松倉会長の

会員会社キーマン 直撃インタビュー

明治生命保険相互会社


情報システム部営業情報システム開発室 加藤雅彦氏、電算管理部 西本信明氏を訪ねて

 第2回目は、東京都江東区東陽町の明治生命ビルにおふた方をお訪ねして、Windows導入のいきさつや、営業支援システムの構築状況、ベンダーのサポートに対するご意見などをお聞きしました。加藤氏は現地系システム(営業所・支社)の責任者、西本氏は本社系システムの責任者のお立場です。

松倉 御社はだいぶ以前からWindowsと関わっていたとお聞きしていますが・・・。
加藤 もう6、7年前になりますが、私の上司が将来Windowsになるのではないかと、社内のWindows化を始めよう、としたことが関わりの始めです。その1、2年前から私のところで将来社内のソフトでどういうものを使おうかということを検討しておりました。世の中、丁度OS/2だといっていた頃で、米国の雑誌などを見ているとOS/2もいいが、市場を考えるとWindowsの方がむしろ伸びるかもしれないという判断をしておりました。最終的にその話を受けて、上司の判断で社内システムはWindowsでいこうということになりました。我々が決めただけでは、全然社内に広まらないので、そこからノウハウを貯めるためにもっと情報を収集しなければならないということで、コンソーシアムの発足と同時に入会しました。
 国内で見ているかぎりマスメディア全部が取捨選択してOS/2のことしか翻訳記事を載せないので、 Windowsについての正確なデータが入ってこないのです。そこでCompuServeとかNIFTYに入って情報収集したいとか、できればいつかはCOMDEXに行って生に触れてみたいとかいう希望もありました。そういった形で、我々のところでどういうものがあるべきかということを実験開発しようと始めて、社内の一部でWindowsを試行してきました。Windows 3.0が出て急にOS/2がなくなって、Windows3.1が出てくるところでは、我々の選択は正しかったと実感しました。
 我々の場合は2.0が出る半年前位の1.03の時から開発に着手し始めてきまして、今では世の中、全てWindows一色になってしまいました。

 松倉会長     西本氏 加藤氏

松倉 具体的なWindowsの導入についてお聞かせ願いたいのですが。
西本 7年位前ですか、このビルを建てた時にLANの構築をしました。20Mhz、386SXのパソコンで 、アンガマンバスのNet/Oneシステム(MSネットワークス互換システムのクライアント/サーバーソフト)を導入しました。その当時Windowsを搭載するためには、メモリは4MB以上必要、ハードディスクは40MB内臓されていること、FDDは3.5インチのスペックが必要で、 NECさんに特注して作ってもらったと聞いています。これはあとからNECさんから98-ESとして市販されました。当社は、これを500台位入れました。その当時のLANとしては、10 BASE 5の構成で、Windowsのアプリケーションとしては、MultiPlan、ExcelやVTのエミュレータです。また、この時期にVAXというオフコンを入れて、VMS上で会議室予約、消耗品の申請などの一部のアプリケーションを開発して、98-ESの端末からエントリーできる仕組みを作りました。

