活動報告


● 第64回セミナー(セミナー企画委員会主催)開催報告

日 時:1997年10月15日(水)13時30分〜17時00分
場 所:テラハウス/ICA B1Fテラホール
参加人員: 45名
テーマ:『Oracle8とオラクルのネットワークコンピューティング戦略』
構 成:
 第1部 「オラクルのネットワークコンピューティング戦略」
     日本オラクル株式会社 製品事業本部
     インターネットシステム営業部
     西脇 資哲 様
 第2部 「Oracle8機能概要について」
     日本オラクル株式会社 製品事業本部
     サーバー営業部
     鈴木 潤一 様
 第3部 「オラクルのWeb対応開発ツールについて」
     日本オラクル株式会社 製品事業本部
     開発ツール営業部
     岩本 浩央 様
 第4部 「Oracle8による大規模DWHの構築とOLAPツールについて」
     日本オラクル株式会社 製品事業本部
     サーバー営業部
     松本 真治 様

セミナー会場
 
 
 司会の佐々木 泰様
 今回は、『Oracle8とオラクルのネットワークコンピューティング戦略』のテーマで、日本オラクル社による集中セミナーであり、佐々木 泰様(同社製品事業本部営業推進部)の総合司会により行われ、4名の講師の方からお話をいただきました。


 
 
 西脇 講師
 第1部では、西脇講師からOracle8、Web Application Serverを中心としたオラクル社のNetwork Computing Architecture(NCA)についてのお話がありました。

 「Oracleの戦略的ビジョンは、"Enabling the Information Age Through Network Computing "であり、Oracleの目指す変革は"Database Vender"→"Network Computing Company"である。NCAはOracleの今後のロードマップであり、全プロダクトのベースとなるアーキテクチャーである。また、お客さまにとっては、今後のシステム・インフラを検討する上での重要な指針である。」から始まり、NCAの3階層構造と個々の説明、Oracle8新登場による柔軟な拡張性について、Web Application Serverのカートリッジ構造から機能・特徴、全階層におけるJavaサポート、カートリッジの内部構造とカートリッジ間のコミュニケーション、最後にまとめとしてNCAの優位性のお話がありました。また、カートリッジの普及を目的としたカートリッジ・ソリューション・ネットワーク(CSN)が10月20日より発足する。これは会員が作成したカートリッジをホームページで紹介し、コンテストなども行う。入会無料であるので、積極的な参加を希望する。詳細はオラクルホームページを見て欲しい、とのことです。
 出席者からは、「Oracle社の方向性を理解できた」、「簡潔な内容で話の進め方もシンプルでよく理解できた」、「もっとポイントを絞った説明を」、「分散オブジェクト・アーキテクチャーがどれだけ開発・管理側にメリットが出てくるかが今一つ理解できない」、「カートリッジの説明では具体例を示して欲しい」、「MSのIISとの比較のところをもう少し詳しく聞きたかった」の他、「同じ話を何度も聞いている」のご意見がありました。


 
 
 鈴木 講師
 第2部では、鈴木講師から明日16日から発売されるOracle8について製品コンセプト・機能および開発ツールについてのお話がありました。

 「Oracle8はインターネットユーザーのためのエンジンである」ということで全てのユーザーのサポートを行うために数万ユーザー(Oracle7は数千ユーザー)を対象とする。また基幹系システム対応を考慮してデータベースのサイズは数10〜100テラバイト(Oracle7は数テラバイト)に対応する。Oracle8ではイメージ、時系列などのオブジェクト・データなどのサポートを行うので、マルチメディアにも柔軟に対応できる。Oracle7で作ったデータをOracle8に移行すれば、Object Viewにより新しいObjectタイプとして生まれ変わり、新しい機能として使うことができる。このことは、既存投資の活用ができ優れたコスト効果を持つことになり、Objectデータベースが普及しないことへの根本的な解決策となる。もう一つの重要な機能は、パーティショニング・テクノロジーでパフォーマンス・可用性の向上を提供する。この機能はOracle8が業界唯一である。その他、「クエリー処理」、「Oracle8の連続可用性」、「高速なデータレプリケーション」などでは細かい処理がきちんとできることが特徴である。管理ツールでは、Enterprise Manager画面で複数のOracleサーバーの一括管理が可能である。Windowsでシステムを構築する場合いろいろな形でクライアントに対するコストが高くつくので、それを如何に削減するかを考えなければならない。システムの中核になっている情報をきちんと補完できるデータベースシステムが必要となり、そのためには管理・運用コストを削減できるいいものを使っていくことが重要になってくる。この点Oracle8はNCAを含めて管理・運用コスト削減を一番に考えており、TCO削減には最も有用であるといえる。
 Oracle8対応のネットワーク・モバイル製品としてNet8,Advanced Networking Option,Oracle Mobile Agents、開発ツールとしては、Oracle Designer/2000,Oracle Developer/2000,Oracle Discover/2000,Oracle Media Objects,Oracle Ojbects for OLE,SQL*Plus,Pro*C/C++があり、これらの概要の説明がありました。オラクルとしてはユーザーのニーズに合わせてさまざまのツールを用意しているので、それに合わせて使いやすいようにしていくことが大切である。
 出席者からは、「今後適用したい技術の話が聞けてよかった」、「Oracle社の管理ツールおよび検索機能に興味を持った」、「新機能について具体的な例が聞きたかった」、「新たに扱えるようになったオブジェクトデータの事例が見たかった」、「Oracle7との機能比較の説明が欲しかった」がありました。


 
 
