松倉会長の
会員会社キーマン直撃インタビュー


 
日本ゲートウェイ2000株式会社
セールス・ディレクター 野渡 龍氏を訪ねて

 今回は、この8月1日に入会されました日本ゲートウェイ2000株式会社を横浜ビジネスパーク(YBP)にお訪ねし、セールス・ディレクターの 野渡 龍氏から躍進著しい同社の販売戦略などをお聞きしました。なお、セールス・マネージャーの前川 昭夫氏も同席されました。

 

   松倉会長     野渡ディレクタ−  前川マネ−ジャ−
 

松倉 実はPC関連のメーカーさんを訪問するのは今回が初めてで、かつ御社がトップです。今まではソフトウエア会社さんやユーザーさんを訪問していたのですが、トップバッターということでパソコンメーカーさんのWindows戦略も含めてお話しいただければと思います。コンソーシアムの会員さんには開発会社が多いのでこれを機会にゲートウェイさんのマシンもご紹介させていただければと思います。
野渡 それはそれは光栄です。

松倉 それではまず、日本ゲートウェイ2000さんのご案内をお願いします。
野渡
 日本法人としての設立は1995年9月になり、現在の社員数は250名です。これは横浜の本社と、製品受入れし、それを検査して出荷を行うオペレーションセンターが平和島にあり、それと秋葉原に直営店舗がありますが、これら三つのロケーションを合わせた数です。
 今、セールスを統括していますので、セールスの組織をざっとお話ししますと、セールスには三つの柱があります。一つは電話によって販売を行ういわゆる「ダイレクトセールス」の部門、コールセンターと呼ばれている横浜本社で営業しております。二つ目は「コーポレートセールス」これは法人営業部隊 で、法人に対して訪問販売やプレゼンテーションを行っている所です。ネットワークでの導入とかシステムの構築になりますと、かなり詳細な打ち合わせが必要になります。従って電話での販売はなかなか難しい分野になりますので、我々の訪問営業の部隊と、場合によってはシステムインテグレータ(SI)さんと共にお客様に対してアプローチします。三つ目は直営店舗、秋葉原に「ザ・ショプGateway2000」という店舗があり、電話で販売する上で一番ネックになりますのが、商品を見て、触って買えないという部分ですので、ここでは対面での販売をやっています。
 セールスは平日は9時から21時、土日、祭日は9時から18時までという時間帯をカバーしております。これは、我々のユーザー層が個人から企業までと幅が広いものですから、その分野をカバーできるようにということでやっています。
 テクニカルサポート、これは「カスタマーサポート」と呼んでいまが横浜の本社のコールセンターの内部にあり、24時間の受け付けをしております。我々の特徴の一つでもありますが「24時間サポート」と、「一生涯にわたるサポート」といいまして、その製品がお客様の手元にある限り、ずっとサポートさせていただくということです。これは近年有料化という所が多いのですが、我々の所は特に問題が生じない限り無償共、行っていこうと考えております。

松倉 「一生涯にわたるサポート」には、何か固有名詞があるのでしょうか。
野渡
 「ライフタイム・ワランティ」と呼んでいます。あとは、その他間接部門のマーケティングとファイナンス、人事、総務に関しては横浜の本社に全ての機能を置いております。あらましは大体こんな感じです。

松倉 御社の設立から大体一年過ぎたわけですが、ビジネスとしてはどうですか。
野渡
 ビジネスとしては非常にいいですね。予想以上です。我々の設立以前は日本の商社さんを通して約3年位販売を行っていましたが、ほぼ1年でそれらのユーザーベースの3倍くらいを販売しました。具体的な数字は明言できませんが。

松倉 かなり最初の予想を上回る売り上げということですね。今後年末に向けてのご計画はどのようなものでしょうか。
野渡
 年末は我々の場合はねらっている層が大きく二つ、個人向けと、企業向けに大きく分けられます。企業 向けに関しては限りなく「Money for Value」いわゆるコストパフォーマンスを最大限に高めまして、おそらく機能別で比較した場合には最強の価格を付けていくと思います。ですから、見かけ上はかなり価格を下げたような印象を受けるハードメーカーさんが多いのに対して、ゲートウェイは質実ともにかなり充実した中の低価格ですから、消費者にとっては買ったあと後悔しないような商品を作って年末に出していきます。我々の場合はどちらかというと、ハイエンドなユーザーさんが多いですから、初めてのユーザーさんというより2台目、3台目というようなユーザーさんです。1台目はどちらかというと、知名度の高い日本の大手メーカーさんのを買って使用していくうちに、2台目はもっといいのということでゲートウェイを買われるお客様が非常に多いのです。ハイエンドを中心に価格の競争力を強化して打ち出していく、これが個人に対しての我々の目標です。
 2番目は企業に対してはG6、Pentium Proを通常のPentiumの価格に限りなく、もしくは場合によってはより低価格に設定しまして、いわゆる企業内での32ビット化に合わせたニーズを捉えていきたいと考えています。