加藤 少し補足しますと、本社に全てLANを引きましょうという時の担当者と相談してエミュレータのスイッチャーとしてWindowsを入れたのです。その当時にできたこのビルにもLANを入れてインテリジェント化したのです。
 当時Windows386で仮想DOSマシンとして切り替えができるようにして、3270エミュレータ、OAソフト、6550端末エミュレータ(富士通ホスト)およびVT100の4つの機能をVAXの中で基幹LANを使って1台の端末で切り替えられるような端末を入れましょうということで始まったのです。これが、さきほど西本が話した98-ESです。
 本社的にはそこが初めてWindowsを使ったというところです。Windowsそのものは使っていますが、アプリケーションは何も使っていません。やっとこれで本社関係にWindowsが入って、ようやくWindowsをベースにしたアプリを考えるようになったわけです。特にワープロに関して表や図版などを張り付けた時に、メーカーが変わるとデータの互換性がなくなるのが常だったので、社内の標準ワープロは何としてもWindowsにしたいという我々の思い入れがありました。Windowsも3.0に切り替えられて下地ができてきましたので、今までの成果が反映できたわけです。ただ、ワープロはすぐには決まりませんでした。
 標準として先ずExcelが決まり、大量に導入されました。2年位前にやっと標準はWordにしようということで、徐々にワープロ専用機からリプレースしていってWord/Excelが標準となりました。今までVAXでやっていたOAシステムもWindowsに置換えて、2年位前にメールシステムを入れて運用しています。
 現地向けにはメーカーから買ったアプリがDOSベースだと微妙に違うため、機種の互換を保つために無理やりに、BIOSからOSのコアの分までカスタマイズして明治特種で作っていますので、何年かやっていますとなかなか市販のツールが動かなくなったりして問題になります。そこで、自分たちで機種依存する所を全てライブラリー化して、アプリそのものは互換性があるようにしました。つまり、Windowsが今やっていることを自社でずっとやってきたわけですが、自社でやるのは何としてもコストがかかり過ぎます。将来そこのところは、Windowsプラットホームに持っていって、そこにかけているパワーをアプリケーションの方に使えるようにしたいと思っています。
 本社系は本社系でWindowsを何とかして会社として根付かせようとしており、現地系の専門業務アプリ開発もWindowsにもっていこうといろいろやっているのが現状です。
 最近、当社の新聞記事で世間を騒がせていますが(違っているところもいくつかあり、社内でも問題になっていますが)、ここでも全てWindowsのプラットホーム上にもっていこうという計画です。

松倉会長

松倉 本社系、現地系について少しご説明いただければ。
加藤 当社は室が6室あり、大きく縦割の組織となっています。
 本社系は、主に大型コンピュータを使ってお客さまの契約を管理する個人保険という部門があり、個人保険の契約の管理をしています。それに対抗するように企業保険システム開発室では企業保険を管理しています。あと、情報システム開発室ではディーリングルームで集めた情報をどう活用するかということをやっています。
 現地系は、 営業情報システム開発室で営業員の人事がらみとか、業績の判定をやってトップ向けの情報を流したり、色々な社内の業績の精度の数値を出したりしています。 当社は、本社、営業所という構成から成っており、本社は丸の内と東陽町の二ヶ所、支社は100ヶ所、営業所は約1500ヶ所あって、そこに4万人の営業職がいます。我々の方は本社機構以外の1500の営業拠点のシステム開発をする所です。 あと、システム計画室は計画そのものを立案したり、次の年度計画の策定とかをやっています。ここに次期のプロジェクトをやるオブジェクトチームを抱えています。この5室と、電算管理室という6番目の室がありましたが、今はアウトソーシングして子会社に引渡しています。

加藤氏               西本氏

松倉 御社で導入されるWindows端末はどれくらいになりますか。
加藤 Windowsに関しては、本社系はOA端末として1000台近いマシンがあります。私の所は現地にマシンを出しているのですが、会社が出しているのと、営業職員にリースしているのを合わせますと、約1万台あります。次の計画として営業職員4万人に小型マシン(ノート型より更に小さいもの)を持たせますので計5万台、それに今までの特殊なワークステーション(富士通製)をNTのPCサーバー、クライアントマシンで置換えていきますので、最終的に1〜2年先には合計6万台位になるかと思います。
 私たちの管理下にある5000台のマシンのうちの3300台に今Windows3.1を入れて運用しています。旧式のマシンではWindowsを入れても動かないので、リプレースを待っている状態です。

松倉 他に社内システムとしてはどのようなものがありますか。
加藤 社内システムというより、社内OAという位置付けではメールをベースに、あとはアプリケーションを使って各自生産性を高めるのが当社でいう社内OAです。それ以外は全て個別に業務アプリとして作成します。当社のホストはIBMですので、今まではTSO端末から資料を作って分析し、その結果をラインプリンタで打ち出してワープロに入力していたものをもっと生産性をよくしようということでSybaseを導入しています。また、別の用途でHPのサーバーを購入して、そこに巨大なデータベースを置いてWindows3.1で汎用のデータベース検索ツールを自社開発しています。

