活動報告


● 第60回セミナー 実施報告

日 時:平成9年7月29日(火) 15時30分〜20時00分
会 場:東京ヒルトンホテル(西新宿)
参加人員:91名
テーマ:『Active Platformコンソーシアム』設立記念セミナー
構 成:
 第1部 「特別基調講演」
        マイクロソフト株式会社
         代表取締役 会長
         古川 享 様
 第2部 「COMDEX Spring報告」
        Windowsコンソーシアム会長 松倉 哲
 懇親会 「技術者交流会」

 第1部では、古川会長から、今インターネットの新しい流れが生まれている中で、 6月のWindows TCOサミットの中で発表されたNet PCのコンセプト、Windowsターミナル、 Windows CEがこの先どこへ進むのか、また新しい流れとしてこれから先どんなものがレビュー を飾るのか等について非常に広範囲にわたったお話がありました。80枚近くのスライドと映像、 音声の再生を交えての速いピッチのお話は出席者を飽きさせることなく、予定時間を軽く超えて約2時間にわたって行われました。

 

 スライドのタイトルは、「マイクロソフトのビジョン ─すべての机、家庭にコンピュータを」、「PCサクセスループ」、「成長を続けるWindowsファミリー」、「Bill Gates ─Windows TCO Summit」、「TCO(Total Cost of Ownership)の削減」、「Zero Administration Initiative」、「ハードウェアによるTCO削減」、「Net PC、6/19に日本で発表」、「Windowsとインターネットの動向」、「PCハードウェアとOSの動向」、「ハードウェアの変革」、「マイクロソフト社の最先端コンピュータグラフィックスSOFTIMAGEを活用した映像作品」、「通信インフラの充実」、「次世代のWindowsが目指すもの」、「将来のコンピュータ形態」、「Windowsスケーラビリティ」、「長い製品寿命、コスト低減」、「Windows NT & 98 for the next」、「インターネットを活用した高度な情報メディア」、「インターネットの発展」、「マイクロソフトのインターネットへの取り組み」、「PCの変革とインターネットの変革」、「インターネットのデモ ─Carpoint、Agent機能など」、「坂本龍一インターネットライブ」、「音楽業界の取り組み」、「最新のインターネットテクノロジーをPCへ」、「IE4.0のコンセプト」、「Complete Communication & CollaborationNetMeetig、NetShow」、「より使いやすいPCを目指して─Home PC、Broadcast PC」、「WindowsのBroadcast PC拡張機能」、「TVの経験をWindowsに生かす」、「より良いPCとは、TVとは」、「Microsoft/Compaq/IntelによるデジタルTVの提案(DTVチーム)」、「Push & Pullテクノロジー」、「Pushテクノロジーによる情報配信」、「電子プログラムガイド」、「米国におけるデジタルTVの市場予測」、「Business Solutions」、「ビジネスの世界では」、「イントラネットによるビジネス展開」、「MCIS(Microsoft Commercial Internet System)の紹介」、「Exchange Server 5.0 & Outlook 97」、「Microsoft BackOfficeインターネットへの展開」、「Microsoft Site Server電子市場への展開」、「Windowsファミリーの拡大」、「Windows CE ―ハンドヘルドPC日本語版、提供する基盤、組み込み型情報通信機器、マルチメディアプロダクツ」、「Windows情報家電への展開」、「広帯域の通信網が家庭に届けば」、「新しいネットワークサービス」等と大変多岐にわたっておりました。

 