松倉 G6というのはサーバーとクライアントと両方に使えるマシンですか。
野渡
 ワークステーションといっていただければいいですね。現行の我々の持っているハードウエア製品というのは、どちらかというとワークステーション向きです。いわゆるフォルトトレーランスなどサーバーに特化した機能を持っていなかったりしますから。サーバーマシンというのは今年度中はまだ出てきませんが、来年度以降には是非出していきたいと思っています。当面の使い方としては、クライアントもしくは小部門でのサーバー機能といった位置づけだと思います。イントラネットだとか基幹業務内でのダウンサイジングに合わせた流れによるサーバーというのはまた別のサーバーが必要だと思いますが、それはまだ出していかないと思います。

松倉 個人と企業との力の入れ方はどうでしょうか。
野渡
 実績からみても半々です。かなり個人の我々に対してのイメージがいいのです。もちろん、企業にもいいです。企業を見ると端末で沢山入っているのではなくて、クライアントでいわゆる開発だとか単体で使われるユーザーさんが多く、いわゆる企業内パ ーソナルな使い方をされていますので、使われるユーザー層のプロフィールは非常に似ています。技術的によく知っていて、仕事で使っていたり、家で使っている、かなりユーザー自体のプロフィールは似ているということです。それで何が起きるかというと、企業には季節変動というのがありますが、企業の落ち込みの部分を個人のサイクルで埋められるということです。個人には個人でサイクルがありますが。例えば、お盆のときは通常企業のユースは下りますが、逆に個人ユースが上がり、ということでフラットになり半々位になります。

 

野渡ディレクタ−        松倉会長
 

松倉 今はWindows95の搭載が結構多いと思うのですが、WindowsNTの導入はどうですか。
野渡
 G6、Pentium ProについてはNTと95と両方が選べるようになっています。今見るとNTが次第に増えてきているように思いますが、まだ本格普及には至っていないような気がします。

 

野渡ディレクタ−
 

松倉 NT4.0待ちという噂もありますが。
野渡
 今後はやはりG6でWindows95を使うというのが大分増えてくると思います。特に200MHZ以上のPentium ProはP5シリーズの200より高速ですから、そういう使われ方も増えてきます。そうするとNTは今と同じくらいの比率ですかね。

松倉 日本のユーザーさんは御社のような個人向けの販売のやり方についてどういう印象を持たれていますか。
野渡
 思っている以上に受け入れられていると思います。1990年頃はこのように電話で売るというのは受け入れられていなかったと思います。当時はほとんどお客様も買い方を知っている人でないと怖がって電話をかけてこなかったと思うのですが。いま何が違うかというと、広告を見ていてフリーダイヤルが載ってい ると「これは電話すれば買えるんだな」という非常に簡単な思考の切り替えで電話してくるということだと思います。ですから受け入れられている「電話で販売する」という浸透が非常に強いと思いますね。

松倉 最近はTVや新聞で通販ブームですから。以前はインターネットで物を買う人が少なかったのですが、今はパソコンで物が買えるという仕組みになってきていますから。
野渡
 本当にブームになるのは普及品がもうちょっと値段が下がってからだと思います。今の大体のパソコンの平均価格は30〜40万円の間です。その位を電話で現金で買うということ自体に抵抗があるみたいです。電話で買うこと自体はそれほど抵抗がないと思いますが。1万円、2万円は全然抵抗なく買っていますし、それが30万円、40万円なのでそこがいま一つネックだと思います。本格的に販売が普及するのは、おそらくパソコンが20万円かその下くらいが普及製品になったときに、もっともっと普及するのではないかと思います。