松倉 自社開発の場合の費用などはどうですか。
加藤 本社系はパッケージが使えるのですが、台数が5000台ともなりますと、1ライセンスが1本1万円でも5000万円かけてワープロソフトとか表計算ソフトを自社開発しようとは思いませんけれど、ちょっとしたミドルウェアとかクライアントのツールとかの機能としてライブラリの位置付けのものは5000万円かければおつりがきてしまいます。私のところは、導入が決まりますと一度に台数が膨れあがってしまいますので、非常に自社開発が多いのです。本社系ではパッケージを入れて、コストをかけずに不定形の処理をより生産性を高めるということができますが、現地系では今度4万人に4万台持たせてやると とんでもない金額になってしまいます。
 マイクロソフトさんとはセレクトで契約していますが、書類1枚書いたら何億ということです。全世界版のCD-ROMが束で来ましたけれど、後は勝手にやってくださいということで、非常にいい商売だと思います。それだけ先行投資をしているのでしょうけれど。
 この業界では、どこの会社もそうでしょうけれど、他社と同じパッケージをなかなか使いたがらないのです。他社がそのパッケージを採用したら絶対に何としても面子をかけて違う会社を入れるみたいな所があるようです。同じ機械を入れるなら、ホストのIBM位ですかね。どこもIBMだから、うちもIBMという感じです。ソフトはそういうふうには考えないですね。その分、実担当者は苦しむのです。

松倉 自社開発している部分で開発ツールというのはどのようなものを使っているのですか。
加藤 それぞれ各室毎に方針が違うので、ホストIBMのプログラマを多くかかえているところは、COBOLでないと要員が確保できないので、Windows NTを入れても必要に応じてCOBOLを搭載するということもあります。COBOLでの生産性が云々いわれることもありますが、ホスト系の人間にWindowsの開発ツールを使えといっても使えないですから。そこは、各室ごとにある程度の自由が認められていますので、ツールそのものは必要なものを必要な形で使うというようにしています。

松倉 PC系でいいますと、どうでしょうか。
西本 データベースはSQLサーバーやRDB2やSybase、クライアントは全てWindows3.1かWindowsNTのWorkstationですので開発にはVBが定着しています。あと開発するまでもないものはAccessとかいくつかのパッケージを持ってきて使わせるということをしています。VBでクライアントを作るのですけれど、そこで使われるライブラリなどは限定していません。
加藤 保険会社の場合はシステムリースが長いので、機能よりはシステムの先行きを重要視します。今、機能で最高にいいのがあっても、3年後に潰れていてサポートできないというようなリスクはおかせませんから。システムがらみの所はCで作っていいけれども、サーバーアプリは問題だよということになりかねません。あと、サーバー側にネットワーク系のOLTPなどのミドルウェアを結構導入しています。最終的に全クライアントまで見ますと費用が莫大になってしまいますから、そこは自社開発しています。

松倉 Windowsに対する評価はどうですか。
加藤 先日あった例ですが、あるメーカーさんに外字フォントをTrueタイプで作ってもらい、当社で動かしたら何としても動かないのです。調査した結果、そのメーカーさんはファイナルβ版でテストしていたわけです。製品版ではファイナルβ版よりヘッダーの情報部分で仕様がアップデートされており、そのことを知らなかったためにその情報が抜けていたことが分かりました。
 細かく仕様が変わったり、情報が放置されていて見えないところがあったりして、いざ動かなくなったりすると、マイクロソフトさんに言ってもサポートがうまくできない、単にたらい回しされるだけです。サポート契約を結ぼうとしても一般ソフトの問合わせ位ならいいのですが、NTやBackOfficeも含めてネットワーク系までのサポートについては日本のマイクロソフトにはそんなパワーがないので、どこかのSIベンダーさんを通してやって欲しいと音をあげられてしまいました。今は個別にお願いしており、米国のマイクロソフトと直接やるルートなどいろいろな提案を受けています。
 Windowsの機能に問題があったり、微妙にスペックが決まらなかったり、他に弱い所があったりしますが、我々はWindowsやVisual Basicはマイクロソフトが社運を賭けて今後もずっと出していく製品と思っており、使う理由の最たるものです。要は機能がいくら良くても1、2年で消えてしまうものは保険会社のシステムの構築ツールとしては使えません。