 お話の中からいくつかのポイントをピックアップしてご紹介いたします。
・Net PCは、単にやすいクライアントを作るということでなく、総合的に維持運営管理するためのコストを低減していくWindowsのフル機能を持ったものである。このNet PCの流れは、非常に重要な意味合いをもってくるものである。
・インターネット・エクスプローラは、昨年の出荷当初は8〜12%のシェアにとどまっていたが、今主要なホームページをアクセスする環境の中では45%に達している。また、新規に出荷されるWindowsマシンの中では50%を超える数量の実装があり、増加傾向にある。
・通信のインフラが充実してくることによって、今までのコンピュータネットワークトポロジーとは違った新しい接続形式が出現し、また従来のインターネットのメディアとしての限界と考えられていたことが、実は限界ではなくなってくる瞬間がきっとこれからあると思われる。そのことに期待しながらこれから先、展開を図っていきたい。
・次世代のWindowsが目指すものとしては、(1)ユーザーの用途に合わせた機能と形態がハード、ソフトで分化を遂げていく (2)よりシンプルで使いやすい操作 (3)最新の家電製品との融合 (4)コンピュータの運用管理コストの削減 (5)新しい情報機器への展開を目指す (6)インターネットを活用した高度な情報メディアとしての意味付けがこれから増してくる。
・長い製品寿命、コスト削減という意味でマイクロソフトが提案する方式は、単に新規性を求めたWindowsベースのターミナルやNet PCだけを勧めるということではなく、現行のマシンを長い期間に渡り最良の状態で使いつづけて、十分元を取っていただくことにフォーカスを当てて展開を図ることである。
・インターネットは、単に電子メールをやりとりしたり、ホームページの張り込みをしてアクセスしていただけるということだけでなく、新しいコミュニケーションの手段として使えるあたりを是非感じ入っていただきたい。合わせて安全な電子商取引にするためのベースとして、また、プッシュ型のコンテンツをどういう形で配信して、どういう形のビジネスにつなげていくか、これから先、パソコンとTVが融合したとき最終的にどのようなテクノロジーを使い、どういう形で一つのハード、ソフトで環境を整備していくか、特に衛星放送、デジタル放送による情報配信の世界に注目して欲しい。
・現在、世界では1000万人規模(日本でも535万人を数えるという統計が出ている)の人たちがWebにより静止画、音声を自由にアクセスする環境の中でインターネットを使っている。21世紀には1億人規模の人たちが、双方向性、対話型メディアを取り扱うものとしてビデオなど当たり前に使われるようになる、という前提でこれから先更なる発展を遂げるだろう。いくつかのチャレンジがあり、今のインターネットのアドレスの方式だとこれから先ユーザーが増えていった時にアドレスの数が対応しきれなくなり、また、現状のアップロードの仕方ではストリーム配信をしたり、効率よく相手にパケットを届けるためのやり方としてTCP/IPが最良の方式と思えなくなり、これから先TCP/IPだけでなく、ATMスイッチの活用、広帯域のバンド幅を活用した新しいタイプの伝送形式や通信方式が出てくるだろう。伝送速度は、1MB+、PCの接続形態は3D、マルチメディアの情報が自由にやり取りでき、TVに接続できる機器としてのインターネットの展開がさらに進むだろうと期待される。
・PCの変革とインターネットの変革では共通の課題があり、それを一興に解決するのがActiveXである。米国の場合、ActiveXはマイクロソフトが管理運営をする形ではなく、第3者の団体に委ねて流れを作り、舵取りしていただくことをお願いしている。今回、日本の場合でも、WindowsコンソーシアムをベースにActive Platformコンソーシアムを新たに結成していただき、その中でこれからに先ActiveXそのものの普及とご理解を賜っていくことを推進したい。
・従来、CD-ROMはマルチメディアのタイトルとしてインターネットとは全く関係ないものとして考えられていた方が多かったと思う。ユーミンはコンサートに合わせてインターネットを積極的に考えたいということで、この1〜5月にコンサート会場でCD-ROMを配っている。このCD-ROMの中味をブラウジングする環境がモニターエクスプローラで、その状態でホームぺージにアクセスする代りにCD-ROMの中を仮想的なホームページにして、過去5年間のコンサートが2年分だけは鍵がかけてなくて、残り3年分は鍵がかかって入っている。実際には2年分は自由にアクセスして、どーぞということで、興味があった方はこれから先にインターネットの会員になっていただいて新しいメニューができた時に、そのメニューの中に残りの鍵の仕掛けが入っている。どのように使うかユーミンが語る「このCD-ROMはショウを楽しんでもらうために作ったものです。私たちのショウは生き物ですからご覧になったショウは翌日はずいぶん違うものになっています。その毎回毎回の違いをインターネットを通じて少しですが皆さんに知っていただきたいと考え、私たちがツアーをまわっている間中皆さんも是非ツアーに参加していただきたいと思っている。このCD-ROMはいわばツアーへのキックと考えて欲しい。インターネットにまだ参加されていない方のために、このCD-ROMにはこのショウができあがるまでの楽屋裏、過去3年分のデータが収めてある。このCD-ROMの重要な役割は、私はこれからインターネットを通じて色々なことをやっていきたいと思っている。例えば、曲が生まれるスケッチの段階から少しずつ皆さんにお聞かせしたり、また、気が向けば真夜中に自宅から弾き語りライブをお届けすることもあるでしょう。もちろん過去のデータからステージからレコーディングから空に飛び出せるようにしようと思っており、このCD-ROMはそれらに向けてのシグナルです。まだ2駅だけの試運転ですが、ふと気がつけばその鉄道は少しずつ、少しずつ長いものになっていくでしょう。それではコンピュータに切符を入れて私たちの列車に乗り遅れないようにLets Go!」。このLets GoにつられてCD-ROMを買った人ばかりだけでなく、実際にインターネットの新規の会員になった人が3万人いるということで、その人たちはまだパソコンを使ったことがない人たちで、とにかくすごいなと思う。 昔だったらまずパソコンを買ってその後で、使うことの一つにインターネットがあったが、アーティストの方が考えるとユーザーにとってすごいということである。