松倉 1990年頃は早かったということでしょうか。
野渡
 そうですね。市場としては丁度、昨年くらいからよくなったと思います。

松倉 御社のマシンにはソフトとしてWindows、Office、Works等が入っているのですが、その他のソフトを入れる予定はあるのでしょうか。
野渡
 ブラウザとしてはInternet Explorerを入れていきますが、それ以外のソフトウエアはセレクションとして、お客様が買う時に選べるようにしていきたいと思います。ゲームソフトが欲しいといったらそれも入れられるようにしたり、他にマルチメディアのグラフイックなソフトが欲しいといったらそれも入れられるようにします。要はお客様の仕様をソフトのレベルまで落していくということです。もちろんソフトウエアの代金は発生しますが、例えば、マルチメディアセットというと、グラフイックソフトとデジタルカメラが付いてくる、グラフイックソフトは中にインストールされており、つけたらすぐ使えるということになります。このようなソフトウエアのセレクションを増やしていきたいと思っています。

松倉 会長のテッドさんは日本市場をどのように考えていっらしゃるでしょうか。
野渡
 どのように考えていますかね(両者笑い)。やはり実質的には世 界第2の市場ですから、間違いなく力を入れていると思いますね。まだ今の所は、要は企業の設立の順序からいってヨーロッパが第2番目なので、ヨーロッパが米国の次にはゲートウェイ社内では第2位ですが、これをできるだけ早く追い越して第2位にしようという期待はあるようですけれど。

松倉 今は米国、ヨーロッパ、日本という順番ですか。
野渡
 そうです。あまりゲートウェイは外に出ていない会社ですから。

松倉 日本の市場で特に苦労されている所とか、国内メーカーさんの製品とは違った売り方があるのでしょうか。
野渡
 あるとは思いますね。特に直販は特異な販売形態ですから、特に企業ユーザーさんに入り込むときには多数の納入業者が入っていますから。そこに直販がどこまで入ることができるか、ほとんどの場合は購入形態がありますから、そこに入るのは苦労する場合があります。

松倉 企業の購買さんを攻めるというのは日本特有の難しい所でしょうね。
野渡
 そこが企業に入っていく上では特異性だと思います。あとは直販のメーカーに限らないことだとは思いますが、支払い形態とか、口座開設の問題とか、かなり日本特有のことがあり、アメリカではとうてい理解できないことです。
個人に関しては、日本には秋葉原と日本橋という集中特化した電気街が特異性をもった形でありますので、そこに行って買うという概念が非常に多いですね。ですから、雑誌だけで見て、そのメーカーの物を電話で買うというのがだんだん変わってきていると思いますが、まだ一般化はしていないと思います。

松倉 東京、大阪以外の地方は直販から見た場合はどうですか。
野渡
 地方は意外にいいように思われるのですが、意外にNEC神話みたいなものがあって、若干地方の本当のマニアは電話で買えるという利便性を利用して買われますけれど、大部分の消費者意識としては、まだまだ外国製品に対しての意識というのは都市部よりあると思います。

松倉 MSさんもいわれていますが、関東が早くて、名古屋、大阪はものすごく遅いんだそうです。九州の博多位は若干進んでいるのですが、あとは全然遅いんだそうです。一年くらいずれるといわれています。大体いい反応は首都圏ですかね。
野渡
 そうですね。

 

松倉会長
 

松倉 御社のホームページが6月から開設されておりますが、ホームページで御社の宣伝の力の入れ方はどの程度でしょうか。また、ユーザーさんからの反応はいかがですか。
野渡
 ユーザーさんからの反応は非常にいいですね。今はまだ情報だけにとどまっておりますが、米国ではここから購入できるようにしています。自分の好きな仕様に価格を見て、買えるようになっています。ですから、日本でもインターネットショッピングみたいなものを今後やっていく予定です。

松倉 御社の広告は非常にユニークですが、何か方針みたいなものはあるのですか。
野渡
 一貫して「ゲートウェイは身近なんですよ」というイメージはずっと持っています。あまりビジネスよりにしてしまいますと、非常に国内イメージが出てきたり、冷たいイメージが出てくるので、今までは我々の場合は牛の模様を使ったり、牧場とかのイメージは和やかとか、親しみやすいといったイメージがお客様にはありますので、そういったイメージの一貫性はあると思います 。ただ実際の所、まだ1年で何が一番我々のイメージとして受け入れられなかったかというと、まだ我々もはっきりと見きれていないのが原因だと思います。ですから、場合によっては“博士”が出てきたり、“桃太郎”が出てきたり、色々になっていると思うのです。次第に我々もその辺のノウハウを掴みつつあって、米国のゲートウェイの広告スタイルというものがイコール一般的な日本の広告スタイルに当てはまりませんので、そこに関しては我々が試行錯誤に近い形でたぐっていかなければならない部分だと思います。ユーザーさんの指向が違うので、あまりばか騒ぎを広告でしてしまうと、逆にユーザーさんは覚めた目で見てしまう所があります。

