコンを動かそうとしちゃ。パソコンだって”仲直りして動いちゃおうかな”なんて考えていてくれても、そんなに熱っぽくさわられると仲直りのタイミングを失って、後に引けなくなるんだってば。そういう時はだな、ちょっとパソコンと距離を置いて、世間話でもしてみるといいってさ。」


今月のトピックス

富士ソフトABC株式会社
技術調査室 室長 山本 淳
yamamoto@fsi.co.jp

●Visual Studio 6.0, Microsoft Developer Days 98 Tokyo, MSDN Briefing

 マイクロソフト待望の最新統合開発ツール"Visual Studio 6.0" (VS 6.0)が9月25日から発売される。それに先だって9月18日には東京で"Microsoft Developer Days 98 Tokyo for Visual Studio 6.0" (Dev Days 98)が開催され、技術者にVS 6.0の最新機能が披露される。さらに10月にはDev Days 98のセッションの一部を"MSDN Briefing"として、札幌・仙台・名古屋・大阪・広島・福岡というマイクロソフトが営業所を構える各拠点で開催される。いずれも98年9月2日に米国で発表されたVS 6.0と同時に開催されたDev Daysの内容を踏襲している。

 97年9月に開催された"Professional Developers Conference 97" (PDC 97)で予告されたVS 6.0には、PDC 97で披露されたWindows DNAアーキテクチャーを実現するためのさまざまな新機能が搭載されている。99年に予定されているWindows NT 5.0の登場を待ち、現状提供されているWindowsベースのシステムを分散環境への移行するためのさまざまなアプローチを用意している。もちろんNT 5.0が世の中に姿を現さないと実現できない機能も含まれているが、当然バグ修正も含まれているので、開発者としては最新バージョンを手に入れてほしい。

マイクロソフト社ホームページより ( http://www.microsoft.com/japan/info/releases/0903vs6.htm )

 最新バージョンであるVisual Studio 6.0 Enterpriseは、企業向け分散アプリケーションの構築フレームワークである「Windows DNAアーキテクチャー」に適合することで、ユーザーインターフェイス、ビジネスロジック、データストレージに分割された3階層の分散アプリケーションを効率よく開発できる統合開発パッケージです。

Visual Studio 6.0 Enterpriseでは、柔軟なデータベース連携を可能とするユニバーサルデータアクセス機能により、SQL Server 6.5を駆使した高度なデータベースシステムを実現します。また、「Microsoft Windows NT 4.0 Option Pack」日本語版(以下:Windows NT 4.0 Option Pack)で提供されるトランザクション処理やWebサーバーなどの機能に対応しており、信頼性と拡張性を備えた企業システムを構築することができます。さらに、SNA Server 4.0を利用することで、既存のメインフレーム資産とWindows NTプラットフォームの統合を実現します。

 また、Visual Studio 6.0 Enterpriseは、企業向けシステム構築を支援するため、コンポーネントをベースとしたライフサイクル指向のシステム構築をサポートしています。共通モデリング言語(UML: Unified Modeling Language)に準拠した分散アプリケーション設計ツール「Visual Modeler 2.0」、再利用可能コンポーネントのカタログ化を可能とする「Visual Component Manager」、配布コンポーネントのパッケージ化とデプロイメント機能を提供するパッケージ&配置機能、複数コンポーネントで構成された分散アプリケーションを追跡する「Visual Studio Analyzer」、再利用可能コンポーネントやメタモデルを格納するリポジトリデータベース「Microsoft Repository 2.0」、Webサーバーに対応したソースコード管理システム「Visual SourceSafe 6.0」など、企業システムに求められる効率的な設計、開発、管理のための機能を提供します。

 Dev Days 98は、恒例となったマイクロソフトの開発ツール紹介イベントで、最新版ツールの登場に合わせて開催される。米国では衛星放送を通じて各州同時に開催されるほどの規模を持ち、今年もビル・ゲイツ会長がビデオで登場し、98年末に発売されるSQL Server 7.0をはじめとして、99年にリリースされるOffice 2000、Windows NT 5.0、やはりPDC 97で発表されたCOM+などを核として、マイクロソフトのエンタープライズ戦略を披露したという。

マイクロソフト社ホームページより ( http://www.microsoft.com/japan/developer/events/devdays/ )

 クライアント/サーバーシステム、イントラネット/インターネット、Windows(r)デスクトップアプリケーションなど、あらゆるソフトウェア開発を強力に支援するマイクロソフトの開発ツールの集大成「Visual Studio」。今回、6.0へのバージョンアップにより、チーム開発をサポートする最新ツール群、共通データベースアクセス手法、コンポーネントベースの管理/運営/設計手法、統一されたデバッグ手法、分散コンポーネントのパフォーマンスチューニングなど、ミッションクリティカルな大規模分散企業システムの開発および管理を可能とする新機能を搭載してリリースされます。
 このMicrosoft Visual Studio 6.0 をはじめとする開発ツール製品の新バージョンを堪能できる「Microsoft Developer Days 98 Tokyo for Visual Studio 6.0」を開催いたします。

 MSDN Briefingは、今年からマイクロソフトが全国各都道府県の拠点で展開している"Microsoft Community"の一環として開催され、" Microsoft Community Conference 98 Fall "としては、システムの設計・開発および管理業務担当者を対象とした"MSDN Briefing"と、マイクロソフト製品ビジネスに携わるかこれから参入を検討される企業を対象とした" Direct Access Briefing"が2日間用意されている。

マイクロソフト社ホームページより ( http://www.microsoft.com/japan/community/conference/ )

 弊社が7月より開催しております、「Microsoft Community」のより具体的な情報やソリューションのご提供を目的とした4半期に1度、全国主要7都市にて行われるセミナーです。 今回のご対象となる、情報産業に携わる皆様、企業内のIT部門もしくはシステム導入をご検討される皆様、システム開発に携わる皆様毎に各々個別のセッションをご用意し、より有効な情報をご提供いたします。

●Business Applications Conference 98, Professional Developers Conference 98

 米国では9月にBusiness Applications Conference 98、10月にProfessional Developers Conference 98とつづけてマイクロソフトがカンファレンスを開き、基幹システムへの応用技術とWindows NT 5.0に対する基礎技術を披露する。詳細は次回にでも触れてみたい。

●その他

 オラクルのOracle 8i、ロータスのNotes Domino R5.0、ノベルのNetWare 5.0など、98年末から99年にかけて新製品が続々と投入されることになっている。マイクロソフトを含め、インターネット・イントラネットを対象とした最新技術の粋を集めた製品の投入は、システム構築者やアプリケーション開発者に選択の幅を広げる機会を設けるとともに、混乱を招く原因ともなっている。サンを中心としたJava陣営の動きも、日本でも具体的な事例が生まれ始め、目が離せない。2000年問題についてもいろいろ騒がれているが、PCを取り巻く環境の中ではBIOS、OS、アプリケーション、社内システムなど、まだまだ対応が遅れている部分がたくさんある。世間の不況風が強まる中、少なくともコンピュータ業界はまだまだ忙しい日々が続きそうな状態である。


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