松倉 長期的に保証されている理由が一番ですか。
加藤 VBはビル・ゲイツ氏がBasicをやったことからも見ても今後も続いていくでしょうし、Windowsも我々1.0から見ていますし、逆に言うとあれだけ売れない時代があるので、いつものマイクロソフトでしたらとっくに投げ出して売れる商品に飛び付くでしょうが、Windowsに関してそうしなかったということは、マイクロソフトが長期的に保証していると見てもいいかもしれません。収益だけを考えたら、とっくの昔にマイクロソフトは開発を止めていたでしょうが、我々はWindowsに関してはそうでないという予測の元に出発しました。特定システムの特定の業務アプリはそこだけでやっていて、全社的に広げなければいいのですが、全社的に広げるシステムというのは、機能については2次的なことで、先ずは長期運用が可能かどうかで、その資産が10年後も使えような環境にあるかどうかが重要なポイントになります。保険はお客さまに対し20年、30年の保証をしなければならない仕組みになっていますから。

西本氏      加藤氏

松倉 Windows95はどうですか。
加藤 NTとの統合が予測されますので、どのレベルで作っておけば我々のノウハウが将来生きるのかというところの見極めが難しいと思っています。OCXも段々変わりつつあるので、今手を出すのは危ないですよといわれていますが、ただ我々のアプリのレベルから見れば十分保証されていると思っていますので、95そのものは悪くないと思います。
 ただ気になっているのは、NTも95もインストールをマイクロソフトに委ねてしまっていて、自社ででき難くなっています。当社の場合は、全国で一律ハード仕様が同じものを購入しております。最初はプレインストールしたものを出せばいいのですが、クラッシュした場合などでシステムの入れ替えがあったとき、保険の営業職員クラスの現地の人間が、あの難しいWindowsのセットアップの画面に立ち向かわなければならないのです。我々はできるなら、入れたらあと終わるまで何もしなくていいというのが理想なのですが。

松倉 途中何も指示が出ず、ひたすら終わりましたというメッセージだけですか。
加藤 そうです。今までDOSとか3.1では、全部ハードは同じですから、マスターを作ってそれを落とし込めばよかったのですが。メーカーさんにどうすればよいのか聞いてもよく分からず、CD-ROMからのインストールしか保証されていませんし、マイクロソフトさんにいっても結局はソフトそのものは米国なのでそこまで手を入れられず、要を得ません。どうやって現地展開やリカバリーや再インストールをやっていけばいいか頭を抱えています。
西本 大量導入でトラブル時のリカバリーの場合、ソフトの再インストールだけでは済まないで、システムの入れ替えとかがあった時大変です。以前NTを50台位いれたとき、納入されたものが動かず一からやり直したことがありました。

松倉 盲点は簡単な所にありましたね。
西本 トヨタさんがプレWindows95の導入に際し、マンパワーでやったと聞いていますが、当社はとてもマンパワーではできません。一部門では詳しい人間が1人いれば済みますが、全国で1500拠点同時に入れ替えがあった場合、1500人の詳しい人間は準備できません。