 岩本 講師
 第3部では、岩本講師から8月28日から発売になったにDeveloper/2000 R1.5についての説明とデモがありました。

 Developer/2000 R1.5は、従来のクライアント・サーバーのアプリケーションとWebに対応したアプリケーションの両方を同時に開発できる非常に優れた開発ツールである。このWebのテクノロジーとどのような背景を踏まえてこの製品が出てきたかの話の後、Developer/2000を含め開発ツール全体が今後オラクルのNCに則ってどのような方向に進むのかについてのお話がありました。
 Developer/2000新リリースには、Developer/2000 R1.5とDeveloper/2000 Server R1.5があるが、Web環境を用いてDeployする時には2000 Serverが必要になる。以降、詳細な説明がDeveloper/2000 for the Webアーキテクチャ、Developer/2000 C/S実行環境、Developer/2000 Web実行環境、Forms Webアーキテクチャ、Forms Webクライアントの実行例、Developer/2000 Serverのアーキテクチャ、Reports Webアーキテクチャ/カートリッジ、Graphics Webアーキテクチャ/カートリッジ、Objectパーティショニングについてありました。
 Developer/2000はこれからも後継バージョンを揃え、R2.0を12月中旬頃に出す予定である。今後はNCAの3階層全てでJavaをサポートする。Developer/2000の今後の進化としては、(1)C/Sデータベース・アプリケーション開発、 (2)100%Pure JavaをサポートしたWebアプリケーション 、(3)Java BeansをサポートしてUIをさらに強化 、(4)Java ScriptingをPL/SQLに加えてサポート、 (5)Objectsパーティショニングの実現、があるが(1)、(2)はR1.5で実現された。続いてDeveloper/2000の上流工程を可能にしたDesigner/2000とOracle開発ツール全体像についての紹介があり、最後にDesigner/2000で構築したC/SベースとWebベースの両方で動く販売管理のアプリケーションのライブデモが行われました。
 出席者からは、「R1.5になり、インターネット上での利用性が出てきたと思う」、「実例が見れたので理解度が上がった。開発者側の"しかけ"の部分の紹介も見たかった」、「今後適用したい技術の話が聞けてよかった」、「ちょっと情報が多すぎて説明が駆け足になってしまったのが残念」がありました。


 
 
 松本 講師
 お話は大きく4つ、(1)データウエアハウスとデータマート、(2)OLAPツールの概要、(3)Oracle8の機能の中で大規模データウエアハウスに必要な要件と大規模データハウス向けの機能をピックアップ、(4)OLAPツール、に分けて行われました。
 (1)では、「データウエアハウス」は、企業内で日々蓄積される基幹系データを意思決に役立つ情報として整理・統合して活用できるシステム環境で、データロード管理、データ検索管理、ウエアハウス管理(データ管理)の3つの機能が必要。一方、「データマート」はデータウエアハウスからユーザーの目的別にデータ抽出した小型データベースで、アクセスが速いのが特徴である。
 (2)では、OLAP(Online Analitical Processing)は多次元分析を意味し、いくつかの手法を用いてさまざまな角度から柔軟なデータ分析が可能である。例えば、売上分析では、時間・地域・品の面を製品マネージャーの視点・財務マネージャーの視点・地域マネージャーの視点・アドホックな視点とさまざまなユーザーがさまざまな視点から分析が行える。M-OLAP(Multi-Dimension OLAP)とR-OLAP(Relational OLAP)の二つのカテゴリーに分かれるが次の使い分けができる。ユーザー層(M-OLAP:マネージメント層向き、R-OLAP:アナリスト、パワーユーザー向き)、分析内容(M-OLAP:比較的定型分析向き、R-OLAP:アドホック向き)、データ量(M-OLAP:小規模DWH、R-OLAP:中大規模DWH)。
 (3)では、大規模DWHに必要な要件は、データロード管理(高速ローディング技術)、データ管理(パーティション/テーブル/インデックス再編成、サマリー作成、データ操作の高速化、バックアップ/リカバリー、統計情報収集)、データ検索管理(高速アクセス機能<問合わせの最適化、パラレル検索技術>)である。大規模DWHに適したOracle8の機能としては、オブジェクトサイズの拡大、パーティションテーブル(管理操作性、可用性、パフォーマンス)、高速データローディング(SQL*Loader)、並列処理の強化、パラレルビットマップスタークエリー、バックアップ/リカバリー、がある。これらについての概要と、大規模大量データ処理の実証としてOracle Open World 1997にて16node 5TBのUNIXクラスタ実演が行われた、との説明がありました
 (4)では、R-OLAPツールとしてDiscover R3.0、M-OLAPツールとしてOracle Express製品についての説明がありました。また、10月5日に行われたOLAPのベンチマークテスト結果がオラクル・ホームページ(www.oracle.com)に載っているので参照して欲しい、とのことでした。
 出席者からは、「内容的に1〜3部と重複する部分を省略して必要な所だけを説明してもらえるとよかった」、「バックアップについては、現状悩んでいる問題の一つなので、大いに興味がある」、「説明はとても分かりやすかった。デモがあればよかった」、「R-OLP、M-OLAP、Webとのハイブリットは非常に興味深かった」がありました。

 またセミナー全体に対するご意見としては、「Oracleの今後の傾向が理解できた」、「Oracleの製品概要をじっくり聴くことができて、有意義であった」、「Oracle8に関して理解を得る事ができてよかった」、「管理や高速性に対して優位性を感じた」、「どのセミナーも分かりやすくて、よく理解できた」、「新しい概念が多く理解が難しかった」、「たまにはMS以外のセミナーも良い」、「全体的な市場等の話があれば良かった」、「今回のようにOracleならOracleだけに的を絞ったセミナーは有効なので、今後とも是非やってもらいたい」がありました。
 なお、11月19日の第66回セミナーでは、日本オラクルによる 「ネットワークコンピュータに於ける標準的な開発環境」がありますので、ご参加をお待ちしております。


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