開発/言語ソフト ここが見所、さわり所

〜 最新技術動向 〜

富士ソフトABC株式会社 技術調査室 室長
山本 淳 (yamamoto@fsi.co.jp)



 4月はイベントが多かった。

・COMDEX Japan 97 (8〜11日、幕張メッセ)
・Lotus Forum 97 (9・10日、幕張メッセ)
・Microsoft Site Builder Meeting 97 (11日、幕張メッセ)
・Microsoft Developer Days (15〜16日、京王プラザホテル)
・Oracle Open World 97 (16〜17日、幕張メッセ)
・Internet World 97 (23〜25日、幕張メッセ)

●Microsoft Developer Days
 世界90都市で開催されている「Microsoft Developer Days」は、全世界規模の開発者向けのイベントである。今年で4回目の開催で、3月19日の米国数都市の同時開催から始まって、世界各国でMicrosoft Visual Studio 97などの発表イベントとして最新の技術情報を紹介している。
 日本では、今年初めて5月30日のMicrosoft Visual Studio 97のプレスリリースと時を同じくして、東京新宿・京王プラザホテルで1,000名弱の開発技術者を集めて開催された。ご存知のように、Microsoft Visual Studio 97はActive Platformフレームワークに対応した、Microsoft Office、Microsoft BackOfficeに続くマイクロソフトにとってのスィート製品第三弾である。Visual Basic 5.0、Visual C++ 5.0、Visual J++ 1.1、Visual InterDev 1.0をパッケージした統合開発環境で、Enterprise EditionにはVisual SourceSafe 5.0、Microsoft Developer Network (MSDN)、SQL Server 6.5 Developer Edition、Transaction Server 1.0 Developer Editionなどが一つのパッケージとなり、費用対効果が抜群となっている。
 一部は米国から講師を呼び、キーノートはDouglas Dedo氏(Group Program Manager)がVisual Studio 97を紹介するとともに、今後の動向について発表した。とくに目新しい発表はなかったが、Visual Studioについては、今後も98年のバージョンアップによって、さまざまな機能追加が予定されている。WWWサイトの構築の簡素化やインターフェイスの統一(Visual C++などのDeveloper StudioとVisual Basicの統一)、ADOによるデータベースアクセスの容易化、あらゆる開発言語の一括デバッグ、Internet Explorer 4.0やWindows 9x (Memphis)の機能との統合などが予定されている。
 インターネット/イントラネット関連では、Webアプリケーションを作成すVisual InterDev 1.0やVisual Basic 5.0でActiveXコントロールを作成できるとアナウンスされた。

 さらに、メインフレーム用にCOBOLなどの言語で開発されたアプリケーションをそのままWindows NTへ移行できる次期SNA Server(コード名: Cedar)やWindows NTとNetWareの環境の統合なども紹介された。
 一週間前に開催されたMicrosoft Site Builder Meeting 97でも紹介されたMicrosoft Internet Explorer 4.0についても、Platform Preview版のダウンロードが開始され、一部のISV、IHV、OEMには次期Windows 9xとなる開発コード名Memphis Developer Release (MDR)のベータテストも始まっている。MDRについては、Windowsコンソーシアムメンバーのベーターテスター登録を別途紹介する。
 Visual Studio 97については、この連載でも何回か紹介し続けているが、すべての開発ツールが一つのパッケージとなっており、この製品を購入すれば、デスクトップアプリケーション、クライアント/サーバー・アプリケーション、Webアプリケーションなどあらゆる製品の開発が可能となる。既存Visual Toolsからの安価なアップグレードパスも用意されているので、ぜひとも購入してもらいたい。
 Microsoft Developer Daysについて、各国のRegional Directorによる個別開催ということで、Windowsコンソーシアムの松倉会長が、富士ソフトABC株式会社主催・マイクロソフト株式会社共催で、全国9都市でミニセミナーを有料開催する。また、Windowsコンソーシアム向けには、第58回技術セミナーとして、同じ内容を無料開催することになっている。