松倉 電子メールはどういう形でお使いでしょうか。
加藤 MSメールで運用しています。Exchangeを待っていたのですが、なかなか出ないのでMSメールを入れました。当時はcc:mailの方がよかったのですが。今は、MSメールでもそれなりの効果を上げており、特にExchange待ちという状態ではありません。
西本 マイクロソフトさんはOSを持っていますのでMSメールという形になった感もありますが。ただ、MSメールは1台何人使おうと1台分の契約で済みますが、cc:mailは人数分の契約となります。1台で10人使ったら10人分の契約です。
加藤 会社から見ると従業員に対して機械を使えといっても、使わないで済むなら使いたくないという人間がいっぱいいますから、資本投下して回収できる率は非常に低いため、100%かけて効果20%しか使わないというと、何でこんなにお金をかけるのかという話になってしまいます。そういった意味での経営者の理解が得られ難いことを、ソフトハウスさんはよく分かっていらっしゃらない気がします。企業に入れたいならそこを理解しないで、元だけを取ろうとしていたら成り立たないと思います。その点cc:mailの契約に比べ、マイクロソフトさんは企業のニーズがよく分かっていますから、ニーズに合った契約をしてくれます。
 他にもマニュアル、フロッピーなしでいいからソフトを4万本購入しようとあるソフトベンダーさんに交渉しましたら、パッケージ製品でないと売らないといわれたことがあります。4万もの媒体やマニュアルをどう倉庫に保管して、管理すればいいのでしょうか。そこらへんを分かってくれないのです。いろいろ例はあるのですが、要は、できが悪かろうと良かろうと、ある程度必要最低限の機能があった場合にどっちを入れるかという判断になってしまいます。これは企業に入るための大きなウエイトではないでしょうか。

松倉 さきほどの話でマイクロソフトさんの窓口の対応は悪いということですが。
加藤 それは技術的なことで、営業的には満足しています。

松倉 マイクロソフトさんの窓口に対する希望はありますか。
加藤 直接言っていますから。もっと技術力をあげて、窓口を開放して欲しい。それに言ったスケジュールをちゃんと守って欲しいと。これはどこのベンダーさんに対しても言えることですが。
 ホスト系のベンダーさんがしっかりとしたサポート体制をとっているのを見るにつけ、ソフトベンダーさんは売り切りで逃げようということが見え見えなので恐くて使えません。1本、2本なら分かりますが、何千、何万本と買うのにその態度はないだろうということです。IBMだって百万、2百万のビジネスならそこまでしてくれないのですが、億単位のビジネスになるからやるのであって、少なくても規模が上がればそれなりの対応はメーカーとして責任もってやるのだという態度が見えるから安心して仕事が任せられるのです。
 それが規模の大小に関らず、大きくなっても対応が全然変わらないのです。数による内容なり形態の違いを全くPC系のベンダーさんは分かっていないようです。マイクロソフトさんもこのへんを多少は分かってきている感じがしますが、それでもまだまだというところです。逆にいうと、それ以外の会社は推して知るべきです。
 当社がこの間富士通さんのミドルウェアを大量に入れたのも、富士通さんはホスト系のベンダーだからです。ミドルウェアを出している各社と個別にやったら対応は全然なっていないので、契約はできないと思います。

松倉会長    西本氏 加藤氏

松倉 御社のインターネットに対する取り組みはどうでしょうか。
加藤 当社はUNIXの「文化」がないため、正直いってインターネットはどうなんだろうと現在勉強中です。インターネットで色々なサーバーを見にいったり、他の会社のホームページを見にいっているところです。どうして当社はホームページを出していないんだといわれますが、まだそのレベルにはまだいっていないというところです。ただ、LANを試行している限りは、インターネットというよりネットワーク間のネットワークは技術的に取り込んでいかざるを得ないですし、グラフィックを含めてなお、かつOSに依存しない形の開発環境を企業内のLANのスペック環境内に取り込んでいくべきではないかと思っているところです。今までハードウェア各社ベンダーとの標準化をすすめてきまして、やっと世間一般並みのプラットホームでアプリ開発ができるようになりましたので、次はネットワークです。サーバーでOSが違ったりするとサーバークライアントのアプリを組むとき、またネックになってしまいますので、それを考えると今度はJAVAでもVB Scriptでもいいのですが、それに非常にメリットを感じています。

松倉 マイクロソフトさんもExplorerだけ持っていれば動くだろうという思想でやっていますから。
加藤 今やれるかといえば、あれだけころころ変わって進化の途中ですから、今は手が出せません。将来的にある程度落ち着いた段階でインターネットビジネスを試行していきたいのですが、ただ落ち着いた段階から着手したのでは遅いので何かしら今から手をつけていきたいと思っています。