 他にも沢山のお話がありましたが、最後に次のように結ばれました。「Windowsを核にした技術というのは恐らく2、3年の間に格別急に変わることはない。むしろ逆にずーっと考え続けてきたこと ―具体的には、家庭におけるWindowsはどのようなものであるべきだろうか、これから先、広帯域の通信網が家庭なりオフイスの中で飛び交うようになったときには、ちょっと前にはインタラクティブTVとか、ビデオ会議、ホームコントロールといったものは、ひょっとしたらあまり流行らないと考えたかもしれないけれど、昨今のプリクラとかデジタルカメラの普及を見てみると、これから先に簡単にデジタル編集した静止画なり映像といったものを自由に編集して、メールの中に貼り付ける、ホームページを発信する、映像を自由に共有する、それからネットワークの中で無線で情報を共有するということもきっと自然な姿になってくるだろう。
 今後そこをサポートしていくのは、マイクロソフトの立場とするとWindowsでありたい。そしてこういったデバイスを単独で単にWindowsを登載していますよ、ということだけを実現するのではなくて、それを支えているネットワークのバックボーン ―特にインターネット、ISDN、ケーブルTV、そういった各業種業種、通信業、映像を支えていただく方々に新たにこの事業に参入していただきたいと思っている。
 ここに居られる皆さまとご一緒にサービスとして具体的にどんなアプリケーションを運用して、お客さまにどういう利益を得ていただくのかということを確実に保証しながら、次の時代を作っていきたいと、そのためのよいWindowsの核になるテクノロジーとしてこれからも支えていただく皆さまであって欲しいということを願っている。」

 古川会長はセミナー機材の持ち込み(3台のノート型PC、スイッチャー、ダウンコンバータ、マイクなど)や設定もご自身で行われておりました。また、夕方に江の島で行われるユーミンのコンサート打ち上げも欠席されたとか、です。

 

 出席の皆さまのアンケートからのご意見を紹介します。「MSの将来構想を聞けたことは大いにプラスになる」、「MSの今後のビジネス展開がよく理解できた」、「非常に内容が豊かであり、分かりやすい」、「いつもの早口であるが、今回は非常に理解しやすかった」、「インターネットメディアとして用い、アーティストや一般的な家庭の中で、もっと利用価値が大きくなっていくことを感じた」、「非常に良い情報を得られたが、現時点では何をどのように使って物を作っていくかが不明である」、「短期、長期的な視点からの講演で方向性はよく理解できたが、技術的に強い焦りを感じた」、「講演時間のわりに内容が深いので少々理解しづらいところがあった。インターネットや電子メディアについてだけでなく、今後紙メディアはどうあるべきかということも聞きたかった」、「もっとゆっくり話をして欲しかった」2件、「もっと時間をとっていただきたい」4件。

 第2部では、松倉Windowsコンソーシアム会長から「COMDEX Spring報告」が行われる予定でしたが、時間が差し迫っていたためこの内容は次の機会とし、「Active Platformコンソーシアム」設立と、「Windowsユーザー会」のご案内の説明が行われました。

 


Contents         Windows Consortium ホームページ