・5月15日(木) 東京 ・工学院大学(Windowsコンソーシアム)
・5月20日(火) 大阪・WTCホール
・5月23日(金) 名古屋・豊田ホール
・5月27日(火) 福岡・スカラエスパシオ
・5月29日(木) 仙台・仙台国際センター
・6月2日(月) 札幌・道新ホール
・6月4日(水) 広島・中国新聞ビル
・6月10日(火) 新潟・新潟ベルナール
・6月12日(木) 熊本・熊本県立劇場
・6月17日(火) 横浜・フォーラムよこはま

・内容
  キーノート/Visual Studio 97 (マイクロソフト)
  Visual Basic 5.0 (富士ソフトABC)
  Visual J++ 1.1 (富士ソフトABC)
  Visual InterDev 1.0 (富士ソフトABC)
・受講費用 2万円
  (5月15日のWindowsコンソーシアム・技術セミナーは通常の会員2名無料、それ以上1名3千円)

 筆者もVisual J++ 1.1とVisual InterDev 1.0について講師を担当して、全国を回る予定である。Visual Studio 97とVisual Basic 5.0を合わせて、新しい統合開発ツールについて解説することになっている。時間の関係でVisual C++ 5.0については紹介できないが、Visual StudioはActive Platformとその統合開発環境、Visual Basicは新しいユーザーインターフェイス、ネイティブコード作成、ActiveXコントロール作成、Visual J++は新しいWizardを中心に、Visual InterDevは他のVisual toolsで作成したコントロールを利用したWebアプリケーション開発などを解説する。
 Active Server PagesとVisual InterDevなどによるWebアプリケーション開発については、BNN社の「月刊Windows NT POWERS」誌に連載を始めたので合わせて読んでいただきたい。同誌は、Windowsキットで会員各社に配布されている。

●Microsoft Memphis Developer Release
 限定開発者に機密保持契約の下で配布が開始された次期Windows 9x (Memphis)だが、ベータテスターの追加登録が可能であるので、Windowsコンソーシアム会員の方々に紹介したい。おそらくマイクロソフトの思惑もあるので、登録申し込みしても必ずしも登録が有効となる保証はないが、一応以下の手順で申し込んでもらいたい。

・Memphis Developer Release
 ベータテスターについて以下の情報を日本語・英語で「富士ソフトABC株式会社・技術調査室」( MGICHO@techinfo.fsi.co.jp )宛にメールで知らせてほしい。

・ベータID (これまで他のMicrosoft製品のベータテストに参加されていた場合)
・姓
・名
・役職
・所属企業名
・番地、建物室名
・市町村名
・都道府県名
・郵便番号
・電話番号
・FAX番号
・インターネット電子メールアドレス
・対象となる開発製品名・周辺装置名

●COMDEX Japan 97
 日本で初めて開催されたCOMDEX Japan 97だが、日によって来場者の波があったが、おおむね成功の部類に入るだろう。新製品の発表よりもソリューションビジネスの場として来年以降どこまで定着していくか見ていきたい。ただでさえ展示会やカンファレンスが目白押しであり、マイクロソフト、ロータス、オラクルといった大手ベンダーのプライベートカンファレンスも続いたこともあり、業界ウォッチャーとしても毎月大変な状況が続いていくと思われる。

●Microsoft Tech Ed 97
 マイクロソフト最大のイベントとして毎年恒例の「Microsoft Tech Ed 97」だが、以前にも紹介したように今年も7月にパシフィコ横浜で開催される。早期割引登録は4月末で締め切られてしまったが、6月末まで登録は可能なのでぜひとも参加してもらいたい。

 富士ソフトABCでは、今年もコミュニケーション・ネットワークエリアに協力することになっており、その情報収集のために5月6〜9日米国フロリダ州オーランドで開催される「Microsoft Tech Ed 97」を視察してくることになった。次回の連載では、この米国出張を速報したい。


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