松倉 今はわりと実験的に使われているということですか。
西本 今は、MSS(明生システムサービス)の方でホームページを作っていろいろ機能を付けてやっていますが、まだまだ実験レベルです。

松倉 言葉がちょっと大きいのですが、マルチメディアの方はどうでしょうか。
加藤 基本的にはどう業務に使えるかということです。別にマルチメイアCD-ROMを作って売っても、保険会社は大蔵省から保険以外の参入は認められていないので商売できないのです。例えば、音声を使って営業間で使うシステムを作ったら、どういう効果があるのか、音声ガイドを付けた方がいいのではないかなど、そういうことは当然考えていますが。

松倉 御社の営業職員4万台に対するマルチメディア的な使われ方についてはどうでしょうか。
加藤 当然やっています。そうなった時では遅いので、 CD-ROMベースで社内の教育用のシステムとか、開発中の次の新システムの動きを CD-ROMで作って、現地での説明と訓練と実際の操作などのアプローチなどに使っています。今、それをWWWサーバー用にHTMLでデータを作って見せたり、やったりすることができないかと考えています。我々の場合、インターネットの基盤そのものより、HTMLでどこまで機種に依存しないサーバー/クライアントのシステムがいかに構築できるかという所が焦点です。
 また、今はCD-ROMにおいて読んでいるデータが、社内のサーバーにあって移動端末のように切り離されて出先でも読めるシームレスのような形でPHSに組み込んでモービルコンピューティングというような形でできるのですが、技術の進歩より政府の認可の方が問題なので時期が読めないということもあります。
 そうなってもシステムの大幅な変更なしにデータがどちらにあってもアプリケーションを意識しないようにデータそのものも大丈夫だよということを考えると今のインターネット上の仕組みとか開発ツールが適用できるのではないかという発想なのです。

松倉 最後に、Windowsコンソーシアムに対する要望がございましたら。
加藤 開発ノウハウに対する情報の提供の機会が多ければ多いほどよいと思います。セミナーで教えてもらうということもいいのですが、必ずしもニーズと適用していないことがあります。
西本 コンソーシアムのフォーラムはどうなっていますか。

松倉 一応NIFTY上にありますが、あまり活発ではありません。Windowsが盛んで、同じようなフォーラムがあちこちにあって混沌としているようです。そこで、インターネット上に会員専用のフォーラムを10月までには作ろうと思っています。
加藤 今当社のシステム開発ではメールで活発に議論されております。議論の経過はいいのですけれど、最終フイックスしたドキュメントを載せる場がないのです。最後に決まったものはワープロで作るので、そのままHTMLで登録してそこを参照すればフイックスした仕様が分かるだろうということを考えています。メールの良さとメールグループの良さと最終的にドキュメントが参照ページで確定されたのを見て、また更新をかけられればいいなと思っています。今だとメールとメールグループとWWWサーバーを立ち上げなければならないので、せめてもっと簡単にHTMLができるようなツールが欲しいねといっているところです。

松倉 最近マイクロソフトさんからWordで簡単にHTML化できるツール(Internet Assistant for Word95)が発表されました。それを使うとどんどんできますので、SQLサーバーを使って複雑な操作をしなくてもいいようになっています。
加藤 そういうのを見ますと、開発環境が格段に進歩した感じですね。

松倉 それができると随分と違うのではないでしょうか。それでは、長いことありがとうございました。

◇ 本対談では、加藤・西本両氏からWindowsの初期の頃からの関わりや、導入状況、今後の展望、ベンダーサポートに対するご意見をお聞きしました。保険と同じようにシステムの長期保証、インストールが容易でなければやっていけないなど、大規模システムの長年の構築経験からの貴重なご意見を伺いました。
 訪問する少し前の日本経済新聞の夕刊(4月15日)に「明治生命“ノートパソコン”営業職員4万人に配布 〜1500拠点を結ぶ支援システム〜」の記事が掲載され、その話にも及びましたが、事実と違う所が大部あるとのことです。
 同社の入会は89年8月で、設立当時からのメンバーです。

東陽町 明治生命ビル


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