活動報告



●第75回セミナー<windows DNAコンソーシアム主催>

 日 時:平成10年7月1日(水) 13時30分〜15時00分
 会 場:幕張メッセ(日本コンベンションセンター)国際会議場
     ワークショップ303
 参加人員:63名
 テーマ:「WINDOWS WORLD Expo特別セミナー」
  第1部 『Microsoft Windows 98とマイクロソフトの最新製品動向』
       マイクロソフト株式会社 ビジネスシステム製品統括部
       統括部長  加藤 浩一様
  第2部 『インターネット版Windowsカタログデータベース“Windows Shopping” ご紹介』
       Windowsコンソーシアム副会長  下川 和男様

 定例となりました「WINDOWS WORLD Expo特別セミナー」です。今年は、昨年に引き続きマイクロソフトの加藤ビジネスシステム製品統括部長にお出でいただき、 『Microsoft Windows 98とマイクロソフトの最新製品動向』についてお話いただきました。
 第2部では、下川副会長から本日7月1日に開発者用に公開され、また7月下旬から一般に公開される『インターネット版Windows Shopping』について、プレス発表を含めて、紹介が行われました。

セミナー会場

 第1部では、加藤講師からマイクロソフトのWindows 98に対するポジショニングとマーケティングについて、また出荷前のWindowsベースターミナル「Super Thin Client」の概要をお話いただきました。

加藤講師

 まず、Windowsの進化ということでWindows 98とWindows 3.1/95との対比と、Windowsが実現するものと題して次のようなお話がありました。Windows 3.1が市場で認知していただいたのはGUIによるものが大きい。また、Windows 95が社会現象になったとき、振り返ってみて何が一番評価されたかというと、32ビットになったことであり、そのため動画やプラグ アンド プレイも扱えるようになった。ようやくWindows 98を出荷することになったが、最大のポイントはハードウェアとの付合い方を大きく見直したことである。年間600万台のパソコンが売られている中でマイクロソフトのサポートセンターには非常に沢山の数の電話がかかってくるが、『箱を開けたけれど電源の入れ方が分からない、周辺機器のつなぎ方が分からない、SCSIやデバイスドライバーが分からない』といった質問が一番多い。このハードウェアとの付き合いを何とか改善したい、というのがWindows 98である。
 実際にはハードウェアとの付き合いを改善すると新規にハードウェアを買い換えるという方がものすごく多くなるのではないかという期待もしている。市場調査によると、今、日本ではWindows 3.1/95が稼動しているパソコンが約2300万台あり、そのうち家庭に入っているパソコンは大体800万台である。またWindows 98が出たら800万台の内80%の方が時期は未定だが3.1/95からアップグレードしたいという調査結果が出ている。また、その内57%の方はこの機会にデジタルカメラ、イメージスキャナ、カラープリンタなどの周辺機器を買いたいと思っている。また、37%の方はこの際にハードウェアを新しくしたいと思っている。というような市場調査の結果が出ている。
 アプリケーションの立場でいうと何が起きているかというと、このところソフトウェアがプリインストールで売られているハードウェアが多いため、インストールの経験を持たないユーザーの方がどんどん増えている。それがWindows 98の一つのチャレンジであって、2300万台、家庭の800万台の方にいかにWindows 98のCD-ROMを使ってアップグレードしていただくかが、ものすごい課題である。一方で皆さんのアプリケーションも同じようにアップグレードプロセスを一段と進めていただくきっかけとなればと、思っている。新しいハードウェアが売れるということは、アプリケーションも今まで使っていたデータを有効活用するためにもう一度インストールするか、別に買っていただくという効果が期待できると思っている。
 マイクロソフトはWindows 98を世の中に出すにあたり、マーケティング思索的にはできるだけ付加価値の部分を大きなビジネスにしていこうとしている。また、Windowsが実現するものということでお客様の利益を最大にすること、最新の技術をより簡単に使えるようにすること、そしてハードとソフトとサービス、これを柔軟にいろいろな組み合わせで好きなように使えるようにすること、このようなことを前面に打ち出すようにしている。今回Windowsコンソーシアムが提供するWindows Shoppingはこれをサポートする非常に重要なサービスだと思っている。
 続いて、Windows製品の展開としてビジネスマーケット、ホームマーケットについてのお話がありました。ビジネスマーケットでは適材適所で選択ができる一貫したラインナップがとれることで、ローエンドの携帯端末からハイエンドのサーバークラスタまで7種類の製品がある。Windowsで重要なのはどのプラットフォームでもユーザーインターフェイス、アプリケーションインターフェイス、セキュリティモデルといったものが共通に作られており、開発するためのツールVB、VCなどがすべて互換性がある。
 Windowsの対象マーケットは家庭向きに広がっており、その需要状況を拡大しようとしている。調査会社のIDCによると数年の内に今のパソコンというデスクトップの形をしたものよりパソコンの形をしないものの方が台数的には非常に大きなマーケットになるだろうといわれている。先日セガ・エンタープライズさんと共同発表した家庭用テレビゲーム機ドリームワークスの中は、Windows CEを採用しており、ゲームを開発するベンダーの方は通常のPCで開発でき、その他デバイスドライバーのチップ、周辺環境のユーティリティをゲーム機でも使える。日本の家庭内PCの普及率は17%と米国の45%と比べ低いが、今後日本ではPCの形をしていないものの方が普及するにちがいない、という見方をしている人もいる。それの例がテレビをベースにしてインターネット端末のWevTVであり、Windows CEが入っている。これは、テレビのセットトップボックスという形で家庭にコンピュータが入ってくることになる。その他、家庭内LANやリビングルームPCにWindows NTのネットワークを入れるという計画などもある。
 Windows 98の紹介ということでは、パフォーマンスの向上としてWindows 95から Windows 98にすることでアプリケーションの立上げスピードが平均36%早くなっている、これはWindows 98がユーザーのアプリケーションの立上げを常にモニタリングしており、立上げ順にハードディスクの中を並び替えたり、外周に配置したりしてかなりインテリジェントな管理を行っている、その他Windows 95のバグを7000〜8000箇所にわたって修正している。その他はデモを見ていただきたい。のお話がありました。
 Windows 98の意義としては、企業におけるビジネスコンピュータはWindows NT Workstationをお使いください、という基本路線には変わりはない。Windows 98は個人もしくは家庭でお使いくださいと、今回ははっきりとお話している。家庭内普及率17%を例えば何とかして30%に上げられないだろうかとか、今800万台家庭にあるPCを何とかして1200万台とか1400万台に上げていけないだろうか、ということをWindows 98はねらっている、とのことです。
 Windows 98のデモンストレーションとして、「パフォーマンス・品質の向上、インターネットとの完全統合、パソコンが使いたい時にすぐ使えるように、周辺機器の接続がシンプルに、ゲームよりエキサイティングに」と、加藤講師とともにWindows 98のプロジェクトマネジャーの佐藤秀一様により、FAT32コンバータユーティリティによりFAT16からFAT32に変換することによりディスクスペースの空きが2GBに対し306MBの容量が節約になる例、システムファイルチェッカーによる破損ファイルの検出と復元、ディスクのクリーンアップによる不要ファイルの削除、Webスタイルに似たシングルクリックの選択、On Now、ACPI、USB接続、マイクロソフトが開発中のジャイロセンサー内臓「サイドワインダーフリースタイルゲームパット」USB対応版、DirectX-Xによる迫力あるゲーム、USBスピーカー、DVDプレーヤーなど多くの新機能を使用したデモが紹介されました。