松倉 最近外資系のメーカーさんのTV広告をよく見かけますが、御社の予定は如何ですか。
野渡
 タイミングを見てやっていきたいと考えて考えている所です。

松倉 企業に対してネットワークを意識した進出はどうお考えでしょうか。
野渡
 先程も申しましたが我々はどちらかというと、端末が何千台も入るものでなくて、スタンドアローンだったり、小規模だったりする場合が多いので、スモールビジネス向けのネットワークのパッケージで、お客様がゲートウェイからそのパッケージを買うと、ネットワーキングとそれにまつわるアプリケーションが付いてくる。要はハードウエアはゲートウェイから提供され、SIさんがそれを構築するサービスと、あとはロータス ノーツが付いてきます。5〜10台、20台といった形の台数でお客様がパッケージとして買えるようにということです。

松倉 中小企業向けのパック販売ということですか。
野渡
 今我々ができないことをSI業者さんが一緒になってやっていくということです。

松倉 秋葉原のショップは、最初開いた当時から今までの傾向というか、変化はありましたか。
野渡
 この一年は何をしてきたかというと、場所を認知していただくということに終始していたような気がします。というわけで、月が経つにつれてかなりお客様の認知度が高まってきましたが、それに伴ってビジターの数と販売数が格段に上がってきました。ですから、今はショップの販売数は全体の20%位です。

松倉 今後の展開は如何ですか。
野渡
 西日本に是非、拠点を持ってみ たいと思います。秋葉原でかなり直営店舗のノウハウが掴めましたのでこれを来年の春をめどに西日本にまで広げてやっていきたいと思います。その次は、その他の地方都市です。

松倉 あと、24時間サポート体制の苦労話がありましたら。
野渡
 苦労というのは、日本法人ができる前に商社さんが販売された製品のサポートが大変でした。我々が売っていない既存ユーザーさんを対象にしていましたから。古いパーツのストック ─ 486のパーツ、350MGのIDのハードディスク、色々なドライバーとか、VLバスなど ─ ありませんから。古い機種のサポートは全く大変でした。我々が開設した以降のサポートをやるのならいいですけれど、社員も昔のプロダクトは知らないのですから。日本法人ができたからといって、今までたまっていた苦情がどーときた感じがします。

松倉 30日間マネーバックという制度がありますが、どんな具合ですか。
野渡
 お客様が製品を受け取られてから30日以内にご不満があった場合は全額返金させていただきます、ということです。

松倉 そんな事例はあるのですか。
野渡
 あまりありません。パーセンテージでいうと、1桁以下です。それが発生する時というのは、買って新しいマシンが直ぐに出たときなどです。30日間お客様がプロテクトされているみたいな制度でもあるのですけれど。

松倉 コンソーシアムの会員には開発会社が多いのですが、何か御社からのメッセージがありましたら。
野渡
 当社が今のところインテルさんとやっているプログラムがあります。MMXの開発のプラットホームが唯一ゲートウェイなのです。MMX用のソフトを開発されているISVの方々に、いま特別価格をやっております。サポートプログラムで価格を含めて色々と特典がありますので是非この機会を利用していただければと思います。「ザ・ショプ Gateway2000」に電話(03-3832-3161)、または電子メール(アドレス:NIFTY-Serve XLN03350)に連絡していただければ対応いたします。ISVさんには当社のタイガーアイというマザーボードを買っていただいて、Pentiumを取って代わりにMMXチップを載せるとMMXの開発標準プラットホームになりますので、どんどん開発していただきたいと思い ます。これは、今後コンソーシアムのWindowsキットにカタログを入れて案内したいと思います。

松倉 最後に、コンソーシアムに対する希望がございましたら。
野渡
 新入りなのですが、我々の新製品のお知らせをどんどんさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。

松倉 それでは長いことありがとうございました。


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