 Windowsファミリーの説明では、今年の秋に各ハードメーカーから出てくるという「超薄型クライアントSuper Thin Client」についてのお話がありました。これを出すための2つの理由があり、@今ある486マシンの活用ということで、サーバーからのビデオ信号だけの処理をしてインテリジェンスはサーバーに持たせる、いわゆる端末としての使い方の提供、Aクライアント側のイニシャルコストを下げたい、これがWindows Terminalである。非常に重要なことは、今ある環境と、今あるアプリケーションとスーパーシンクライアントの環境とが2重投資にならないことである。このためにサーバーはマルチユーザーサーバーにしなければならない、ということでWindows NT Server Ver.4.0,Terminal Server Editionを出した。従来のNTサーバーの上にこれをインストールするとマルチユーザー対応となる。ノートブックPCをサーバーにしたWindows Terminalのデモがありました。

MicrosoftのSuper Thin Client

 Windowsアプリケーションの開発について開発者側から見て推奨するアーキテクチャのお話では、Windows 98、NT、CE、Windows Terminalすべて基本的には一つのアプリケーションアーキテクチャの中でプログラミングをお願いしますと、申し上げている。これをWindows DNAと呼んでいる。マイクロソフトがアプリケーションを書いている方にお願いしているポイントは二つある。1つは、3階層のプログラミング、すなわちユーザーインターフェイス、ビジネスロジック、データストレージの領域に分けたプログラミングをお願いしますと、これによって開発の生産性、保守の生産性が格段に高まる。もう1つはこれに共通の開発ツールをマクロソフトが提供しているが、重要なのは是非COMのプログラミングをお願いしますと、申し上げている。プログラミングの歴史の中で第1世代ではシステムコールをたたく、第2世代はAPIをたたくというプログラミングスタイルがあった、今や、完全な第3世代であって、オブジェクトプログラミングである。その時に最適なプログラミング環境であるCOMをマイクロソフトが提供している。これが、Windowsのアプリケーションアーキテクチャの今後進んでいくものである。
 この5月29日に出荷されたBackOffice Server 4.0日本語版は、各種のサーバーのエンジン群を1つのサーバーの上に設計したもので、COMのテクニック(いくつかの組合せのマクロのような形)でプログラムすることにより従来のシステムコールから比べて70%も開発効率が上がっている、とのことです。
 最後に、この秋にベータ版の出荷を予定するWindows NT 5.0、またパートナー様への技術情報の提供(MSDN、TechNet、Tech-Ed98)のお話がありました。

 第2部では、下川副会長から7月1日に開発者用に公開され、また7月下旬から一般に公開される『インターネット版Windows Shopping』について、プレス発表を含めて、紹介が行われました。会場にはプレス関連の方も多くご出席されておりました。
 詳細は、本誌「Windowsカタログ・データベース(Windows Shopping)のご案内」をご参照ください。

下川副会長



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